ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

サム・リー@渋谷タワー・レコード

2013-06-25 23:33:14 | インストアイベント
インストア・イベント観覧記その11 サム・リー@渋谷タワー・レコード

1週間以上も前の話になってしまいましたが、6月16日、渋谷タワーレコードにて、噂のサム・リーを観てまいりました。この人、イギリスから登場のフォーク・シンガーなんですが、フォークと言ってもちょっと変わってるんです。いわゆるアコースティック・ギターを爪弾きながら歌う感じではありません。

この日、手渡されたフライヤーのプロフィールに曰く、彼は1980年イギリス生まれで、ルーツは東欧系ユダヤ人だそう。父は作家/芸術家で、母はオペラ・マニアだとか。大学ではファインアートを学び、卒業後はバーレスクで喜劇役者やダンサーを務めたりもしていたそうですが、25歳の時に耳にした1950~60年代に録音された伝統音楽と恋に落ち、人生が変わることに。

彼が魅了された伝統音楽は、トラヴェラーズの歌でした。トラヴェラーズとは、英国、スコットランド、アイルランドに古くから住むジプシー、漂白民で、かつてはキャラバンで移動生活をし、今なおトレーラーなどで集まって暮らしているそうです。そんな彼らのコミュニティーで何百年にも渡って「歌い継がれてきた歌の数々。サム・リーはそのコミュニティーを訪ね、共に生活し、教えを乞い、伝承曲を150曲以上も習得したそうです。(ほぼフライヤーからの受け売りですいません…。って言いますか、頂いたフライヤーと言うか小冊子が素晴らし過ぎる!)

そんなサム・リーのインストア・ライヴ。インストアとは言え、彼の個性が存分に発揮された素晴らしいライヴになりました。最新作から「The Tan Yard Slide」、「Goodbye My Darling」など数曲を披露。サム・リーがシュルティ・ボックスを操りながら歌い、バックには6弦ウクレレ、トランペット、チェロという布陣で、ちょっとしたアート楽団的な雰囲気。特にインドのドローン楽器、シュルティ・ボックスを使う辺りユニークですよね~。しかもそれだけではなく、曲ごとに楽器を持ち替えたり。ジューズハープを使った「The Jew's Garden」も印象的でしたし、ウクレレ奏者が日本の琴を弾いた曲にはびっくでした。ですが主役はもちろんサムの歌声。静かながらピュアなエネルギーを感じさせるその響きは神秘的ですらありました。で、また目が奇麗なんですよ。透き通るような瞳で、語るように歌う。思わずその神秘の世界に引き込まれてしまいそう。

伝統音楽に向き合いながらも、研ぎ澄まされた自らの感性で自身の音楽として描くサム・リー。まるでフォーク界に現れた突然変異のような逸材ですね。この後、6月20日には青山CAYで単独ライヴがあったそうですが、残念ながら私は観に行けませんでした。どんなステージだったのでしょうか?

フジロック第9弾!

2013-06-23 19:14:56 | フジロック
CAT P0WER / THE GREATEST

数日遅れで申し訳ありませんが、フジロック出演アーティスト第9弾がオフィシャルサイトにて発表になりました。今回はアヴァロン、木道亭、カフェ・ド・パリ、苗場食堂など、ディープな小ステージを中心に一気に68組だそうです。そんなに!! ま、詳しい追加アーティストはオフィシャルサイトを見てい頂くとして、ここでは「ルーツな日記」的に気になるところを少々。

まず、大きなステージの残り少ない枠も一部埋まりました。何と言っても最終日ホワイトのトリ前に入ったキャット・パワーですよ! 正直、もう数年早くフジに来て欲しかった感はありますが、ここへきてのキャット・パワー決定は嬉しいですね。ま、最終日のこの時間帯は被りまくりなんですけどね…。そして最終日のレッドにBO NINGENも決まり、残るは初日ホワイト、最終日グリーンの数枠のみとなりました。まだサプライズはあるのでしょうか?


そして魅惑の小ステージへ。

毎年、この辺りのステージがとても楽しみな一方で、どうしても大きなステージとの被りの問題でなかなか腰を据えて観ることが出来ない現状だったりもするんですが、そんな悩みはそっちのけで今年もディープな面々が続々と決定致しました。

まずは苗場食堂から。オアシスが誇る名物食堂の裏手が夜はディープなライヴ空間に。ジェントルマンズ・ピストルズ、バイアーナ・システム、ベリー・ビー・ケアフル、ザ・ホット 8 ブラス・バンドといった大きなステージも沸かすであろうアーティスト達がこの小ステージにも登場する豪華さ! 特にザ・ホット 8 ブラス・バンドは要注目ですね。どうせならプチ・パレードもやって欲しい~。 そして3年連続フジ出演となるトロントのカントリー・バンド、ケンジントン・ヒルビリーズ。私は何だかんだで昨年も一昨年も観ているので、ここまで来たら今年も観たい!! あとよく知らないんですけど、キューバからやってくるロス・グアンチェスというグループ、これは気になりますね~。アーティスト・データに曰く「ソンやアフロ・キューバ聖歌といった伝統的キューバ音楽に、クンビアやメレンゲ、ボレロの要素を混ぜてカクテルした」というその音楽性にはそそられずにいられません。そしてそんな強力な海外勢に対する日本からの刺客とも言えそうな関西ファンクの雄、ザ・たこさん。濃い~ステージを繰り広げてくれることでしょう。さらに苗場食堂で歌う夏木マリっていうシチュエーションもなんか凄そう。あとホット8やロス・グアンチェスのような比較的大所帯なバンドが、苗場食堂という小さなステージにどう乗るのかも見物だったり。

お次ぎは木道程。ご存知、ボードウォークの途中にある、森の中の小さなステージ。注目は最終日に登場するベンジャミン・テホヴァル。昨年ウイルコ・ジョンソンと共に来日していた知る人ぞ知るワンマン・バンド奏者。この人は渋いですね~。ぜひ観てみたいですけど、最終日は被りまくりなんですよね…。そしてここにも出るケンジントン・ヒルビリーズ。木道程で聴くペダル・スティールの音色、気持ち良いですよ~。さらに畠山美由紀、青葉市子、ARISA SAFUといった女性陣も充実。あとARISA SAFUのサポート・メンバーに名を連ねる倉井夏樹も要チェック。この人のハープは素晴らしいですよ!


