せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

創造的復興その2_建主さんの頑張りに学ぶこと

2018年05月28日 | くまもと型復興住宅01


4月23日のブログでご紹介した地域工務店さん施工による
くまもと型復興住宅の建主さんが、頑張っている!の報告です。

外部の塗装に続いて、内装も建主さん自らの施工中です。
HPにアップしました。
http://www.mk-ds.jp/newworks/2018/05/20185.html

ガイドブックでは、内装は、基本和紙貼り
可能な範囲で、ご家族で漆喰塗りをご提案しています。

今回、天井の和紙以外は、ご家族に塗られることになりました!
初めてのご経験で、最初は、下塗りにも戸惑っておられましたが、

2回目には、フラットに塗るコツも覚えられたのか
びっくりするくらいに綺麗な塗りになっています。

当初、DIY用の漆喰を考えていた私たちグループですが
本格的な漆喰にしてみたいと、ご自身で取り寄せられた材料。

その本物志向に頭が下がります。

自ら考えて、選んで、そして行動する。
素晴らしすぎて、こちらが感動する現場です。

私など、寄り添いながら、アドバイスをするくらいです。

住まいづくりに関わることは、愛着を生むだけではなく
ご自身の責任も伴います。

もともと、注文住宅は施主の考えあったてこそ、
成立します。

ブログでは、復興住宅の住まいづくり
を通じて、

一般論として、
設計の立場と建主さんの関係について
感じたり、考えたことを綴ります。

もし、建築家にお任せで、ということになれば
建築家を選んだ自分を信じなくてはなりません。
後から、設計のせいにしてはダメですよ==。(笑)

プロの言いなりになっても、いけません。
専門的なことを知らないから、、、
では、済みませんね。

お金を払うのは、ご自身ですし、
維持管理も行うのは自分自身ですから。

幸い、私自身は、
住まいは買うものではなく、創り上げるもの、、

そういった気持ちが強い方とご縁を頂くようです。

普段なら、住まいづくりを考え抜いて、
いろいろ検討して、当事務所にたどり着いてくださったという方が多いです。
すでに、こうしたい、あーしたいがてんこ盛り。

その中で話し合っていく過程で、アイデアが湧いてきたり
思わぬ展開になったりと、一緒に設計道中を楽しみます。

最終的には、相性や求めている方向性があったときに初めて
ご依頼を受けています。

熊本地震後は、
突然に住まい再建を考えなくてはならなかった方達なので
予算のこと、規模、仕上げ、それらのすり合わせに、
かなり時間を要しているように感じています。

それでも、潜在的に、木の家が良いとか、
自分らしさのあるセンスの良いものにしたいとか、
機能性もきちんとしたいなどなど、、、

心の奥深くにあったものが、
この復興というチャンスを得て
引き出されてきた方々なのかなとも感じています。

一緒に学びながら、考えながら、
専門家や現場に委ねて頂く部分は、委ねていただき、
最終的には、決断頂く。。。

今回のくまもと型復興住宅も
外壁をオール杉になさることもは、
最初は、心配されたご親族も納得されての選定。



水が切れるように、エッジの部分は斜めカットにするなど
職人さんの技もあってこそですね。



良材を予算で都合してくださる
工務店さんとの出会いも大きいですね。

現場に向かう度、

住まいづくりを通じて、決断や判断を下すことで
人の器も一段と大きくなり、

人生自体が本当に大きくブラッシュアップするものだなぁと
いつも感じています。

そんな建主さん方にエールを送る日々です!
お互いに頑張って参りましょう!

