野々池周辺散策

野々池貯水池周辺をウォーキングしながら気がついた事や思い出した事柄をメモします。

2018鈴鹿8耐、HRC再参戦

2017-12-21 08:25:21 | モータースポーツ
20日のFBに、ホンダ二輪ワークスチーム(HRCチーム)が来年2018年の鈴鹿8耐にワークス参戦するとあった。ともない日本の1000㏄クラスロードレース(JSB)にもHRCがワークス参戦するとある。本件、HRCから次のニュースが発行された。

2018年 全日本ロードレース選手権と鈴鹿8時間耐久ロードレースへのワークス参戦を決定
「株式会社ホンダ・レーシングは、2018年シーズンの全日本ロードレース選手権のJSB1000クラスと、世界耐久選手権 鈴鹿8時間耐久ロードレースにワークスチーム「Team HRC」として参戦することを決定しました。ワークスチームとして、JRR JSB1000クラスおよび、鈴鹿8耐に参戦するのは2008年以来、10年ぶりとなります。CBR1000RRをベースとしたワークスマシンを投入し、HRCライダーの高橋巧がJSB1000クラス2連覇と同時に、鈴鹿8耐での優勝を目指します」とあった。ホンダ二輪ワークスが10年ぶりに鈴鹿8耐に参戦する。当ブログも「ホンダワークス(HRC)参戦こそが、日本のモータースポーツを活性化する」と何度も書いてきた。低迷中の日本の二輪市場に、明るく活気ある話題が帰ってきた。これで、既にワークス体制をとって鈴鹿8耐3連覇中のヤマハと相まみえてガチンコ勝負を戦えば市場は必ず動く。それほど、ホンダワークスが鈴鹿8耐参戦する意味があると思う。

鈴鹿8耐はスプリントレースとほぼ同等ラップタイムで8時間走り切る二輪最高峰の競争の一つだが、燃料タンク容量の制限もあって、給油のために6~7回のピットインを要する。ピットイン、アウト前後のロス時間(とはいっても数10秒だが)と交換直後のタイヤは本来の性能を発揮しないので、給油時の周回タイムが若干遅くなる。それらも考慮しながら、8時間をミスなく誰よりも早くゴールしたチームが勝ち。勝つためには、優れたライダーを持つ事が最も重要項目であることは事実だが、8耐ともなると、むしろライダーの組合せが重要な場合もあり、世界で最も早いとされるGPのトップライダー同士の組合せが必ずしも勝てるものではなく、経験的に言うと組織の団結力とチームワークを最も必要とする。とにかくミスせず、どのチームより速い周回タイムで、給油前後のタイムロスも少なく、8時間走行するには、優れた組織とマネージメントを作り上げることが最も大事。そうは言っても、梅雨が明け、連日35度を超す炎天下、生き物のようなタイヤ消耗を考慮しながら走るのは、テレビで観戦するとは大きく異なり、そう簡単な事では決してない。レース現場を支えるソフト部隊の活躍も重要で、ライダーの疲労回復や何時から雨が降る可能性があるかなど、他チームより早く情報を得る方法等、やるべきことは一杯ある。 日本の二輪企業はそれぞれ精鋭化した複数チーム作り上げて戦うので、各チームとも極度な緊張状態になる。つまり、鈴鹿8耐は各二輪企業組織の総合力を問われる競争と考えた方がぴったりする。少なくともレースの好き嫌いで参戦を決めるものではないし、二輪企業の総合力、組織力の勝負なので、意地と根性がぶつかり合う。敵失で偶々勝つこともあるが、それを知った上で鈴鹿8耐を観戦すると、これほど手に汗を握り興奮するレースは存在せず、とにかく特殊なレースで実に面白い。

鈴鹿8耐参戦は閉塞した日本の二輪業界をもっと明るく照らす指標になるに十分な価値があると思う。レース好きな人達が単に参加しているだけという声を一部に聞かぬでもないが、鈴鹿8耐はそんな低次元の話ではない。二輪文化の頂点にあるモータースポーツが輝かない限り、日本の二輪文化ひいては二輪市場が拡散することはない。そこに世界最高レベルの二輪レースがあるから、そこの頂点に立つことを単純に目指す。そこで勝つことが技術屋の頂点の一つとすれば、勝負に掛けたい強い意志のある開発陣も当然いるはず。技術屋としてみると、日本の頂点レースで一番メダルを獲得する方が断然面白いと思う。何の商品であれ、開発とは競争相手に如何にして勝つかであろう。ところが、その競争が最も如実に勝ち負けを具現化したレースとなると、拒絶したがる開発陣が二輪に多くなったようだと聞くと、些か寂しくなっていたが、鈴鹿8耐は、スプリントタイムで8時間を競争相手より如何に早くゴールさせるかの競争だ。その戦いとは、考え方によっては非常に奥が深い。

