同順位の根抵当権の極度額を増額する場合の利害関係人
根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができないとされており(民法398条の5)、利害関係人の承諾は極度額増額の効力要件であると言われている。
さて、同順位(あ)(い)で各々極度額1億円で登記されている根抵当権について、同日に極度額2億円に増額する場合、(あ)の根抵当権者は(い)の根抵当権者の同意が必要であろうか。同様に、(い)の根抵当権者は(あ)の根抵当権者の同意が必要だろうか。
質疑応答では、次のように回答されている(登記研究433号134頁)。
問 同順位の根抵当権者、甲、乙両銀行が、同時に同額の増額をする場合、甲、乙は互に利害関係人として承諾書が必要でしょうか。
答 必要と考えます。
実質的に利害関係人にあたるかどうかは疑問だが、利害関係人にあたるかどうかは形式的に判断するため、こういう結論になるのだろう。
2016年2月 2日 (火) 不動産登記 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
2016年2月 1日 (月)
退任・就任か、重任か?
取締役がABC、代表取締役がA、取締役の任期が10年、ABCが取締役に選任されたのは平成22年6月、事業年度は3月末という株式会社があったとする。
このたび、定款を変更して取締役の任期を「選任後2年以内に終了する事業年度にかかる定時株主総会終結の時まで」に変更した。
問1 この定款変更に条件が付されていない場合、この定款変更決議により、取締役ABCは任期満了退任となるが、任期満了日はいつか?
ある人の見解・・・・・・平成24年6月に開催された定時株主総会の日
私の見解・・・・・・定款変更を決議した日(理由 当該定款変更決議は現任取締役の任期を平成24年6月に遡って満了させるという趣旨ではない)
問2 この定款変更の効力発生日が将来の日(仮に4月1日とする)として決議がされた。また、4月1日付で取締役としてA、D、Eを選任するという決議がなされ、A、D、Eは4月1日付で就任する旨承諾した。取締役Aの退任・就任の登記はどのように記載すべきか。
ある人の見解・・・・・・3月31日退任、4月1日就任
私の見解・・・・・・4月1日重任(3月31日退任、4月1日就任でもいいとは思うが)
問3 問2の場合で、4月1日に取締役会が開催され、代表取締役としてAが選定された。代表取締役Aの退任・就任の登記はどのように記載すべきか。
ある人の見解・・・・・・3月31日退任、4月1日就任
私の見解・・・・・・4月1日重任(3月31日退任、4月1日就任でもいいとは思うが)
http://s-furuhashi.cocolog-nifty.com/
商業登記規則改正案への疑問
1月29日に、商業登記規則改正のパブコメが開始されました。2月28日までの1か月間です。
メインの改正案はなんと、株主総会決議を要する場合には、一定の株主の氏名・住所とその数(議決権数を含む)及び議決権の割合を記載する書面(以下、「改正案の書面」という)を提出せよとのことです。
この改正が必要となる立法事実があり、そのためにどのような対策が考えられるか等について今まで議論があったのでしょうか。誰か教えてください。
さて、改正案の対象事由は、株主総会決議を要する場合ですので、この改正が該当する登記はかなり多数に上ります。
果たしてこの改正により、趣旨である不実の株主総会議事録の作成防止に役立つのか個人的に疑問があります。
まず、実際に株主総会を開催していない中小企業、いわゆるペーパーですますような場合には、この改正案の書面は、いたずらに提出書類を増やすだけであり、不実の株主総会議事録の作成防止にはなりえません。どのみち、改正案の書面も形式的につくられるおそれがあるためです。
では、実際に株主総会を開催している会社ではその効果に期待できるか。そもそも、そのような会社であれば株主に適切な株主総会招集通知をだしているはずであり、わざわざ改正案の書面までも付す必要性はないでしょう。屋上屋を架すことになります。
ペーパーの場合も実際に株主総会を開催している会社でもその効果は薄いため、改正案については疑問が生じます。
さらにいえば、このような改正案は、商業登記において、善解の理論に代表されるように、会社代表者がその事実があったことを証したならば、そのように取り扱うというのが商業登記の建前に反するのではないでしょうか。これまでの商業登記理論とは親和性がない、もしくは新たな商業登記の理論の局面を迎えたのではないかと思います。
改正案は、株主総会決議における株主等を記載した名簿の提出ですが、仮に実効的な株主総会議事録の真正担保を求めるのであれば、弁護士、司法書士等の商業登記申請代理人による株主総会への現実出席の場合に、その出席をもって議事録の間接的な真正担保を創設する方法が望ましいのではないかと考えます。
comply or explainが注目を集めたところですが、商業登記においても、司法書士等の代理人が株主総会に出席させよ(comply) or そうでなければ、その他株主総会が適切に開催されたことを証する書面を提出して説明せよ(explain)という、理屈を考えてもよいかもしれません。
結論としては、書類提出での申請担保には、限度があります。
今後、おそらく、パブコメでは、上場企業についてはその適用を除外してほしい旨の要望がでるでしょうが、前の本人確認書類提出の際の改正案においてもすべての株式会社に該当していることからしても適用除外は認められないでしょう。
一波乱ありそうな改正です。
【改正案の要旨】
株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には,申請書に,総株主の議決権の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる十名の株主又はその有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し,その加算した割合が3分の2に達
するまでの人数の株主の氏名又は名称及び住所,当該株主のそれぞれが有する株式の数及び議決権の数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面の添付を求めることとする。
総株主又は種類株主全員の同意を要する場合には,株主全て又は当該種類株主全ての氏名等を証する書面の添付を求めることとする。
改正の理由等
「近時,株主総会議事録等を偽造して役員になりすまして役員の変更登記又は本人の承諾のない取締役の就任の登記申請を行った上で会社の財産を処分するなど,商業・法人登記を悪用した犯罪や違法行為が後を立たず,消費者保護又は犯罪抑止の観点から商業登記の真実性の担保を強化する措置をとるべきであるとの意見,要望が関係方面から寄せられている状況にあり,更なる商業登記の真実性の担保を図る必要がある。また,国際的にも,登記所において法人の所有者情報を把握して,法人の透明性を確保することにより,法人格の悪用を防止すべきであるとの要請がされている。
株式会社の主要株主等の情報を商業登記所に提出することは,不実の株主総会議事録が作成されるなどして真実でない登記がされるのを防止することができ,登記の真実性の確保につながるとともに,法人の透明性が確保でき,関係者が事後的に株主総会決議の効力を訴訟等で争う場合等においても有益となる。
そこで,会社に対し,登記すべき事項につき株主総会の決議を要する際に決議の帰趨を左右し得る主要株主のリストの提出を求めることとする。
3 施行期日
平成28年10月頃
http://sihousyositalaw.cocolog-nifty.com/
最終的には、こんなハナシで落ち着きました。
(これもお役所によって、扱いが違う可能性があるので、ご注意ください♪)
1.印鑑証明書の備考欄のカタカナ表記を表示しないコト
⇒できない。住民票については、本人の希望があれば、表示させないコトも可。
2.備考欄のカタカナ表記を登記される表記に変更するコト
⇒基本的に、氏名欄に載っている外国語の読みをカタカナで表記したモノなので、変更はできない。ミドルネームの省略も不可。
(例えば、「(1)デビット」や「(2)デイビッド」のように、どちらの読み方もできる場合には、(1)⇔(2)の変更は可能のようです。)
3.通称名を登録するコト
⇒登記したい氏名を通称名として登録するコトは、一定の要件を満たせば可。
(一定期間日本に在住しており、その通称名を日常的に使用しているコトの証明書(公共料金の領収書など、複数)を添付)
ただし、一度登録した通称名は、原則として変更できない。
↑ いかがでしょう??
ナカナカ融通の利かないモノでして。。。(^_^;)
登記の際に印鑑証明書を添付する場合だと、通称名を登録するコトしか選択肢はなさそうです。
。。。ですのでね。。。
会社の選択肢としては、(1)印鑑証明書に記載されたカタカナ表記どおりの氏名で登記する (2)登記したい氏名と同様の通称名を登録する (3)印鑑証明書ではなく、サイン証明を取得する。。。の3つとなりました。
結果、「モトモト予定していた氏名で登記がしたい」とご本人が強く希望されているとのコトでして、(1)はなし。
(2)は、資料を揃える必要があるし、登録したら変更できないってトコロもちょっと気になるんで、すぐには決められない。。。ってコトで、(3)となりました。
なので、就任承諾書と印鑑届書は、実印を押印したものをご準備いただいておりましたが、サインをしたモノに差し換えてもらい、サイン証明書を取得して、翻訳文に登記する氏名をカタカナで記載した。。。というワケでございます。
せっかく印鑑登録をしたのに、こんな厄介なモンダイがあるなんて。。。困ったものですよね~(-"-)
大体、欧米人の方々が、お名前を日本式の語順で使うことなんてあるのでしょうか?