くまもと型復興住宅02_地鎮祭を行いました。

2018年05月21日 | くまもと型復興住宅02


週末、厳かに、地鎮祭が執り行われました。
建主さま、誠におめでとうございます。

天気予報では、雨。
工務店さんが、前日にテントを張ってくださいました。

足元ははぬかるまないように、ブルーシートを、
囲いは、紅白の幕と、神様の方向には、青白で。

雨は、確かに夜降りました。
朝になると、晴れて。。。式が始まると、とても良いお天気に。

ご家族の緊張の中にも晴れやかなお顔が、
お天気と重なって見えました。

地元の神主さんも、実は被災者であられ、
お宮も鳥居も崩れたそうです。

神主さんから、この地域でも、やっと地鎮祭が増え、
復興の兆しも感じられるとお話があり、

私たちも、工事を始められる喜びを、
しみじみと噛みしめました。

工務店さんも日が良いと、竣工と着工の現場を、掛け持ちされます。
監督さんもいくつかの現場を掛け持ちされています。

そんな中でも、床鎮めの儀に、
心も鎮められた瞬間となったことでしょう。

無理のないように、工事を進めてもらえたらと、
土地の神様に安全を祈願しました。



滞りなく儀式が終わると、御神酒代わりのお茶で乾杯!

テントの片づけには、社長の奥様まで手伝いに来てくださり
頭が下がりました。暑い中、ありがとうございました。

その後、建主様と外壁の色や素材の打ち合わせ。
選択できる地域だけに、検討が続きます。

今回は、地盤改良工事があるため、
準備のために、早めの地鎮祭となりました。

これからも、設計家業としては、詳細設計と各種手続きが続きます。
私たちも、気を引き締めて、取り組みたいと存じます。


原風景に、ものづくりの方向性がある

2018年05月14日 | ものづくり


写真左一般社団法人 伝統を未来につなげる会フォーラム案内、右「建築家隈研吾作品集」

まず、前談です。
先週月曜日に、ブログアップ出来ていません、涙。

早朝の飛行機で熊本に移動してから、書く予定が。。。。

初めての体験をしました。
それは、飛行機酔い、です。

羽田を発つ時に、
「熊本の天候が悪く、羽田に引き返す可能性もあります。」
という、アナウンスが流れました。

羽田は、晴れ。

まぁ、大丈夫でしょう。と、搭乗したものの、、
熊本に近づくにつれ、揺れる、揺れる〜〜。

無事に到着したものの、
昨日の会食で帰りが遅く、睡眠不足により
気持ちが悪くなってしまいました。

今日は続けて移動する現場打合せの予定を入れておかなくて
良かった、とホッとしつつ、

低気圧では、さらに、事故で痛めた腰が痛むので
休むことに。。。。

自分が倒れてはどうしようもないですからね〜。

熊本に戻れば、両親の病院送り迎えや
図面のブラッシュアップも続くので、大事をとり、
次の日から復活して、全力で頑張った熊本の一週間でした。

前置きが長くなりました。

書く気力取り戻し
先週、綴りたかったことを、アップします。

それは、「ものづくりに関わる人間には、必ず原点や原風景があり、
ものづくりの方向性を位置づけている。」

という、私の持論(!?)が、

この春、展覧会やフォーラムに足を運んで、
木の建築を手がける著名な建築家の原風景のことを知り
より確信に変わったのです。

東京ステーションギャラリーで開催されていた
「くまのもの」という建築家隈研吾氏展覧会では、
木や石、竹、土といった素材の建築への
実験、実証の繰り返しの手法も詳しく展示してあり、
ものづくりの意義と経緯がとてもよく理解できました。



展示会で素敵!と思った焼杉の型でつくったガラス照明器具

木をふんだんに使う提案で新国立競技場を
再コンペで勝ち取った隈研吾氏は、
幼少期土壁の家に住んでいた。(つまり伝統構法の住まいですね)
その土が、剥がれ落ち、家はザラザラしていたそうです。

へぇ〜。

幼少より建築家を目指し、東大卒のエリートである彼は
私が、学生の頃の以前の作品は、
近代的なコンクリート建築で、デコデコのデザインでした。
好きになれなかったのです。(ごめんなさい)

社会の評価が今ひとつだったようで、
木の小屋みたいなものを作り始めて
生意気にも、「ものづくりの方向性、どうしちゃったのかしら?」

と思っていると、、、そのうちに
石の建築を手がけて、評価が高まり

木の建築も積極的に手がけられるようになり、
建築がどんどん、洗練されていって。。。今に至られます。

スタート当初に、苦労された、ものづくりの流れが、
土壁の家から始まっていたとは!?

