せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

三密を避けて、Go TO Art

2020年07月27日 | アート・文化


不忍池の蓮が見頃です。

先週は、カレンダーでは4連休!でした。
オリンピック休みだったはず
本来なら、このまま子どもたちは、夏休みだったはず。

実際は、子どもの学校は、土曜日授業で、連休とはならず。
Go TO トラベルではなく、
Go TO Art 入場する時間帯を予約する芸術鑑賞へ
行ってきました。

国立博物館の好きな空間の写真です。ここは撮影OKの場所。





窓枠からの緑が、まるで額縁に入れられたように見えます。

休日に美術館や博物館に行くと、
とても混んでいて、人気のある絵画展などは
絵を観に行ったのか、人を見に行ったのか、
分からなくなるほどですが、

今回は、朝早い時間の予約枠で、申し込めたので
とてもじっくりと、作品と向き合うことができました。

むしろ、映画の予約席のように
展覧会も予約だと助かるなぁ。。。
並ばなくて済むしと思ったほどです。

三密を避けるために、鑑賞人数にも制限があり、
また鑑賞時間も、ほぼ決まっており、
館側が、計っている様子はありませんでしたが
予定時間内に鑑終わることができました。ほっ。

鑑賞した展示は、オリンピックに合わせて、海外の方向けにも
考えられていたはずの、日本博の「きもの展」。

私たち庶民には、驚くほど豪華絢爛の江戸時代の大奥の衣装。
大手商社の年代を感じさせるコレクション。
豪商の娘の晴れ着。武将の衣装まで。

歴代の日本文化を満喫できるものとなっています。

それにしても、日本人のものづくりの緻密さといったら
驚きです。

1本1本針を刺した刺繍で描かれる鷹や菊の花。
染物。もちろん、どれも一点もの。

本当に素晴らしい芸術でした。

芸術といえば、ベルサイユ宮殿を訪ねた時、
ゴウジャスな文化は、
階級社会があったからこそ生まれたのかもしれない。
富とそれを用いる場所があることで。と感じたのですが、

今回も、着物の豪華さを見るにつけ
日本の階級社会の時代背景も感じました。

晴れ着を切る階級と、作る側の暮らしは
大きく違っていたことでしょう。

これだけの労力をかけて作られるということは、、、
そんな風にも感じました。

今は、豪華絢爛もない分。階級はないと、思いたいです。
一方で、芸術や文化が、、、どのように育っていくのかも
ちょっと、矛盾していますが、今の時代は、
発展しにくいのかもしれないとも、思えてきます。

どれだけお金をつぎ込んでも良いと頼む、依頼者がいるのか?
職人の腕の見せ所がある仕事がどのくらいあるのか?

建築もそうですが、、、
昔の建築の凄さには、やはりお金のかけ方が違います。

しかし、その背景には、低賃金だったから
出来たのかもしれないとも、思えます。

ついつい、暮らし、の視点で見てしまうのが
ホームアーキテクトを名乗るサガでしょうか、、、笑。

実際には、思いがけない色の組み合わせ
大胆な構図、四季折々を感じさせる情景など、
その中に、日本人の審美眼を読み取ることができました。
本当に素晴らしかったです。

