よみびとしらず。

あいどんのう。

あわみず

2021-08-13 11:29:23 | 散文
水に薄められた思いを乗せて産まれたわたしはどんな形か憎しみも歓びも淡水に溶かして解けた糸の先にある海は荒波の怒りや感嘆を元の姿に呼び覚ます元の姿を知らないわたしは初めて触れたその激情に精一杯の拒絶を示して海とおんなじ涙の味をなにも知らずに産まれ出た元のわたしを知らずして元の在処を知らずして当たり前のように歩きはじめたわたしは歌声も鱗も持たずにただ何かが欠けていると誰に何を言われたわけでもなく怯えて . . . 本文を読む