外国人登録のルールは分からなくはないケド、カタカナ表記が入ったコトによって、印鑑証明書がすごく使いにくくなっちゃったな。。。という気がしています。
そういう意味では、カタカナ表記の入った住民票を本人確認証明書として使う場合にも、登記する氏名と違うと補正になる法務局もあるのかも知れませんね~。。。^_^;
そういや、ワタシも、外国人の本人確認証明書として、住民票を提出したことはなかったような気がしております。
皆様、お気を付けくださいまし ♪
。。。というワケで、長期間中断してしまいましたケド、今回で終了でございます。
続きが気になっていた方。。。。(いないかも知れないケド(~_~;)) スミマセンでした m(__)m
別にどうってこともないハナシだったのかも知れませんが、個人的には、結構ワチャワチャになった一件でした(区役所の回答がコロコロ変わったんで、一時、混乱状態になっちゃって、大変だったんですよね)。
ブログの方も、なんとか書き終えてホッとしております (~_~;)
http://blog.goo.ne.jp/chararineko
2016.02.03(水)【同一商号再編】(金子登志雄)
きのうは久々に東京法務局の出張所に行ってまいりました。同一住所・同一
商号で新設分割し………する案件につき、登記所が不慣れかもしれないと思い、
事前予告と相談でした。
同一住所・同一商号の新設分割のパイオニアは、平成14年10月1日に行
われた株式会社フジタの新設分割でした。私が著書で紹介したこともあり、い
までは、かなりメジャーな手法になりましたが、当時では画期的でした。
旧商法の古い額面株式時代には、上場会社の9割以上が額面50円会社でし
たが、額面50円は昭和25年以前の設立であり、昭和56年以降に設立した
会社は額面5万円でした。
東京都千代田区の額面5万円のA社が額面50円にして上場するためには、
額面50円会社に吸収合併されるしかありません。そこで、A社は額面50円
会社(B社)を入手し(一時は額面50円というだけで1000万円の価値が
ありました)、100%子会社にし、A社に商号変更し、登記所の管轄を異に
する場所(例えば新宿区)に置いておきました。同一管轄では類似商号禁止に
違反したためです。
額面50円にするためには、新宿のA社に合併され、直ちに本店を千代田区
に戻すという実に面倒な方法が採用されていました。
そこで、私の登場です。本店移転しないで、この方法を実行しました。B社
の商号のままA社と同じ場所に置き、合併と同時にB社をA社に商号変更しま
した。同時に合併解散するのだから類似商号禁止に反しないという論拠です。
合併直前にB社をA社に商号変更することもしました。類似商号の禁止は登
記された商号の問題ですから、登記しない限り、違反しなかったからです。
自慢話ではありません。当時は、この程度のアイデアも思い付かずに、ただ
ひたすら昔からの伝統的方法でしか動かない司法書士しかいなかったというこ
とです。あれから30年以上経た今日、今はアイデアマンの司法書士も増え、
ずいぶんと進化したものです。
2016.02.02(火)【大寒波がすぎて】(島根・根来川弘充)
立花先生の徒然を見て、数年前の大雪のことを思い出し、私の知り合いの方
も石油ストーブが大変重宝したと言われていたことも思い出しました。
きっと、今回の大寒波でも役に立ったと思います。
ところで、わたしが住む安来市では、当日の雪は予想したほど、大したこと
はなかったのですが、水道管がどこかで破裂して、いまだ破裂した箇所がわか
らないようで、断水している世帯がいまだに多くあります。
私は消防団に入っているのですが、1月30日と31日と雪に覆われた水道
メーターを見るために応援してほしいと要請がありました。
大寒波がきて、おおよそ一週間になりますから、いまさらながら被害の深刻
さを感じています。
2016.02.01(月)【マイナス金利】(金子登志雄)
今年は、なにやら、激動の年になりそうです。1月29日金曜日には、衝撃
的なニュースが2つ飛び込んできました。
1つは、株主総会議事録に主要株主リストをつけよという商業登記規則の改
正案です。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080144&Mode=0
この背景説明等については、司法書士界第1の情報通である京都の内藤司法
書士のブログが、どこよりも詳しく素晴らしい内容ですので、そちらをご覧く
ださい。私の出る幕はありません。
http://blog.goo.ne.jp/tks-naito
もう1つの衝撃なニュースは、日銀がマイナス金利を採用したことです。こ
れは、銀行が日銀に預けている資金に保管料を課すものであって、銀行は当然
に預けるのをやめます。
そうすると市中に回るカネが増え、景気対策になるというものですが、真意
は株価対策でしょう。
株価が下がれば、アベノミクスの失敗が表面化し、政権にも日銀の黒田さん
の立場も危うくなるので、目くらましの奇策に打って出たとしか思えません。
円の供給過剰で円安が進みましたので、輸出企業の株は暴騰し、銀行の株が
下がりました。
住宅ローンなどの金利も下がるでしょうが、逆に預金利率も下がり、銀行に
預けておくのがばかかばしいと思った庶民が株式投資に手を出し、もっと損を
することになりそうです。
株価が上がるのは歓迎ですが、実経済が理由ではなく、こういう人為的操作
で上がるのは、その反動も大きいので、長い目でみたら、よいこととは思えま
せん。
ますます自分の身は自分で守らねばならない社会に進んでいることだけは間
違いありません。そのためには、君子危うきに近寄らずが安全かもしれません。
私は、変化こそチャンス、こわいものみたさで、危うきに近づいてみますけど。
2016.01.29(金)【会社分割と種類株式その2】(金子登志雄)
昨日の件でいろいろ資料やご意見をいただきました。
まず、吸収分割承継会社がA種とB種を発行しているとき、どちらの種類株
式を利用するかによって、一方に不利益が生じるという見解が学者の本にあり
ました。
この程度の意見では私は説得されません。A種もB種も発行可能種類株式総
数の範囲で発行するのは自由だからです。会社法322条にも株式の発行は株
主割当て以外は列挙事由にありません。株主割当てが列挙されているのは1株
あたり、安価な価額で発行しても有利発行にならないからです。
次に分割会社がC種とD種を発行しているとき、吸収分割承継会社から受領
した対価(株式)をC種とD種に配当して交付するとき(分割型)、不平等が
生じると学者本にありました。
しかし、C種とD種が剰余金の現物配当で差を設けた種類株式でなければ、
平等に分配しなければなりません。現物配当に関する優先劣後の株式などが発
行されているとは思えませんので、この見解も却下です。
竹刀で訓練している学者さんと違って、我々は木刀で訓練しています。そう
やすやすと学者さんの意見にはひっかかりません。
ここで思ったのですが、上記のC種とD種に平等に分配したらD種に不利な
場合に、仮にD種の種類株主総会が必要で、そこで否決されたら、受領株式の
分配だけが否定されるのか、吸収分割自体も否定されるのかです。
分割型は分社型会社分割と受領株式の株主への配当の2つだとされています
し、前者と後者は別々の決議です。後者だけ否定され、分社型としては有効な
のか………、実例でも生じないと考えても仕方ありませんね。暇な私もそこま
では暇でもありません。
2016.01.28(木)【会社分割と種類株式】(金子登志雄)
湯たんぽとは、懐かしいですね。子供の頃を思い出しました。
東京もほんと寒くなりました。その結果、とうとう、中学生から今日に至る
まで50年以上拒否してきたモモヒキなるものを着用してみました。たまたま
スーパーに買い物に行ったらバーゲンセールしていたので、試しに購入してみ
たわけです。老人が見栄を張るのは、見苦しいという心境の変化もあります。
まだ電車の中で誰も席を譲ってくれませんが、なぜか、最近は自分が老人で
あることを意識し始めました。真実を直視しなくては正しい判断もできません。
よいことなのか、悪いことなのか………。
さて、会社分割では分割の対価を会社が受領し、株主に直接割り当てるので
はないため、種類株主総会が開催されることは現実にはないと思っていますが
(拒否権条項付などの種類株主は除外)、会社法322条1項には、会社分割
する場合も吸収分割で権利義務を受ける場合も、ある種類株主に損害を及ぼす
おそれのあるときは、その種類株主総会が必要だと規定されています。
どんなケースが想定されるのか考えてみましたが思い当たる事例が思い付き
ませんでした。優良事業を分割したら、以後、配当が困難になり配当優先株主
が困るなどという理由は、種類株主ごとの不平等を是正するための規定である
322条1項の適用はないでしょう。
今のところ、単に各組織再編の全部を列挙しただけだと想定していますが、
もし、対象となる事例がないのであれば、いつか削除すべきでしょう。こんな
ケースがあるという場合は、ぜひ教えてほしいものです。
2016.01.27(水)【湯たんぽ】(仙台・立花宏)
