2012.09.03(月)【後任、補欠、増員】(金子登志雄)
金曜日の問題提起はいかがだったでしょうか。
その後もいろいろ考えているのですが、「後任、補欠、増員」は日常用語との
関係もあり、実にややこしい問題を含んでいます。
日常用語では、野球の例のように、「定員」があって、定員の補充が補欠で、
定員枠の拡大が増員ですが、取締役や監査役の任期計算の場面では、定員は無関
係のようです。
しかし、この「定員」につき、取締役会設置会社であろうと「1人」と考える
と、AB2名のところ、ABとも任期途中で退任した場合は、後任であるCは定
員の補充だが、Bのみが退任した場合は、後任であるCは、前任者であるBとの
関係では補充だが、定員の面では増員といえるのではないでしょうか。
では、退任したBの補充として、CDEを選任するのは何というのでしょうか。
1人が後任で、2人は増員だという考え方もあるでしょうが、私は全員が後任で
あり、任期計算は増員扱いだと考えます。
なお、このように「後任」は前任者数と相違してもかまわないと思いますが、
「補欠」の場合は、「前任者数=補欠」ですから、CDEの誰がBの補欠かを決
めねばなりません。
ますます、ややこしくなりましたが、お時間のある方は、このクイズ問題に、
ぜひ挑戦してみてください。
2012.08.31(金)【補欠と増員の狭間】(金子登志雄)
今日は、本欄閲覧の司法書士の皆様に、最近発見した重要な問題をプレゼントい
たしましょう。私の解答を読む前に、ぜひ、ご自身でご検討ください。
--------------------------------------------------------------------------
取締役会の存在する某社では「取締役ABC、監査役P」でしたが、つい最近の
臨時総会でCPが辞任し、後任として取締役D、監査役Qが選任されました。決算
期が8月なので、10月の定時総会でABの任期が満了します。Pも在任していれ
ば任期が満了するはずでした。
さて、この会社の定款には、補欠取締役又は増員取締役の任期は前任者又は在任
取締役の任期満了時期と同じ、補欠監査役も前任者の任期を引き継ぐという定めが
ありますが、新人の取締役Dと監査役Qの任期は、いつまででしょうか。
--------------------------------------------------------------------------
検討1:DQは補欠ですか。
検討2:補欠でないとすると増員ですか。
検討3:取締役3名を欠いた状態でも増員といえますか。
ここから下は、ご自身で検討した後に読んでください。
=====================================
(ご参考=すぐに解答が目に入らないための目くらましです)
野球の員数は9人です。補欠要員をABとします。
9人の誰かに事故があると、A又はBが参加します。補欠とは【交代要員】です。
補欠がABの2人では不十分だというときに、補欠にCを加えることが増員です。
増員とは現存員数に追加することです。
=====================================
DQは補欠になりません。補欠であることを明示していないため、単なる後任に
過ぎません。勘違いしている方が非常に多いので、ご注意ください。
増員は現存員数に追加することですが、取締役の現存員数を3人と捉えると増員
になりませんが、私は現存員数は2人とみます。もし、3人だとすると、監査役の
Qも増員監査役になってしまいませんか。そういう考え方はありません。
また、Cの辞任とDの選任が1か月空いたとしたら、誰でも取締役がAB2人の
ところにDを増員させたとみるでしょう。同時でも同じだと考えられませんか。辞
任が総会終結後だとしても、Dを増員者として予選したとみればよいでしょう。
結局、【補欠とは前任者との関係】でいう用語、【増員とは在任者との関係】で
いう用語であり(在任者がゼロのQは増員ではない)、本件Dは、補欠として選任
されることも、増員として選任されることもあり得るのであって、今回は増員とし
て選任されているのでABと同時に任期満了退任するというのが私の結論です。
本問の難しさは法定員数(3人)を欠いた状態だから、欠員の補充であって増員
ということに抵抗があることだと思いますが、任期を計算するための増員の基準は
【現存】員数であって、法定員数の問題ではありません。
