のすたる爺や

文明の果てなる地からのメッセージ

ドイツおやじ

2006年02月09日 | 日記・エッセイ・コラム

 久し振りにこってりしたドイツ式のチョコレートコーヒーを飲みたくなって、後閑駅前のドイツ風喫茶店に行ってきました。変わり者のおやじさんがやっている店で、店の中は天井からプロペラ機の模型が所狭しとつるされ、おでんやドイツ直輸入のソーセージには便器の形をした器に洋ガラシが入ってでてくる変な店です。
 喫茶店ブームだった70年代でも、かなり異彩を放っていた店で、お薦めは”ミェルヒ”。ミルクです。哺乳瓶に入ってでてきます。これが一番おいしいミルクの飲み方だそうです。

 いつもはチロル風のワルツが流れているのですが、今日は重々しく”TANGO NOTTURNO(夜のタンゴ)”が流れていました。
 古い音源だったのでもしかしたらポーランドの女優ポーラ・ネグリが歌ったオリジナルのではなかろうか?戦中に発表された歌ですが、同盟国ドイツの音楽ということで日本でも演奏を許されたコンチネンタルタンゴです。個人的にはイタリアのミルバの歌が好きです。
 この店でも同盟国のドイツの音楽かイタリアの音楽しかBGMで許されていない時代もありましたが、昨年来たときはイーグルスのホテルカリフォルニアが流れていました。

 変わり者のおやじさん(通称ドイツおやじ)とはかれこれ30年に及ぶ付き合いですが、ここの娘さんが私の先輩と結婚していて、我が家の界隈の女ボスの1人なのでこのところ足が遠のいていました。高校生の時はモダーンで憧れのお姉様でしたが、今では恐いおば様の一角を占めています。

 ドイツおやじは昭和ひと桁世代なので、敗戦の腹いせをかつての同盟国ドイツにシンパシーを見出すことで紛らわせているようなところがありますが、ドイツは年々遠くに行ってしまう気がします。
 ドイツと日本の共通の敵はソビエトだ!と盛り上がるのですが。
 酸っぱいキャベツ料理のSauerkraut(ザワークラウト)が私のお気に入りで、世間一般ではソーセージの付けあわせでビールを飲みながらこれをつまむのだそうですが、私は甘いコーヒーのおつまみに食べます。

 大学受験で上京する時この店でコーヒー飲んでいて電車に乗り遅れたことがありました。今頃の季節でした。受験の前日だったのであわてもしませんでしたが、随分な時間が経ってしまったものです。

 店の中で同級生の女性と会いました。高校に行っている娘さんがこの駅まで電車で帰ってくるので向かえついでにコーヒー飲んで時間つぶしだそうです。彼女も昔からの常連でした。

 「ヘコムってどういう意味か知ってる?」ときかれました。彼女の子供達がよく使う言葉だそうです。
 がっかりするとか出鼻をくじかれた時に使うそうです。
 「私達の時代は”落ち込む”だったけどねぇ。」”落ち込む”ほど深く突き落とされていないので立ち直るもの早いし、反省もないのが”へこむ”だそうです。
 ”落ち込む”に至るまで突き落とされると開き直って責任を他人に押し付けて”すねる”ようで、決して自分のことと受け止めないご都合主義。これが時流なんでしょうか?
 「まあ、思い込まれて自殺されるよりはいいけど、軽いんだよねぇ。本当に、時代は平成だよねぇ。」
 思い込まずにネット心中するご時勢です、軽い、明るいからとのんびりできません。

 最近増えているんだそうです。気に入らないと「だったらこうしてやる」とすねる男性。こういう条件を出して安っぽく脅すのは女性の特権ですが、いまや女々しさも男女平等?

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