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好曲好盤探訪

名曲か、名盤か、というより、個人的好みで好きな曲の好きな演奏との出会いを求めてボチボチと。同じような方の参考になれば

ブルックナー 交響曲第5番 メスト/ロンドンフィル

2023-09-24 22:59:29 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー 

交響曲第5番

指揮…メスト 

演奏…ロンドンフィル

好み度…4.5(5点満点)


堅固だったり重厚長大だったり宗教色を感じさせたり、いろいろな側面を見せるこの曲だが、そういったイメージを払拭させるような、力強くしなやかに引き締まった演奏。

1993年ウィーンでのライブ録音とのことで、解説にも「その新鮮かつ鮮烈な解釈は保守的な聴衆の怒りを買うとともに、多くの聴衆から圧倒的な拍手で迎えられたという」とあるのも微笑とともに頷ける気がする。ここぞで豪快に響くティンパニや速めのテンポの第2楽章の美しい爽快感、フィナーレの怒涛の迫力などが印象的。速めのテンポだが、指揮者もオケも一音一音への配慮がおろそかになることなく、むしろ高く爽快な緊張感を感じる。この日のロンドンフィルの響きはしなやかに機能的にシャープな清涼感も感じさせてこの演奏に合っているし録音もいい。

何せ他の盤でのブル5とはイメージを異にする、颯爽とスポーティーでしなやかな筋肉質といったら怒られそうだが、爽快で引き締まったブル5。

聖フローリアンにゆっくり響くこの曲もいいが、こんなこの曲もいい。


ブルックナー 交響曲第8番 ヴァント/ミュンヘンフィル

2023-09-24 22:56:10 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー 

交響曲第8番

指揮…ヴァント 

演奏…ミュンヘンフィル

好み度…4.5(5点満点)


ヴァントといえば堅固で真っ直ぐ実直なイメージだが、晩年のこの演奏では奥深く滋味深い淡く光るような味わいといったものが加味されているようで、それまでのヴァントにあまり感じられなかったような大きさ美しさが感じられるようで感慨深い。

1年後のベルリンフィルとの盤との比較で語られることもあるようだが、堅固な緊張感と重みのベルリンフィル、艶と滲み出る美しさのミュンヘンフィル、といったところだろうか。

ベルリン盤のほうがブルックナーらしいかもしれないし、ミュンヘン盤のほうが味わい深いかもしれない。もうこのレベルではこの曲にどんなイメージを求めるかのちがいで好みがわかれるだけのように思う(タイム的には各楽章少しずつミュンヘン盤のほうが長く、聴いていてのイメージではむしろタイム以上のミュンヘン盤がゆったりしたテンポに聞こえる)。

静かな演奏というわけではない、むしろ終楽章での金管群の響きなど迫力と重みなど他盤を圧するくらいである。録音もすこぶる優秀。第2楽章がやや他のヴァントの盤と比べて緊張感が感じられないようなところはあるが、第3楽章のゆったり輝くような美しさ、終楽章の迫力と美しさは圧巻。


ブルックナー 交響曲第3番 ザンデルリング/ライプツィヒゲヴァントハウス管 

2023-09-09 15:13:09 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー 

交響曲第3番

指揮…ザンデルリング 

演奏…ライプツィヒゲヴァントハウス管

好み度…4(5点満点)


名盤として不動の評価を得ているような感のある盤。

覇気を十分に感じさせる響き、管も弦も緊張感と活力を持って鳴って、しかし大味にならずに引き締まった大きさを感じさせる。

古風で力強いオケの響きも好感が持てる。

特に第2楽章の厚く古風でアナログ的な透明感と温かさを感じさせる弦の響きなど美しい。終楽章の堂々とした運びとその後でのゆったり力強いフィナーレも印象的。

1963年の録音なので録音は今やもっと綺麗なものはいくらでもあろうし、全編として今となってはオーソドックスと言ってしまえそうな演奏でありながら、その気迫、厚み、美しさ、やはり今でもありそうでないものが感じられ、古くなっても名盤として語られていく盤であることも頷ける。