冬になると、重宝している道具があります。湯たんぽです。湯たんぽを3つ
もコタツに放り込んでおくと、コタツの中がほんのり温かく、コタツのスイッ
チをONにしなくても、十分、暖をとれるのです。
自宅で使用している暖房器具は石油ストーブ(電気を使うファンヒーターで
はなく、反射式といわれるタイプのストーブです)で、水を入れたヤカンを上
にのせておくと、お湯が沸くので、それを湯たんぽに入れるお湯として利用し
ています。
ずいぶん、倹約した生活をしているのだな、と思われる方もいらっしゃるか
もしれません。たしかに倹約にはなるのですが、特にそれを意識しているわけ
ではありません。
東日本大震災の日から、冬の季節の習慣となりました。あの日、3月中旬と
はいえ、雪が舞うような寒い天候でした。電気はとまり、電気機器は使えませ
ん。そのとき、暖をとるのに重宝したのが、石油ストーブと湯たんぽでした。
使用できる暖房器具があっただけでも、私は幸せだったのかもしれません。そ
の暖かさをとてもありがたく感じたものでした。
日ごろ、それほど便利と思っていなかった道具が、そのような状況ではとて
もありがたい道具に思えたのが意外でした。
電気を使用する暖房器具は、便利ですし、部屋が暖まるのも早いように思い
ます。しかし、停電等、電気が使えない状況になると使用できないというリス
クもあるのだと意識させられました。
そして、そうしたリスクがあるのは日常生活だけではありません。私たちの
仕事を行う上でも、便利な道具があふれています。例えば、停電になると、パ
ソコンが使えません。プリンターやコピーも使えません。インターネットも使
えないかもしれません。
予期しないトラブル等で、それらの道具が使えない状況なかったら、自分は
どのように情報を収集し、どのように業務を行うだろうと考えると、想像がで
きません。
実際、東日本大震災のときは、しばらくそういう状況だった事務所もあった
はずです。
(さいわい、私の事務所のある地域は電気等のインフラは数日で復旧しました。
そういう状況にあった事務所の皆様のことを考えると、申し訳ない気持ちにな
ります)
今年の3月11日で、あの日から、5年になります。個人的には、もう5年
もたつのか、という気持ちです。
(おそらく、逆に、まだ、5年しかたっていないという気持ちのかたもいらっ
しゃることと存じます)
ときには、あの時のことを思い出し、そういった状況では、どのように業務
を行うのか、どのような道具が使えるのか、便利な道具がなくても対応ができ
るよう、考えておかなければならないのだろう。
ストーブの上で沸いたお湯を湯たんぽに入れながら、そんなことを考えまし
た。
2016.01.26(火)【トラップ】(金子登志雄)
「はめられた」と甘利大臣被害者論が出てきたようですが、ワナにはめられ
たとしても、それだけで恥ずべきことです。
田中元首相がはじめて中国を訪問した時、朝食にいつも自宅で食べているも
のが出てきて、ここまで調べ尽くされているのかと驚いたと何かで読んだこと
がありますが、政治家というものは、そういう警戒心が必要です。
さて、解散し清算人選任の登記をしましたが、本人確認証明書は必要ですか。
即答できたと思いますが、規則61条5項には清算人が規定されていません。
では、清算株式会社を代表するので、印鑑証明書は必要ですか。答えは就任承
諾書には不要だが、印鑑届書に必要だというものです。
ここまではよいのですが、清算人選任の議事録に清算人の住所が記載されて
いませんでした。私が議事録を作成する際も、住所を記載しません。
今までは、印鑑証明書を印鑑届に添付し、そこに記載された住所を登記申請
に利用していましたが、今回は、申請書の添付書面に清算人の住所がないのは
おかしいと思い、印鑑証明書を申請書に添付してみました。本人確認証明書で
はない清算人の住所証明書としてです。
従来は旧代表取締役がそのまま清算人になるケースが多いため、真剣に考え
ませんでしたが、今回は、旧取締役でもない方が清算人に就任したため、以上
に気がつきました。
実務では印鑑届で住所が判明する場合も、登記が受理されていますが、よく
よく考えると、補正にされても仕方ないでしょう。これは、当局が司法書士を
トラップにかけたわけでもなさそうです。
2016.01.25(月)【塞翁が馬】(金子登志雄)
金曜日には、郵政3社が暴落したと書いたばかりなのに、その日は暴騰しま
した。ちょっとした情報で、急騰したり急落したりで、高校生の漢文で習った
中国の故事の「塞翁(さいおう)が馬」を思い出してしまいました。
ちなみに漢文は赤点をもらいました。その頃から今日に至るまで興味のない
ことは一切しない主義で生きていますから筋金入りですね。自慢できることで
はありませんけど。
きのうの日曜日は私の乗った電車が人身事故にあい、自宅の4駅前で降ろさ
れ、やっとタクシーを拾い、帰宅しましたが、これも塞翁が馬でしょうか。
今までも、人身事故で電車が動かない経験は何度もしていましたが、自分が乗
っていた電車では初めてでした。
人生、何があるか分からないものです。優等生タレントのベッキーさんも、
まさかの失態で、事務所が5億円の被害だとか。お気の毒なことです。
さて、土日は相変わらず書き物三昧で、今回は会社分割について書いていま
した。
旧商法では、会社分割の対価を株主が受領する人的分割がありましたが、会
社法では、これを会社が対価を受領し、受領と同時に株主に交付する方式に変
更し、実質的には何も変えていないと説明されていましたが、ご承知のとおり、
とんでもない勘違いでした。
旧商法時代は無対価分割が人的分割の1種とされ、必ず債権者保護手続がな
されたのに、会社法の構成では、分社型の一種となり、分割会社に残存する債
権者への保護手続がなくなってしまったからです。
また、実務では無対価合併が頻繁に行われていたのに、制定時の会社計算規
則には規定がなく、あわてて追加されたものでした。
立法担当者が実務に疎かったのでしょう。実務は常に変化しています。悪い
ことばかりでなく、よいこともすぐに来ると思い、今週を過ごしましょう。
2016.01.22(金)【コンビニ発行の証明書】(金子登志雄)
きのうも飲み会でした。今日もそうです。下戸ですから、もっぽら食べるば
かりですけど。
今日のお相手は株式投資コンサルタントですから、最近の相場観でも聞いて
みようと思っています。本欄閲覧者は株式投資に関心のない方が大部分だと思
いますが、昨年に上場した郵政3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)
の株価はいまどうなっていると思いますか。
みな公開時の初値を割っている悲惨な状況です。それでも景気がよいという
大本営発表のマスコミに洗脳されている人が私の周りにも多いのが悲しい日本
の現実です。自分の目でみ、自分の耳で聞き、自分の肌で感じ、自分の頭で考
えない人が多すぎます。
http://is.gd/aCa66r
さて、原本還付の原本ですが、裏表に書かれているのに気づかずに連続コピ
ーしてしまい、補正になった経験を持つ方も少なくないでしょう。10枚の連
続コピーの中の1枚だけ裏にも数行だけ記載されていたなどというのは分から
ないものです。
これに関連して、印鑑証明書の白紙の裏面がコピーされていないといわれた
ことはありませんか。きのう、初体験しました。
理由がよく分からなかったのですが、帰宅してネットで調べたら、どうも、
コンビニ発行の印鑑証明書だったようです。
下記の中央部分(証明書のイメージ)をみてください。
https://www.lg-waps.jp/01-00.html
裏面に正方形のバーコードのようなものがあります。本物かどうかを確認す
るために、これが重要らしく、この裏面も提出しないと原本還付が認められま
せん。裏面は白紙ではなかったということです。
コンビニで印鑑証明を取得することができることは知っていましたが、私の
居住する横浜市ほか近隣の大部分の都市が利用していないので、知りませんで
した。裏表のあるのはよくないなどといわずに、コンビニ発行の証明書の原本
還付には気をつけましょう。
2016.01.21(木)【常勤監査役】(金子登志雄)
きのうは、上場会社系列の会計監査人も監査役会も設置されているビッグカ
ンパニーの総務部さんにご馳走になりました。自分の仕事が評価されている証
ですから、ありがたいことです。
そこで、逆に教わりました。「よく、常勤監査役というけれど、これは肩書
ではなく、非常勤ではないという意味に過ぎない。会社法の条文でも常勤監査
役ではなく、常勤【の】監査役となっている。会社法の英訳では、フルタイム
と書かれていることがあるが、これは言い過ぎではないか」と。
念のため帰宅し条文をみましたら、おっしゃるとおりでした。会社法390
条2項には「常勤の監査役の選定及び解職 」とありました。
「選定・解職」は肩書や地位だけでなく、常勤かどうかという役割について
も使用するようです。
念のため、上場会社の定款をみましたら「常任監査役」という用語を使って
いるところもありました。「常勤の監査役の中から常任監査役を選定」と定め
ている会社もありました。