そして、みんな大好きカフェ・ド・パリ。ほとんど支配人的な雰囲気のビッグ・ウィリーは3日間出演。そしてロス・グアンチェスも3日間出演と、今年はキューバ色濃厚な感じ。とはいえキューバ一辺倒にならないのがカフェ・ド・パリ。カントリーのケンジントン・ヒルビリーズ、クンビアのベリー・ビー・ケアフル、邦ニューオーリンズ・ブラス・バンドの代表格ブラック・ボトム・ブラス・バンドなどなど、あの小さなテントがワールド・ミュージックの縮図となりそう。個人的にはアイリッシュな香りも濃厚なUKのフォーク・パンク・バンド、スキニー・リスターが観たい! ヘヴンにも出ますが、カフェ・ド・パリのような小屋が似合いそう。


さらにアヴァロン。やはりこちらはアトミック・カフェ関連が目立ちますね。何となく代々木や日比谷でやってるイベントと出演者があまり変わらないな~、なんて印象もありますが、きっとフジロックならではのメッセージを伝えてくれることでしょう。アトミック・カフェ以外では、ここにも出るロス・グアンチェスや、西アフリカの伝統を継承するバセク・クヤーテ・アンド・ンゴニ・バに目を惹かれます。邦楽勢ではT字路sの決定が嬉しい!


最後は、私のようにキャンプをしない人間は入ることが出来ないピラミッド・ガーデン。ここにもロス・グアンチェス、バセク・クヤーテ・アンド・ンゴニ・バ、ケンジントン・ヒルビリーズなどが並びます。みなさんお忙しいですね~。邦楽勢では、U-zhaan、青葉市子、SoRA、を迎える勝井祐二のプロジェクトが面白そう。もちろんサンディーによるフラもありますし、キャンプサイトで聴く湯川潮音っていうのも素敵でしょうね~。

他にも今回、デイドリーミングやオールナイト・フジの発表も有り、これでほぼ全貌は出揃った感じでしょうか。あとは岩盤のサイン会とそれに伴うミニ・ライヴ、そして前夜祭ぐらいですかね。ミーハーな私と致しましてはサイン会はかなり重要だったり。プリシラ・アーンのサイン会ないかな~。前夜祭はスキニー・リスターが出てくれたら嬉しいな~。

あ、そう言えば、ストーンド・サークルのエリアには今年もバスキングのステージはあるんですかね?あそこも今後侮れない雰囲気になってくるのではないかと。あと、ところ天国の「富士映劇」もありますね。やっぱ「寅さん」ですかね。夏木マリがマドンナを務めている作品もあるので、そんな小技を効かせてくれたら面白いかも。


最後にフジロック魅惑の小ステージを彩るアーティスト達の動画をご紹介。

ザ・ホット 8 ブラス・バンド → http://www.youtube.com/watch?v=wRKsusbeJHQ
スキニー・リスター → http://www.youtube.com/watch?v=NfYHoDjGVp4
バセク・クヤーテ・アンド・ンゴニ・バ → http://www.youtube.com/watch?v=u1NWKcKhESU
ロス・グアンチェス → http://www.youtube.com/watch?v=7LpourysUVQ
ベリー・ビー・ケアフル → http://www.youtube.com/watch?v=zIpKOp5iVgQ
ケンジントン・ヒルビリーズ → http://www.youtube.com/watch?v=pFb6tdsJIdg
ベンジャミン・テホヴァル → http://www.youtube.com/watch?v=rkF7aiiLVZc




*写真はホワイトステージへの出演が発表されたキャット・パワーの06年作。彼女がサザンソウルの聖地メンフィスに赴き、ハイ・リズムのティーニー・ホッジズ(g)&リロイ・ホッジズ(b)、MGズのドラマーとしても知られるスティーヴ・ポッツ(ds)など、メンフィスのミュージシャンと録音した傑作。これは良いアルバムですよね~。内省的でありながら、何処かロマンチックな作風に、柔らかい吐息のようなキャット・パワーの歌声が染み入っていく。もちろんサザンソウルではありませんが、そこはかとなく漂う南部テイストがまた良いんですよ!

フジロック予習:ゲイリー・クラーク・ジュニア

2013-06-18 07:59:39 | フジロック
GARY CLARK JR. / BLAK AND BLU

フジロック予習特集第4弾は、ブルース/ブルース・ロック界期待の大型新人、ゲイリー・クラーク・ジュニアです。

1984年2月15日、ブルースのメッカでもあり、ありとあらゆる音楽が集まるオースティンに生まれたゲイリー・クラーク・ジュニア。初めてギターを手にしたのは12歳の時。その後、有名なブルース・クラブ「アントン」のオーナー、クリフォード・アントンに見初められ、ジミー・ヴォーンにギターの手ほどきを受けたとか。07年頃には、オースティン・ミュージック・アウォードで「ベスト・ブルース・アーティスト」を受賞する程にかの地にその名が知れ渡っていたそうですが、それが全国区に轟いたのは、何と言ってもエリック・クラプトンのクロスロード・ギター・フェスティバルへの出演を果たした時でしょう。2010年でした。

こちらがその「Crossroads Guitar Festival 2010」出演時の「Bright Lights」の演奏シーン。
http://www.youtube.com/watch?v=x_ZeDn-hHGE

観客のほとんどが自分のことを知らないであろう大舞台で、堂々とオリジナル曲を演奏する姿は既に貫禄充分ですね。このフェスではクラプトンとはもちろん、シェリル・クロウとも共演したそうです。そしてゲイリーの才能に目をつけたのはクラプトンだけでは有りませんでした。なんと、それはアリシア・キーズ。ブルース・ギタリストという観点からクラプトンに注目されるのは分りますが、ここでアリシア・キーズが出てくるところに、ゲイリー・クラーク・ジュニアのただ者ではない資質が垣間見える印象です。

こちらは、2011年11月、アリシア・キーズがホストを務めるチャリティー・コンサート「Keep a Child Alive Black Ball」での一場面。ゲイリーとアリシアとの共演によるビートルズの「While My Guitar Gently Weeps」です。
http://www.youtube.com/watch?v=ASJ5ePn9UdE