ブルックナー 交響曲第5番 アイヒホルン/リンツ・ブルックナー管

2023-09-09 15:07:45 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー 

交響曲第5番

指揮…アイヒホルン 

演奏…リンツ・ブルックナー管

好み度…5(5点満点)


このコンビでのブルックナーは8番も聴いたが、私には断然こちらのほうが感銘深い。

アイヒホルンにはバイエルン放送響との同曲の録音もあるが、どちらも十分な厚みや情のある響きの美しさ、嫌味のない大きさを持ち、演奏としての完成度はバイエルン盤、滋味というかブルックナーへの情みたいなものがより感じられるのはこちら、といったところだろうか。

金管の重なりは、大げさなものではないのだが、幾層にも重なる中で聴かせるべき音を知り尽くしているかのように大きく美しく重なって、弦の響きも素朴ながら情も込もって美しい。

第2楽章の弦の敬虔な響きは情深く美しく、フィナーレの圧倒的で情に満ちた大きさは数ある同曲の盤中筆頭と言ってもよいかと。

ゆっくりめのテンポは、ただおそいということではなく、重ねられる響きに一音一音への素朴な慈しみが感じられるようでもある。

このコンビの、ブルクナーへの、指揮者とオケのお互いへの、情愛がよい形で感じられるような、名盤でしょうね。


ブルックナー 交響曲第8番 チェリビダッケ/ミュンヘンフィル

2023-08-13 10:43:29 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)
ブルックナー 
交響曲第8番

指揮…チェリビダッケ
演奏…ミュンヘンフィル(1993年盤)
好み度…4(5点満点)

テンポは、遅いとわかって聴いてもやはり遅い。
さすがに躍動感のようなものは感じられず、テンポを遅くして失ったもののかわりに得た魅力がどれほどか、といえば評価は分かれるかもしれない。
叙情楽章の第3楽章はチェリならではの雰囲気を聴けるような気もするが、チェリの演奏でときに聴かれるその曲が別物に思えるような新鮮味を伴うほどではないようにも思う。
むしろ終楽章に躍動感でなく叙情性を感じるあたりに新鮮味を感じる。
重量感のある立派な演奏と思うが、リスボンライヴに至高とまで言われる評価がありながらこちらにそこまでの評価がないのは、全体的に何か「活きた」ものが感じられないというか、そんな印象があるのかもしれない。これも好みの範疇かもしれないが。

ブルックナー 交響曲第8番 テンシュテット/ベルリンフィル

2023-08-06 18:46:45 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)
ブルックナー 
交響曲第8番

指揮…テンシュテット 
演奏…ベルリンフィル 
好み度…4(5点満点)

帯に当時のこの演奏評が紹介されている。「荘厳さは足りない。平穏さも足りない。しかしながら他にくらべ一層色彩ゆたかな演奏が聴かれた」と。
確かにそうかもしれない。多分演奏するほうもはなから荘厳とか平穏なんて気はないだろうし、もっと生身の情とか熱、そんなものを感じる。色彩とか言うよりはむしろ熱だろうか。
他の指揮者のときとちがってベルリンフィルががむしゃらになっているように聴こえるのもちょっとおもしろい。
てこでも動かないような、そんな重厚感とか大きさとかを望むなら他の演奏を聴いた方がよいと思うが、血の通った力強さと躍動感に満ちた他にはないブル8があるように思う。
やや乾きめの録音のせいもあってか熱はあってもどこか軽い印象もあって、個人的にはロンドンフィルとのライブをとる。

ブルックナー 交響曲第3番 ジークハルト/リンツブルックナー管

2023-07-15 23:10:42 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)
ブルックナー 
交響曲第3番

指揮…ジークハルト 
演奏…リンツブルックナー管
好み度…5(5点満点)