常任代理人は聞いたことがあっても常任監査役は、ふだん、耳にすることは
少ないでしょう。
日本監査役協会のHPを閲覧しましたら、任意の役職で監査役のうち上位の
地位にある者を指すことが多いとありましたが、各自独立して職務を行う監査
役に上位・下位を定めるのも何か変ですね。
常勤がフルタイムだと定義するのは、私も大げさだと思います。ちなみに私
は、アクモス株式会社の常駐非常勤監査役を名乗っています。監査役協会さん
もHPに説明を載せてくれないかなぁ。
2016.01.20(水)【年間商業登記件数は150万件】(金子登志雄)
直近の商事法務によると、現在、会社数は359万社、その内訳は株式会社
が178万社、特例有限会社が164万社、合同会社が7.5万社、合資会社
が8万社、合名会社が1.8万社だとか。まだまだ特例有限が粘っています。
職権解散の対象外だからでしょうか。
そして、昨年の商業・法人登記申請件数は150万件だそうです。任期制度
のない特例有限会社などは、めったに登記しませんから、株式会社の数とほぼ
近いですね。1社で2件申請することもあるので、毎年、70万社程度が登記
を申請している計算でしょうか。
本欄読者の司法書士の皆さん、何か感じましたか。感じないと困りますよ。
全国で司法書士が2万人強、そのうち商業登記の従事者が半分の1万人いると
すると、いや、そんなにいませんね。5000人とすると、1人平均300件
です。
ああ、情けない、それなりに名が知れた商業登記専門の私は、年間500件
や600件を受託していてもおかしくないのに、平均値にも達していません。
人並み以上に上場会社を扱っているといっても、上場会社数は3500社です。
この1%でも35社、やはり全く及びません。
難しい登記もあるはずなのに、いったい誰が担当しているのでしょうか。ま
だまだ、開拓余地は十分にありそうですが、それは若手に譲ります。私が暇で
ないと、即座に動ける駆け込み寺業務もできなくなりますし、登記ノウハウ啓
蒙の執筆業もできません。「待機」も登記の用心棒である私の仕事です。
福岡での講演では開業したばかりの若手の人とも話しましたが、本欄みてま
すか。福岡法務局の年間申請件数を商業登記従事の司法書士数で割ってみてく
ださい。まだまだ開拓の余地は十分にあるはずですよ。
2016.01.19(火)【貧困率】(金子登志雄)
昨日の東京は久々の雪道でした。やっと冬を実感することができました。
来月に寒い地域に会社法の講演に行くので、先日、雪道や氷道でも滑らない
ビジネス用の靴を買って準備していましたので、さっそく試してみました。効
果があったのかどうかは分かりません。寒い上州の田舎出身ですので、普通の
靴でも滑らずに歩けるコツを自然にマスターしていますので。
群馬、栃木など、雪国でもない中途半端な地域が最も寒いと思っています。
雪国では家の柱は太く頑丈で部屋の中にはストーブが備えられているのに対し、
中途半端な地域では、それもありません。隙間風が吹き込み、こたつだけが暖
房器具でした。
小学生時代に育った家の屋根は茅葺だったのか、冬になるとつららが下がっ
ていました。庭にあった小さな池も桶の水も完全に氷っていました。霜柱の田
舎道を歩いて学校に通いました。家や学校では、井戸から引いた水道が氷って
おり、日中にならないと水がでてきませんでした。家も学校も、トイレは建物
の外にありました。
こんな生活を経験していますと、家の中にトイレがあり、蛇口をひねるとお
湯が出てくる都会のマンション生活は、文化生活に感じてしまいます。
しかし、そういう社会インフラはだいぶ整備されていても、長引くデフレ、
不況対策としての小泉・安倍政権の新自由主義経済政策(金持ちを優遇すれば、
下層階級にもおこぼれが回るという信じがたい経済政策)で格差社会が急速に
進行し、いまでは日本の貧困率はOECD諸国の4位になり下がりました。
http://www.nippon.com/ja/features/h00072/
お湯がでてくるだけで満足しているということは、日々眠る場所も確保され、
食うことも家賃も何とかなっているという前提での発言であることを反省しな
ければなりません。私の世代は何とかなっても、年金資金さえ株式投資に回さ
れた息子や娘の世代は、熱いお湯を満喫できる生活を維持することができるの
でしょうか。
2016.01.18(月)【専門家を大事にしてくださる方々】(金子登志雄)
金曜日は、ある超有名上場企業の法務部さんにご馳走していただきました。
毎年、新年会のように招待してくださいます。
最近は少なくなりましたが、昔は、司法書士なら誰でもいいといった雰囲気
をにじませる会社が少なくありませんでした。まるで出入り商人扱いです。
こういう会社も残っている中で、外部の専門家を大事にしてくださる会社は
実に貴重であり、我々も、その気持ちにお答えしようと、頑張ってしまうもの
です。
翌日の土曜日は福岡市内の3支部合同のセミナーに呼ばれて、福岡に行って
まいりました(丸田先生ほか皆様お世話になりました)。もう、4度目くらい
になります。
講演は久々でした。私もいい年齢になりましたし、会社法務専門で司法書士
らしくない部分が多いためか、先方が頼みにくいようです。私も出不精ですし、
今の穏やかな生活に満足しきっていますが、地元の千代田支部とか、東京司法
書士協同組合とか、福岡の丸田先生などは、講師を実に大事にしてくださいま
すので、私も意気に感じて喜んで出掛けています。私も、皆さんに会いたいと
いう気持ちになります。
福岡では非常に盛況で、300人程度の入れる狭い会場にほぼ満席に近く、
むんむんとして暑かったのですが、皆さん、よく我慢して私の話を聞いてくだ
さいました。
初心者にはちょっと難しい話もありましたが、居眠りしている人がいなかっ
たので、まぁまぁ、お役に立てたのかもしれません。ビデオもとられていない
ので、ノウハウをサービスで話してきました。大事にされると、つい、こちら
もサービス精神が旺盛になってしまうようです。
http://www.esg-hp.com/
2016年2月 3日 (水)
適格請求書方式になったらどうなる?
先にとーい未来の出来事からつぶすか。 適格なんちゃらがどうにゅう...
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05時23分 | 固定リンク | コメント (0)
2016年2月 2日 (火)
消費税の改正
日曜日は、第九の演奏会で、今年は珍しくソリストの横でめだつところで歌ってました...
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2016年1月31日 (日)
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税金をクレジットカードで払うというのはたしか外国ではすでにあるのですが、日本で...
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2016年1月30日 (土)
役員給与の見直し
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2016年1月29日 (金)
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2016年1月28日 (木)
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2016年1月27日 (水)
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欠損金の繰越控除という制度があります。 赤字になった場合、その赤字は切り捨てでは...
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2016年1月26日 (火)
減価償却方法の見直し
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2016年1月25日 (月)
生産性向上設備等を取得した場合の特別償却又は税額控除の廃止
タイトルの制度が時限立法でいまあるのが次のようなもの ...
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2016年1月24日 (日)
法人税率の引き下げ
この国の方針は、法人税率を下げ、輸出産業は消費税の還付の恩恵を受け、土着の民は高...
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2016年1月23日 (土)
贈与税の配偶者控除
贈与税の配偶者控除という制度があります。20年以上婚姻期間のある夫婦の片方が別の...
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06時48分 | 固定リンク | コメント (0)
2016年1月22日 (金)
結婚子育て資金の一括信託非課税制度
結婚子育て資金の一括信託非課税制度というものがあります。じいちゃん・ばあちゃん...