アリシアがゲイリーに惚れ込んでる様子が伺える共演ですよね。これ以来、ゲイリー・クラーク・ジュニアを紹介する文章にはほとんど例外無く“アリシア・キーズが絶賛する”みたいな枕詞が付くようになります。さらに新人らしからぬゲイリーの快進撃は続きます。今度は2012年の2月、ホワイト・ハウスにてオバマ大統領夫妻が主催する『In Performance at the White House: Red, White and Blues』に出演。ブルース/ロック界のレジェンド目白押しのこの催しに、まだメジャーからフル・アルバムの1枚も出していないゲイリーが大抜擢されたのです。(この時まだアルバム「BLAK AND BLU」は発売されてませんが、メジャー・デビュー作となった4曲入りのEPは発売されていました。)

こちらがその時の映像。オバマ大統領の目の前でミック・ジャガー、ジェフ・ベック、バディ・ガイと横並びで「Five Long Years」をセッション。
http://www.youtube.com/watch?v=y-jSaBg9_M4

既に様々な経験を積んで来たであろうゲイリーでしょうが、流石にこれは参ったでしょうね。ですがそんな風に見えないところが本当に末恐ろしい。レジェンド達の化け物じみた余裕(特にバディ・ガイ!)に飲まれがちでは有りますが、しっかりと存在感は発揮しているから見事。もちろんこれだけではなく、ゲイリーの見せ場も有りました。その一つが彼がエレキ・ギターで弾き語る「In The Evening (When The Sun Goes Down) 」。こういう味わいも有るんですね~。
http://www.youtube.com/watch?v=B1JCWH_NNvo

そしてこの時ミック・ジャガーに気に入られたのかどうかは知りませんが、ローリング・ストーンズの50周年記念ライブにもゲスト出演。2012年12月15日ニューアークのプルデンシャル・センターにて。この日のライヴは日本でも生中継されたのでご覧になった方も多かったのでは? ゲイリーはジョン・メイヤーと共に「Going Down」で登場。キースとロンも含めた4人でギター・バトルを繰り広げました。
http://www.youtube.com/watch?v=l4IQQ63Zj_M

いや~、この時のゲイリーのプレイには痺れましたね~! ジョン・メイヤーの淀みないスピーディーな弾きっぷりも見事ですが、ゲイリーの放つチョーキングのタイム感たるや! そしてそのフィーリングと言うか微妙なニュアンスはまさに黒人ブルース! 今時の若手でこういうブルース表現をする人って以外と少ないんじゃないですかね? 私はこれを聴いてゲイリー・クラーク・ジュニアは間違いなく本物!!と確信しました。ちなみにこの「Going Down」はテキサス出身のブルース巨人フレディ・キングの名演で知られる曲。この選曲も粋ですね。 そして今年6月12日にも、ゲイリーはストーンズのボストン公演にこの曲でゲスト出演したそうです。

さて、そんなゲイリー・クラーク・ジュニアが、2012年にワーナーから発表したメジャー・デビュー・アルバム「BLAK AND BLU」(写真)です。(WIKIによりますと、インディーからのデビューは2004年で、2010年までに2枚のアルバムと1枚のEPをリリースしていたようです)。1曲目「Ain't Messin 'Round」のドライヴするロック・チューンを聴くと、ブルースと言うよりジミ・ヘンドリックス~レニー・クラビッツの流れを感じます。思いっきりジミヘンの「Third Stone From The Sun」のカヴァーも有りますし。さらに「Travis County」で軽快なロックン・ロールを聴かせる一方で、アダルトでアーバンな雰囲気を醸す「Blak And Blu」や、ヒップ・ホップ的なセンスの香る「The Life」など個性豊かな楽曲が並びます。歪んだギターが暴れるヘヴィ・ブルース・ロック「Numb」も圧巻。もちろん本領発揮のマイナー調ブルース「When My Train Pulls In」も有ります。個人的にはファルセット・ヴォイスが印象的なバラード「Please Come Home」にやられました。この曲でのスウィートなギター・ソロがまたお見事!

ブルースという枠にはまったく納まり切らないゲイリーの懐の深い才能に驚かされます。ソウルフルなブルースロックに先人達へのリスペクトが濃厚ながら、ディープになりすぎないライトな感覚や、全体的にエフェクトがかかっていて、ちょっぴりサイケやガレージっぽい雰囲気を醸しているところなどには現代的なオルタナ感も感じたり。私としては、もう少し素の音で聴いてみたかった、という気持ちも正直有るんですけどね。ですがその答えは、案外ライヴにこそ有るのかもしれませんね!

今年3月の代官山UNITでの初来日公演はソールドアウトし、Ustreamで生中継もされたとか。まさに日本での注目度もうなぎ上り。そしてフジロックではフィールド・オブ・ヘヴンに登場します。その話題性やメジャー感からてっきりグリーン当確かと思っていましたが、以外と奥地でしたね~。ですがそれも贅沢。ヘヴンで彼のテキサス魂を堪能しましょう!!

フジロック予習:エディー・ロバーツ・ウェスト・コースト・サウンズ

2013-06-13 23:53:10 | フジロック
EDDIE ROBERT'S WEST COAST SOUNDS / IT'S ABOUT TIME

フジロック予習特集第3弾、今回はエディー・ロバーツ・ウェスト・コースト・サウンズです!

2011年のフジロックで、あのバディ・ガイのキャンセルを受け、急遽代役でオレンジの大トリという大役を果たしたことも記憶に新しいディープ・ファンクの草分け的存在、ザ・ニュー・マスターサウンズ。08年にはフィールド・オブ・ヘヴンのトリも務めていますから、フジロックでもお馴染みですね。そのザ・ニュー・マスターサウンズのギタリストにして中心人物のエディ・ロバーツによるニュー・プロジェクトがこのエディー・ロバーツ・ウェスト・コースト・サウンズ。

エディー・ロバーツ(g)が米西海岸で出会ったというメンバーは、ウィル・ブレイズ(organ)、ジャマール・ワトソン(ds)、ジョー・コーエン(sax)、マイク・オルモス(tp)という、いわゆるオルガン・トリオ+ホーン隊という布陣。ウィル・ブレイズはスタントン・ムーア&カール・デンソンという強力トリオで活動したり、メデスキ・マーティン&ウッズのビリー・マーティン(ds)と共演アルバムを発表したりしてる人。日本での知名度はまだ低いですが、おそらくその界隈では相当名の知れた鍵盤奏者なんでしょうね。

ジャマール・ワトソンはご存知ダーティ・ダズン・ブラス・バンドのドラマーです。ですが、このバンドも出入りが激しいと言いますか、現時点で誰がメンバーなのか、非常に分りにくい。少なくとも、昨年のフジロックに来日した時のドラマーはジャマール・ワトソンでしたけどね。この彼、ドラマー王国ニューオーリンズにあってははまだまだ若手な存在だろうと思われますが、あのダーティ・ダズン・ブラス・バンドのリズムを任されている訳ですから、既にかの地のトップ・ドラマーの一翼を担っていると言っても過言ではないでしょう! そしてジョー・コーエン、マイク・オルモスの2人はニューマスター・サウンズの最新作「OUT ON THE FAULTLINE」にも参加していたジャズ・マフィア・ホーンズのメンバー。いや~、なかなかクールな面子ですよね!

