よみびとしらず。

あいどんのう。

ドント ウォー

2021-02-08 12:20:32 | 散文
大丈夫だとあと何回泣き叫んだらこの声はあなたに届くのでしょうか本当に望んだものの正体を自分でも見失い途方に暮れたただ手助けがほしいわけではないとそれだけは確かに主張してたとえそれが強がりから出た偽りであってもそれに縋(すが)りつくことでなんとか守り抜きたかった大切なわたしは困った顔して微笑みながらそっちじゃない道をそっと指し示すそうして踏み入れた道なき道にあなたの声はこだました大丈夫だという言葉の . . . 本文を読む

さかな

2021-02-07 00:11:59 | 散文
言葉は溢(あふ)れてまるで思い通りにはならず思いは溢(こぼ)れてできた水たまりに魚は泳ぐ何処にもない場所には誰も辿り着けずけれど行き先はそこに示されて魚は泳ぐまばたきもせず意気揚々と息苦しさはとうに知っていたそれを受け入れてほんとうの微笑みで苛立ちは産まれ炎をあげた      そうやって目眩(めくるめ)く感情の渦のさなかに魚は放たれてひとりきりきらきらと輝く水をまといて 誰の目にも触れられないまま . . . 本文を読む

Beautiful Days

2021-02-06 17:22:26 | 散文
胸を張らず縮こまってそれでもここまでやってきたそうやって今ここにいるあなたのなんて素晴らしきことかを誰も口にしないからわたしが声高らかにそれを叫ぶと言い放ったわたしの声は誰にも届かず今日も空は青くて雲は流れる透明な身体は誰の目にも触れられないまま大切なあなただけをただずっと見守っていたそんな優しさと気味の悪さにも気がつかず過ごした笑いあっていつも泣いてそれすら見知らぬふりをして自分のことだけを自分 . . . 本文を読む

カメラ

2021-02-05 11:46:23 | 散文
あたたかな日差しに肌寒さを感じたこの身体のある不適切さを自分勝手に重ね合わせてはもうこれ以上には耐えられないと歌うたうその声に幸(さち)は導かれた海も山も全てをすくいとったのはなんの力も持たないあなたの指先そこにうつされた眼差しはわたし以外をわたしにうつしたただ一つ欲しかったかけがえのないものは別物になり変わりこの手のひらの中へ嬉しさと苦しみは同居してこの瞳はまた別の思いをその色に宿す目の前にある . . . 本文を読む

イチ

2021-02-04 14:15:28 | 散文
繋がりは絶えて糸だけが残ったこの指先にかすむ涙はあなたをかすめた日の当たる場所残されたあなたの亡骸にいままた新しい命はおとずれるいつか途絶えたと泣く声に月は巡りて手を差し伸べる昨日明日と時間を越えて何も知らずにわたしは産まれた懐かしい世界にはじめましての歌声を繋がりは結ばれて始まりを探す元いた場所の礎(いしずえ)に取り残されたのは誰であったかあなたではなくわたしでもない本来の姿をうつす真澄鏡(まそ . . . 本文を読む

リンク

2021-02-02 11:19:56 | 散文
飛び出したものはほのかにも熱を持たずして赤色に染まる夜の帳(とばり)は降りてきてもう戻れないと泣く君の滲(にじ)んだ視界はリンクした繋がりは反転しそこに留まったたどり着いたのはあなたの声と言葉をふさいでわたしは堪(た)える湛(たた)えた水の眩しさに様々な色は弾かれて夜のそら色は産声を放つどこまでも深い青色に心を明け渡した日は廻るぐるぐるくるくるとこの指に絡まる糸をたよりに私は放たれた言葉の意味を飲 . . . 本文を読む

冬籠(ふゆごもり)

2021-02-01 12:22:11 | 散文
冬の籠りから解き放たれてそれでもわたしは籠る内側にこの熱に見合わぬ身の丈を欠けたる月の姿にも思いを馳せる夜を駆けていくと流れた光は鏡に反射してわたしは目を閉じた固まるはずのこの身は柔(やわ)くふるふるとかたかたと音鳴りやまず冬は過ぎ去っても春まだ遠く寒さに由来しない肌の冷たさを寒さのせいにして誤魔化すわたしにそっと差し込む柔らかな木漏れ日音のない光の指し示す道は季節を巡りてまた冬となる離れ離れを受 . . . 本文を読む