晴れのち曇り、時々パリ

もう、これ以上、黙っていられない! 人が、社会が、日本全体が、壊れかかっている。

パリの胃袋を担う<ランジス中央市場>探訪記 1

2008-11-09 05:46:49 | グルメ

エミール・ゾラの『パリの胃袋』で曰く。
「<レ・アール>では全てが売られている。女まで!」

パリのド真ん中に、かって中央市場が有りました。
そのものズバリ、<市場>と言うイミの言葉『レ・アール』と呼ばれていました。

あらゆる食品が飛び交い、周りには美味しいステーキや魚料理で名を成すレストランが取り囲み、運搬人や売り手や買い手が入り交じり、その道の女性達が立ち並んで、みな24時間フル回転で活気に富んでいたそうです。

しかし、その場所に何世紀もの間続いて来た市場は、無秩序に混雑し不潔で、そこに住むネズミは犬より大い(!)とまで言われておりました。
朝から晩迄物資を運び込むトラックその他の車両がひしめき合い、戦後は既に二進も三進も行かない状態になってしまっていたのです。

ついに1960年代には、バルザックが讃えたさしもの<パリ名所のレ・アール>も、さすがに不評になって来ました。

そこで、都会と<市場>は共存しない。「中央市場は郊外に移転」という事になったのです。

場所の選定は、まずアクセスの容易な所。
搬入にも、販売にも、搬送にも便利な場所を。

パリに隣接する近さで、陸と空からのアクセスが便利で、、、という事で、パリの南8キロ(パリの出口から4キロ)の<オルリー空港>に隣接する、ランジス村が選ばれました。

高速道路はすぐ横を通り、鉄道線も引き込めて、便利な事この上なし。

あらゆる物資流通の一大拠点を造ろう!

大号令のもと、1969年、<食肉>が最初に移転終了で開業。
その後も<青果><鮮魚><生花><酪農品>などの各セクションが順次移転していって、『パリ中央市場ランジス』が開業したのです。


その<ランジス市場>を訪れてみましょう。



朝まだき、眠い目をこすりながらパリを出て、高速を10分も走ればもう到着。

何と、<高速道路の料金所>のようなゲートが霧の中に出現。

バイヤーは年間パスを持っていて、ヴィジターは入場費を払って、市場内に入ります。

場内は235ヘクタールもの敷地で、何と東京ドームの80倍!

早朝1時半に始まり、5時半まで続く<鮮魚>のセクションから始まり、5時から9時迄<精肉>、8時から11時迄<青果>と続き、11時から14時迄<生花>で締めくくり。
閉まる程に、清掃と、次の日の搬入と続いて行きます。




赤で示されたのが<精肉>の建屋群、黄色が<乳製品>、青が<鮮魚>、緑が<青果>、そしてピンクが<生花>です。

その他レストランが20数件、銀行も20数行、そして、動物検疫と植物検疫の出先、さらに税関、レンタカーのオフィス、ガソリンスタンド、旅行代理店等々。
ゴミ焼却場と、製氷工場まで有ります。

さすがに<鮮魚>はもう閉まっておりましたので、<精肉>のセクションを訪れてみました。



とりあえず中に入ると、いきなりコレです。

ちなみに<精肉>のセクションは、<赤肉><白肉><家禽><臓物>に別れます。
『赤肉』とはその名の通り<赤い肉>、すなわち<牛>と<羊(子羊)>です。
『白肉』はこれまたその名の通り白い肉で<仔牛>と<豚>。
『家禽』はチキンとウズラ、食用バト、鴨等。



このランジス市場は、築地など日本と違って、いわゆる<セリ>は有りません。

どのセクションも、夫々<卸業者>のブースが並んでいて、店舗に並べられた<商品>を見ながら、売り手と買い手で値段の交渉をする、『相対(あいたい)取引』システムなのです。



売れたばかりの<枝肉>や<ブロック肉>を、まとめて吊るして<配送待ち>。


<精肉>はそろそろ後片付けを始めていたので、まだ取引の続く<乳製品=チーズ>の建物の一つに移動。



フランスは、<チーズ>は質量共に世界一。
700種類くらいのチーズが、常に流通しているそうです!



それにしてもでかいのは、アルプスの『エメンタール』
何しろトラックのタイヤくらいも有り、一個の重さが70キロ!


一人では持てない。。。

両側に並ぶ卸商のブースの前には、ありとあらゆるチーズが積み重ねてあります。


東部フランス『ロレーヌ』地方の、牛のミルクの『トンム・ド・ロレーヌ』です。

ちなみにチーズは、<牛乳製>と<ヤギ乳製>と<羊乳製>、さらに<水牛乳>なんてのも有って、それらのミックス製も有ります。


ピレネー地方の<羊>のチーズ、『ポーリネトワーズ』
どうです、美味しそうでしょ?

続きは次回。
お楽しみに!


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1 コメント

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Unknown (時々パリ)
2018-07-19 06:55:57
ご指摘に多謝。
なぜかうっかりしてました。

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