大橋むつおのブログ

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高校ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評・107『ビル・カニンガムアンドニューヨーク』

2016-11-28 06:47:42 | 映画評
ライトノベル・タキさんの押しつけ映画評・107
『ビル・カニンガムアンドニューヨーク』


この春(2016年4月)に逝ってしまった滝川浩一君を偲びつつ



 これは悪友の映画評論家滝川浩一が、個人的に身内に流している映画評ですが、もったいないので転載したものです。


  ビル・カニンガム、80歳のファッションカメラマン。20$のワークコート(しかもカメラとこすれて破れるとガムテで繕う)を着て、チャリでニューヨークを走り回る。被写体はホームレスからセレブリティまで差別なし、コンセプトは自前の感覚、自前の哲学、自前の財布。コーディネイターに飾られたファッションには興味なし。年に2回、パリのオートクチュールに出掛けるが、実際に着られる服以外にはカメラを上げない。たとえ半世紀前のデザインであろうとパクリには一切容赦しない、類似デザインは自らの60年に渡る記録の中から証拠を探して並べて告発する。
 ニュヨーカー紙に“オン・ザ・ロード”というフォトコラムのページを持ち、彼のページから最新の流行が生まれる。それは、ファッションメーカーのコマーシャルではなく、生のニュヨーカーのファッショントレンド。かつては、今や伝説のファッション誌の大半を埋めたが、その殆どは無給なのだと言う。提示された小切手は全て破った。報酬によって自らの自由な感覚に掣肘を課せられる事を何より嫌った。
 ビル・カニンガム……リンカーンセンターの狭い一室で写真キャビネットに囲まれて暮らし(リンカーンセンターの改修で、今はセントラルパークを見下ろすアパートメントに移ったが)今でも自転車でニューヨークを走り回る。セレブリティパーティーには興味なし、チャリティーパーティーの中から自らの価値基準に見合った物を選び、出席者の撮影をしにいく。
 ビル・カニンガム……生きた伝説、今日も生きてうごめくファッションを撮り続ける。カニンガム自身、幾分かの資産はあるらしい(でなければ、この自由は担保できない)、しかし、贅沢とは全く無縁。ついでに恋とも無縁だがホモではないと本人が明言している。ただし、ホモに偏見など一切ない。彼にとって、被写体の性別も年齢も一切関係ない。在るのは個人の自由な発想と自己主張。
 もうディスクが出ている、ファッションに興味なしでも構わない。そこに映っているのは、思いっきり粋で自由な爺さんの生き様。一見の価値在り。お薦め〓


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