私が気に入った柄は、梅の合間に
御簾が挿入されていたものです。

最初は、御簾と気がつかないほど、
大きな円が描かれているのですが、
近くで確かめると
それは御簾の縁がくるっと丸められたものでした。

う〜む。大胆すぎる。女子の打掛なのに、
まるで男もののようなシャープさのある空間構成。
建築的な感覚がある方のデザインとお見受けしました。

着物の中に、時間、空間、そして、物語を入れ込む。
日本人って案外欲張りかも。

わざわざ、源氏物語の絵巻を入れるのが
ちょっとした流行だったこともわかります。

昨今の成人式の着物を見ると、
今は、何でもありの時代なのだなと感じます。

印刷技術の発達のおかげで、手仕事感はないけれど、
大胆な柄ものは、沢山ありますね。

それを美しいと感じるかは別ものですが。

きもの展を鑑て、一番の収穫は、
日本人の美への追求探求の凄さ
しつこさを垣間見れたことでしょうか。

芸術文化は、階級社会の背景があったとしても
何にも増して、その追い求める気持ち、情熱が源泉なのだと
現代の匠の作品を鑑て、自分なりに結論付けました。

見る角度によって、違う色のきらめき。
風景を描いた連作は、
実際の風景よりも深い世界観を醸し出し
伝統技法でモダンな柄を紡ぎ出す。。。など。

今の時代も負けてはいません。
むしろ、洗練されてきた。
という表現がふさわしいかもしれません。

もし、展覧会を尋ねるチャンスのある方は、
カテゴリーごとに
時代背景を想像しながら、楽しんでもらいたいですね。

私の趣味の一つに、鑑賞を終えた、
展覧会の公式本を購入するというものがあります。

子どもも展示をとても気に入った様子だったので
購入しようか?と尋ねたら、
「印刷ではあの立体的な美しさは変わるからいらない」
と、言われてしまいました。

確かにそうですね。
パンフレットの写真よりも、ず==っと現物が良かったです。
記録としての本であるなら、ま、いいかと、今回は購入なし。

朝日新聞の号外記事が現地で配布されています。


やはり欲しくなって、
こっそり通販で買ってしまうかもしれません、笑。


古民家再生にみる、女大工の底力

2020年07月20日 | ものづくり


ここのところ、年を重ねてきて、
時代の変化を感じ、これは良かった!と思うこと。

それは、女性のプロに出会う機会が、本当に増えたこと。

我が子を取り上げてくれた産婦人科の先生は男性でしたが
奥様も女医さん。今、更年期の相談は
その奥様の方に見てもらっています。
毎回、台に乗って検査もしますしね。

これまで、乳がんの検診で、触診する医師や
マンモグラフィ(あの乳房を潰すや検査です)の技師は男性でしたが、
今年はどちらも女性でした!
年を重ねても、デリケートな部分に触れられるのは
やはり同性に越したことはありません。緊張感が違います。

こんな時代が来るとは、、、単純に嬉しい。。。

昨年は、人間の普段は出す方の穴から、
逆流してカメラを入れましたが
その時も担当が女医さん。
ほんと、恥ずかしさが半減しました。

医療の現場で、
女性の進出は進んでいるなぁと実感します。

建築の現場はというと、、、どうでしょう。

監督さんには、何人かお会いしましたが
職人さんには、まだ、ほとんどお会いできていません。

そんな中、一人の女性が
自力で再生した古民家再生の民泊があると知り、
泊まってきました!(TOPの写真は食堂)

↓玄関、昭和初期の住まいに手を入れて民泊に再生。



先々週の熊本の現場の仕事の帰りに
福岡まで、足を伸ばしたのです。

豪雨の最中、SNSやブログにアップするのが
はばかられました。

しかし、ここまで初めてでも、出来るんだ!
ということが、むしろ勇気に繋がるかもしれないと

そして、私の感動した気持ちも
忘れぬうちに綴っておきたいと、

今日は、その民泊体験にお付き合いください。

↓受付のホール、アーチは、補強も兼ねて。


一度には紹介しきれません。
ブログを分割して書きます。

まずは、1回目の本日は、
女主人であり、女大工である
カズコさんの空間づくりの経緯から。

とにかく、凄いの一言です。

私も、まぁまぁ、無鉄砲な方ですが
彼女の人生の思い切りの良さには、
脱帽しか有りません、笑。

約13年前に、親戚、縁者、友人さえいない
全く頼る先もない、畑が広がる福岡の山あいの田舎に、
単身、引っ越されました。

手に入れられる古民家が、ここにあったというご縁で。

それまでは、教室を開く陶芸家を
東京でされていたそうです。

だから、タイルがいっぱいの空間になっています。

↓cafeの洗面所、タイルと流木でデコ。


子育ても終わり、一人きりとなって。。。
タイルと建築の融合を夢見て!

