シンデレラのような物語がフランスの童話にあります。 『古いノミ袋』 むかし、ひとりの王様がいて、二人の娘をとても可愛がっておりました。 しかし、いくつか気になることがあって、二人をすっかり信頼しているわけではありませんでした。 二人が成長すると、自分をより愛しているほうの娘に王国をゆずろうと考えました。 長女の姫を自分の部屋に呼ぶと、こうたずねました。 『おまえはどのくらいわたしを愛しているか?』 『自分のひとみと同じくらい愛しております』 『そうかじつによい娘だ』 王様は感動して、そう言いました。 それから次女の娘を呼ぶと、同じ質問をしてみました。 『わたしの食べ物の中の塩のように愛してます』 と次女は答えました。 ところが王様はこの答が気に入らず、宮中から出ていけと命じました。 次女は泣く泣く身のまわりのものを整理すると、城をでました。 これからどこへ行けばいいのかわかりません。 自分の美しい顔がかえってわざわいになるかもしれないと思い、わざと顔に泥をぬり、髪をぼさぼさにしました。 道でだれかに会うと、まるでノミがたかっているように、からだ中をぼりぼりかくのでした。 ようやく、羊飼いをやとおうとしている農家が見つかりました。 農家は、人手が足りなくてこまっていなければ、こんな汚い娘はやといたくなかったのでした。 この娘を「古いノミ袋」と呼ぶことにしました。 ある日、羊の群れをさびしい山の中の谷へと連れて行ったときのことでした。 むかしの服に着替えて、数時間だけ、かつての王女の姿に戻りたいと思いました。 近くの谷川で体を洗うと、城で着ていた衣装を身につけました。 ちょうどその時、ある王子が狩に来ていて、王女の姿に気づきました。 王女はあわてて森の中に隠れてしまいました。 王子はいくら探しても見つけられませんでした。 王子は農家で水をもらうついでに、羊飼いの仕事をしている美しい娘のことをたずねました。 農夫は魔女にだまされたのだろうと大笑いしました。 王子は何ヵ月たっても、羊飼いの娘を忘れられません。 両親に遠い農家に住んでいる羊飼いの娘の焼いたパンを食べたいと言いました。 農夫から聞いた彼女は身を清め、指輪をはめてパン生地をこねたので、指輪がパンの中にまぎれこんでしまいました。 パンを食べてる時に指輪を見つけた王子は、両親にこの指輪に合う娘と結婚すると宣言しましま。 結婚していない女性は城に来て指輪をためすようにと、おふれを出しました。 何十人もの娘がやって来ました。 いざ、古いノミ袋の番になりました。 ぴったり合いました。 両親は汚い羊飼いをみて反対しました。 古いノミ袋は口を開いて、王女であると打ち明けました。 娘の父親は残酷な仕打ちをひどく悔いてすぐに飛んで来ました。 花嫁の注文で、結婚式に出す父親の食事には香辛料を入れないこと、パンには塩を入れないことになりました。 父は『まったくだめだ。どの料理も味がない』といいました。 『わたし、お父様に言いませんでしたか、塩はこの世でもっとも大切なものだと』 王様は自分の頑固さを許してくれとあやまったのでした。 おわり 病院や老人施設の食事は塩味が少ないので味がないと不満言う人が多いです。 体にはいいのにね。 長くなってすみません。 似たような童話作りましたのでいつか紹介します。
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