のすたる爺や

文明の果てなる地からのメッセージ

教訓

2013年03月26日 | 日記・エッセイ・コラム

 子供のころ、「富山の置き薬」と呼ばれるおじさんたちが家々を尋ねては置き薬の入れ替えなどをしていきました。このおじさんたちが土産代わりにおいておくのが教訓などを謳ったパンフレットで、どこの家庭でも壁に貼って戒めにしていたものでした。

一、世の中で一番楽しく立派な事は、一生涯を貫く仕事を持つという事です。
一、世の中で一番みじめな事は、人間として教養のない事です。
一、世の中で一番さびしい事は、する仕事のない事です。
一、世の中で一番みにくい事は、他人の生活をうらやむ事です。
一、世の中で一番尊い事は、人の為に奉仕して決して恩にきせない事です。
一、世の中で一番美しい事は、全ての物に愛情を持つ事です。
一、世の中で一番悲しい事は、うそをつく事です。

 福沢諭吉の「心訓」は有名ですが、この張り紙はどこの家庭にもあったものですし、小学校のころは学校で暗唱させられたものです。

 ただ、残念なことに受け取る側がバカなので、「富山の薬売りの名言」としてインプットされていました。

 福沢諭吉が作った大学にいって初めて「これって福沢先生のお言葉だったんだ」と発見したような状態ですから、この言葉通りに生きてこなかったのは明白です。実際は福沢諭吉本人が直接言った言葉ではなかったそうで、後に誰かが作り上げた言葉らしいのですが、今の時代へのアンチテーゼのようにも思えます。否、いつの時代にでも通用するのかな?

 それでも日本人はこうした教訓を心のどこかにとどめているので、どこかでブレーキがかかりますが、大小中華圏では「心訓」の逆が生きかたのようにも思えます。

 まぁ、あの下品な連中はさておいて、七つの訓示というテーマにするとマハトマガンジーの「資本主義における七つの大罪」が挙げられるでしょう。ガンジーの墓碑にも刻まれている言葉で、近年一躍有名になったのはポッポッポの鳩山総理の新年の施政方針演説で、自分のことを棚に上げてこの言葉を引用して「お前が言うな!」とやじらました。

 1.「理念なき政治」(原則なき政治)Politics without Principle
 2.「労働なき富」Wealth without Work
 3.「良心なき快楽」Pleasure without Conscience
 4.「人格なき知識」(人格なき教育)Knowledge without Character
 5.「道徳なき商業」Commerce without Morality
 6.「人間性なき科学」Science without Humanity
 7.「献身なき崇拝」(犠牲なき宗教)Worship without Sacrifice

 孫のアルン・ガンジーはもうひとつ付け加えて8つ目の大罪にこんな言葉を掲げています。

 8.「義務なき権利」(責任なき権利)Rights Without Responsibility

 責任なき権利といえば社会主義者の理想のような気もしますが、宗教を否定する社会主義では七つ目の「献身なき崇拝」と8番目を入れ替えれば「七つの目標」になって、中国などまさに実現に成功した先進国になるでしょう。「資本主義における大罪」というところがミソで、ほんなら「社会主義における正義」なん?とひねると、なるほどなと思えてなりません。

コメント
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