好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ベートーヴェン 交響曲第9番「合唱」 バレンボイム/ウエスト=イースタン・ディヴァン・オーケストラ 他

2023-10-29 10:41:20 | べートーヴェン 交響曲第9「合唱」

ベートーヴェン
交響曲第9番「合唱」

指揮…バレンボイム 
演奏…ウエスト=イースタン・ディヴァン・オーケストラ 
合唱…ベルリン州立歌劇場合唱団 他 
好み度…4(5点満点)

深さとか重厚とかというものではなく、若々しい熱を感じるような響き。
中東の国籍や宗教を越えた若い演奏家による楽団、という先入観があるからかもしれないが、細かいことを言えば整いきっていないところもあるんだろうとも感じるがそれを補って余りある若々しい覇気を感じる。
決して快活なテンポではなくむしろゆっくりめのテンポで堂々と奏し切りながら、エネルギッシュな爽快感が印象的。
バレンボイムの情を濃いめに表に出したアクセントつけにオケも大きく感受性豊かに応え、特に若手はないはずだけど合唱団もつられてだいぶ勢いに乗った歌いっぷりのように感じられて力強く、しかし透明感と広がりも随所に感じられて、終盤はかなりの熱気もはらんでなかなかに熱い第九のように思う。
このオケは1999年にバレンボイム他によって結成されたイスラエルやパレスチナ、アラブといった国々の団員によるオケとのこと。バレンボイムも粛々と大人の演奏をやるより例えばこういった自分が前面に出たメッセージ性をもったものに熱くなるタイプなんではないだろうか。音楽によって融合と希望を表現する、とか、ある意味パフォーマンス的なところはあるかもしれないが地球のどこかでこういった試みが続けられているということはよいことと思うし、そういう意気込みがあるからかどうかはわからないが、演奏は物怖じしない力に満ちたもののように思うし、特別なうまさとか、美しさとか、荘厳とか敬虔とか深みとか風格とか、そういうのとはちがうけど、邪念のないような力強い爽快さが心地よい、そんな盤のように思う。
今またパレスチナとイスラエルは多くの人命が失われている状況にある。いつまで繰り返され、罪無き人達がその人生を絶たれなければならないのだろうか。ひどい歴史的経緯がありそれへの解決策は容易にはなく、今回近しい人を失った人はやはり相手を恨むだろう。それでは、やはり繰り返さざるをえないのだろうか、世界のお偉方はほんとにこの状況を何とかする気はあるのだろうか、それとも所詮人間なんてこんなものということだろうか。


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