せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

西暦2022年を振り返って、思いがけない出会いや出来事をと面白る一年でした

2022年12月30日 | ユニバーサルデザイン


仕事納めの方、まだ年末年始関係なくお仕事の方
様々かと存じます。

当方は、今月29日より、冬季休業ですが、、、
そうなのです。年末年始、我が家で過ごす身としては、
今年も、おせちの準備などで、実は慌ただしくしています。

段取りと、買い物、片付けに、食器出しなど。。。
今年は、義母の代わりに、畑の手入れも加わり、
なかなか家事の時間増し増しの暮れです。
毎年、嫁としての、少しもの務めです。笑。

みなさまにとって、今年はどんな一年だったでしょうか。

コロナ禍の昨年に比べたら、行動範囲も広がり
人との交流も増えたのではないでしょうか。
そして、そのことをかみしめた
一年でもあったことと思います。

私も、面白い出会いが沢山の年でした。
ありがとうございます!

一方で、今年は本当に家族のことで、
いろいろなことが起きすぎて
気が休まらない一年でした。

どなたも通る道かもしれませんが、
それにしても、重なりました。

ブログに綴りたいこと、たくさんあったのに、出来ずじまい。
旧暦新年までには、ちゃんと記録しておきたいですね〜。

さて、今年一年を振り返ってみます。
今までとは、大きく変化があったトピックを綴ります。

1)仕事のこと

今年は、新しいチャレンジが続きました。
建築を通じて、今までとは、違う立場でのお仕事。
経験と、年を重ねたことによって、頂けた役割です。

一つは、公的な建築のものづくりの、審議委員。
委員の皆さんとの意見交換に始まり、設計案の審査まで。
事前資料に眼を通す、意見をまとめる、会議に参加する、
と、実に準備が大変でしたが、様々な学びがあり、
建築への熱い思いと、時に制度の壁に対する悔しさも混じりながら
なんとか、良き方向に導けたのではないかと思っています。
委員の皆様が、それぞれに違うお立場で、
その方々の意見を伺うのも、実に楽しみでした。
守秘義務があり、その喧々諤々をブログに綴れないのが、残念。
公表される内容については、順次、お伝えしていければと思います。

二つ目は、大学での講師のお役目です。
大学の校風もあるでしょうか。
伝統的な女子の大学ということもあり
学生さんは素直で、熱心な方ばかりでした。

私も、伝えたい!という想いが熱くなった授業でした。
図面やエスキスを添削して授業に臨むので
こちらも、準備は大変ですが、学生さんがどんどん技術を吸収し
発想力や構成力、まとめる力を身につけてくれたのは
うれしい限りでした。

学生さんの授業アンケートの結果も教員には知らされるのですが、
平均よりダントツに、「自分が成長したと思う」という点が
高評価だったのには、嬉しかったですね。
もちろん、平均以下の項目もあり、
反省点は、来年に工夫していきます。

2)プライベートではヘロヘロに。

母のホスピスケアに、葬儀。父の介護に入院。義母の救急搬送に手術。
途切れることなく、ハラハラの心配が続きました。

さらに、自分自身の心身の調整がなかなか大変でした。
結構、振り回されました。精神的に。
病院の手続き関係には詳しくなりましたけどね、笑。

今やっと、こうしてブログが綴れるということは
私自身も、元気になった証拠です。

3)健康のあたらしい習慣

そんな中、腰痛のリハビリも兼ねて始めた筋トレが
思いのほか良くて、助かってます。

もちろん痛みが消えることはありませんが
以前よりも、動かしやすくなっていることは事実です。
このまま、続けられると良いなぁ。。。

もう一つは、「分子栄養学」の学びと実践。
発達障害の専門家に紹介してもらいました。
(発達障害とはこれから言わなくなるようです)

朝起きれない子どもの健康のため
保険治療ではないのが難点なのですが、
根本的な体質改善の方法を模索し、自分自身の疲労回復にも
役立ち、共倒れにならないで済みました。

