朝晩のやや涼な風に、秋到来?
と、感じたのもつかの間、熱波が続く日々です。
鎌倉時代から続くという神社の
参道には、早くも彼岸花が咲いており、
熱波の中、しばし癒されてまいりました。
自然は移り変わる。
暑さも、もう少しの我慢と思えました。
この建物も、移築再生、そして修繕を繰り返し
この地で生き続け、建築の寿命を伸ばして来ました。
本日は、建築に手を加えながら
『建築の寿命』を伸ばすことについて学んだことを綴ります。
1)建築の改修を示す言葉を考える
建物に手を加える時に、よく使われるのが、
リフォームという言葉ですね。
これは、専門家も使いますが
完全な和製英語です。
当事務所では、リフォームのお客様には
もし、英語にするなら
「Improving quality of life」=生活の質の改善
で参りましょう。というお話をします。
ハード面をいうには、
「Improvement of living space」=生活空間の向上
もしくは、
「Improving the quality of living space」=生活空間の質の改善
になりますが、
目的は、今より快適な生活を手に入れることですよね。
不便なところ、
質が落ちているところ、
使い勝手が変わってきてしまったところ、、、、
などを、拾い出して、
ハードな側面で解決していきます。
日本語で良いではないか?
と私自身も思うのですが
あくまで、「リフォーム」という言葉が、曖昧だからです。
昨今は「リノベーション」という言葉が
大きな建築の「リフォーム」に関しては使われますが、
日本語で言うところ修理、修繕に該当してしまいますね。
Repair(修繕)、
Renovation(修理)、
ですから、より改善していく方向性があるとしたら
Reconstruction(改築)、
Remodeling(改造)、
というのがふさわしいのが現実です。
がしかし、この言葉だと、
ハードな側面ばかりが強調されますね。
そんな風に、建築業界において、なんとなく
方法と言葉のミスマッチが起きていることが
分かると思います。
2)修理修繕とは、何が違うのか?
そんな中、建築家青木茂氏が提唱する
「リファイニング建築」という言葉で
示される建築の改善手法
を、先週末は、建築士会の勉強会で学びました。
近い英語ですと、
Refine(改良)
Refining(精製される)
Refinement(洗練)
こんなところでしょうか。
現実的な建築の改良方法はというと、
ただ、仕上げなどの意匠的なリノベーション
に止まらず、耐震性を持たせる事に始まり
建築の長寿命化を図りながら、
改修提案し、建物の資産価値を上げていくというもの。
この言葉は、氏の25年の建築改修の
設計監理の中で生み出された
独自の再生手法だそうです。
(具体的な事例は、氏の著書に譲ります。)
逆に言えば、建築関係は、見かけばかりの
改修工事が多いということでしょうか。
過去に、私自身も経験しました。
古いRCの建物で耐震性の向上をすべきと
提案した案件が、
予算がかかるから、そこまでは
求めないというクライアントさんがいました。
驚きました。
(責任が持てませんから、結局関っていません)
一方で、予算は少ないのに、
耐震も断熱も性能を上げたいという方も
いらっしゃいます。
そんな時は、知恵を絞ります。
トップランナー基準にはならないけれど
安心して快適に暮らせる基準への引き上げ、
バランスを考えて、それぞれ、
上から2番目くらいで手を打つことを提案したり。
もちろん、意匠的な予算は最後。
性能、機能、そして意匠ですね。
私自身は、木造建築に関わることが主です。
今回の勉強会では、建築の規模こそ違いますが
予算に合わせて、質を向上させつつ
法律をクリアし、
その落としどころを手探るという苦労は
共有できるものでした。
必要なのは、なみなみならぬ情熱。
会場からも、質疑では、
そのあたりのモチベーションへの言及までありました。
『ここまでやると、新築より、むしろ大変よね』というのが
暗黙の了解デス。
3)人も建築も健康が第一!?
これは自論ですが、
建築を、人間に例えて考えています。
骨が丈夫でなくスカスカで(構造)
腸内環境も悪く肌も荒れているのに、(設備)
厚化粧で誤魔化し、(意匠)
高価な服を着れば、それでいいのですか?
って、ことですね。
それでは、健康は長続きしません。
建築の寿命もやはり、基本的なところが健全でなければ!
そんなことを改めて自分の指針に出来た勉強会でした。
講師、主催者、裏方のみさまなに感謝です。
熱心な建築士の皆さんと共に
暑さにめげず、精進して参ります。