http://www.esg-hp.com/right.html
金曜日の問題提起はいかがだったでしょうか。
その後もいろいろ考えているのですが、「後任、補欠、増員」は日常用語との
関係もあり、実にややこしい問題を含んでいます。
日常用語では、野球の例のように、「定員」があって、定員の補充が補欠で、
定員枠の拡大が増員ですが、取締役や監査役の任期計算の場面では、定員は無関
係のようです。
しかし、この「定員」につき、取締役会設置会社であろうと「1人」と考える
と、AB2名のところ、ABとも任期途中で退任した場合は、後任であるCは定
員の補充だが、Bのみが退任した場合は、後任であるCは、前任者であるBとの
関係では補充だが、定員の面では増員といえるのではないでしょうか。
では、退任したBの補充として、CDEを選任するのは何というのでしょうか。
1人が後任で、2人は増員だという考え方もあるでしょうが、私は全員が後任で
あり、任期計算は増員扱いだと考えます。
なお、このように「後任」は前任者数と相違してもかまわないと思いますが、
「補欠」の場合は、「前任者数=補欠」ですから、CDEの誰がBの補欠かを決
めねばなりません。
ますます、ややこしくなりましたが、お時間のある方は、このクイズ問題に、
ぜひ挑戦してみてください。
2012.08.31(金)【補欠と増員の狭間】(金子登志雄)
今日は、本欄閲覧の司法書士の皆様に、最近発見した重要な問題をプレゼントい
たしましょう。私の解答を読む前に、ぜひ、ご自身でご検討ください。
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取締役会の存在する某社では「取締役ABC、監査役P」でしたが、つい最近の
臨時総会でCPが辞任し、後任として取締役D、監査役Qが選任されました。決算
期が8月なので、10月の定時総会でABの任期が満了します。Pも在任していれ
ば任期が満了するはずでした。
さて、この会社の定款には、補欠取締役又は増員取締役の任期は前任者又は在任
取締役の任期満了時期と同じ、補欠監査役も前任者の任期を引き継ぐという定めが
ありますが、新人の取締役Dと監査役Qの任期は、いつまででしょうか。
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検討1:DQは補欠ですか。
検討2:補欠でないとすると増員ですか。
検討3:取締役3名を欠いた状態でも増員といえますか。
ここから下は、ご自身で検討した後に読んでください。
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(ご参考=すぐに解答が目に入らないための目くらましです)
野球の員数は9人です。補欠要員をABとします。
9人の誰かに事故があると、A又はBが参加します。補欠とは【交代要員】です。
補欠がABの2人では不十分だというときに、補欠にCを加えることが増員です。
増員とは現存員数に追加することです。
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DQは補欠になりません。補欠であることを明示していないため、単なる後任に
過ぎません。勘違いしている方が非常に多いので、ご注意ください。
増員は現存員数に追加することですが、取締役の現存員数を3人と捉えると増員
になりませんが、私は現存員数は2人とみます。もし、3人だとすると、監査役の
Qも増員監査役になってしまいませんか。そういう考え方はありません。
また、Cの辞任とDの選任が1か月空いたとしたら、誰でも取締役がAB2人の
ところにDを増員させたとみるでしょう。同時でも同じだと考えられませんか。辞
任が総会終結後だとしても、Dを増員者として予選したとみればよいでしょう。
結局、【補欠とは前任者との関係】でいう用語、【増員とは在任者との関係】で
いう用語であり(在任者がゼロのQは増員ではない)、本件Dは、補欠として選任
されることも、増員として選任されることもあり得るのであって、今回は増員とし
て選任されているのでABと同時に任期満了退任するというのが私の結論です。
本問の難しさは法定員数(3人)を欠いた状態だから、欠員の補充であって増員
ということに抵抗があることだと思いますが、任期を計算するための増員の基準は
【現存】員数であって、法定員数の問題ではありません。
http://www.esg-hp.com/right.html