もうそこかしこに、彼女の工夫が凝らしてあって
飽きません!これは、2回目で綴りますね。

もしかしたら、出来上がったものだけ見ると
建築を知らない人には、作るときの大変さと苦労は
伝わりにくいかもしれません。

雨漏りを修復するのに、
いろいろな防水方法や材料を試したり、
失敗しても、諦めない姿勢や

光や風の入れ方など。。。
見えない部分も工夫がいっぱいなのです。

だからこそ、私の感動はひとしおでした。

しかも、彼女は陶芸は経験があっても、
大工の経験は、一からだったそう。

道具を揃え、作り方を独学し、
材料は材木屋さんから譲ってもらいと、奔走されてます。
男性でも、これだけの気力体力がある方は
どのくらいおられるかしら?

資金は、夜中のトラック運転手で稼いだそうです。
昼間の大工仕事との掛け持ちで。

タフです。タフ過ぎます。
夢を実現させるためのパワーが凄いですね。

詳しい工事の様子などは、
泊まるとアルバムを見せてもらえます。

残念ながら、雑誌やメディアの取材は受けていないそう。
女性一人での運営と暮らしに、やはり不安もあるようです。
それは、私も同感です。

民泊も、女性専用です。
民泊にするまでの手続きや、様々な課題もお聞きして
何度か、もうダメかも!?というような時もあったそう。

あぁ、挫折されなくてよかった!

