三連休、皆様は休日を楽しまれたでしょうか?
最終日、久しぶりの晴れ。なんとも嬉しいですね。
熊本では、週末、道路冠水が起きました。
帰宅時には、倒木や、排水溝の蓋が水で押し上げれ、片側を塞ぐなど
水が溢れ出す道路を、やっとの思いで、車を走らせて帰宅しました。
(コンクリートで固める山道にも、帰って危ない点があり
実はこういう風景を見て、合点がいかないのですが。。このテーマは後日)
昨今の大雨に洪水、日本だけではなく
海外のニュースにも驚かされます。
気温が高温になりすぎて、死者が出たり
地震被害が起きたりと、災害国日本どころではなく
災害星、地球になってきてしまっています。
私も国産木材の活用に目覚めたのも、
災害や周囲の市場主義の経済破綻がきっかけです。
今日は、憂うだけではなく、
どう考え、行動していったらいいのか。。。
先代の知恵に学んだことを綴ります。
私のHPに掲げた2013年「森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト」の
概念図を見た叔父が、「生命誌を勉強しなさい」と教えてくれました。
生命誌!?
実は、お恥ずかしいことに、それまで知りませんでした。
女性科学者の、中村桂子さんの生み出した概念です。
http://www.brh.co.jp/about/concept.html
とても感銘を受け、
「生命の源は、植物から」という話を
させていただくときに「生命誌」を紹介させてもらうこともあります。
その中村氏の最新の書籍が
なんと、「保育通信」(=全国私立保育園連盟の機関誌)の
書評に取り上げられていたのです。
「えっ?保育のことも書かれるの?」
ちょっと驚きでした。
こども環境アドバイザーの勉強として
時々拝読している保育通信。
そこに、科学者の登場ですからね。
本のタイトルは「ふつうのおんなのこの力」とあります。
早速、拝読しました。
内容の肝は、「おんなの子の戦争と平和」について、でした。
欲望と戦争の世界を変えていくには、
ふつうのおんなの子の力が大事なのだと。
ふつうの定義は難しいと、著書も冒頭に述べています。
ここで言う、その力とは、
「日常を大切にする力」でした。だから女の子だけとは限りません。
中村氏が、子ども時代感銘を受けた本の登場人物(主に女の子)をモチーフに
ご自身の戦争の疎開体験などと重ねながらに、
社会を、世界をより平和に導くのは
「つもりになる」想像力や、
「心から湧き出てくる言葉を大切にする力」と、説かれています。
私は、ここで自分の設計の仕事の方向性と、照らし合わせました。
暮らしをハッピーにし、
動植物の生き物の環境をハッピーにし、
それが地球環境をハッピーにする
と、信じていたことに、
太鼓判を押してもらえたような気がしたのです。
身近なこと、家族のことや暮らしを後回しにしてはならない
目先の利益を得るいっときの経済活動だけで
世界平和には、繋がらないと思い続けてきたこと。
時に、世界で活躍する建築家の派手な作品や
重力や自然に逆らう造形を生み出して、賞を取る建築家の活動を
複雑な心境で観ているからです。
災害があったら、凶器になるような建築は創りたくないなぁ。。。
でも、これが評価されるのだよねぇ。。。と。
自分の仕事と建築社会の評価のギャップに、戸惑う。
あたりまえの、ふつうの、というのでは、
評価がされにくいというか、気にもとめられない。
評価が欲しくて仕事をしている訳ではないのです。
建築を評価する社会の方向性と、先の、平和でない世界への
憂いの根っこは同じと感じているからです。
中村氏が生命科学だけでは、世に平和は来ないと悟り
では、どうしたら良いのか?
と新しい知を創ろうと「生命誌」を始められたのが
実に、50歳の時だそうです。
現在で26年目の活動です。
私が、ものづくりの方向性に
創り出す時と地球に還す時のエネルギーを考えて、ものづくりすべしと
事務所の概念図に書いた「創還エネルギー」という概念や
「競争から共想の社会へ」という思想も、
もしかしたら、根っこに世界平和を願っている!?
「ふつうのおんなのこの力」かもしれないと思えてきたのです。
大げさなことをするのではなく、
宇宙で生かされている奇跡の地球人の一人として
限りある地上で、独りよがりになるのではなく、
ま〜るい地球を見据えながら、自分の目の前の課題を精一杯行う。
そうか、それで良かったのだ!
『思い悩まず、進みなさい。全然気負わなくて良いよ。』
とこの本から、言ってもらえた気がしてくるのです。
それが、きっと、保育の力でもあるのだろうなぁと。
書評が掲載されたのは、
子どもの目の前の命と、精一杯向き合っておられる
保育者の方々にも、もしかしたら、
そんな勇気を与えてくださる本だから、なのでないかしら?
と、最初の異分野の驚きから
納得に変わったのでした。
もちろん、保育に関わる方々が
平和の心を持った日常を大切にする力を
子どもたちと育んでもらえたら幸いですね。
専門馬鹿ではなく、視野を広げることを
常に意識していこうと、改めて思う読書でした。
これからも、日常生活、社会に対して、
疑問を放って置かない素直な心や
何かおかしいと思ったら、改善していこうと努力する姿勢、
『ふつうのおんなのこのちから』を持ち続けていきたいですね。