葉物野菜の煮物を食べたかったのでスーパーに行ったら、こんな季節なのにホウレンソウが売られていました。一束148円。ちょいと値が張ったけど、とりあえず今日の分は鰹節と醤油でいただき、残りは麺つゆ薄めて作っただし汁に漬けて冷蔵庫です。
ホウレンソウ入れた籠を持ってレジに並びながら考えた。このところ下界では男女問わずコンビニなどに刃物を持って「金を出せ!」と押しかけるやからがいるようですが、葉物を持って金を払いに並んでいる私は「共謀罪」の対象にならないのか?心配になりました。
文面的には違っても音で聞く限りは「ハモノを持った男がレジにいる」となれば穏やかじゃありません。
民進党や共産党が拡大解釈して捕まえに来るかもしれない。
都会にはサラダバーなるものがあるようです。
日々山菜と畑の野菜に囲まれていると何が有難いのかわかりませんが、アーバン・ピープルのことですから我々の想像の及ばない価値観を上乗せして展開していることでしょう。
店に入ると白いシャツに蝶ネクタイで黒いベストを着たバーテンダーがいて、やはりサラダバーですから六本木界隈の小太りで髪が薄くてちょび髭はやした小生意気なおやじのバーテンダーでは不健康です。スレンダーで清楚でなくてはなりません。
店内にはモダンジャズが良いと思いますが、アバンギャルド以降のコルトレーンなどもってのほかで、地味に主張が少ないジョンルイスのピアノなど落ち着いていていいですね。
とりあえずビールと言うのもジェントルではありませんが、まずはキャベツ主体でむらさきキャベツとニンジンをほんの彩程度にトッピングして、シェイクではなくステアで行きたいですね。ドレッシングは和風ですね。
一息ついたらオニオンスライス。これは醤油でしょう。
ふとカウンターの隣を見ると物憂げな女性がすわっている。と、ここで「ねえ彼女ぉ~。ピーマン食べれるぅ~?ニンジンはぁ~?」なんてやると幼稚園児みたいで粋ではありません。サニーレタスの上に乗った大量のポテトサラダとマカロニサラダ、スライスゆで卵にマヨネーズたっぷりを横目に見て、身から出た錆で失恋したんだなと察してやるのが大人のたしなみ。キムチ食っていたら身の安全のために店を出るか席を移動しましょう。
社交場と言うのならサラダクラブでいいと思うんです。バーと言うのだから静かに自分と野菜に向き合う時間と空間を楽しみたいですね。
バーテンダーさんを「チーフ」なんて呼ぶと夜の銀座で遊んでいるみたいで成金か社用族だと思われるから「マスター」でいいと思いますが、この日のお薦めは?とマスターにそれとなく聞くと、「大きな声じゃ言えないのですけどね、16年物のいぶりガッコが入っているんですよ。」とこっそり教えてくれる。
「秋田もの?」と聞くと「ギンギンの横手のいぶりガッコですよ。モルトの香りが最高です!」「シングルでお願い。」と小皿に2切れ乗ったいぶりガッコが出てくる。風味がたまりません。
たくあん系は2切れが江戸の常識なんだそうで、1切れでは「人斬れ」3切れでは「身斬れ(切腹)」4切れは「死」につながると縁起を担いで2切れにしているのだそうです。
サラダバーに行くならこんな常識もわきまえたいですね。