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シェーンブルン宮殿の中で一瞬晴れ間が見えたのだが、再び雨が降り出し、名だたる楽聖たちの眠るウィーン中央墓地に着いた時には、かなりの降りになっていた。
当たりは暗く、しかも墓地ということで、ちょっと陰鬱な気分になってくる。
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この並木道、映画「第三の男」のラストシーンに出てくるんだそうだが、私は映画を見たことがないので知らない。こんど見てみようかな。
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途中現れた、レンガ造りのアーチ型の塀のようなもの・・・晴れている時に見たら印象も違っていたろうに。
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目玉は何といっても32Aという区画。音楽界の大物が並んでいる。正面にあるのはモーツァルトの記念碑。モーツァルトの遺骨はここにはないので墓ではなく、あくまでも記念碑なのだ。
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モーツァルトの記念碑の左側にはベートーベンのお墓。あの気難しい顔をした、もじゃもじゃ頭のベートーベンのお墓がこのように涼しげなすっきりしたお墓だったとは、とっても意外!
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こちらはシューベルト。竪琴を持ち、ギリシャ風の衣装を着た女神が、シューベルトの胸像に月桂樹かなんかの冠をかぶせようとしているように見えるが、何で生身のシューベルトじゃなくて像なのよ? シューベルトはシャイだったから?
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考える人・・・ブラームス。12月の定期演奏会でブラームスをやる予定なので、演奏会成功を祈ってここで写真を撮るメンバー続出。
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だが私が一番オーラを感じたお墓はシュトラウス家だった。お墓なのにオーラっておかしいかな・・・。でも、エジプトのラムセス2世のようにミイラになってもオーラを放つ奴は存在する(私が感じただけかもしれないが)ので、お墓だって・・・。やっぱりウィーンだからかな。私は中学2年の頃、モーツァルトに夢中になるちょっと前、ウィンナ・ワルツばかり聴いていた時期があったのだ。特に「ウィーン森の物語」と「皇帝円舞曲」がお気に入りであった。
ワルツ王ヨハン・シュトラウス2世の墓のこびるような曲線美が、ウィーンらしいと思った。
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で、これがワルツ王の父で、ラデッキー行進曲を作曲したヨハン・シュトラウスの墓。子供の頃、父ヨハン・シュトラウスなる表記をよく見たが、最近はヨハン・シュトラウス1世と表記するのが常のようである。でも墓を見ると、「ヨハン シュトラウス 父」だ。
真ん中の丸い部分のレリーフがよく写らないので、寄ってみると・・・。
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おお、何とイケているではないか! 確かに父ヨハン・シュトラウスの表記には違和感がある。ヨハン・シュトラウス2世の方がずっと親父臭い。
私にとって、この中央墓地での最大の発見はこの人だったかもしれない。
だんだん思い出してきたぞ。小学校低学年の音楽の時間に初めて「ラデッキー行進曲」を聴いた日のことを。とっても興奮して家に帰ってきたら、「家にもレコードがあるぞ」と父親がレコードをかけてくれて・・・。きゃっ、隣近所に聴こえたら恥ずかしいわ・・なんて、まるで自分の書いたラブレターを読まれているかのごとき恥ずかしさを隠しながら、小さめの音にしてもらってこっそり聴いたことを覚えている。今から考えると馬鹿みたい。