それにしても、ヤマハがワークス本格参戦して以来の3年間、ヤマハワークスに相対したホンダはセミワークスを前面に据えて臨んだ。しかし、一昨年、昨年に続き転倒やマシントラブル発生と最悪の結果となった。例えば、昨年もヤマハワークスに徐々に引き離されながらも50秒差で踏みとどまり唯一食らいつき、2位走行中の#634は75周目にヘアピンを立ち上がったところでマシントラブルが発生しリタイアした。マシンから白煙があがり、ライダーのニッキー・ヘイデンの困惑した表情がTV画面にでた。#634チームは2015年もMotoGpチャンピオンだったケーシー・ストーナーがスロットル固着と言うマシントラトラブルでの転倒リタイア事例があり、HRC直系のマシンがまさかの3年続きのマシントラブルとは、世界の二輪レースを実質牽引していると自負しているホンダHRCにとっては、正に屈辱以上の何物でもない3年間だったと思う。かって、27勝の輝かしい歴史をもつ鈴鹿8耐の王者を自負してやまないホンダワークス、そのホンダが無残な負け方を喫してしまうのだから、煮え湯を飲まされ続けた悔しさは如何ばかりかと同情してしまう。

加えて言えば、今年(2017年)ホンダのモータースポーツ活動計画の記者会見ライブで、「ホンダは勝ちに拘る」とか「鈴鹿8耐では2年続けての惨敗だった」と何度も語ったわりには、勝ちに拘った具体的な対策・体制も構築せず、今年は鈴鹿8耐40周年の記念の年なので必勝を期したいと言う言質についても、ホンダの現計画でヤマハワークスに勝てるのかの記者質問についても苦笑いするのみで、大いに失望した。結局、昨年の屈辱から打倒ヤマハを目指してきたはずのホンダは3年続きの自滅と言う形での返り討ちにあってきたのだ。

2017年の鈴鹿8耐も、ただただヤマハワークスチームが強くて速いという印象のみが残った。ヤマハは鈴鹿8耐に3年続けて、唯一ワークスチームを構成し圧倒的な強さで優勝した。他チームがマシンのセットアップに苦戦している中で、今年もヤマハワークスの実力は群を抜いており、万が一のアクシデントでもない限り、今年もヤマハの圧勝は固いと幾多の報道にあったが、その通りとなった。かっての昔、ワークスが鈴鹿8耐参戦から撤退した時期から数年は、ホンダ系のセミワークスチームのムサシハルクプロやTSRチームそしてヨシムラの優勝が続く年度もあったが、2015年からのワークスチームの鈴鹿8耐再登場により、それまでワークス不在の中では機能していた有力販社チームや有力プライベータもワークス相手では全く歯が立たず、その差はあまりにも歴然としていることが、テレビ桟敷の観客にも手に取るようにはっきりと分かった。

ここ3年、ヤマハワークスチームは鈴鹿8耐で勝ち続けた。しかし、ホンダワークスの本格参戦となれば今迄とは根本的に異なる戦略を考える必要性がでてくるだろう。つまり勝つためのバックアップ体制を作りあげねばなくなる。8耐に勝つための確率を高めることだ。例えば仮にヤマハワークスが周遅れに巻き込まれ接触転倒したらどうなるのか、その事例が全日本でも発生していただけに、バックアップ体制の再構築が必要になってくる。だから、ワークスチーム全盛の頃、二輪各社が8耐に全力投球していた時代、各社とも2~3チームのワークス参戦体制をとった。10チーム以上のワークスチームが8時間の覇を争うのだから、勝つ戦略を立て、勝つ確率をあげるのは並大抵な事ではない。さー、来年の鈴鹿8耐、大いに面白くなった。

★余談だが、'97年、チームカワサキは3台のワークスチームを参戦させた。
2台をラッキー・ストライク・カワサキ、もう一台はライムグリーンが良いねとカワサキ・レーシング・チームとした。
時の全日本SB参戦も、世界スーパーバイク参戦も、その参戦目的はすべて鈴鹿8耐に繋げるためにあった。
  「KAZE機関誌より」
コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 年末工事 | トップ | 「スター・ウォーズ、最後の... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

モータースポーツ」カテゴリの最新記事