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07時43分 | 固定リンク | コメント (8)
2016年1月21日 (木)
国外転出時課税 その3
自分が国外転出時課税の書籍を昨年書いたことから、今年の国外転出時課税のメンテナ...
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04時07分 | 固定リンク | コメント (0)
2016年1月20日 (水)
国外転出時課税 その2
国外転出時課税というのは、株長者の富裕層が外国に移住して、外国で株を売却したり...
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2016年1月19日 (火)
国外転出時課税の改正 その1
昨年改正したばっかりなのにまた改正している。バグメンテナンスのため ...
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05時46分 | 固定リンク | コメント (0)
2016年1月18日 (月)
救命技能認定証
タイトルの言葉は私には似つかわしくないものですが、昨日、東京ビッグサイトで3時...
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05時35分 | 固定リンク | コメント (5)
2016年1月17日 (日)
マイナンバー こなれた実務に移行中
マイナンバーがとうとう動き出しました。去年はなんだかバカ騒ぎ状態でついていけねと...
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06時54分 | 固定リンク | コメント (0)
2016年1月16日 (土)
給与所得の特定支出に該当しないもの
サラリーマンがもらう給料というのは所得税の世界では給与所得といいます。給与所得は...
http://shintaku-obachan.cocolog-nifty.com/
根抵当権の極度額の変更は、利害関係を有する者の承諾を得なければ、することができないとされており(民法398条の5)、利害関係人の承諾は極度額増額の効力要件であると言われている。
さて、同順位(あ)(い)で各々極度額1億円で登記されている根抵当権について、同日に極度額2億円に増額する場合、(あ)の根抵当権者は(い)の根抵当権者の同意が必要であろうか。同様に、(い)の根抵当権者は(あ)の根抵当権者の同意が必要だろうか。
質疑応答では、次のように回答されている(登記研究433号134頁)。
問 同順位の根抵当権者、甲、乙両銀行が、同時に同額の増額をする場合、甲、乙は互に利害関係人として承諾書が必要でしょうか。
答 必要と考えます。
実質的に利害関係人にあたるかどうかは疑問だが、利害関係人にあたるかどうかは形式的に判断するため、こういう結論になるのだろう。
2016年2月 2日 (火) 不動産登記 | 固定リンク | コメント (0) | トラックバック (0)
2016年2月 1日 (月)
退任・就任か、重任か?
取締役がABC、代表取締役がA、取締役の任期が10年、ABCが取締役に選任されたのは平成22年6月、事業年度は3月末という株式会社があったとする。
このたび、定款を変更して取締役の任期を「選任後2年以内に終了する事業年度にかかる定時株主総会終結の時まで」に変更した。
問1 この定款変更に条件が付されていない場合、この定款変更決議により、取締役ABCは任期満了退任となるが、任期満了日はいつか?
ある人の見解・・・・・・平成24年6月に開催された定時株主総会の日
私の見解・・・・・・定款変更を決議した日(理由 当該定款変更決議は現任取締役の任期を平成24年6月に遡って満了させるという趣旨ではない)
問2 この定款変更の効力発生日が将来の日(仮に4月1日とする)として決議がされた。また、4月1日付で取締役としてA、D、Eを選任するという決議がなされ、A、D、Eは4月1日付で就任する旨承諾した。取締役Aの退任・就任の登記はどのように記載すべきか。
ある人の見解・・・・・・3月31日退任、4月1日就任
私の見解・・・・・・4月1日重任(3月31日退任、4月1日就任でもいいとは思うが)
問3 問2の場合で、4月1日に取締役会が開催され、代表取締役としてAが選定された。代表取締役Aの退任・就任の登記はどのように記載すべきか。
ある人の見解・・・・・・3月31日退任、4月1日就任
私の見解・・・・・・4月1日重任(3月31日退任、4月1日就任でもいいとは思うが)
http://s-furuhashi.cocolog-nifty.com/
商業登記規則改正案への疑問
1月29日に、商業登記規則改正のパブコメが開始されました。2月28日までの1か月間です。
メインの改正案はなんと、株主総会決議を要する場合には、一定の株主の氏名・住所とその数(議決権数を含む)及び議決権の割合を記載する書面(以下、「改正案の書面」という)を提出せよとのことです。
この改正が必要となる立法事実があり、そのためにどのような対策が考えられるか等について今まで議論があったのでしょうか。誰か教えてください。
さて、改正案の対象事由は、株主総会決議を要する場合ですので、この改正が該当する登記はかなり多数に上ります。
果たしてこの改正により、趣旨である不実の株主総会議事録の作成防止に役立つのか個人的に疑問があります。
まず、実際に株主総会を開催していない中小企業、いわゆるペーパーですますような場合には、この改正案の書面は、いたずらに提出書類を増やすだけであり、不実の株主総会議事録の作成防止にはなりえません。どのみち、改正案の書面も形式的につくられるおそれがあるためです。
では、実際に株主総会を開催している会社ではその効果に期待できるか。そもそも、そのような会社であれば株主に適切な株主総会招集通知をだしているはずであり、わざわざ改正案の書面までも付す必要性はないでしょう。屋上屋を架すことになります。
ペーパーの場合も実際に株主総会を開催している会社でもその効果は薄いため、改正案については疑問が生じます。
さらにいえば、このような改正案は、商業登記において、善解の理論に代表されるように、会社代表者がその事実があったことを証したならば、そのように取り扱うというのが商業登記の建前に反するのではないでしょうか。これまでの商業登記理論とは親和性がない、もしくは新たな商業登記の理論の局面を迎えたのではないかと思います。
改正案は、株主総会決議における株主等を記載した名簿の提出ですが、仮に実効的な株主総会議事録の真正担保を求めるのであれば、弁護士、司法書士等の商業登記申請代理人による株主総会への現実出席の場合に、その出席をもって議事録の間接的な真正担保を創設する方法が望ましいのではないかと考えます。
comply or explainが注目を集めたところですが、商業登記においても、司法書士等の代理人が株主総会に出席させよ(comply) or そうでなければ、その他株主総会が適切に開催されたことを証する書面を提出して説明せよ(explain)という、理屈を考えてもよいかもしれません。
結論としては、書類提出での申請担保には、限度があります。
今後、おそらく、パブコメでは、上場企業についてはその適用を除外してほしい旨の要望がでるでしょうが、前の本人確認書類提出の際の改正案においてもすべての株式会社に該当していることからしても適用除外は認められないでしょう。
一波乱ありそうな改正です。
【改正案の要旨】
株主総会又は種類株主総会の決議を要する場合には,申請書に,総株主の議決権の数に対するその有する議決権の数の割合が高いことにおいて上位となる十名の株主又はその有する議決権の数の割合を当該割合の多い順に順次加算し,その加算した割合が3分の2に達
するまでの人数の株主の氏名又は名称及び住所,当該株主のそれぞれが有する株式の数及び議決権の数並びに当該株主のそれぞれが有する議決権に係る当該割合を証する書面の添付を求めることとする。
総株主又は種類株主全員の同意を要する場合には,株主全て又は当該種類株主全ての氏名等を証する書面の添付を求めることとする。
改正の理由等
「近時,株主総会議事録等を偽造して役員になりすまして役員の変更登記又は本人の承諾のない取締役の就任の登記申請を行った上で会社の財産を処分するなど,商業・法人登記を悪用した犯罪や違法行為が後を立たず,消費者保護又は犯罪抑止の観点から商業登記の真実性の担保を強化する措置をとるべきであるとの意見,要望が関係方面から寄せられている状況にあり,更なる商業登記の真実性の担保を図る必要がある。また,国際的にも,登記所において法人の所有者情報を把握して,法人の透明性を確保することにより,法人格の悪用を防止すべきであるとの要請がされている。
株式会社の主要株主等の情報を商業登記所に提出することは,不実の株主総会議事録が作成されるなどして真実でない登記がされるのを防止することができ,登記の真実性の確保につながるとともに,法人の透明性が確保でき,関係者が事後的に株主総会決議の効力を訴訟等で争う場合等においても有益となる。
そこで,会社に対し,登記すべき事項につき株主総会の決議を要する際に決議の帰趨を左右し得る主要株主のリストの提出を求めることとする。
3 施行期日
平成28年10月頃
http://sihousyositalaw.cocolog-nifty.com/
最終的には、こんなハナシで落ち着きました。
(これもお役所によって、扱いが違う可能性があるので、ご注意ください♪)
1.印鑑証明書の備考欄のカタカナ表記を表示しないコト
⇒できない。住民票については、本人の希望があれば、表示させないコトも可。
2.備考欄のカタカナ表記を登記される表記に変更するコト
⇒基本的に、氏名欄に載っている外国語の読みをカタカナで表記したモノなので、変更はできない。ミドルネームの省略も不可。
(例えば、「(1)デビット」や「(2)デイビッド」のように、どちらの読み方もできる場合には、(1)⇔(2)の変更は可能のようです。)
3.通称名を登録するコト
⇒登記したい氏名を通称名として登録するコトは、一定の要件を満たせば可。
(一定期間日本に在住しており、その通称名を日常的に使用しているコトの証明書(公共料金の領収書など、複数)を添付)
ただし、一度登録した通称名は、原則として変更できない。
↑ いかがでしょう??
