よみびとしらず。

あいどんのう。

家庭菜園

2020-04-04 00:03:07 | 散文
風はつよく身体はあつく
わたしは弱くあなたは潔(いさぎよ)く
この地に立ちて揺れて揺られて
過ぎたらのちに土に還りて花となる
風にかたちなくこの身に寄るべなく
もてあました熱量の分だけ孤独を歌う
みんなひとりぼっちでさみしくて
つながりを求めあうことでごまかした
本当のさみしさとかなしみを
つよい風にも折れぬ身体で
ひるがえる布切れの分だけ記憶を運んだ
風に流された思い出は巡り
わたしは自らの弱さを糧として
また巡り合うあなたへと水をやる
貧しき土壌に草木はしぶとく生い茂り
豊かな土壌は果実を実らせ道をなす
実りなき地にも砂のうえにも
あなたの姿は確かにあって
曇りなき眼(まなこ)で風をうければ
わたしの思いは舞い上がり
そのつめたさもこいしさも
重なりあいて濡れそぼつ大地に芽吹く春
そのよろこびもかなしみも
名付けられぬ感情の全てを肥やしに
あなたと育む今日のいちにち

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