せっけい日和

MKデザインスタジオ一級建築士事務所柿本美樹枝のブログです。設計者として、生活者として、多用な視点で綴っています。

建築のリファイニングという考え方を学ぶ 〜改修改善を表す言葉概念を比較して検証〜

2021年08月30日 | 模型・実験・見学・講習・イベント


朝晩のやや涼な風に、秋到来?
と、感じたのもつかの間、熱波が続く日々です。

鎌倉時代から続くという神社の
参道には、早くも彼岸花が咲いており、
熱波の中、しばし癒されてまいりました。

自然は移り変わる。
暑さも、もう少しの我慢と思えました。

この建物も、移築再生、そして修繕を繰り返し
この地で生き続け、建築の寿命を伸ばして来ました。



本日は、建築に手を加えながら
『建築の寿命』を伸ばすことについて学んだことを綴ります。

1)建築の改修を示す言葉を考える

建物に手を加える時に、よく使われるのが、
リフォームという言葉ですね。

これは、専門家も使いますが
完全な和製英語です。

当事務所では、リフォームのお客様には
もし、英語にするなら

「Improving quality of life」=生活の質の改善
で参りましょう。というお話をします。

ハード面をいうには、
「Improvement of living space」=生活空間の向上
もしくは、
「Improving the quality of living space」=生活空間の質の改善


になりますが、
目的は、今より快適な生活を手に入れることですよね。

不便なところ、
質が落ちているところ、
使い勝手が変わってきてしまったところ、、、、
などを、拾い出して、
ハードな側面で解決していきます。

日本語で良いではないか?
と私自身も思うのですが
あくまで、「リフォーム」という言葉が、曖昧だからです。

昨今は「リノベーション」という言葉が
大きな建築の「リフォーム」に関しては使われますが、
日本語で言うところ修理、修繕に該当してしまいますね。

Repair(修繕)、
Renovation(修理)、

ですから、より改善していく方向性があるとしたら

Reconstruction(改築)、
Remodeling(改造)、

というのがふさわしいのが現実です。

がしかし、この言葉だと、
ハードな側面ばかりが強調されますね。

そんな風に、建築業界において、なんとなく
方法と言葉のミスマッチが起きていることが
分かると思います。

2)修理修繕とは、何が違うのか?

そんな中、建築家青木茂氏が提唱する
「リファイニング建築」という言葉で
示される建築の改善手法
を、先週末は、建築士会の勉強会で学びました。

近い英語ですと、

Refine(改良)
Refining(精製される)
Refinement(洗練)

こんなところでしょうか。

現実的な建築の改良方法はというと、
ただ、仕上げなどの意匠的なリノベーション
に止まらず、耐震性を持たせる事に始まり
建築の長寿命化を図りながら、
改修提案し、建物の資産価値を上げていくというもの。

この言葉は、氏の25年の建築改修の
設計監理の中で生み出された
独自の再生手法だそうです。
(具体的な事例は、氏の著書に譲ります。)



逆に言えば、建築関係は、見かけばかりの
改修工事が多いということでしょうか。

過去に、私自身も経験しました。
古いRCの建物で耐震性の向上をすべきと
提案した案件が、

予算がかかるから、そこまでは
求めないというクライアントさんがいました。
驚きました。
(責任が持てませんから、結局関っていません)

一方で、予算は少ないのに、
耐震も断熱も性能を上げたいという方も
いらっしゃいます。

そんな時は、知恵を絞ります。
トップランナー基準にはならないけれど
安心して快適に暮らせる基準への引き上げ、
バランスを考えて、それぞれ、
上から2番目くらいで手を打つことを提案したり。

もちろん、意匠的な予算は最後。
性能、機能、そして意匠ですね。

私自身は、木造建築に関わることが主です。
今回の勉強会では、建築の規模こそ違いますが

予算に合わせて、質を向上させつつ
法律をクリアし、
その落としどころを手探るという苦労は
共有できるものでした。

必要なのは、なみなみならぬ情熱。
会場からも、質疑では、
そのあたりのモチベーションへの言及までありました。

『ここまでやると、新築より、むしろ大変よね』というのが
暗黙の了解デス。

3)人も建築も健康が第一!?