ナカナカ融通の利かないモノでして。。。(^_^;)
登記の際に印鑑証明書を添付する場合だと、通称名を登録するコトしか選択肢はなさそうです。
。。。ですのでね。。。
会社の選択肢としては、(1)印鑑証明書に記載されたカタカナ表記どおりの氏名で登記する (2)登記したい氏名と同様の通称名を登録する (3)印鑑証明書ではなく、サイン証明を取得する。。。の3つとなりました。
結果、「モトモト予定していた氏名で登記がしたい」とご本人が強く希望されているとのコトでして、(1)はなし。
(2)は、資料を揃える必要があるし、登録したら変更できないってトコロもちょっと気になるんで、すぐには決められない。。。ってコトで、(3)となりました。
なので、就任承諾書と印鑑届書は、実印を押印したものをご準備いただいておりましたが、サインをしたモノに差し換えてもらい、サイン証明書を取得して、翻訳文に登記する氏名をカタカナで記載した。。。というワケでございます。
せっかく印鑑登録をしたのに、こんな厄介なモンダイがあるなんて。。。困ったものですよね~(-"-)
大体、欧米人の方々が、お名前を日本式の語順で使うことなんてあるのでしょうか?
外国人登録のルールは分からなくはないケド、カタカナ表記が入ったコトによって、印鑑証明書がすごく使いにくくなっちゃったな。。。という気がしています。
そういう意味では、カタカナ表記の入った住民票を本人確認証明書として使う場合にも、登記する氏名と違うと補正になる法務局もあるのかも知れませんね~。。。^_^;
そういや、ワタシも、外国人の本人確認証明書として、住民票を提出したことはなかったような気がしております。
皆様、お気を付けくださいまし ♪
。。。というワケで、長期間中断してしまいましたケド、今回で終了でございます。
続きが気になっていた方。。。。(いないかも知れないケド(~_~;)) スミマセンでした m(__)m
別にどうってこともないハナシだったのかも知れませんが、個人的には、結構ワチャワチャになった一件でした(区役所の回答がコロコロ変わったんで、一時、混乱状態になっちゃって、大変だったんですよね)。
ブログの方も、なんとか書き終えてホッとしております (~_~;)
http://blog.goo.ne.jp/chararineko
2016.02.03(水)【同一商号再編】(金子登志雄)
きのうは久々に東京法務局の出張所に行ってまいりました。同一住所・同一
商号で新設分割し………する案件につき、登記所が不慣れかもしれないと思い、
事前予告と相談でした。
同一住所・同一商号の新設分割のパイオニアは、平成14年10月1日に行
われた株式会社フジタの新設分割でした。私が著書で紹介したこともあり、い
までは、かなりメジャーな手法になりましたが、当時では画期的でした。
旧商法の古い額面株式時代には、上場会社の9割以上が額面50円会社でし
たが、額面50円は昭和25年以前の設立であり、昭和56年以降に設立した
会社は額面5万円でした。
東京都千代田区の額面5万円のA社が額面50円にして上場するためには、
額面50円会社に吸収合併されるしかありません。そこで、A社は額面50円
会社(B社)を入手し(一時は額面50円というだけで1000万円の価値が
ありました)、100%子会社にし、A社に商号変更し、登記所の管轄を異に
する場所(例えば新宿区)に置いておきました。同一管轄では類似商号禁止に
違反したためです。
額面50円にするためには、新宿のA社に合併され、直ちに本店を千代田区
に戻すという実に面倒な方法が採用されていました。
そこで、私の登場です。本店移転しないで、この方法を実行しました。B社
の商号のままA社と同じ場所に置き、合併と同時にB社をA社に商号変更しま
した。同時に合併解散するのだから類似商号禁止に反しないという論拠です。
合併直前にB社をA社に商号変更することもしました。類似商号の禁止は登
記された商号の問題ですから、登記しない限り、違反しなかったからです。
自慢話ではありません。当時は、この程度のアイデアも思い付かずに、ただ
ひたすら昔からの伝統的方法でしか動かない司法書士しかいなかったというこ
とです。あれから30年以上経た今日、今はアイデアマンの司法書士も増え、
ずいぶんと進化したものです。
2016.02.02(火)【大寒波がすぎて】(島根・根来川弘充)
立花先生の徒然を見て、数年前の大雪のことを思い出し、私の知り合いの方
も石油ストーブが大変重宝したと言われていたことも思い出しました。
きっと、今回の大寒波でも役に立ったと思います。
ところで、わたしが住む安来市では、当日の雪は予想したほど、大したこと
はなかったのですが、水道管がどこかで破裂して、いまだ破裂した箇所がわか
らないようで、断水している世帯がいまだに多くあります。
私は消防団に入っているのですが、1月30日と31日と雪に覆われた水道
メーターを見るために応援してほしいと要請がありました。
大寒波がきて、おおよそ一週間になりますから、いまさらながら被害の深刻
さを感じています。
2016.02.01(月)【マイナス金利】(金子登志雄)
今年は、なにやら、激動の年になりそうです。1月29日金曜日には、衝撃
的なニュースが2つ飛び込んできました。
1つは、株主総会議事録に主要株主リストをつけよという商業登記規則の改
正案です。
http://search.e-gov.go.jp/servlet/Public?CLASSNAME=PCMMSTDETAIL&id=300080144&Mode=0
この背景説明等については、司法書士界第1の情報通である京都の内藤司法
書士のブログが、どこよりも詳しく素晴らしい内容ですので、そちらをご覧く
ださい。私の出る幕はありません。
http://blog.goo.ne.jp/tks-naito
もう1つの衝撃なニュースは、日銀がマイナス金利を採用したことです。こ
れは、銀行が日銀に預けている資金に保管料を課すものであって、銀行は当然
に預けるのをやめます。
そうすると市中に回るカネが増え、景気対策になるというものですが、真意
は株価対策でしょう。
株価が下がれば、アベノミクスの失敗が表面化し、政権にも日銀の黒田さん
の立場も危うくなるので、目くらましの奇策に打って出たとしか思えません。
円の供給過剰で円安が進みましたので、輸出企業の株は暴騰し、銀行の株が
下がりました。
住宅ローンなどの金利も下がるでしょうが、逆に預金利率も下がり、銀行に
預けておくのがばかかばしいと思った庶民が株式投資に手を出し、もっと損を
することになりそうです。
株価が上がるのは歓迎ですが、実経済が理由ではなく、こういう人為的操作
で上がるのは、その反動も大きいので、長い目でみたら、よいこととは思えま
せん。
ますます自分の身は自分で守らねばならない社会に進んでいることだけは間
違いありません。そのためには、君子危うきに近寄らずが安全かもしれません。
私は、変化こそチャンス、こわいものみたさで、危うきに近づいてみますけど。
2016.01.29(金)【会社分割と種類株式その2】(金子登志雄)
昨日の件でいろいろ資料やご意見をいただきました。
まず、吸収分割承継会社がA種とB種を発行しているとき、どちらの種類株
式を利用するかによって、一方に不利益が生じるという見解が学者の本にあり
ました。
この程度の意見では私は説得されません。A種もB種も発行可能種類株式総
数の範囲で発行するのは自由だからです。会社法322条にも株式の発行は株
主割当て以外は列挙事由にありません。株主割当てが列挙されているのは1株
あたり、安価な価額で発行しても有利発行にならないからです。
次に分割会社がC種とD種を発行しているとき、吸収分割承継会社から受領
した対価(株式)をC種とD種に配当して交付するとき(分割型)、不平等が
生じると学者本にありました。
しかし、C種とD種が剰余金の現物配当で差を設けた種類株式でなければ、
平等に分配しなければなりません。現物配当に関する優先劣後の株式などが発
行されているとは思えませんので、この見解も却下です。
竹刀で訓練している学者さんと違って、我々は木刀で訓練しています。そう
やすやすと学者さんの意見にはひっかかりません。
ここで思ったのですが、上記のC種とD種に平等に分配したらD種に不利な
場合に、仮にD種の種類株主総会が必要で、そこで否決されたら、受領株式の
分配だけが否定されるのか、吸収分割自体も否定されるのかです。
分割型は分社型会社分割と受領株式の株主への配当の2つだとされています