さて、彼らのファースト・アルバムとなる「IT'S ABOUT TIME」です。ファンキーですよ!特にジャマール・ワトソンのドラムが凄い! もうドッカンドッカン叩きまくっている感じ。ですが大味にならず抜群の切れ味でスタン!スタン!と入るスネアが気持ち良い!「Bouncin' Around」や「Fast' In」で聴けるドラム・ブレイクの格好良いこと! 荒々しい音質によるところもあるかと思いますが、ジャマール・ワトソンってこんなにハード・ヒッターでしたっけ?って思う程の豪腕振り。テンポを落としたヘヴィー・ファンク「Black Bag」ではセカンドライン仕込みのハネまくるスネアにやられます。そしてこの曲のブレイクも最高です!

思わず耳がドラムを追いかけてしまいますが、もちろんエディー・ロバーツのギターも相変わらずのファンキーぶり。ジャズ・ファンクなソロも良いですが、ウィル・ブレイズのベース・ラインに絡むカッティングのグルーヴ感は流石としか言いようが無いですね。そのウィル・ブレイズのオルガンも存在感抜群。彼のソウル・ジャズ的なオルガンをフィーチャーした「Good Thing」はメロウなファンクネスが素敵! この曲を始めとして、レアなファンク名曲をカヴァーしているのもエディー・ロバーツらしいですよね。ま、正直、私にはマニアックすぎて元ネタまでは付いていけませんが…。

他にもアフロなリズムを感じさせる「Break the Fast」、クールなホーン・リフが格好良い「Aguacate」、高速オルガンジャズな「All the Time」、なんとゴティエのカヴァー「Somebody That I Used To Know」など、ファンキー・チューンの連続。ヴィンテージ・テイストをヒップに料理したようなエディー・ロバーツならではのセンスが光る快作です!!

さて、フジロックは初日7月26日のフィールド・オブ・ヘヴンに登場するエディー・ロバーツ・ウェスト・コースト・サウンズですが、間違いなくファンク天国と化してくれることでしょう。ですが、ちょっと気になることもあります。それはオルガンのウィル・ブレイズ。実は彼、スタントン・ムーア・トリオのギタリスト、ウィル・バナードとW-BEEZというバンドも組んでるようで、そのW-BEEZがフジロックと同じ7月26日にシスコ・グローヴで開催される「GUITARFISH FESTIVAL」というフェスに出演するようなんですよね~。しかもジョー・コーエンもメンバーだったりする。これ大丈夫なんですかね? 一応、フジロック・オフィシャル・サイトのアーティスト・データーにはこの「OUT ON THE FAULTLINE」レコーディングメンバーの5人の名が記されていますが、あのデータも当てにならないですからね~。案外、蓋を開けてみたらまったく違うメンバーで来日してた、なんてこともあり得るかも? でもジャム系アーティストのサイドプロジェクトって概してそんな感じですよね? (出来ればこのメンバーで来日してもらいたいですけど…。)




最後に動画を1つ。エディー・ロバーツ・ウェスト・コースト・サウンズ、今年3月のライヴ映像のようです。曲は「The Long Drive Home」。終盤にはジャマール・ワトソンのドラムソロもフィーチャーされています。オルガンはウィル・ブレイズではなくJoe Ashlar。彼はギャラクティックのロバート・マーキュリオ(b)やジェフ・レインズ(g)が組んだGood Enough For Good Timesなるバンドでオルガンを弾いたり、ボノラマのアルバムに参加したりしている、おそらくニューオーリンズ系の鍵盤奏者。はい、彼が来てくれても全然OKです!
http://www.youtube.com/watch?v=Y9kr2m6HOow

FUJI ROCK DAYS

2013-06-11 23:32:33 | フジロック
6月8日、恒例のフジロックデイズに行ってまいりました。と言っても、実質的には渋谷タワーレコードに行って、CD買って、抽選やって、ハズレのタオルを貰っただけなんで、特にブログに記す程のことも無いんですけどね。ま、とりあえず毎年恒例なので、行ってきましたよ~!という報告まで。

ちなみに写真はフジロック・オフィシャル・ショップ「GAN-BAN/岩盤」がやっているパルコ前の会場。タワレコ帰りに寄ってみましたが、こちらも例年通りな感じでした。こちらではチケットもしくはグッズの購入で苗場プリンス宿泊券が当たる抽選会に参加出来る。私も懲りずにTシャツでも買ってまた抽選に参加してみようかな~、どうしようかな~、なんて迷っているうちに目の前でカップルが苗場プリンスの宿泊券を当てて大喜びしていました。いや~、当たる人には当たるもんなんですね! 私はすっかり戦意喪失して、何も買わずに帰りました~。

6月15日(土)、16日(日)には、今度は新宿タワレコでFUJI ROCK DAYSがあるそうです。

カサンドラ・ウィルソン@ブルーノート東京

2013-06-10 22:11:32 | ジャズ
5月31日、ブルーノート東京にてカサンドラ・ウィルソンのライヴを観てまいりました。私が観たのはこの日の2ndショー。

憧れのカサンドラ・ウィルソン。これまで観たい観たいと思いながらも、ジャズのライヴというものに何となく気後れして見逃してきた彼女のステージ。今回、ついに初の生カサンドラでした!バック・バンドは、グレゴア・マレ(ハーモニカ)、チャールズ・バーナム(ヴァイオリン、マンドリン)、ブランドン・ロス(ギター)、ロニー・プラキシコ(ベース)、ミノ・シネル(パーカッション)という5人編成。カサンドラのバックではお馴染みのオールスターズと言ったところでしょうか。あのミノ・シネル(マイルス・デイヴィス、ウェザー・リポートを始めあらゆるセッションで活躍してきた凄腕)を生で観れるのも嬉しいですが、個人的にはグレゴア・マレというハーモニカ奏者、私はカサンドラのアルバムで知ったのですが、彼のパフォーマンスも楽しみでした。今回そのグレゴア・マレがバンドのディレクターも務めていたようです。