これは自論ですが、
建築を、人間に例えて考えています。

骨が丈夫でなくスカスカで(構造)

腸内環境も悪く肌も荒れているのに、(設備)
厚化粧で誤魔化し、(意匠)
高価な服を着れば、それでいいのですか?

って、ことですね。
それでは、健康は長続きしません。

建築の寿命もやはり、基本的なところが健全でなければ!
そんなことを改めて自分の指針に出来た勉強会でした。

講師、主催者、裏方のみさまなに感謝です。

熱心な建築士の皆さんと共に
暑さにめげず、精進して参ります。

災害による過疎化を懸念、歴史文化様々学びを通じて対策を考える

2021年08月16日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト
(天候が良ければ、緑と川の水で、
涼を取る事も出来ますが、今はそれすら叶わず)

お盆休みというのに、週末は
全国での大雨や土砂災害の発生。

大変、痛ましく思います。
被害に遭われた方々には、お見舞い申し上げます。

ここから書く話は、自慢ではありません。
悔しい思いの方が先に来ます。

日本の植林の山の荒れ方を目の当たりにして
間伐することの必要性を訴えるのに、
[森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト]して
2013年にムービープレゼンを作りました。

未来を見せるという手法であったために

「木々は、土砂災害で流されてしまった。」→禿山になる
「今では、わずかな水を求めてさまよう人々」
→山の保水能力がなくなり、飲料水が確保できない。

と、警告しました。

(別の星で起きた出来事、という設定で、
地球は環境問題に取り組んだので
回避できたというストーリーとなっています。)

なぜかというと、青々と茂った山に
そんな危険が迫っているとは、
一般の方の方々はつゆも知らないだろうと
考えたからです。

東京ドームホールで、発表しました。
共感してくださる方も、多くいました。
DVDで販売もされました。

それから、有志による
「森と樹と暮らしを繋ぐコミュニティラボ」を立ち上げ、

木育、間伐材の小物、啓発ソングに環境絵本など
一般の方に、山と街の関係性の危うさと危機を訴えてきました。

地域では、少しづつ、山の問題に取り組まれている方も増え、
問題意識を共有し、意気投合できる方も増えました。

けれども、大きなうねりまでには、到達できていません。

あの時の、プレゼンのように
現在が、なってしまっていることが
苦しいです。止めたかったのに。
(止められるとは思いませんが、少しでも食い止めたい)

志だけでは、何も変わらないのか!
と、悔やまれます。

一方で、こうした状況を、一般の方々とも
大いに共有する時代に突入したとも考えられます。

いろいろと、活動してきて
国は、補助金だけで対応しているということ、
人や制度が育っていないと、感じています。

政治的な動きがないと、今後は、
ますます地域の過疎化が進むと、
今度は、警告します。

もともと、過疎化が進んでいる地方に
災害で、追い打ちがかかるからです。

道路復旧、インフラ整備、予算無くしては出来ません。
土砂災害が起きると、復旧までの相当の年月を要します。

温暖化で、ますます、大雨と大雪が予想される中
危険な区域から、人は離れていくでしょう。

今、居る方の次の世代が、里山を離れたら、
せめぎあってきた、イノシシやシカの領域は増え、
畑が荒らされます。田んぼも。

命の作物がなくなったら?
バイオで育てれば良い?
水も、ろ過装置で飲み水を作れば良い?

いえいえ、そんな単純な話ではないですよね。

海と山と空がつながり、
その間に居る人間や動植物が生かされているわけですから、
どこかが荒れるとなると、全てが狂います。

課題を整理します。

土砂災害の原因。

1)開発が進み、自然破壊(危険区域など人が住めないところにも住居や施設)
2)過疎化、山の手入れ不足、里山崩壊
3)温暖化による気候変動

ところが、今は、1)のために、3)が進み、2)が起きている
負のスパイラルに陥っています。

食い止めるためには、逆のことをするしかありません。

一気に、1)が起きたわけですから、一気に逆を進めなくてはならない
でも、人類は後戻りできない。そんなせめぎ合いがあると思います。

しかしながら、46億年の地球上で
これまでも、人間のご先祖方は災害を乗り越えてこられた訳です。

何とか生き延びる方法は?ないでしょうか。
今の私たちではなく、次世代のためにも。

例えば、『働き方改革』という旗印があります。
時短とか、リモートワークとかだけではなく、
ライフスタイルそのものを見直し、
半分畑、半分デスクワーク。がスタンダードになるとか。