し、前者と後者は別々の決議です。後者だけ否定され、分社型としては有効な
のか………、実例でも生じないと考えても仕方ありませんね。暇な私もそこま
では暇でもありません。
2016.01.28(木)【会社分割と種類株式】(金子登志雄)
湯たんぽとは、懐かしいですね。子供の頃を思い出しました。
東京もほんと寒くなりました。その結果、とうとう、中学生から今日に至る
まで50年以上拒否してきたモモヒキなるものを着用してみました。たまたま
スーパーに買い物に行ったらバーゲンセールしていたので、試しに購入してみ
たわけです。老人が見栄を張るのは、見苦しいという心境の変化もあります。
まだ電車の中で誰も席を譲ってくれませんが、なぜか、最近は自分が老人で
あることを意識し始めました。真実を直視しなくては正しい判断もできません。
よいことなのか、悪いことなのか………。
さて、会社分割では分割の対価を会社が受領し、株主に直接割り当てるので
はないため、種類株主総会が開催されることは現実にはないと思っていますが
(拒否権条項付などの種類株主は除外)、会社法322条1項には、会社分割
する場合も吸収分割で権利義務を受ける場合も、ある種類株主に損害を及ぼす
おそれのあるときは、その種類株主総会が必要だと規定されています。
どんなケースが想定されるのか考えてみましたが思い当たる事例が思い付き
ませんでした。優良事業を分割したら、以後、配当が困難になり配当優先株主
が困るなどという理由は、種類株主ごとの不平等を是正するための規定である
322条1項の適用はないでしょう。
今のところ、単に各組織再編の全部を列挙しただけだと想定していますが、
もし、対象となる事例がないのであれば、いつか削除すべきでしょう。こんな
ケースがあるという場合は、ぜひ教えてほしいものです。
2016.01.27(水)【湯たんぽ】(仙台・立花宏)
冬になると、重宝している道具があります。湯たんぽです。湯たんぽを3つ
もコタツに放り込んでおくと、コタツの中がほんのり温かく、コタツのスイッ
チをONにしなくても、十分、暖をとれるのです。
自宅で使用している暖房器具は石油ストーブ(電気を使うファンヒーターで
はなく、反射式といわれるタイプのストーブです)で、水を入れたヤカンを上
にのせておくと、お湯が沸くので、それを湯たんぽに入れるお湯として利用し
ています。
ずいぶん、倹約した生活をしているのだな、と思われる方もいらっしゃるか
もしれません。たしかに倹約にはなるのですが、特にそれを意識しているわけ
ではありません。
東日本大震災の日から、冬の季節の習慣となりました。あの日、3月中旬と
はいえ、雪が舞うような寒い天候でした。電気はとまり、電気機器は使えませ
ん。そのとき、暖をとるのに重宝したのが、石油ストーブと湯たんぽでした。
使用できる暖房器具があっただけでも、私は幸せだったのかもしれません。そ
の暖かさをとてもありがたく感じたものでした。
日ごろ、それほど便利と思っていなかった道具が、そのような状況ではとて
もありがたい道具に思えたのが意外でした。
電気を使用する暖房器具は、便利ですし、部屋が暖まるのも早いように思い
ます。しかし、停電等、電気が使えない状況になると使用できないというリス
クもあるのだと意識させられました。
そして、そうしたリスクがあるのは日常生活だけではありません。私たちの
仕事を行う上でも、便利な道具があふれています。例えば、停電になると、パ
ソコンが使えません。プリンターやコピーも使えません。インターネットも使
えないかもしれません。
予期しないトラブル等で、それらの道具が使えない状況なかったら、自分は
どのように情報を収集し、どのように業務を行うだろうと考えると、想像がで
きません。
実際、東日本大震災のときは、しばらくそういう状況だった事務所もあった
はずです。
(さいわい、私の事務所のある地域は電気等のインフラは数日で復旧しました。
そういう状況にあった事務所の皆様のことを考えると、申し訳ない気持ちにな
ります)
今年の3月11日で、あの日から、5年になります。個人的には、もう5年
もたつのか、という気持ちです。
(おそらく、逆に、まだ、5年しかたっていないという気持ちのかたもいらっ
しゃることと存じます)
ときには、あの時のことを思い出し、そういった状況では、どのように業務
を行うのか、どのような道具が使えるのか、便利な道具がなくても対応ができ
るよう、考えておかなければならないのだろう。
ストーブの上で沸いたお湯を湯たんぽに入れながら、そんなことを考えまし
た。
2016.01.26(火)【トラップ】(金子登志雄)
「はめられた」と甘利大臣被害者論が出てきたようですが、ワナにはめられ
たとしても、それだけで恥ずべきことです。
田中元首相がはじめて中国を訪問した時、朝食にいつも自宅で食べているも
のが出てきて、ここまで調べ尽くされているのかと驚いたと何かで読んだこと
がありますが、政治家というものは、そういう警戒心が必要です。
さて、解散し清算人選任の登記をしましたが、本人確認証明書は必要ですか。
即答できたと思いますが、規則61条5項には清算人が規定されていません。
では、清算株式会社を代表するので、印鑑証明書は必要ですか。答えは就任承
諾書には不要だが、印鑑届書に必要だというものです。
ここまではよいのですが、清算人選任の議事録に清算人の住所が記載されて
いませんでした。私が議事録を作成する際も、住所を記載しません。
今までは、印鑑証明書を印鑑届に添付し、そこに記載された住所を登記申請
に利用していましたが、今回は、申請書の添付書面に清算人の住所がないのは
おかしいと思い、印鑑証明書を申請書に添付してみました。本人確認証明書で
はない清算人の住所証明書としてです。
従来は旧代表取締役がそのまま清算人になるケースが多いため、真剣に考え
ませんでしたが、今回は、旧取締役でもない方が清算人に就任したため、以上
に気がつきました。
実務では印鑑届で住所が判明する場合も、登記が受理されていますが、よく
よく考えると、補正にされても仕方ないでしょう。これは、当局が司法書士を
トラップにかけたわけでもなさそうです。
2016.01.25(月)【塞翁が馬】(金子登志雄)
金曜日には、郵政3社が暴落したと書いたばかりなのに、その日は暴騰しま
した。ちょっとした情報で、急騰したり急落したりで、高校生の漢文で習った
中国の故事の「塞翁(さいおう)が馬」を思い出してしまいました。
ちなみに漢文は赤点をもらいました。その頃から今日に至るまで興味のない
ことは一切しない主義で生きていますから筋金入りですね。自慢できることで
はありませんけど。
きのうの日曜日は私の乗った電車が人身事故にあい、自宅の4駅前で降ろさ
れ、やっとタクシーを拾い、帰宅しましたが、これも塞翁が馬でしょうか。
今までも、人身事故で電車が動かない経験は何度もしていましたが、自分が乗
っていた電車では初めてでした。
人生、何があるか分からないものです。優等生タレントのベッキーさんも、
まさかの失態で、事務所が5億円の被害だとか。お気の毒なことです。
さて、土日は相変わらず書き物三昧で、今回は会社分割について書いていま
した。
旧商法では、会社分割の対価を株主が受領する人的分割がありましたが、会
社法では、これを会社が対価を受領し、受領と同時に株主に交付する方式に変
更し、実質的には何も変えていないと説明されていましたが、ご承知のとおり、
とんでもない勘違いでした。
旧商法時代は無対価分割が人的分割の1種とされ、必ず債権者保護手続がな
されたのに、会社法の構成では、分社型の一種となり、分割会社に残存する債
権者への保護手続がなくなってしまったからです。
また、実務では無対価合併が頻繁に行われていたのに、制定時の会社計算規
則には規定がなく、あわてて追加されたものでした。
立法担当者が実務に疎かったのでしょう。実務は常に変化しています。悪い
ことばかりでなく、よいこともすぐに来ると思い、今週を過ごしましょう。
2016.01.22(金)【コンビニ発行の証明書】(金子登志雄)
きのうも飲み会でした。今日もそうです。下戸ですから、もっぽら食べるば
かりですけど。
今日のお相手は株式投資コンサルタントですから、最近の相場観でも聞いて
みようと思っています。本欄閲覧者は株式投資に関心のない方が大部分だと思
いますが、昨年に上場した郵政3社(日本郵政、ゆうちょ銀行、かんぽ生命)
の株価はいまどうなっていると思いますか。
みな公開時の初値を割っている悲惨な状況です。それでも景気がよいという
大本営発表のマスコミに洗脳されている人が私の周りにも多いのが悲しい日本