無垢の木の空間の実体験がおありだったのですね。

プリミティブな印象があった彼の建築作品は、
風土や風景に根ざした建築空間を味わった経験からではないかしら?
と思いました。

そうか。。。私も頑張ろう。。。。

土壁の家が嫌いで、一旦は木造を敵視していた私が
こうして木の住まいや建築、そして伝統構法に関わっているのも、
自分の原点と、その空間を五感で知っているからだと
改めて感じました。

民家再生を施工してくれている工務店の社長さん(私より若いです)も
聞けば、ご実家がそうだったけど、今はないとのこと。

木の良さと、木の大変さと、木の凄さを知っているから
面倒なことも、ややこしいものづくりも
一緒に歩んでいけると思っています。

誤解なきよう、書きます。
原風景がないとダメと言っているのではありません。

もちろん、原風景がなくても
木の建築や伝統的なものに惹かれる方はおられます。

民家再生の仲間には、幼少期の体験はないけど、
蔵の空間に身を置いてから、大好きという方もおられます。

原風景がみつかったのでしょうね。

現実的に、日本の木のものづくりに関わっている建築家は、
実はそう多くはない。という実感があります。

なぜなら、日本の木の話が出来るお仲間が
これまでの就職先設計事務所や建築学科の先輩後輩との関係、
日本建築家協会や建築士会の中におられなかったからです。

それでここ数年は、ちょっと建築業界を飛び出して、
林業関係、製材関係、プロダクトデザイン関係にお付き合いを
変えたました。

昨今は、やっと!?木造ブーム到来で、
さすがに建築士仲間でも木の話はできます。

それから、これまでの個人的行動の先に、日本の木に関わる
コアな建築関係者の出会いも増えてきました。

今年、所属するJIA神奈川が開催する、恒例のなかがわ建築祭は
『「木」がつくる豊かなまちの風景』がテーマでした。

参加できておらず、報告書を読むと、シンポジウムの中で、

「木がトレンドとして扱われてしまっている。
木のもっと真剣に向き合い、木の冗長性を甘くみてはいけない。」と、
木の建築の第一人者である建築家、内藤廣氏から、話があったそうです。

そうそう、慎重かつ丁寧に扱う必要がある「木」。
なめたら、いかんぜよ!

建築素材、というよりむしろ、「命」をあつかっている
というスタンスで、ものづくりに取り組まないと、
しっぺ返しをくらうと感じているし、良さが生かされないとも感じています。

これからも、私の原風景と、原点を自分を客観視しながら、
時代や環境問題を見据えながらも、変なトレンドには流されず、
ものづくりに邁進したいと改めて誓う、年度始めでした。

展覧会へ足を運ぶのも、とても大事にしたいですね。


こどもの日に考える親としての心得。

2018年05月05日 | 子ども・環境


鯉のぼりの代わりに、
玄関ホールに魚のモビールを飾った我が家です。

こどもの日に、親としての心得を考えてみます。
育児といえば、親としては、試行錯誤の毎日。

子どもといえども、生まれ持っての性質や個性があり
親の理想通りにコトが運ぶ訳はなく、、、

はらはら、どきどきしたり
心配したり、感心したり。。。

子どものことで、一喜一憂しない親はいないと思います。
それでも、そんなに慌てふためくことなく、
大観して見守りたいという親としての理想像もありますよね。

どうしたら、そんな気持ちになれるのか。。。

仕事を持つ母として、親として
子どもに育てられている毎日なのかもしれない!?
立場として、綴ってみます。

GWは、連休といえども、子どもにとっては部活三昧。
家族旅行には行けないけれど、子どもとの時間は大事にしたい。

そこで、親としてはそのサポートをしよう!と、食事作りや
時にマッサージなどしながら、応援しています。
今日も大事な試合。保護者の皆さんと、声援を送りました。
(それができるのも、今の内と思って。)

連休の中日には、
教育課程説明会と、宿泊での体験居室の説明会もあり
先日の学級懇談会や部活動説明会に加え、
先生方から、話を伺うことも多い春。

熊本行きで離れていても
子どもの予定を把握できるよう説明会には必ず出席しています。
年間行事も概ね決まったようで、これで私の予定も立てられます。



イライラしないためにも、まずは、子どもの予定を手帳に書き込み
どうしても行けないところは、事前にパートナーに頼んだり
参加したいところは、仕事の予定を入れないようにしたりと
計画を立てられる有難さをかみしめながら。。。