免疫力アップにもつながり、おかげで
学校でも、仕事関係でも、コロナにかかる人が多いなか
なんとか、家族全員、かからず仕舞いできております。

4)対談デビュー

異色メンバーによる、対談が本に掲載されました。
その名も「神木女子」対談。
かみきではなく、しんぼく、です。
御神木について語っています。

SNSでは、発信していましたが、
ブログでは紹介していませんでしたね。

お正月に、詳しく紹介したいと思います。

神木女子メンバーが、強烈な個性で、
ユニークなお仕事をされていて。
私はとっても心地よいメンバーでした。

出版社と著者が、日帰り旅も企画してくださり、
それもまた面白い旅でした。

様々な出会いによって、建築という視点から、どんどん
視野が広がって、本当に、面白い年でした。

一年を通して、心身ともに疲弊した時期もありました。
トータルすれば、苦しい時も、いろいろな体験ができた
そいう点で、面白い方が勝るでしょうか。。。

私の得意の「面白がる力」
本当に今年は、これが試された年でした。

これからも、どんどん、面白がる力で、面白い船に乗って
面白い旅にでる人生でありたいなと思います。

かなり私的なまとめになりました。
みなさまも、来年に向けて、お疲れの残りませんように。。。

どうぞ、良いお年をお迎えください。


インクルーシブな世界、そしてダイバーシティとは? ~ジェンダーフリートイレの考察〜

2021年09月06日 | ユニバーサルデザイン

注:写真は全てコロナ禍前の工事中見学会(2019年)の写真です。

パラリンピック2020+が、昨日閉幕。
開会式と閉会式をオンタイムで拝見しました。

競技は、気になる種目を
ネットのハイライトでチェック。
テレビ放送を見始めたら、キリがないですものね。

今回、驚いたのは、
TV放送だけではなく、インターネット上で
ほとんどの競技が拝見できたこと。

見逃し配信も、ロボット中継もあり、
随分便利でした。


新国立競技場 
昼景しか見ていないので、TVの夜景は新鮮でした。

今回の開催にあたり、
反対する意見もあり、医療従事者の方や
スタッフの負担を考えると、話題にしていいものかどうか
躊躇するほどでした。

日に日に増えていく、新型コロナの感染者数と
喜びのメダルのニュースが並行するって!?

観戦者の一人として、戸惑いもありました。

実際は、感動の嵐だったのですけれどね。
特に、パラリンピックは、競技内容の素晴らしさに加えて
インタビューでは、もらい泣きでした。

そして、世界中からこれまでで最多の参加だったとか。
安心安全な日本だから受け入れることが出来たと
自負しても良い結果だったと思います。

こんな社会情勢の中だから
開会することよりも、むしろ無事に終えることの意味が
大きかったように思います。

一方で、誘致時の復興やおもてなしを謳ったものとは
違うものになったように感じました。

コロナ禍での開催自体が
レガシーになってしまったような印象です。

本日、この話題を取り上げたのも、
いくつか気になることが残ったからです。

<パラリンピックと今後の建築のあり方>

閉会式で使われた、「インクルーシブ」という言葉と
「ダイバーシティ」についてです。

インクルーシブには、「包括的な」という意味があり
日本では福祉の現場で早くより使われていますね。
地域包括支援や、包括医療など。

所属する「発達障害の生活環境を考える会」で、
この言葉を知り、福祉医療教育など様々なメンバーと、
建築的なインクルーシブって何だろう?
という勉強会を重ねてきました。

空間構成のハード面だけではなく、
人的や運営でのソフト的な対応との
融合性が大切というのが
今のところの私の結論です。

バリアフリーにすれば良いというものではなく、
視覚障害者と聴覚障害者では、感知の仕方も違い、
障害によっては、妨げになってしまうことも。

つまり、柿本の違和感は、

この、「包括的」という言葉が、
だれにでも優しく包み込むような
イメージだけが先行して、単純なバリアフリーにすれば良い
というものでは、あってはならないということです。

障害は、完全に個別性です。

大まかな共通項の対応可能な解答はあっても、
誰にでもOKという解はないということです。

むしろそれよりも、利用者のニーズに合わせて
可変させられるだけの、フレキシブルさが求められると
考えます。それこそが、包み込める空間ではないかと。

もう一つの言葉、「ダイバーシティ」。
閉会式でひとりひとり違う衣装で、
賑やかな街を闊歩する姿で、表現されました。

単に、賑やかな街で良いの?
ちょっと待って!