さて、そのカサンドラのステージ。私は前から3列目の中央に着席。目の前に立つ彼女が最初に歌ったのは「Children Of The Night」。初めて聴く彼女の生声とその姿にゾクゾクしましたね。深く、沈みゆくようなエモーションと、軽やかな浮遊感を同時に湛える神秘の歌声。金色っぽくも見えるドレッドな髪型と同系色の民族衣装のような衣に身を包み、体をうねうねとくねらせながら歌う姿はまるでミシシッピの巫女の様。そして最新作から「Another Country」、「No More Blues」と続く。

バック・バンドの演奏はもちろんジャズな訳ですが、ブルージーでもあり、オーガニック・ソウル的でもあり、ラテンやフラメンコのような異国情緒も感じられる。それぞれのミュージシャンが感受性豊かな演奏を繰り広げつつも、その音と音とは有機的に絡み合い一つの立体的なサウンドを作り上げる。それはまるで一種の空間芸術の様。そしてカサンドラの歌声はその空間の隙間に染み入るようでも有り、それを大きく包み込むようでもある。いや~、ジャズって凄いな!!

そして期待のグレゴア・マレのハーモニカも素晴らしいの一言! 彼の吹くメランコリーな音色が今回のステージの印象を決定付けていたと言っても過言ではないでしょう。いたってクールな佇まいから発せられる、歌や演奏に呼応するかのようなフレーズの数々は、何処か儚く憂いに溢れた美しさでした。こういったジャズの編成に彼のようなハーモニカ奏者をフィーチャーする辺りもカサンドラ・ウィルソンの特異性を物語っていますよね。

パーカッションのミノ・シネルが圧巻のソロを見せてくれたのは「Angola」だったかな。これはアフリカの女性歌手セザリア・ エヴォラの曲でしょうか? ぐんぐん加速していくようなミノ・シネルのパーカッションにとにかく大興奮でした。それまでのゆったりとしたムードから突如として肉感的なリズムが溢れ出す。あの野性的な感覚が堪りませんでした。そして切れ味抜群のバチ捌きには思わず身を乗り出してしまいましたね。そしてこの夜一番の拍手喝采!!

魅惑のスロー・ナンバー「Wichita Lineman」、軽快な「Last Train To Clarksville」とカヴァーが続きます。特にモンキーズの「Last Train To Clarksville」はカサンドラが取りあげた数あるカヴァー曲の中でも私が大好きな1曲だったので、ライヴで聴けて感無量でした。この曲ではチャールズ・バーナムがヴァイオリンにワウをかけたソロを弾いていたのも印象的でした。この人はジェームズ・ブラッド・ウルマーのバックなどで活躍してきた人で、メデスキ・マーティン&ウッドやセックス・モブの作品なんかにもその名前を見つけることが出来る人。この曲に限らずマンドリンをスライドバーを絡めて弾いたりとか、アイデア豊かなプレイでサウンドを彩っていました。あと「Wichita Lineman」でのグレゴア・マレのハーモニカ・ソロ、素晴らしかったです。

そしてカサンドラがエレキ・ギターを弾きながら歌った「Red Guitar」。カサンドラって、ギターも弾くんですね。ちょっと意外でした。そしてブランドン・ロスのギターをバックに歌い始めた「Blackbird」。これが絶品でしたね。途中からバンドが入ってきましたが、もう最後までブランドン・ロスとのデュオで聴きたかったぐらいです。もうただただうっとりでした。ブランドン・ロスはベースのロニー・プラキシコと並んで全編で堅実な印象を受けましたが、やはり要所々々でしっかり魅せてくれましたね。

ラストは「A Little Warm Death」。オーガニックなグルーヴに柔らかく揺れるカサンドラの歌声。軽やかでありながらスピリチュアルなヴァイヴが素晴らしい! 途中、チャールズ・バーナムのヴァイオリンと戯れるようにスキャットを披露したのも印象的でした。

ほぼ目の前で繰り広げられたカサンドラ・ウィルソンのステージ。ジャズらしい開放感と洗練された音空間に、黒人女性シンガーらしい濃密なスピリッツが溶け込んだ素晴らしいステージでした。噂によれば、アンコールに「Death Letter」と「Time After Time」が予定されていたそうですが、残念ながらこの日はアンコールはありませんでした。あ~、サン・ハウスも聴きたかったー!! でも満足です!!



*曲目等間違いがありましたらごめんなさいね。

ジェシー・ハリス@表参道ヒルズ

2013-06-09 14:53:24 | インストアイベント
インストア・イベント観覧記その10 ジェシー・ハリス@表参道ヒルズ

6月2日、表参道ヒルズにてジェシー・ハリスのインストア・ライヴを観てまいりました。今回の来日でジェシーはいったい何回のインストア・ライヴをこなしたんでしょうね? 私は4~5回観させて頂きましたが、まだ観ようと思えば観れたんですけど、流石に6回目、7回目となると通い過ぎかな?と思い遠慮致しました。という訳で、この表参道ヒルズが私にとっての最後のジェシーのインストア・ライヴになりました。

吹き抜けの大階段に赤いカーペットが敷かれ、ジェシーが一人マイクの前に立ってアコギ弾き語り。曲目は他の日のインストアとほぼ同じ。「Borne Away」から始まり、「Like A Wheel」、「Say That You'll Never Go Away」、「Do You Really Love Him?」、「Black Orchid」など最新作「BORNE AWAY」からの曲を中心に前作「SUB ROSA」からの曲やジョン・ゾーンのプロジェクトで歌っている「Towards Kafiristan」などを織り交ぜた内容。ですが、この日がスペシャルだったのは、あの「Don't Know Why」を演ったこと。

ご存知、ノラ・ジョーンズが歌いグラミー賞受賞の栄誉に輝いた名曲ですね。もちろんジェシーのオリジナル曲ですが、少なくとも私が観たインストアのなかでは、これまで一度もやっていなかったんです。トリオ・エストランジェイロスのライヴではアンコールに披露されていると聞いてはいたんですが、インストアじゃ演ってくれないのかな~?と半ば諦めていたところでした。なのでジェシーがこの曲のイントロを弾き始めた瞬間、心の中で “うわ~!!” って叫びたい感じで、本当にドキドキしましたね。