私が、離れていても家庭運営がうまくいくのは、
家族で役割分担ができることと
ご近所やママ友、義理両親など周りのサポートのおかげです。

そして、何より、子どもを信頼しているから。
大丈夫、元気でやれる!と
子ども本人も、家族も信じているから。

そんな風に、思えるようになったのも、
経験を重ねてきたからでしょうか。
行き来の生活がすでに6年目に入りました。

『親の不安は子どもにうつる』
『留守にしても、子どもにかわいそうなことをしたと思わないこと』

働く母としての先駆者の言葉を胸に、
いい意味で割り切って来ました。

そして、自分がたどり着いた境地は
「子どもを信じること」
「できる時には、できることをたっぷりの愛情を込めて行うこと」
一緒にいるときは、なるべく子ども優先で楽しむことにしています。

そのために、仕事も段取り良くなりますしね!

だからズルズルと打合せをしてしまう人を見ると
家に帰りたくないのかなぁ。。。と思ってしまうほど。

楽しむための時間と踏ん張る時の時間をしっかりと充実させる!
これができるようになりつつあるのも、子育てのお陰でしょうか。

もちろん、子育てしていなくても、
友人関係や趣味が充実している人も
同じことが言えると思います。

自分時間を大事にしている人と、言ってもいいかもしれませんね。

やっぱり、自分が幸せでないと、周りを幸せにはできないし
そういう関係性も結びにくいと実感しているので、まずは
親でも独り身でも、自分を大事にするに尽きるのかもしれませんね。

私の母も、夜寝る前のちょっとした読書時間を生み出すために
大家族の家事をかなり効率良くこなしていたので、
その影響も大きいのかもしれません。

世話になっている立場の時は、
家族のことばかりに時間を割く母に申し訳ないなぁ
と思って、手助けはしていたものの、個人としての
楽しみはあるのだろうか?と子ども心に心配していたので、
そんな姿には、ほっとしたものです。

私自身の今はというと、やってみたいこと、
やりたいことを全て出来るわけではありません。
仕事も、趣味も、さまざまな活動も。

欲張りすぎて破綻するより、絞っていく。。。。
ということも、学んでいます。

仕事も、自分にしかできないことをやっていこう!
家庭人としても、要でできることを中心に。
人に任せられるところは、頼むことも覚えました。

人を信頼して委ねることも。
それは、仕事でも同じですね。

現実的に、この5年間でまだチェレンジで来ていないことも多く
いま、フツフツとそのジレンマに陥っていた矢先に、

この連休でお会いした
子育てが終了した働く母として大先輩のアドバイスが、
これでした。

『やりたいことには、やってみる。突き進め!子育てで細かいことに悩まない!』

すごく仲良し親子なので、幼少期の苦労話や
どう乗り切ったのか、また、コツみたいなものは、何かよく聞かれるそうです。

子どもとしっかり向き合ったこと、
お互い涙を流したこともあること
など体験談を伺っていて、

『子は親の背中を見て育つ。。。』のだったことを思い出しました。

私が、働きながらも家事の効率化を計っていた
母の背中を見ていたように

仕事に集中する姿が、勉学にも何事にも集中出来る
子どもに育つことなのかもしれないと、心するのでした。

そばに居ればいいというものではない。
いても、仕事ばかりでは逆効果だそうです。

『しっかりと子どもに見守りや愛情のベクトルが、向いていれば、
自分自身のチャレンジはOKよ===』

と、背中も押してもらいました。ありがとうございます!
なんだか、感激した体験談とアドバイス。涙腺が緩みそうでした。



こどもの日のプレゼントは、美術館で入手した木パズル。
親子で楽しんで立体脳を鍛えました。笑。

小さなパーツ=日常生活の積み重ねで、
愛情の木組みを堅固に組み立てて。。。

そして、それが崩れないように、
しっかりと人として前を向いて、今日も生きていく。

実に単純なことなのかもしれません。

最後までお読みいただいた方、
もしかしたら、子育て中の方かもしれませんね。

お互い、自分を貫きつつ、育ちあいを楽しみましょうね!!