日本語で言えば「多様性の尊重」と、
個人的には受け止めていて

結局「受容性」であり、お互いの「尊重」
が大事ということなのではないかと。

これからは、そういった価値観で
様々な立場の人々が、共に手を取り生きて行く社会
になっていく。。。それが理想だと思っています。

決して、個性的なファッションではないですよ=。

子どもたちが勘違いしてしまうといけないと、
そこは大人が伝え他方がよい部分なのかなぁと
映像をみて思いながら、、、

あ、でもね。きっと子ども達の方がもっと
受容的で、尊重精神があり、柔軟でしょうね。

大人が、あれダメこれダメと決めつけないように
しないとならないのかもしれませんね。

ハード的なダイバーシティを謳うなら、
車椅子もベビーカーも自由に闊歩できる
街にしたいですよね。

今の日本で歩車道分離がきちんとなされて
緑も街中にあって、という都市を私は知りません。
障害物だらけ、坂だらけですよね。

これまでの万博やオリンピックの施設は
建築のものづくりの技術的進化のためにもありました。

今回の東京オリンピック・パラリンピックでは
どんな建築の進化があったのか?

<進化したのは、マイノリティーへの対応か?>

SDGsに適合と、胸を張って言える施設ばかりではなく
技術的な進化は、それほど感じられませんでした。

それよりもむしろ、
LGBTの方のトイレやロッカーをどうする?
といった、マイノリティーの性別に
関しての課題が直面したと聞いています。

マイノリティーと表現している時点で、
おかしいのかもしれませんが。


パラリンピック対応へ
トイレを改修した古い施設を見学した時



感じた違和感は、確かに設備は立派でしたが、
圧倒的に、数が不足するだろうな
という点でした。



車椅子バドミントンで使用されたその体育館は
名建築ですが、



限られたスペースでの対応で
仕方がないのだろうなと思いながら、

仮設のトイレなどで対応したのだろうか。。。
など想像しながらの競技観戦でした。

車椅子の方は、水分を控えたり、トイレ使用を
かなりコントロールされると伺っています。

でも、アスリートの方が、
水分を控えるわけにはいきませんものね。


以前、車椅子バドの練習を少しだけ見学させてもらいました。


そのあたりを開催国としては、研究者が検証する
のが、一番にも思いますが、
取り組んでいる大学の先生はおられるでしょうか。

機会があったら、研究会のメンバーにも
探ってみたいと思います。

<これからの多様性社会のトイレとは?>

LGBT対応トイレに関しては、
私自身も絶対にこれだ!という結論は出ていません。

多機能トイレ(みんなのトイレ)は、確かに子育て世代には
ベビーカーごと入れて助かりました。
が、混んでるんですよね。
車椅子の方を待たせてしまうのは
心許ないのです。

また、子ども誘拐や
性的犯罪の場所になったりと負の側面もあります。

ベビーチェアが、男性トイレにも設置されたり
車椅子トイレが、男女別になっていたりなど、
施設ごとに様々な対応は進んでいますが

LGBT専用とするのは、
そのことを公にしたくない人にとっては
憚られます。

「ジェンダーフリートイレ」が海外では
当たり前になってきている昨今。

今後は、個別性になって行くのではないか。。。
と、予感もあります。

個室。
鍵付きトイレ。
見張り番付き?
海外みたいに、お金を払わないと入れない?

テロ対策かねて、
受付を通じるかもしれませんよ。

あまり大げさなことにならず、
気持ちよく、様々な人が自由に使える

男女どっちでもいいよ=、

ただし、プライバシーは守られる
そんな空間にしていきたいですね。

トイレ問題を考えることは、
実は社会を考えること、と深いと思っています。

話が大きいのか、
小さいのかわからなくなってきましたが、、、(笑)

最後に、本当に大事なのは、
人と人との断絶を
起こさないことですよね。

これからの建築のものづくりは
ハートのバリアフリー
しっかりと、演出、出来ますように。。。


建築の新陳代謝2〜新旧横浜市庁舎の建築家展に学ぶ、考える〜

2020年12月15日 | ユニバーサルデザイン


続きです。

村野藤吾という建築家が、
他の建築家と違った経歴は何か。。。。

それは、エリート、ストレートではない、
遅咲きという点に、あったようだ。

ホワイトカラーの前に、
ブルーカラーも経験している様子。
工場が、人の空間であると思えない現実に直面し

空間に差別があってはいけない
感じての設計活動だったようだ。

それは、今回の新たな私の発見だった。

実際、大学は早稲田なので、優秀な方なのだが
九州出身で、田舎者と都会のギャップも
今より、もっとあったであろう。

私の学生時代でさえ、
「地方の大学出身では、建築家になるのは無理」
と、はっきり言われたものだ。

そんなにも、建築業界は、
都市部と地方では違うのか?