ライヴ会場は吹き抜けの周りを螺旋状に通路がグルグル回ってるんですけど、もちろんその通路はジェシー目当ての方々が大勢取り巻いているんですが、普通にショッピングに来たお客さん達も歩いてるんです。そんな日曜の夕方、日常的な時の移ろいに「Don't Know Why」のメロディが溶け込んでいく。明らかに時間の流れ方が変わった印象。ゆっくりとしたさざ波のように、まるで広い空間そのものが癒されていくかのよう。やっぱりこの曲には特別な魔力が潜んでいますね。ジェシーの歌声とアコギの音色も素敵でした。

最後は「Listen To Your Heart」で締め。狭いカフェやショップでのライヴとは違い、ジェシーと観客との距離がある分、その曲調も相まってか、華やかな表参道ヒルズの雰囲気とは裏腹に、何となく孤独な雰囲気の感じられるライヴでした。それがまた独特な雰囲気で良かったんですけどね~。




この日のセットリスト↓

01. Borne Away
02. Like A Wheel
03. I Won't Wait
04. All Your Days
05. Say That You'll Never Go Away
06. Do You Really Love Him?
07. Towards Kafiristan
08. Don't Know Why
09. Black Orchid
10. Listen To Your Heart




JESSE HARRIS / BORNE AWAY
発売されたばかりのジェシー・ハリスの最新作。スタジオに一人こもって全編を録りあげたという作品。シンプルなサウンドから醸す何処か神秘的な雰囲気が秀逸。ブック型のアートワークにも想像力をそそられます。

フジロック第8弾&ステージ割!!

2013-06-07 11:20:55 | フジロック
BJÖRK / BIOPHILIA

フジロックの出演アーティスト第8弾、及びステージ割がオフィシャルサイトにて発表になりました。追加アーティストは深夜のパレスやサーカスも含めて24組。まあ、それはいいとして(え!いいの?)、ついに、ついにステージ割ですよ! これで全貌が見えてきました。いよいよ本格的にフジが近づいてきた!って感じですよね~。

という訳で、現段階での個人的展望など。

まずは初日、金曜日。
レッドのロン・セクスミス、ヘヴンのエディー・ロバーツ~ゲイリー・クラーク・ジュニア、オレンジでタワー・オブ・パワー、最後はホワイトのスクリレックスで締め。こう見えてスクリレックスが結構楽しみだったり。バッキバキの爆音で踊り狂いた~い!みたいな。それはそうと、ゲイリー・クラーク・ジュニアとタワー・オブ・パワーは被るかもしれませんね…。この辺は上手いことずらして欲しいですけど。あとちょっと観たかったテーム・インパラは諦め、あとチャラも…。それにしてもグリーンの後ろから3番目にマイ・ブラッディ・バレンタインって贅沢ですよね~。ホワイトのフライング・ロータス~スクリレックスの流れも、そっち好きの人には堪らないでしょうね。

土曜日。
この日はビョークのためにある! ビョークをじっくり観るためならば、ヘヴンのガース・ハドソンも、ダニエル・ラノアも、オレンジのバイアーナ・システムも、ホワイトのジュラシック・ファイヴもみんな諦めます!(涙)。ま、それはそうと、この日はレッドのプリシラ・アーンから。プリシラがレッドなのも驚きましたが、それ以上にあまりにも早い出演順にびっくりしました。グリーンのエイミー・マン、ヘヴンのスキニー・リスター 、オレンジのジェリ・ジェリ辺りを楽しみたいところですが、ビョークをいい位置でじっくり楽しみたいことを考えれば、早めにグリーンを伺っといた方が良いのかな~。そういう意味では、夜はフォールズ~カール・ハイド~ビョークのグリーン3連チャンもありかも。そしてこの日は何故かフィードミーがスペシャル・ゲスト扱い。これ、何所に出るんでしょうね?やっぱりビョークの後ですか?となると、ビョークは通常のトリより早く終わるのか?それならば、ホワイトのジュラシック・ファイヴに間に合うかもしれませんし、ヘヴンのガース・ハドソンだって終盤だけなら観れるかも?なんて望みを繋いでみたり。いや、ですが私はビョークが終わり次第パレスに向かいます。何故ならパレスでホット 8 ブラス・バンドですから! これは観たい~! ビョーク後にパレス、間に合いますかね~。っていうかビョークに打ちのめされてそれどころじゃなくなっちゃうかもしれませんけどね。ま、それはそうと、やはりスペゲによりビョークの出演時間がどうなるのか?そこがカギですね。


最終日、日曜。
この日はヘヴンとオレンジが濃密すぎて、もう一日中この2ステージを行ったり来たりしているだけでOKな感じ。ですが問題はグリーンのマムフォード&サンズ。さあ、どうする?これを観に奥地からグリーンに一旦戻るとなると、もうほとんど体力勝負な感じになりそうですが、これは当日の足腰と相談と言ったところでしょうか? そしてラストをレタスで締めるか、メイシー・グレイで締めるかも悩みどころです。それにしてもグリーンのマムフォード&サンズ~ヴァンパイア・ウィークエンド~ザ・キュアー って豪華ですよね~! グリーンが豪華だと、それを観る観ないに関わらずテンション上がります。あ、タヒチ80とか、トロ・イ・モワなんかも観たかったけど、それは諦めよう…。


あと、パレス・アリーナでのサーカスは今年は「Infernal Varanne’s “Invisible Wall of Death”」というオートバイによるスタント・ショーだそうです。あのグルグル回るやつですかね?あまり興味ないですけど、せっかくだから観てみたいです。なかなかタイミングが合わないんですよね~。


さて、今回の発表で大きいステージはほぼ埋まってしまった感じですね。初日はホワイトにあと2枠、2日目は無し、最終日はグリーンに1枠(+クロージングは?)、そしてホワイトとレッドに1枠ずつ。こんな感じでしょうか?もうさすがにサプライズは無いですかね? なにか最後にガツンとかまして欲しいですけど、あまり期待はせずに待ちましょう。もちろん、まだパレスにも追加がありそうですし、アヴァロン、木道亭、苗場食堂、カフェドパリなど、ある意味最もフジらしいディープな世界がこれから続々発表になりますからね。まだまだお楽しみは続きます。



写真は先日、まさかの単独公演も発表されたビョークの「BIOPHILIA」。その単独公演は、「Biophilia Tokyo」と題され、ステージの周りを客席エリアが取り囲む形で、観客達はBiophiliaの全貌を体験することになるとか。しかもキャパ800人という親密度で。これはビョーク・ファンとしては堪らないものがありますよね。フジと並んで歴史的なライヴとなることでしょう。もちろん私も観に行く予定です。なので、敢えてフジではがむしゃらに前の方に行くのは止めようかとも考えています。フジでは少し後方に下がって、広い野外フェスでの「BIOPHILIA」を体感し、そのおよそ1週間後に、小さな屋内での「BIOPHILIA」を堪能する。もしくは苗場という自然の中で観る「BIOPHILIA」と、テクノロジーに囲まれた東京で観る「BIOPHILIA」。その対比も楽しもうかと。いや~、楽しみで仕方ありません!!

