沖縄を考える

ブログを使用しての種々の論考

詩589 「沖縄問題」という問題 3

2015年04月04日 09時10分54秒 | 政治論

 「認知症」は元来「痴呆」と呼ばれた症状につき言い換えた行政用語で、現在では一般的な呼称として広く採用されている。正常な発達を遂げつつある知能が生理学的な脳の後天的障害によって正常でないレベルに低下した状態、を認知症と名付け、先天的知能障害や統合失調症、意識障害、鬱病、健忘症などとは区別される。

 翁長知事が前知事仲井眞氏を圧倒的大差で破った県知事選挙や、あるいは名護市長選、市議会選、県議会選、衆議院選結果をどう解釈しようと勝手であり、少なくも埋め立て承認だけをターゲットにこうした結果が出されたなどとは誰も思っていないが、事実上前仲井真県政への反対投票、あるいは辺野古移設反対派の勝利という結果については菅官房も否定できまい。その中に当然埋め立て承認に対する批判票があり県外移設公約の破棄という暴挙に対する弾劾票もあったのは間違いない。それをも否定するかのような彼の公人としての公職選挙認知発言には残念ながら「認知症的症状」を認めないわけにはいかない。正常レベルの発言ではないからだ。

 この認知障害というべき彼の内心には、安倍晋三の訪米前というタイミングもあり、かつまた盛り上がりつつある世論への「アリバイつくり」こそ本音だと認知しておかねばならず、凡そ政治的判断の「わけのわからなさ」に惑わされないためにはそれらが一定の政治的事情に左右されているという認識でこれを正確に見極めることが求められる。尤も、ここにきて、見るからこれ見よがしの政府要人の言動には必ず裏があるのであり、その不透明さとその後の形勢の成り行きに着目し、足元をすくわれないように留意し、何事があろうとも辺野古の現場での水際作戦に全てがかかっている現状には何らの変更もないことを確認することだ。

 ところで前知事仲井眞氏との辺野古移設容認条件である「5年以内の普天間運用停止」は事実上不可能であり、それはこのことが公になったと同時に米国関係者が明言、断言している。これについて菅が言及しないのは当然彼もこれが不可能だと知っているからで、もしかすると彼らのあらゆる言動には政権確保年数のうちには5年という時限がないことを予め見越して仲井真約定はいつでも空約束で済ませられる、と踏んでいる、と見做しうる雰囲気だ。いずれ彼らの狸のバカし合いに県民はつきあっている暇はない。仲井真公約撤回批判、埋め立て承認否定、辺野古移設反対、埋め立て承認撤回要求は明らかに「民意」であり、彼らがどんなに抗弁してもこの事実は覆されない。但し、政府要人の強弁を指銜えて眺めることを潔しとしないなら、仲井真約定不履行の政府の弱点を徹底的に突くという政争状態を作り出すのもありだろう。(つづく)