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『クール・ジャパン 世界が買いたがる日本』

杉山知之、2006、『クール・ジャパン 世界が買いたがる日本』、祥伝社

アニメ・ゲームなどの日本のポップ・カルチャーが「クール・ジャパン」として世界市場で売れている。日本政府も乗り出して「知的財産戦略本部」をつくり、日本の「ソフト・パワー」として、軍事力ではなく、エレクトロニクスや自動車につぐ「コンテンツ産業」育成への期待もこめて、重い神輿をようやく上げたところではある。

本書の著者は「デジタル・ハリウッド大学/大学院」の学長で、クール・ジャパンの先兵養成を自認する。たしかに、世界で日本のポップ・カルチャーが知られるようになり、「アキバ」がメッカとなっているということは事実ではあろうが、エレクトロニクスもその例でもあろうが技術は拡散するというのが、セオリーであろう。
おそらく、「コンテンツ産業」もまた、そのセオリーの例外であることには無理があるのではないか。最初は偽物がつくられ、やがては、オリジナルを乗り越えるものがでてくるようになってくる。それに対抗するためには、次々と新しい「コンテンツ」を作り出す必要があろうが、たとえば、コンピュータ・グラフィクスを使った表現の技術を教育することはできようが、「コンテンツ」そのものを、あるいは、アーティストを、学校システムにおいて作り出すことはできるのだろうか。
また、村上隆のように、工房システムをとって、後継者を育成するというのもひとつの方法ではあるが、村上隆をその後継者は超えることができるのだろうか。
ここは、もう一段、知的戦略が必要ではないか。知的財産として著作権の網に囲い込むことも然り乍ら、また、政府の大臣閣下の列席する本部をつくることも然り乍ら、むしろ、官僚システムの枠を外してしまったほうがいいのではないだろうか。金は出すが口は出さん、というのがこの手の産業育成には望ましいと思えるのだが。
知財本部は、海賊版というだろうが日本で新しいアニメが放送されると、その日のうちに英語のサブタイトル(字幕)がつけられて、インターネットに流れるという「ファンサブ」の活動に目くじらを立てるだろうが、知的財産に関する国際協定の緩和に動くぐらいの太っ腹の方が、むしろ、「コンテンツ産業」の育成に寄与すると思えるのだけれど。

クール・ジャパン 世界が買いたがる日本
杉山 知之
祥伝社

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2007-09-17 10:28:07 | 読書 | コメント ( 0 ) | Trackback ( 0 )


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