でもチケ代が恐ろしくエクスペンシヴだったので、今年はサマソニに行けそうもありません…。

ノラ・ジョーンズ探検隊 その9

2013-06-06 18:01:59 | SSW
JESSE'S BOX / JESSE HARRIS AND THE FERDINANDOS

ちょっぴり久々のノラ・ジョーンズ探検隊。今回はつい先日行なわれたトリオ・エストランジェイロスでの来日ツアーも大好評に終わったジェシー・ハリスです。

ご存知ノラの代表曲「Don't Know Why」の作者としても知られるニューヨーク出身のシンガー・ソング・ライター、ジェシー・ハリス。彼のデビューは95年。当時のガールフレンドだったレベッカ・マーティンと組んだワンス・ブルーというデュオでした。しかしこのワンス・ブルーは1stアルバムをリリースしたのみで解散。その後ジェシーはニューヨークの音楽仲間とフェルディナンドスというバンドを結成し、ジェシー・ハリス&ザ・フェルディナンドス名義で自主レーベルから99年にデビューします。上の写真のアルバムは、彼らのそのデビュー作「JESSE HARRIS & THE FERDINANDS」(99年作)と2nd作「CROOKED LINES」(01年作)を1枚に編集した日本独自盤「JESSES BOX」。ジェシーによるオリジナルの「Don't Know Why」や、まだデビュー前のノラがバック・コーラスとピアノで参加した「Another Place」と「Something Is Calling You」の2曲も収録されています。これらの音源を聴きながらジェシー・ハリスとノラ・ジョーンズ、2人の出会いに思いを馳せると、なんともノスタルジックな気分になります。

さて、ジェシーとノラの出会いとは? このライナーに曰く、それは1998年(ワンス・ブルーが解散した翌年)のこと。ジェシーはノース・テキサス大学でライヴを行なうミュージシャン仲間と連れたって同地を訪問します。その際に「バカでかい車に乗ってたから」という理由で彼らをホテルに向かえにゆく役目を授かったのが、当時まだ同大学でジャズ・ピアノを専攻する学生だったノラ・ジョーンズだったのです。彼らはすぐに意気投合し、ジェシーとノラは双方で連絡を取り合うようになったそうです。そして翌年、再びテキサスを訪れたジェシーはフェルディナンドスのメンバーと共にノラを説得し、彼女は大学を中退しニューヨークに居を移すに至ったとか。

その後、ジェシーの曲を歌って大成功を収めるノラのことを考えると、何とも運命的と言いますか、ロマンを感じさせられる話ですよね~。ただこの辺りの話には諸説あるようで(ノラは当初ほんの1ヶ月のバカンスのつもりでニューヨークに来ていたとか、そのノラをニューヨークで活動するように促したのはリチャード・ジュリアンだとか、どちらかというとそちらの方が定説かも?)、例えば「MUSIC FOR LIFE」というサイトには、ちょっとニュアンスの違う出会いのエピソードが、素敵な文章で綴られています。興味のある方はこちらも読んでみてください。

さて、ジェシー・ハリス&ザ・フェルディナンドスです。注目はこのバンドのギタリスト、トニー・シェアー。その後もノラの活動に浅からず関わっていくミュージシャンですが、この人、セックス・モブのベーシストでラウンジリザースなんかにも関わっていた人。2nd作「CROOKED LINES」は彼の自宅で録音されるなど、この時期既にジェシーの右腕的存在を務めていることを考えると、案外、彼こそがノラのニューヨーク先鋭ジャズ界隈との人脈におけるキーマンだったのかもしれない、なんて思ったり。そしてその人脈の種はジェシーによって蒔かれていたというのも興味深いところ。色々な意味でジェシーからの影響の大きさが伺われます。




NORAH JONES / COME AWAY WITH ME
やはりこれに触れずにはジェシー・ハリスを語れません。言わずと知れたノラ・ジョーンズのデビュー作にして大名盤「COME AWAY WITH ME」。名門ブルーノートと契約し、大御所アリフ・マーディンをプロデューサーに向かえ、さらにはその後の大ブレイクなど、シンデレラ・ガール的な作品と思われがちかもしれませんが、実はジェシー・ハリスを始め、リー・アレキサンダー(B)、ダン・レイザー(ds)、アダム・レヴィ(g)という当時ノラが組んでいたバンド・メンバー達と作った等身大のアルバムとも言える作品なのです。テキサスを出てニューヨークに移り住み、ジェシー達と始めたバンド活動、その風景が音に刻み込まれています。もちろんビル・フリーゼル、トニ・シェアー、ブライアン・ブレイドといったゲスト参加もあり、その辺りも既にノラらしい。いや、ジェシー・ハリスの影響かもしれませんね。当のジェシーは「Don't Know Why」を含め5曲(内1曲はノラとの共作)を提供し、7曲でギターを弾いています。02年度のグラミー賞において、このアルバムに関連して主要4部門独占を含む8部門を受賞。もちろん「Don't Know Why」で『Song Of The Year』を受賞したのはジェシー・ハリス!!