村野藤吾の、「東京の連中は、、、うんぬん」
という文句のようなつぶやきもあったそうな。

最後まで、大阪を拠点とされたと
説明があったが、東京での仕事ももちろん、
設計稼業は、全国展開している。

これまでも、いくつか村野藤吾展は拝見したし
建築空間も味わってきたが

今回、実際に図面を保管している
大学の研究者の話で
とても印象に残ったのが、

「建築家とは、本来一人でやるもの。
一人で社会と向き合うもの。」
と村野藤吾が語っていたそうだ。

孤独な仕事なのだ。

そして、答えは、
「自分自身を信じること。
自分の体の中にしかない」
のだそうだ。

私が独立した時、自分やスタッフの、
事務所の心得として、

「建築のモノづくりは、その人を越えない。」
まず、自分磨きから。。。という項目を掲げている。

それに近いなぁと、とても共感した。

時代や人、環境にどれだけ反応できるか
知識や知性、美意識をどれだけ、
蓄えていられるか、そして
それを形に発露できるか。。。

常々、感じてきたことであるが
やっぱり、コツコツ頑張らなきゃ、
ならないのね、笑。

そして、研究者からは、村野藤吾は
「コルビジェを尊敬し、模倣しつつ
北欧建築の影響を強く受けている」と
分析があった。

だから、ヒューマンスケールの
建築になっていると。

建築は模倣から始まる。。。
とは、言われるが、
ここまで、似ていたとは!?

これまで、日本にない
西洋建築を作ろうとしたのだから
欧米建築を視察したり
相当に図面集で学ばれたようだ。

戦前戦後のモダニズム建築の
巨匠と呼ばれる人たちは
努力の巨匠であり、
模倣の達人でもあった訳だ。

先達に学ぶことは、本当に必要だ。

改めて、私も、できる限り、
学生時代には気がつかなかった部分や
理解できなかった部分も含めて
改めて建築を学び直し、楽しんでいこうと思う。

そして、孤独な稼業はしょうがないと、、、
諦める!?かしら。(笑)

その中でも、自分なりの楽しみ、手応え
そういったものを見つける達人にも
成りたいですね!

来年に向けて、まとめのような
今後の希望のような
そんなブログになりました。

最後に、
どんな仕事も、最終的には、
責任が伴います。

「身軽足軽、人を創らず」

最近知った言葉です。

今川家の家臣・雪斎禅師が
「責任は多く、かつ重いほど人物を創り上げる。」

と語ったそうですね。

荷の重さ。。。

建築のものづくりで、常々感じるこの感覚。
私をつくってくれているのねぇと、
感謝しながら、
プロジェクトの重みを背負っていきます。

こういう社会情勢の中でも
リモート講習会や、建築展で学べたことは、
本当に身になりました。

今年は、足腰を鍛える(ベースを作る)
ことが出来た、一年になりました。

今後の方向性、そして活動に
活かして参ります。

追伸:
赤レンガ倉庫で同時開催だった
浦辺展も見応えがありました。



若い学生さん方が、模型作りを通じて
建築を知る体験をなさっている
展示でもありました。

模型作りは、大変に根気のいる作業です。
神経も研ぎ澄まさないとできません。
集中力も試されます。

後輩たちも学んでいることも
私の励みになりました。
感謝です。




オンライン稽古で汗をかく〜氣を出すことの大切さ〜

2020年05月04日 | ユニバーサルデザイン


新色のまぶしい季節です。
みどりの日の祝日名に、ふさわしいですね。

緊急事態宣言が、延長されました。
5月一杯は当面、外出自粛の巣篭もり生活です。

今年に入り、様々な予定が変更され、
今後の予定も(仮)がついたり、未定になってしまったりと
気持ちのモヤモヤが続いておりました。

みなさまは、さまざまなモヤモヤを
どのように対処されておられるでしょうか。。。

緊急事態宣言が出てから、
自分自身で、時間と氣持ちをコントロールするために
朝散歩と、朝の神社へのお詣り
 (新型コロナゥイルス感染収束の祈願)
を日課にしてきました。

それでも、一人で行うことですから、
氣は落ち着くのですが、張り合いが今ひとつ。

そんな時に、熊本の合氣道の先生が
オンライン稽古を始めてくださいました!