ぐっと踏み込んだことが必要になると思います。

住宅に太陽電池を載せるのを義務化とか物に頼るのではなくてね。
仕組みや制度、生き方そのものが変わらないとならない
そこまで来ていると思います。

些細なことですが、少し自分自身のこと。

コロナ禍となり、篭ることも増え、
パソコンには、一日中向かっていられるわけですが、
むしろ画面を見る時間を減らしています。

午前中は、明るい場所で、電気をつけず、
書類チェックや手書きをメインに。
午後のメールチェックと、作図などは集中して行う。

家での消費電力は、主に家電ですから。
冷蔵庫は手放せないとしても、
照明とパソコン、テレビは減らせますよね。

なるべく徒歩も心がけています。
これは都市部の場合。

地方は車がないと移動できませんから
やっぱり、ハイブリッドか、自動運転か、
一人乗り移動車の普及が肝要と思っています。
今は、コンパクトカーに乗っていますが。

それから、今後の研究課題は

−1)「縄文時代的暮らし」です。

争いがなく、自然と共生出来ていた時代の知恵を
もう一度見直したいと思っています。

北海道・東北地方の縄文遺跡も
世界遺産になりますものね。

日本民家再生協会お世話になっている雨宮大工は、
とうとう縄文人の生活を始められて。

昨年は本も出されて、教科書にも掲載されたそうです。

住まいの作り方を、生き物に学ぶ
という視点がとても素晴らしい。



−2)「土中環境」

建築的には、風水や家相に代表される
水脈と樹木の関係の元になっていますね。

こちらの書籍も、住まいの源流を学ぶ中で、
紹介いただいた造園家の方ですが、土砂災害を防止する
歴代の知恵を紹介されています。



−3)微生物

植物も、ウィルスも、免疫確保も。。。。
結局は自然の力に人間が恩恵にあずかるしかないですね。
2)の土の中のこと関連です。

微生物由来の薬を開発されたノーベル賞の研究者の
薬が、昨今、新型コロナに対して、
効くかもしれないという情報があります。
書籍を読んで、研究の背景も探ってみたりと。

イベルメクチンの効果、薬局サイトより
↑情報を信じるかどうかは、ご自身で判断してくださいませ

大村先生の書籍は、専門的なものから
生き方を学ぶ本まであります。





—4)思想、哲学、歴史

昨年に引き続き、日本列島の平和のための自然崇拝の古神道、
伝搬最終地点の日本、慈悲の仏教、
戦火や気候風土に対応してきた住まいの成り立ちの知恵を
少しずつですが、紐解いていっています。

あ〜、広すぎます(笑)

森と樹と暮らしを繋ぐということは、
学びはもう無限大ですね。

これまで、建築の世界で、物や形、色に素材、そういった
ハードな部分で生業を行ってきました。

仕組みや制度、今後の方向性を考えるとなると、
これまで以上に、歴史文化に学ばなければなりません。

等身大の自分でどこまでできるか
未知数ですが、

コロナ禍が落ち着いて、行動ができるようになるまでは
ぐっとこらえて、学びを怠らないで続けます。

世界の『樹々の物語』に触れて、平和を考える

2021年08月10日 | 森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクト


8月8日(日・新月)は山の日でした。
オリンピックの閉会式と重なり、
イメージが薄れてしまったのはちょっと残念です。
(今年は、休日がいろいろと入れ替わっています。)

振替休日の9日(月・祝)は、長崎に原爆投下された日
こちらも、オリンピック結果のニュースで
新聞紙面も、賑わってしまい、
静かに黙祷する雰囲気も払拭されがちでした。