とにかく、どこを切り取っても、
絵葉書になりそうな素敵な空間になっています。

タイルを散りばめたお風呂など、
建築家ガウディを彷彿させるなぁと思ったら
やはり、スペインのグエル公園をご存知でした。

↓浴室の窓周り


ね! 素敵でしょう。

いろいろご紹介したいのは、山々ですが、
本日は、この辺で。

次回は、私が「まぁ、キュート!」と思ったところを順にご紹介します。

ありがたや 洪水の被害受けても、作業は進む

2020年07月13日 | くまもと型復興住宅03


今回の九州の大雨は、甚大な被害の中、

建主さん、地元の工務店さん、職人さん、
それぞれに、直接の被害はなかったものの

工務店さんの地域の緊急被災支援や、
道路の寸断、高速の通行止めなどあるため
先週1週間は、工事を休止することになりました。

建主さんにもご了承いただきました。
その間、大工さんは、
内部木建の枠を加工してくださるとのことでした。

無理のない範囲でと、お願いしていたのが、
本日、現場に到着しました。

今回、監督さんはまだ、地域支援で、現場には来れず、
大工さん2人のみ来訪。

そこで、人手不足を補って、
建主さまも、荷下ろしを手伝ってくださったとのこと。
ありがたいことです。

前回の監理の様子は、HPのニュースページにアップしました。
こちらも合わせてご覧ください。


前回の監理日に、間に合わなかった
内装のカラー和紙のサンプルも
持ってきてくださったとのこと。

写メを送ってくださり
色選びのポイントを説明。



あくまで、写真なので、実際の色を見て
決めていただくのは、建主さま。

 お誕生日から導く
風水的なラッキーカラーもお伝えして。



家の空間はあくまでベースカラーで

アクセントカラーには、ちょっと遊び心も入れて。

さらに、建主さまの運気アップも加えるのが
MKデザインスタジオ流でございます、笑。

信じるも八卦、当たるも八卦。。。。

正確に言えば、、、
その年の、ラッキーカラーではなく、
一生、補った方が良いと言われるカラーです。

気になる方は、、、
インテリア相談として、
HPより、お問い合わせ下さいね。

無事のフライトで現場監理へ 太陽と、満月と、雲と 〜山にビジョンを〜

2020年07月06日 | 熊本便り


先週は、熊本の現場監理に伺いました。
梅雨の雨のなか、出かける不安もありました。

なんだかんだと、天候がギリギリの事もあり
毎回ハラハラしながらも、
飛行機が飛ぶことを信じての移動です。

羽田を発つときは、曇りだったのが、
到着時には晴天の熊本。



ありがたいことに、現場では、
天候が良く、建物の周りも内部も
しっかりと確認できました。

監理内容は、改めて、綴りますね。

熊本を立つ際は、「球磨川が氾濫した!」次の日。

幸い、熊本市内は、曇り時々晴れで、
無事に出発しました。

雲の上は、晴れ。(topの写真)

その下で大雨が降っていると思うと、
大変な時に、故郷を離れてしまうことを、
心苦しく思いながらいたところ、、、

しばらくして、窓の外に現れたのは
なんと、満月!?(正確には、一日前の月)



今回、いつもの席
富士山と阿蘇山が見える側は、埋まっていたので、
反対側を取ったのですが、
これが逆にラッキーなことでした。

満月は、感謝祈りの日。

無事でいられることに感謝するとともに
これ以上の被害拡大がないように、、、
祈りました。

今回の令和2年熊本・鹿児島大雨災害は、甚大です。
やっと、熊本地震の復興が落ち着いてきた矢先。

今度は、南部の洪水に土砂災害。。。
本当に、いたたまれなくなります。

移動後は、親戚、友人、知人、そして仕事仲間
みなさんの安否確認でした。

中には、大きな被害を受けた方もおられます。
お見舞い申し上げます。

現在、固定電話、ネット回線が不通で、
携帯のみでのやりとりとのこと。

システムが稼働しないので、
キャッシュカードが使えず、買い物は現金のみ。

キャッスレスが、こういうときには裏目に出ますね。

私が一番悔しいのは、過去の洪水被害の教訓が
生かしきれていないことです。

例えば、福岡の朝倉で、今回と同じ
洪水や流木被害が出たこと。

早めの避難や、ダムの事前放水ができなかったものかと
悔やまれます。

一方で、自分も同じ立場だったら?
咄嗟の行動が、できる自信はありません。

突発的な時に
人は、フリーズしてしまったり、

自分は大丈夫という心理が
働いてしまうもののらしいので、要注意ですね。

日本には山があり、川があり、それが豊かな水田や畑を作り
食べ物が豊かである一方。こうした危険がつきまといます。

今回の、偶然の満月とのご縁のフライトで、
誓います。



これからの、まちづくりや地域おこしに
そして、森づくりビジョンなど、もっと、先手を打てるよう
活動していく所存です。

今、困っている人を助けること、
将来の困ることを生み出さないこと

後者は、結果がわからないので
生きている間に、賞賛されたり、
注目されたりということはないかもしれません。

しかし、それでも、
やはり、問題を考える、今、手を打つことが肝要かと思います。

球磨川は、、、治水に関して、
ず==っと先送りされてきた場所です。

甚大な被害をこれ以上出さないためにも
ダムに頼らない、そして、自然を甘く見ず、
きちんと保水力のある山に還していくこと、、、

2012年の九州北部豪雨の爪痕を体感した経験から
ずっと、問題を指摘していたこと、自分なりのビジョンも含め
今度こそ、熊本の山の具体的な整備に、提言していきます。

今、その検討メンバーに加えてもらえるよう
努力していることろです。この夏には、実現させます。

微力ではありますが、
問題意識と、理想を実現させたい想いを胸に
そして、未来の環境のあり方のために

これからも、尽力していく、、、
そう誓った、満月のフライトです。

来月には、道路状況も改善されるでしょうか。。。
支援に参りたいと存じます。

みなさま どうか、気落ちなさらず
少しでもお元気でお過ごしいただければと思います。