さらに恥ずかしながら「ラデッキー」というのが人名だったことを知ったのがかなり後でして・・どんな人だったかというと、オーストリアの優秀な将軍で、対トルコ・対ナポレオン・対イタリアの戦争で非常に活躍した国民的英雄なのだ。父ヨハン・シュトラウスが「ラデッキー行進曲」を書いた1848年、ウィーンは3月革命で政情不安に陥っていたが、同年イタリアでオーストリア軍を勝利に導いたラデツキー将軍をたたえる曲を作ることで、ウィーンの人達を勇気付けようとしたのだろうか。人気絶頂であったはずの父ヨハン・シュトラウスは何と翌年45歳で亡くなってしまった。愛人の連れ子にうつされた猩紅熱が原因であった。そのことに象徴されるように父であるヨハン・シュトラウス1世と、子であるヨハン・シュトラウス2世は、決して良好な親子関係ではなかった。両者はライバル関係になっており、父が子の音楽界デビューを妨害しようとしたことすらあるのだ。この中央墓地のイケてる肖像からは想像もつかないなあ。息子より若く見えるのは、息子の方が長生きだったからである。
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これはワルツ王ヨハン・シュトラウスの弟である、ヨーゼフ・シュトラウスの墓。この人は兄よりも才能があったかもしれないといわれる人だが、43歳で演奏中に卒倒して亡くなった人である。私の音楽仲間うちでは、演奏中に死ねたら本望、などという言葉も聞かれるが、演奏中に不整脈発作を起こして苦しんだ経験のある私としては、あまりそういう死に方はしたくないなあと思うわけである。でも、孤独死よりはいいかなあ・・・なんて、そんなことを今考えるのはやめよう。
ヨーゼフの作風は兄よりも地味で繊細だといわれるが、私は不勉強なので「オーストリアの村つばめ」しか知らなかったりする。
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さて、冒頭に触れたモーツァルトについてだが、モーツァルトは共同墓地に葬られたので遺骨の特定が出来ていない。映画「アマデウス」では、お棺のなかから布に包まれたモーツァルトの遺体が、すでに何人か葬られている穴に向かって滑り落ち、上からシャベルで石灰のようなものがペッとかけられ、立ち上る石灰の粉の映像のバックにレクイエムの「涙の日よ」のラストがとうとうと流れるというドキッとするような演出がなされていた。
その共同墓地は「聖マルクス墓地」と言われるが、中央墓地を後にしたあと、車窓からちらっと垣間見ることが出来た。これがその聖マルクス墓地だ。
先日子供の学校の芸術鑑賞会のお裾分けで
30年振りにウィーン少年合唱団を聴きました。
クラッシックやジョンレノンのイマジンや
SMAPの世界にひとつだけの花など色々歌って
くれましたが、私的にやはりぴったりだな~と
思うのがやはりヨハン・シュトラウスの曲ですネ。
私はウィーン未体験、いつか行けるかな?
>30年振りにウィーン少年合唱団を聴きました。
私はウィーンには2度行ったけれど、ウィーン少年合唱団を生で聴いたことはありません。
物心ついた後、初めて知ったウィンナワルツは、彼らがピアノ伴奏で歌う「美しく青きドナウ」のレコードでした。そのレコードには沢山の童謡や民謡が入っていて、その中の一曲だったんですが、子供には長すぎる曲だったので、いつも飛ばして次の曲に針を進めていました。しかもガキだったので、題名が理解できず、頭の中で「美しき青木ど、なう」に変換されていました。
ウィンナ・ワルツに真に共感できるようになったのは中学2年生の頃で、突然めざめてハマッたのよ・・・。
>私はウィーン未体験、いつか行けるかな?
旧姓Fさんといえば、ウィーンよりベルサイユのイメージがあったり・・・なんちっち。マリアテレジアを初めて知ったのは、旧姓Fさんちのベルバラを読んだ時だったかも。
ワタシ的にはブラームスの墓かな、印象に残ってるのは。
そのときの写真を置いてるとこのURLを張っておきます(銀塩カメラで撮影してフィルムスキャナで取り込んだもの。今思うとかなりひどい写真も多い(^_^;))
というか、さすがに寒かった・・・
「秘密諜報員ベートーヴェン」を読んだ後なので、ラデツキーのくだりには複雑な思いです。
まあ、ちいしゃさんも12年前に行かれたんですね。1998年1月とは・・そりゃあ寒かったでしょう。私は9月に行ったのに、ライン下りで大変寒い思いをいたしましたんで。
写真を拝見すると、街並みはあまり変わってないなあと思いつつ、とても味があると思いました。特に馬車の写真が気に入りました。
「秘密諜報員ベートーヴェン」・・・面白そうですね。今度読んでみようかしら。