よみびとしらず。

あいどんのう。

2021-08-07 11:24:20 | 散文
箱のなかには在らねども 猫の生死はおぼつかずなんと鳴くのか 柔らかな両手に私の耳は塞がれた愛し恋しやと愛を囁けばお月様の本当の姿は隠されたまま黒猫は夜にまぎれてなんと鳴く化けて出るのは可愛いものよと蕩けた瞳に猫はじっと見つめてうつりこむ目を逸らすのはあとの祭りと猫はひとり寝に喉を鳴らした遠くの幽(かそ)けき鈴の音に朧げな記憶は霞がかりて月は淡色の猫は私にすり寄りその目的は秘めて黙して語らずに化けて . . . 本文を読む