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好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 スクロヴァチェフスキ/ザールブリュッケン放送響/バイエルン放送合唱団 他

2019-01-05 23:46:34 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」
ベートーヴェン 
交響曲第9番「合唱」 

指揮…スクロヴァチェフスキ
演奏…ザールブリュッケン放送響
合唱…バイエルン放送合唱団 他
好み度…4.5(5点満点)

ひとことで言ってしまうならば、美しい第九。
激しいとかスケール感とか骨太とか、とは違うほうを向いた第九。
第1楽章は重さを感じさせない響きに、かつ弦の響きなどに小編成古楽器風の雰囲気も感じさせるが、か細いというわけでもなく、弦楽器中心の精緻でピンと張ったような雰囲気はある意味澄んだ敬虔さを含んだ美しさを感じさせ、ホルンやティンパニも重厚感や高ぶる感情を演出することはしない。途中のティンパニが暴れるような場面でもティンパニはあまり鳴らず入れ替わり響く弦がちょっと特異な雰囲気となっている。力感を求めるならアウトだし、個人的好みからは力感不足のじれったさみたいなものは否めないが、ニュートラルな心持ちで聴けば新鮮で悪くないと思う。
第2楽章は澄んだ緊張感を伴った響きでときに第1楽章より力感を感じるようでもあり(この楽章ではティンパニも結構引き締まった強い響きを聴かせている)、第3楽章はこのオケの澄んだ美しさが活かされて素直な美しさが聴かれるように思う。
終楽章も激しさや昂る感情というよりは透明感を感じるタイプだが、力感不足も感じない。弦による歓喜の歌の主題の受けつぎでの響きは明るく静かな喜びに満ちたかのようなものであり、声楽が加わって、独唱はうまさ、音量のバランスとも上々、合唱団は澄んで声量に不足なく、合唱の各パート、あるいはオケとのアンサンブルも他盤に秀でる域に美しく、清清しいスケール感も演奏に与えて、上質な響きを聴かせている。アンサンブルはじめ完成度は高く、ちょっと厳かな場所でガラスやステンドグラスの透明感ある色彩を見るような、こういう第九も悪くない、と思う。


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