(4/23の新月にスタート、タイミングも良い感じです)

もう、大感謝です!!!

身体を動かすスッキリ感に加えて
何と言っても、皆で同時に、同じことをやる、
一体感が素晴らしいのです。

合氣道は、もともと、人と組み合うものですから
一人では、基本の動作の稽古になります。

それでも稽古の、目的が、
 心身の統一と、氣を出すことですから
一人で動いても、進歩することは出来ます。

稽古に通えない時は、合氣体操(一人稽古)
なるものを、細々と続けてまいりました。

しかし、どうしても自己流になりがち。

今回、先生の動作の映像を見ながら、
そして自分の動きも画面で見ながら行うと
間違いや、微妙な違い、勘違いに気付かされます。

最後に質問コーナーがあります。
ある方の質問への先生の回答の中に、

「『腕振りを止める』は、『停止』ではないですよ。『静止』ですよ。」
と、先生が指摘され、ハッとしました。

私も、停止でイメージしてしまっていました。
あぶない、あぶない、笑。

皆で稽古するということは、
こういう学びになるのだなぁと
またまた、感謝。

基本動作のポイントのおさらいにもなり、

遠方の身としては、オンライン講座は、
むしろ、願ったり、叶ったりです。

緊急事態宣言が出されなかったら、
熊本のみなさんだけで、どんどん稽古が進み
置いてきぼり感を、味わっていたかもしれません。

昨今の社会事情に、
気持ちがネガティブになりがちなところを、

先生も、氣を出す(ポジティブに、はつらつに気持ちを保つ)
ことの大切さを改めて説かれ、

このような状況でも、焦らず
心鎮めることに、努められるのも

合氣道を、細々でも続けてきたから
こそと、実感しました。

さらに、先生のご親切で
嬉しいことに、朝稽古も始まります!

朝は、氣の呼吸法といって、息を長く吐くことと
ゆっくり吸うことで、氣を鎮める呼吸を行います。

吸う、吐くのタイミングを
拍子木で叩いてくださるので、
これもまた、みなさんと一緒に、行うことができます。

今、このような状況だからできることに
目を向けて、ポジティブに過ごしたいと
ますます、思えてきました。

追伸:

稽古の中身は、有料のコンテンツですから
ここに書くことはできません。私が感じたことや
学んだ点について綴ることしかできません。

その中で、建築と結びついた氣付きを最後に一つだけ。

振り返る一人動作の中で、
 自宅の限られた空間で行うので
「ぶつからないようにしてくださいね」
 と注意してくださいます。

けれども、壁があるからといって、
 「氣をそこで止めないでくださいね」

ここでまた、ハッとしました。

いま、この状況で、在宅ワークや休校で
住まいの中で、不都合が多く生じている方々の
無料相談を始めることにしています。

限られた空間のハード面だけではなく、
気持ちの問題(ソフト面)の改善方法も
お伝えしていければと思います。


本物のバリアフリーとは何だろう?必要なのは、自立と尊厳。 〜調査と研修で検証する02〜

2019年10月08日 | ユニバーサルデザイン


本日は、二十四節気の「寒露」。
朝晩の涼しさが増してくる頃です。

横浜では、日中は、日差しも強く暑さもある中、
早晩は静かに、冷えてきました。

早朝お弁当を作るときは、冷えるので着込み、
日中仕事で出かけるときは暑いので、
少し薄着になるといったように、調整しないと、
すぐに風邪をひいてしまいそうです。

皆様の地域での気候は、いかがでしょうか。
用心が必要な季節柄です。

今日は、先日のブログの続きになります。

バリアフリーについて、
今後私たち設計者は、どうしていったらいいのか、
検証の必要あり、の話です。

建築士会の研修で、海外の事例紹介がありました。

一級建築士であり、大学で教鞭も取られている
アクセスコンサルタントの方が、講師です。
車椅子利用46年とのこと、当事者でもあられます。

これまでのご自身の体験を踏まえ
ご自身の研究、世界の制度や事例のお話も伺いました。

『バリアフリーは国際的には通用しない言葉、
アクセシビリティと言うべき』であると。

ちょっと、ショックでもありました。

私たちは、心のバリアも含めて、
バリアフリーを目指しています。
そこにある壁をとり払うイメージです。

しかし、国際的には、いかに目的地に自立してたどり着けるか、、
施設だけではなく、交通事情も含めて。
利用できるかに焦点が当たっています。

バリアが存在するということ自体が
ナンセンスということでしょう。

もちろん、諸外国では、まだ様々な制度の整わないところもありますが
日本がお手本にするのは、欧米の先進国と言われる、
アメリカやイギリス。

例えば、野球観戦のスタジアムの
車椅子利用者への席の多さと、選択肢の多さは、アメリカの事例。

交通に関しては、イギリスの事例が紹介されました。

民間の施設でも、それだけの配慮があるということを示されました。
日本では、公的な推進義務はあっても、
民間までは大きな縛りはありません。

その整い方の差は、歴然でした。

福祉部会主催の研修会なので
日頃、バリアフリーの意識の高い建築士が集ったのですが
それでも、会場からは、ため息が漏れました。

ここで、私が20代でバックパッカーで、
ヨーロッパを旅した時のことを挿話します。

街の中に高齢の杖をついた方、
車椅子利用の方の
一人での外出を多く目にして、とても驚きました。

日本人も長生きなのだから、
とうぜん高齢者や車椅子の方は多くおられるはず、
でも、外出しているのを見るのは本当に稀でした。

たまに見かけても、介助者も同伴でした。

その旅で、日本のバリアフリーの遅れを
目の当たりにしたものです。

それから、20年以上経って、どうでしょうか。
以前よりは、少し、見かけるようになりました。

しかし、道路事情を考えると、それはとても危なっかしく
最近でも、電車ホームからの落下など痛ましい事故も起きています。

ハードの側面でカバーしきれない部分は、
ソフト対応も考えられます。

目の見えない方には、声をかけて欲しいとのことでした。

日本人の美徳、遠慮といった
声かけのなさがあると、当事者研修で伺ったこともあります。

人としては、声かけと誘導(横断歩道など)
建築士としては、当事者の目線の設計、
このことを常に意識して行動していきたいですね。

今回の研修の話に戻ります。

講師から、特に強調されたことは、
障害者権利条約を日本は国連総会で採択したからには、
きちんと、「障害者の尊厳と権利を守ること」でした。

そうです。スタイルだけではなく、実務で実践ですね。

オリンピック誘致決定後は、
日本の障害者関係の法律も改正されたことが紹介されました。

昨年には、やっと、バリアフリー法も改正されました。
(不足部分もまだまだありますが)

誘致が、バリアフリーを、国際的な水準に上げていく
きっかけになっているのは、喜ばしいことです。

一方で、日本の法律も、
建築主の気持ち次第というところが大きく
施しのような整備にとどまっているというのが、
大きな課題ということでした。

悲しいかな現実は、まだそうなのです。

法を整備し、基準を整えておいて、あとは建主(設計や施工も含めて)にお任せ〜
では、「なんちゃってバリアフリー」が増えるだけです。

この指摘には、集まった建築士も、
気が引き締まったのではないでしょうか。

今回の研修で学んだ、今後のバリアフリーを整える方向性を
私なりにまとめると

1)施設及び交通環境などあらゆる社会環境で
自立した生活と行動ができるように、
使う、利用するという視点で、しっかりと見ていく。

2)法的な整備では、カバーしきれない部分も
専門家として、ハード面の整備をしっかりとフォローしていく。

3)この程度であれば良いだろうという施しの考えを捨て
世界の良き事例を参考に、建主への啓発も行っていく。

このことが、人の尊厳を守れる環境づくり
つながっていくのではないかと考えます。

しっかり、と強調したのは、時として、
少数派への対応はないがしろにされがちなので、
そこは、対等に、平等にあつかう、という意味がこもっています。

綴ることで、私自身の覚悟にもなりました。

研修会を開催くださった建築士会の仲間と講師の方々には
感謝いたします。

<補足>
現時点での、国や横浜の制度が気になる方は、
こちらを参考にしてください。
制度を整えつつあることが分かると思います。

建築士は、網羅しなくてはならないので、大変でしょう?(笑)
ここにとどまらず、実質に見合ったものにしていきたいですね。

国土交通省のバリアフリー、ユニバーサルデザインのHP

横浜市福祉のまちづくり条例

整備マニュアル