せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

古民家改修の事例見学

2015年06月29日 | 模型・実験・見学・講習・イベント


伝統構法をどこまで、どう残すのか、生かすのか?

大変に難しい課題に、寡黙に取り組んでおられる
大先生の施工事例を見学させていただきました。

ありがとうございます!
写真は縁側から見える景色。海が目の前です。

テレビでも取り上げられたので、ご存知の方も多いかもしれません。

改修工事・・・と聞くと、新築より簡単なのでは?

と、一瞬思いがちですが、実は全然違うのです。

今あるものを、どう生かすのか、さらに改善するのか、、、

それはそれは知恵の出し合い、技の出し合いなのです。

設計の先生からの説明、

1) 立地条件への考慮
南に海、北に山、つまり地盤の不均衡に対してどう対処するか
→荷重を増やさないため、基礎工事は部分補修とした。

2) 風土を生かす
日中は南風、夜は北風
→床下の通風孔と、北側の風抜け窓を設置。-2度ほどの涼しい空気。


海を見渡せる縁側のある空間で。

台風の吹上が強い。
→軒の出1.3Mに対し、垂木は1.7Mまで奥に伸している。

木製建具は雨仕舞いの段差有りに4重。

3) 予算配分の割り切り
→2階は改修しない。座敷は普段使わないから2階、
寝室を1階として終の住処に。


そんな話の流れから、クライアントさんが「エアコンなしでも快適」
というコメントが出て、それはもう大満足のご様子にこちらも嬉しくなりますね。

写真撮影は許可をいただいています。お顔はぼかさせてもらいました。

既存建具高さが短いのですが、奥様の台所の裏への出入りに再利用されていました。

浴室は、腰下は天草陶石、腰上と天井は、板張り。
風通し良くしてあるので、引き戸を開ければカビなし。

一般の来場者からは、素敵〜と。ため息が漏れていました。

伝統構法をユネスコの無形文化遺産にという動きもあります。
http://dentoh-isan.jp

たくさん勉強させていただいたので、当方も気が引き締まりました!
今後の設計活動に生かします。

午後には、復原現場も見学してきました。
そのレポートは、森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクトのfbにアップしました。
https://www.facebook.com/mori.ki.kurashi

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