昨日は、友人がボランティア論を教えている大学でゲストスピーカーを務めました。
一般的なことは既に学んでいるとのことでしたので、それならと江戸時代を題材に「エコでボランタリーな江戸の町」というテーマで話をしました。
江戸時代を手放しで称賛するつもりはありませんが、「濃密な人間関係の中でボランタリーな行為が自然と行われていた」「物質的には豊かでなかったからこそ、エコな生活があった」ということを学生たちに理解して欲しかったのです。
と言っても、つい200年ほど前に書かれたものを読んで理解できる方は現在ではほとんどいませんね。墨で書かれた文書が読めない、和本リテラシーがないのです。
そこで、誰もが見て分かるように「熈代勝覧(きだいしょうらん)」という絵巻物を題材にしました。
本物はベルリン国立アジア美術館に所蔵されており、東京メトロ三越前駅の地下コンコースに複製画が展示されていますが、化政時代の日本橋の問屋街と行き交う人々を克明に描いた「日本橋繁盛記」ともいえる素晴らしい絵巻物です。
江戸の庶民のエコでボランタリーな生活ぶりが手に取るように伝わってくる絵巻物は何時間見ていても飽きないのですが、学生たちにも新鮮な驚きがあったようです。