THE SECRET SUN / JESSE HARRIS AND THE FERDINANDOS
ジェシー・ハリス&ザ・フェルディナンドスのメジャー移籍第1弾作品であり、「Don't Know Why」でグラミー賞を受賞して後の最初のアルバムとなった03年作。現在のジェシー作品に比べれば随分とアメリカーナ寄り。ノラ・ジョーンズは「What Makes You」でジェシーと気持ち良いデュエットを披露。リズムと戯れるようなノラ印のピアノも素敵。また「If You Won't」でもバック・コーラスを添えています。



WHILE THE MUSIC LASTS / JESSE HARRIS AND THE FERDINANDOS
「THE SECRET SUN」に続くメジャー2作目。ノラ・ジョーンズは「Wish I Was A Bird」、「While The Music Lasts」、「Mirror Ball」、「One Day The Dam Will Break」の4曲に参加。残念ながら全てバックグラウンド・ヴォーカル(「One Day The Dam Will Break」ではピアノも弾いています。)ですが、やはりノラの声が聴こえるとフワッと空気が柔らかくなり、その存在感は大きいです。ゲストにビル・フリーゼル(g)、ヴァン・ダイク・パークス(string arrangement)なども参加。またトニー・シェアーのギターも素晴らしい!



VA / THE HOTTEST STATE-ORIGINAL MOTION PICTURE SOUNDTRACK
こちらは俳優イーサン・ホークが自身の小説を監督、映画化した「THE HOTTEST STATE」(06年公開)のサウンドトラック盤。映画は見てないので内容については分りませんが、ニューヨークを舞台にした俳優とシンガー・ソング・ライターの恋愛物語のようです。そしてこのサウンドトラックのエグゼクティヴ・プロデューサーをイーサンと共に務め、全ての楽曲を作曲したのがジェシー・ハリスでした。参加したアーティストは、ウィリー・ネルソン、ブライト・アイズ、エミルー・ハリス、キャット・パワー、M・ウォード、ザ・ブラック・キーズなど、素晴らしい面子。そしてノラ・ジョーンズも1曲「World of Trouble」を歌っています。この曲と彼女の歌声、ノスタルジックな雰囲気にうっとりです。ノラのピアノはもちろんバックのトニー・シェアー(g)、グレッグ・コーエン(b)、ジョン・ドライデン(organ)などがまた良い味出しています。さらにノラはM・ウォードが歌う「Crooked Lines」にピアノとバック・ヴォーカルで、ウィリー・ネルソンが歌う「Always Seem To Get Things Wrong」にピアノでそれぞれ参加し、ロマンチックな音色で絶妙のアシストをしています。それにしてもジェシーの作る楽曲の素晴らしさと、キラ星の如くの参加アーティストを一つのサントラに纏め上げた力量には脱帽です。



SUB ROSA / JESSE HARRIS
ブラジル録音によるジェシー・ハリスの2012年作。後にトリオ・エストランジェイロスとなるダヂがベースを務め、ヴィニシウス・カントゥアリアも1曲でマラカスを振っています。元々ジェシーがダヂの知己を得たのはノラ・ジョーンズのブラジル・ツアーでのことだったそうです。そしてダヂを介してヴィニシウスとも友人になったとか。異国の空気をほんのりと纏いながらも、ジェシーらしい情緒豊かな作品に仕上がっています。また、ブラジル録音とはいえ一部アメリカでの録音も含まれているようで、ノラもボーナス・トラックを含め「Rocking Chairs」、「Rube And Mandy At Coney Island」、「Let It All Come Down」、「You Were Bound To Fly Away」の4曲でバック・ヴォーカルを担当。特にボサノバ的な「Rocking Chairs」は出色の出来映え。ジェシーのヴォーカルにささやかに寄り添うようなノラの歌声が効いています。







~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 12.10.15 ノラ・ジョーンズ探検隊 その1(RAY CHARLES / GENIOUS LOVES COMPANY)
 12.10.16 ノラ・ジョーンズ探検隊 その2(THE DIRTY DOZEN BRASS BAND / MEDICATED MAGIC)
 12.10.21 ノラ・ジョーンズ探検隊 その3(VA / LIVE FROM BONNAROO)
 12.10.23 ノラ・ジョーンズ探検隊 その4(CHARLIE HUNTER / SONGS FROM THE ANALOG PLAYGROUND 他)
 12.10.31 ノラ・ジョーンズ探検隊 その5(RODNEY CROWELL / KIN: SONGS BY MARY KARR & RODNEY CROWELL)
 12.11.08 ノラ・ジョーンズ探検隊 その6(VA / THE LOST NOTEBOOKS OF HANK WILLIAMS)
 12.11.14 ノラ・ジョーンズ探検隊 その7(JIM CAMPILLONGO / AMERICAN HIPS 他)
 12.12.25 ノラ・ジョーンズ探検隊 その8(VA / A VERY SPECIAL ACOUSTIC CHRISTMAS 他)

そそるライヴ 6月編

2013-06-02 11:20:47 | そそるライヴ
関東近辺にて6月に行われるライヴ、フェス、イベントのなかで、気になるものをピックアップしてみました。

6/01(土)Maia Hirasawa @タワーレコード新宿店(インストア・イベント) 観覧フリー!
6/01(土)頂 ITADAKI 2013 @静岡県榛原郡吉田町 吉田公園
6/02(日)頂 ITADAKI 2013 @静岡県榛原郡吉田町 吉田公園
6/01(土)TAICOCLUB’13 @長野県木曽郡木祖村 こだまの森
6/02(日)TAICOCLUB’13 @長野県木曽郡木祖村 こだまの森
6/02(日)Jesse Harris  @表参道ヒルズ 観覧無料!
6/03(月)CHICK COREA/STANLEY CLARKE TRIO with MARCUS GILMORE @ブルーノート東京
6/03(月)FISHBONE @下北沢 Garden
6/03(月)ERIMAJ @丸の内コットンクラブ
6/05(水)山岸潤史・芸歴40周年&還暦記念ライブin東京 @渋谷 Club Quattro
6/09(日)FUJITSU CONCORD JAZZ FESTIVAL 2013 東京公演 @ブルーノート東京
6/11(火)SNARKY PUPPY @ブルーノート東京
6/16(日)Sam Lee @タワーレコード渋谷店(インストア・イベント) 観覧フリー!
6/17(月)The Three Degrees @ビルボードライヴ東京
6/19(水)LAU @渋谷 Club Quattro
6/20(木)Sam Lee @青山 CAY
6/20(木)Laura Mvula @ビルボードライヴ東京
6/21(金)100万人のキャンドルナイト@増上寺 2013 @芝増上寺 入場無料!
6/22(土)Charles Pasi  @音楽の日2013 アンスティチュ・フランセ東京
6/22(土)Jon Dee Graham  @鎌倉 Cafe Goatee
6/27(木)Dickey Betts & GREAT SOUTHERN @ビルボードライヴ東京




お出かけの際は事前のご確認をお願いいたしま~す!