スポーツの祭典という4年に一度の
世界のお祭りに沸き立ちつつも、

今あるこの平和は、各国が過去の過ちを乗り越えてきたこと。
様々な人々の命の犠牲や、文化文明や自然環境の破壊の上に
成り立っているということを

じんわりと噛み締めながら過ごした
3連休でした。

そんな中、この夏の読書で感動した樹の本を紹介します。
森と樹と暮らしを繋ぐプロジェクトのfbと一部内容は重なります。

ブログでは、感想も含めてご紹介しますね。

昨年は、日本国内の『御神木の本』
皆さんにお勧めしました。

今年は、少し発刊時期をさかのぼって、
世界の樹々の本です。(日本では2017年日経NG社より出版)

写真が最高に美しいナショナルジオグラフィックからの
『心に響く 樹々の物語』です。

その大木の持つ歴史、言い伝え
人々の祈りや想いまで含めての説明がついています。

1本の木の写真も角度を変えて撮られています。

小さく密かに
そして、ゆっくりと感動が広がっていく一冊です。

1.日本人も知らない日本の木

日本の木も有名なものばかりですが
昨今は気軽に見に行けない分、
この本で日本文化の背景も、
より深掘りすることができます。

特に、この時期の戦後の平和を思い起こす
2本の木には、心打たれます。

長崎の原爆を生き延びたクスノキと、
ワシントンの盆栽盆景博物館にある
広島の盆栽です。共に被曝地域にあったものです。

樹の命に、生命のたくましさと刻まれた歴史が
痛々しいほどです。

2.世界の負の歴史も見守ってきた樹々

世界を旅行することが叶わない今、ページをめくることで
ささやかな旅気分が味わえます。

オリンピック・パラリンピックで活躍する各国の選手たちの
母国を想像することにも、一役買います。


(各国の選手の活躍で、地図や国旗もよく眺めました)

その中で、世界の負の歴史
生き証人のような樹もありました。

そこで行われた拷問や、決闘といった、
人々の生死をかける行いが行われたこと

今では、禁止されているようなそれらのことも
見届けてきた歴史的な樹も掲載されており、

人間のおぞましさも垣間見ると共に、
それを見守り続けてきた巨木のおおらかさ、懐の深さ
実感するような写真と文章になっています。

3.あなたは、どんな樹を見て見たい?

私が最も実物を見てみたい樹は、
1番最初に紹介されている「太古の木」です。

カルフォルニアの荒野に生きるなんと
樹齢4800年以上と推定される
「ネバタイガゴヨウマツ」です。


その樹に付けられた名の「メトゥセラ」は、
私が設計業務の中で
古民家の修復やリノベーションを手がける仲間と
チームを組んだ時に、参考にした名前です。

この樹を知った時は、にわかに信じられませんでした。
今は科学的に、樹齢が分かりますものね。

仲間と話し合って決め名「チーム メトセラ」は、
この太古の木のように、
伝統的な家屋が、日本に残っていって
欲しいとの願いも込めています。

ちなみに、メトセラという名前は聖書に出てくる
超長生きの人物の名前から取られたようです。

著作権もありますから、写真での掲載ができないので
ちょっとだけ。

4.心配な地球環境

写真家の著者も、最初は、地球環境問題として
取材をしていたわけではないそう。

しかし、様々な樹との出会いから、
結果的に人間の起こした気候変動における
樹との関わりを見つめざるを得なかったと、
あどがきにあります。

著作がまとまる2016年には、CO2濃度が400ppmを超えること
4000万本以上・1日あたりの伐採を嘆くことが綴られています。

昨今は、それに、大規模な山火事が加わるのではないでしょうか。
毎年、どの国かで起きています。洪水もしかりです。

温暖化の影響は、樹木にとっても死活問題です。

5.切っても切れない樹と人間の関係。

私の生業も「木」と切っても切れない関係ですが
人の営みそのものが、「樹」なしでは、成り立ちません。

(柿本は立っている「き」を樹、
建築材としての伐られた「き」を木と使い分けています。)