名盤紹介などでも聞かない盤だが、これはいいなぁ。
聞く人が聴いたらオケの技量があれこれとかあるのかもしれないけど、私には何の不足もないし録音もいいし、多分例えば(聴いた事ないけど)ティーレマンとウィーンフィルとかのほうが上手いだろうし美音なのかもしれないが、それは他の盤でも同じように聴かれる上手さだったり美音だったりだろうけど、この盤の響きはブルックナーに自負を持つ指揮者とオケが実直にゆったりと美しい音を紡ごうとする趣が感じられるようであり、そこに大指揮者と大オケの演奏に感じられない感銘を受けるような気がする。
荘厳なオルガンが轟音となって重なるような厚さではなく、清涼感を伴うような厚さとでもいおうか、金管もブルックナーらしい重なりを感じさせるし、多分弦の美しさが秀でていて、その弦の歌わせ方重ね方も飾らないが上手い。
この曲には後期の曲にない清涼な明るさがあって、多分このオケの演奏は8番とかよりこの曲にあっているのだとも思う。フィナーレはトランペット1本が爽快に響くタイプで、これも清清しくなかなかいい。

ブルックナー 交響曲第8番 朝比奈/都響

2023-07-08 16:26:25 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)
ブルックナー 
交響曲第8番

指揮…朝比奈 
演奏…都響
好み度…4.5(5点満点)

この指揮者の演奏をそれほど聴いているわけではないが、多分この盤は朝比奈らしくないのだろう。
少々大味だろうが大きな推進力と言うか勢いと言うか、そういったところがこの人のよいイメージだとすれば、そういったものは感じられない。
むしろしっかり音が出ている割になぜか熱を感じないようなところがある。
しかし、響きはきれいで完成度も高く、「朝比奈」に期待するものを抜きにして聴けば、ライナーノーツにある「日本の指揮者とオーケストラによってなされた、20世紀を代表する名演」かどうかは別にしても、他の朝比奈の盤よりワールド水準に近いように思う。
都響の響きがいい。朝比奈ってこんな丁寧な音楽をやる人だったのか、とも思ったりする。
よくも悪くも、不思議なくらい熱することなく、むしろ静かに、しかし高い完成度で繊細に音の重なりも音色も美しい音楽であり、特有の魅力ある雰囲気をつくっていると思う。

ブルックナー 交響曲第8番 ヴァント/ベルリンフィル

2023-06-24 18:32:02 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)

ブルックナー 
交響曲第8番

指揮…ヴァント 
演奏…ベルリンフィル 
好み度…4.5(5点満点)

重量感と艶のある低音、重心の低い分厚い金管の重なり、まるで重さがあるかのように迫る音の塊。
城塞のような頑とした重みというのがブルックナーのイメージなら、小細工のない堂々たるテンポ設定も相まってまさにブルックナーらしいブルックナーだろう。そして古城が美しいようにこの響きもまた重くも美しい。ウィーンフィルの美しさとはまたちがった響きの魅力を感じる。
テンポも何もかも全部何の変哲もないようで、実はいろいろ工夫されてたりすごい響きだったり(第2楽章の彩りとかやはり秀でているように思う)、しっかり感銘を与えるところがヴァントのすごいところなのだろうと思うし、このコンビはブルックナーに合っている。
がっちりとした、重みのある、美しいというか、すごい響きのブルックナーのように思う。
この曲の重み、美しさを存分に感じさせてくれる演奏のように思う。


ブルックナー 交響曲第5番 ズヴェーデン/オランダ放送フィル

2023-06-24 18:26:14 | ブルックナー 交響曲(第3番/第5番/第8番)
ブルックナー 
交響曲第5番

指揮…ズヴェーデン 
演奏…オランダ放送フィル
好み度…4(5点満点)

ブルックナーの演奏というと厚く大きな金管群のイメージがあるが、この盤は金管群はやや控えめ。
ただ、では力感に欠けるかといえばそうではなく、弦も含めて厚い響きをつくって、金属的な尖りや硬さを感じさせない厚い響きは、普段どちらかといえば堅固なイメージで語られるこの曲に明るい優しさを与えているように感じられて、そのままこの盤の印象になっている。
特別な何かとか名盤といわれるようなオーラがあるかと言われればそうでもないかもしれないが、ちゃんと重みも力感もあるけどいかめしくなく、人当たりのいいブルックナーのように思う。