雀ばぁば

おしゃべり雀、孫7人

Kじいさん

2010-07-30 20:02:03 | Weblog
通勤途中に広がる田んぼに
Kじいさんの田んぼがあちこちにある。

調べた訳ではないが
彼は元気なときはいつも
田んぼで作業してきたから
何所が彼のものか 自然に分かった。

歳は、90を越えていると思う。

90度に曲がった身体でひどいがに股、
しかし自転車に乗ると
極 普通の人に見える。

今日も、自転車でスイスイと
田んぼを見回っていた。

今年は、元気なんだわ!



数年前まで、彼が元気なときは
その田んぼは何所よりも見事に手入れされ
黄金の実りをもたらしていた。

畦の草も
じいさんの手に掛かれば
伸び放題ということはまず無かった。

2年ほどの間、姿を見かけなくて
田んぼは見る影もなく荒れた。

田植えはされたが
稲は均等に発育せずマダラで
ソコココに水面が見え、
肥料を撒いている人は
田んぼには入らず
周りの畦からテキトーに振りまいていた。


Kじいさんが見たら、嘆くことだろう!
余所事ながら、私はいつもそう感じていた。


昨年、彼は復活して
また、田んぼの見回りを始めたが
自転車に縋るようにして歩いていた。
荒れ果てた田んぼを見ている様子は
何だか痛々しかった。



ところが今年は、
田植えの後
田んぼに入って 
育ちの悪い苗を植え替えている
泥まみれのKじいさんを目撃。

もう、夕方で、冷える時間なのに
苗の束を持って
まだ田んぼに入ろうとしていた。

無理しないようにと声を掛けたら
“昔はずいぶん無理をしたのに
無理が利かなくなってしまった”と
悲しそうな顔をした。

田んぼに入らずにはいられない心境だったのだろう。
そして、体力の衰えを思い知らされた・・・。

田んぼは変わらず、ひどい状態。

でも、彼は確かに老人力を身につけていて
今では、毎日のように田んぼを見回っている。

父の姿をダブらせながら
その姿を目で追ってしまう私です。