ブルックナー
交響曲第3番
指揮…マゼール
演奏…ミュンヘンフィル
好み度…5(5点満点)
これは、ちょっとびっくりするくらい、いい。
細かいテンポの動きがちょっと独特で、そんなところはマゼールらしいと言えばらしいのかもしれないが、ときとして奇をてらっているようにも聞こえかねないそんなところもこの演奏ではそうは聴こえず、特有の空気感をつくっているように思う。
そしてミュンヘンフィルの響きが、これはちょっと何度も手に取りたくなる美しさ。
両者相まって、宇宙的というか、大きく広く神秘的な美しさを感じさせる。
基本的にゆったり構えて表現豊かに、温かみとかよりは一切の濁りのない冷気をまとうようで、美しい音色で響き重なる金管もいいし、第2楽章はじめ弦の美しさもちょっとびっくりの特筆ものと思うし、全編通して強奏部でも管弦とも美しく響いてこの曲に敬虔で美しい大曲感を与えているように思う。
低弦をしっかり添えて美しく響かせるマゼールもいいんだろうし録音も抜群の域と思う。
一音一音の表現にも艶を感じるし、管と弦のバランスもいいし、いやはや何とも聴けば聴くほど、の感のある、上質で大きく美しい、これはこの曲の価値を再認識させる名盤のように思う。