どれだけの樹々に、人間が生かされているか
この本もしくは、当方のブログで
意識を向けていただく、きっかけになれば嬉しいです。

とても有名な樹の本になりますので、
全国の図書館にも入っていると思います。

よかったら、手にしてみてください。

私自身も、違法伐採の木を採用せず、
樹の命を無駄にしないよう
ありのままで、その木を活かす
設計活動に邁進していこうと

この平和を願う日と共に、
気持ちを強くした次第です。

2021年の酷暑にて、木陰のありがたさを実感しつつ
今年後半の展開に向けて、新たな取り組みも始めようと
新月祈りでも誓いました。

皆さんも、どうぞお元気で、
樹と平和に関わっていただけたら幸いです。


暑さの中で、住まい暮らしを考える

2021年08月02日 | withコロナ新生活様式


オリンピックも熱いですが、
気温も熱いですねー。

みなさま
お元気でお過ごしでしょうか。

信じられないかもしれませんが、
横浜の家には、リビングダイニングに
クーラーがありません。

風通しと遮蔽で、まぁ過ごしております。
 (そういう設計になっております。断熱も効いてます。)

扇風機くらいは回します。
(学生時代からの愛用品、30年以上経過)

あとは、涼しい格好と(笑)、
首の保冷剤巻きでしょうか。。。

我慢大会のような気もしますが、
日が暮れれば、涼しくなりますし、

多分、夏生まれで暑さに強いのかなって思いますね。
食欲も落ちないですし。

オリンピックのネット配信を見ながら
暑中伺いを書きつつ、

コーヒーはいつもよりぬるめで
の夏のダイニング、週末の写真です。

今日のブログのテーマは、
先週末にZOOMで参加した
住総研のシンポジウムから。




ヘリテージマネージャーの講座でもお世話になっている
工学院大学の後藤治先生が出られるとあって、
面白いに違いないと、早々に申し込んでいました。
それから、チラシに

「将来の住まいや暮らしの在り方に、
どう生かせるのかを議論したい
」

と、あったからです。

シンポのタイトルは
「歴史のなかの「あこがれ」の 住まいと暮らし」
とあり、「あこがれ」が将来に生かせるのか?
と、あまりピンとこなかったのですが、

実際には、「和室」の成り立ちや、
海外からの「和室」や「日本」の評価
そして、日本とデンマークの住まいに関する認識が
あまりにも違うというアンケート結果の
講演内容は興味深かったです。

一人暮らしの片付いた部屋のデンマークの写真と
散らかった日本人の部屋。これは極端な例でしょうが
アンケート結果からは、
デンマークでは、人を呼ぶ家、自己実現を行うのが
住まいと考えているのに対し
日本では、自分一人でくつろぐ場所
のんびり過ごす場としての住まい
と、大きな違いがあるという報告は
苦笑いと共に、海外の方の意識の高さに驚きました。

登壇者のメンバーは、チラシの案内に譲るとして、



増えた知識をメモしますと、
和室は、武家社会の「座敷」=「人の集まる場所」がスタート。
鎌倉時代に登場した。というもの。

玄関は、農家にはなく、武家屋敷にだけ
認められた空間であるという認識はあったのですが

公家社会(貴族が政権を握っている)から、
武士という実力主義になっていく過程で、
一同が車座になる場所が必要で、
それが和室を創っていったとの説。

ふむふむ。
社会的背景と住まい空間が直結しているわけですね。

昨年の民家再生協会の連続講座で学んだ
「日本の住まいの源流」では、
農家に座敷が出てきたのは、(それまでは板間と土間のみ)
仏教の普及が理由でした。

つまり、お坊さんを家に招くのに、
座敷が必要になったということでした。

大きな日本社会の歴史的背景が、
実に住まいには、様々に反映されるていくわけです。

日本の住まいは、世界はどう変化していくでしょうか。

この流れで、いくと、このコロナ禍で、
清潔国日本に学んで、各国の土足文化が
減るかもしれませんね!?

すでに、上履きに履き替えるという流れは
かなり、海外にも浸透していますが、
接客の仕方や、住まいの用途が変わってくるかもしれません。

一方で、そう大きく変化もすぐには反映されないのが営み。

社会情勢、人々の需要と課題をにらみつつ、
私も暮らし方の在り方を提案していきたいですね。

結局シンポジウムでは、結論的なものは出ず
次回の講演に引き継ぐというものでした。
主催者の団体から「和室学」という本が出版され、
その紹介がありました。



畳が海外からSDGdの視点で
高評価を得ているようですね。

書籍にも学びながら、
研究者の先生方の最先端の報告も伺いながら
今の社会を乗り切る住まい・暮らしを考えて参ります。