の現実です。自分の目でみ、自分の耳で聞き、自分の肌で感じ、自分の頭で考
えない人が多すぎます。
http://is.gd/aCa66r
さて、原本還付の原本ですが、裏表に書かれているのに気づかずに連続コピ
ーしてしまい、補正になった経験を持つ方も少なくないでしょう。10枚の連
続コピーの中の1枚だけ裏にも数行だけ記載されていたなどというのは分から
ないものです。
これに関連して、印鑑証明書の白紙の裏面がコピーされていないといわれた
ことはありませんか。きのう、初体験しました。
理由がよく分からなかったのですが、帰宅してネットで調べたら、どうも、
コンビニ発行の印鑑証明書だったようです。
下記の中央部分(証明書のイメージ)をみてください。
https://www.lg-waps.jp/01-00.html
裏面に正方形のバーコードのようなものがあります。本物かどうかを確認す
るために、これが重要らしく、この裏面も提出しないと原本還付が認められま
せん。裏面は白紙ではなかったということです。
コンビニで印鑑証明を取得することができることは知っていましたが、私の
居住する横浜市ほか近隣の大部分の都市が利用していないので、知りませんで
した。裏表のあるのはよくないなどといわずに、コンビニ発行の証明書の原本
還付には気をつけましょう。
2016.01.21(木)【常勤監査役】(金子登志雄)
きのうは、上場会社系列の会計監査人も監査役会も設置されているビッグカ
ンパニーの総務部さんにご馳走になりました。自分の仕事が評価されている証
ですから、ありがたいことです。
そこで、逆に教わりました。「よく、常勤監査役というけれど、これは肩書
ではなく、非常勤ではないという意味に過ぎない。会社法の条文でも常勤監査
役ではなく、常勤【の】監査役となっている。会社法の英訳では、フルタイム
と書かれていることがあるが、これは言い過ぎではないか」と。
念のため帰宅し条文をみましたら、おっしゃるとおりでした。会社法390
条2項には「常勤の監査役の選定及び解職 」とありました。
「選定・解職」は肩書や地位だけでなく、常勤かどうかという役割について
も使用するようです。
念のため、上場会社の定款をみましたら「常任監査役」という用語を使って
いるところもありました。「常勤の監査役の中から常任監査役を選定」と定め
ている会社もありました。
常任代理人は聞いたことがあっても常任監査役は、ふだん、耳にすることは
少ないでしょう。
日本監査役協会のHPを閲覧しましたら、任意の役職で監査役のうち上位の
地位にある者を指すことが多いとありましたが、各自独立して職務を行う監査
役に上位・下位を定めるのも何か変ですね。
常勤がフルタイムだと定義するのは、私も大げさだと思います。ちなみに私
は、アクモス株式会社の常駐非常勤監査役を名乗っています。監査役協会さん
もHPに説明を載せてくれないかなぁ。
2016.01.20(水)【年間商業登記件数は150万件】(金子登志雄)
直近の商事法務によると、現在、会社数は359万社、その内訳は株式会社
が178万社、特例有限会社が164万社、合同会社が7.5万社、合資会社
が8万社、合名会社が1.8万社だとか。まだまだ特例有限が粘っています。
職権解散の対象外だからでしょうか。
そして、昨年の商業・法人登記申請件数は150万件だそうです。任期制度
のない特例有限会社などは、めったに登記しませんから、株式会社の数とほぼ
近いですね。1社で2件申請することもあるので、毎年、70万社程度が登記
を申請している計算でしょうか。
本欄読者の司法書士の皆さん、何か感じましたか。感じないと困りますよ。
全国で司法書士が2万人強、そのうち商業登記の従事者が半分の1万人いると
すると、いや、そんなにいませんね。5000人とすると、1人平均300件
です。
ああ、情けない、それなりに名が知れた商業登記専門の私は、年間500件
や600件を受託していてもおかしくないのに、平均値にも達していません。
人並み以上に上場会社を扱っているといっても、上場会社数は3500社です。
この1%でも35社、やはり全く及びません。
難しい登記もあるはずなのに、いったい誰が担当しているのでしょうか。ま
だまだ、開拓余地は十分にありそうですが、それは若手に譲ります。私が暇で
ないと、即座に動ける駆け込み寺業務もできなくなりますし、登記ノウハウ啓
蒙の執筆業もできません。「待機」も登記の用心棒である私の仕事です。
福岡での講演では開業したばかりの若手の人とも話しましたが、本欄みてま
すか。福岡法務局の年間申請件数を商業登記従事の司法書士数で割ってみてく
ださい。まだまだ開拓の余地は十分にあるはずですよ。
2016.01.19(火)【貧困率】(金子登志雄)
昨日の東京は久々の雪道でした。やっと冬を実感することができました。
来月に寒い地域に会社法の講演に行くので、先日、雪道や氷道でも滑らない
ビジネス用の靴を買って準備していましたので、さっそく試してみました。効
果があったのかどうかは分かりません。寒い上州の田舎出身ですので、普通の
靴でも滑らずに歩けるコツを自然にマスターしていますので。
群馬、栃木など、雪国でもない中途半端な地域が最も寒いと思っています。
雪国では家の柱は太く頑丈で部屋の中にはストーブが備えられているのに対し、
中途半端な地域では、それもありません。隙間風が吹き込み、こたつだけが暖
房器具でした。
小学生時代に育った家の屋根は茅葺だったのか、冬になるとつららが下がっ
ていました。庭にあった小さな池も桶の水も完全に氷っていました。霜柱の田
舎道を歩いて学校に通いました。家や学校では、井戸から引いた水道が氷って
おり、日中にならないと水がでてきませんでした。家も学校も、トイレは建物
の外にありました。
こんな生活を経験していますと、家の中にトイレがあり、蛇口をひねるとお
湯が出てくる都会のマンション生活は、文化生活に感じてしまいます。
しかし、そういう社会インフラはだいぶ整備されていても、長引くデフレ、
不況対策としての小泉・安倍政権の新自由主義経済政策(金持ちを優遇すれば、
下層階級にもおこぼれが回るという信じがたい経済政策)で格差社会が急速に
進行し、いまでは日本の貧困率はOECD諸国の4位になり下がりました。
http://www.nippon.com/ja/features/h00072/
お湯がでてくるだけで満足しているということは、日々眠る場所も確保され、
食うことも家賃も何とかなっているという前提での発言であることを反省しな
ければなりません。私の世代は何とかなっても、年金資金さえ株式投資に回さ
れた息子や娘の世代は、熱いお湯を満喫できる生活を維持することができるの
でしょうか。
2016.01.18(月)【専門家を大事にしてくださる方々】(金子登志雄)
金曜日は、ある超有名上場企業の法務部さんにご馳走していただきました。
毎年、新年会のように招待してくださいます。
最近は少なくなりましたが、昔は、司法書士なら誰でもいいといった雰囲気
をにじませる会社が少なくありませんでした。まるで出入り商人扱いです。
こういう会社も残っている中で、外部の専門家を大事にしてくださる会社は
実に貴重であり、我々も、その気持ちにお答えしようと、頑張ってしまうもの
です。
翌日の土曜日は福岡市内の3支部合同のセミナーに呼ばれて、福岡に行って
まいりました(丸田先生ほか皆様お世話になりました)。もう、4度目くらい
になります。
講演は久々でした。私もいい年齢になりましたし、会社法務専門で司法書士
らしくない部分が多いためか、先方が頼みにくいようです。私も出不精ですし、
今の穏やかな生活に満足しきっていますが、地元の千代田支部とか、東京司法
書士協同組合とか、福岡の丸田先生などは、講師を実に大事にしてくださいま
すので、私も意気に感じて喜んで出掛けています。私も、皆さんに会いたいと
いう気持ちになります。
福岡では非常に盛況で、300人程度の入れる狭い会場にほぼ満席に近く、
むんむんとして暑かったのですが、皆さん、よく我慢して私の話を聞いてくだ
さいました。
初心者にはちょっと難しい話もありましたが、居眠りしている人がいなかっ
たので、まぁまぁ、お役に立てたのかもしれません。ビデオもとられていない
ので、ノウハウをサービスで話してきました。大事にされると、つい、こちら
もサービス精神が旺盛になってしまうようです。
http://www.esg-hp.com/
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