ルーツな日記

ルーツっぽい音楽をルーズに語るブログ。
現在、 フジロック ブログ と化しています。

フジロック予習:マイケル・キワヌカ

2012-05-30 22:05:18 | フジロック
MICHAEL KIWANUKA / HOME AGAIN

フジロック予習企画第4弾、マイケル・キワヌーカ!!

ビル・ウィザーズの再来と騒がれている、イギリスはノース・ロンドン出身の黒人シンガー・ソング・ライター、マイケル・キワヌカ。今年「HOME AGAIN」でアルバム・デビューしたばかりの24歳(25歳?)。しかもあのアデルが2011年のツアーのオープニング・アクトに彼を大抜擢したり、英BBCが今年ブレイクするであろうアーティストを紹介する「Sound Of 2012」のトップに選ばれるなど、「HOME AGAIN」リリース前から話題騒然でした。

UK音楽界の新人レースにおそらく最も大きな影響を与えるであろうこの英BBCによる「Sound Of ~」、ちなみに最近5年間のトップは以下のような感じでした。

2011 - Jessie J
2010 - Ellie Goulding
2009 - Little Boots
2008 - Adele
2007 - Mika

ちなみに今年のフジロックに出演予定のジェイムス・ブレイクは昨年の第2位でした。そんな「Sound Of ~」、今年は“素朴な黒人フォーク・シンガー”というイメージのマイケル・キワヌカが1位に選ばれ、その地味さ故に本当にブレイクするのか?と驚きもしましたが、やっぱり過去と比べても異色ですよね。でもそれ故に彼には何やらただならぬポテンシャルを感じさせられるんです。OOPS! のニュース記事によりますと、本人はこの結果に「自身の芸術が認められたということは間違いなく心に‘来る’ものがある」と喜びつつも、「でも重荷にもなりうる。みんなからの期待がね。それに自分の音楽を聴く人が増えれば増えるだけ、自分の音楽を気に入らないという人の存在も知るということだ」と冷静にコメントしているそうです。この落ち着いた感じがいかにも彼らしいですよね~。

さて、そのマイケル・キワヌカ、イギリス生まれですが両親はウガンダからの移民だそう。ユニバーサルのバイオによりますと、影響を受けたアーティストは、マーヴィン・ゲイ、オーティス・レディング、ボブ・ディラン、ポール・サイモン、シャギー・オーティス、ロバータ・フラック、ビル・ウィザーズ、ディアンジェロなど。中でも特にオーティス・レディングとビル・ウィザーズからの影響が大きかったようですね。今時の新人さんというと、音楽好きの両親のもとレコードに囲まれて育った的なバイオが多いですが、マイケル・キワヌカは逆にレコードの無い家庭に育ったとか。ビートルズすら無かったそうです。なので70年代の音楽がとても新しく聴こえたとか。

そんなマイケル・キワヌカのデビュー・アルバム「HOME AGAIN」。全曲マイケル・キワヌカの手による全10曲。1曲目「Tell Me A Tale」から新人らしからぬ深いフィーリングに引き込まれます。ジャズっぽい浮遊感を持ったグルーヴにフルートやストリングス&ブラスが絡む感じはまるでニューソウル。そしてまろやかな中にも凛とした響きをたたえるマイケル・キワヌカの歌声。途中、尺八のような音も聞こえ、それもなかなか効いています。穏やかなアフリカの空気を感じさせるサビへの展開も見事。もうこの1曲だけで私なんかはマイケル・キワヌカの虜になりましたよ。

続いて「I'm Getting Ready」「I'll Get Along」などでは、大らか且つ暖かいマイケルの歌唱に思わず顔がほころびます。この素朴な質感はやはりアフリカの血でしょうね。また飾らないながらもセンスの良いフレーズを紡ぐマイケルのギターも良い味わい。彼はこのアルバム中で、アコースティック・ギター、エレキ・ギター、さらにベースまで、一人何役もこなしています。そしてドラム、パーカッション、鍵盤各種、トランペット、バリトン・サックス、コラなど、マルチな才能でサポートするのが、この作品のプロデューサーでもあるポール・バトラー。彼はイギリスのロック・バンド、ザ・ビーズ(04年のフジロックにも出演したレトロ&サイケなロック・バンド)の中心人物。多彩な楽器を操りながらも、あくまでも楽曲のメロディと歌声の魅力を最大限に引き出すかのようなアレンジが、このアルバムを貫く独特のムードを作り出しています。

特にスロー・ナンバーの「Rest」は素晴らしいですね! まず曲事態が泣ける。そして朴訥とした中にじんわりとソウルを染み込ますような歌声と、その歌声に寄り添うようなギター。さらに聴き手の感情をしっとりと高揚させていくかのようなアレンジ。ホント素晴らしい。これは名曲ですよ! そしてタイトル・トラックの「Home Again」。さほど起伏のあるメロディーではないように思うのですが、何故か優しい安らぎを感じさせられる、不思議な魅力を持った曲。アコギの爪弾きと人肌の歌声、それを穏やかなシンセの音色が包み込む。

他にもゆったりとジャジーにスウィングする「Bones」、ゴスペル的な「I Won't Lie」、ダークな色調が彼のエモーションを一際黒く輝かす「Worry Walks Beside Me」、他の曲とは一線を画した哀愁溢れるメロディーが秀逸な「Any Day Will Do Fine」など、シンガーとしての魅力はもとより、ソング・ライターとしてもただならぬ才能を感じさせる曲が並びます。そしてアルバム一枚通して聴くことで、マイケル・キワヌカの歌世界が持つ、ソウルフルな温もりが五感に染み込んできます。


さて、今年もっともブレイクが期待されるとBBCがプッシュするマイケル・キワヌカ、彼を早くもフジロックで見れるんです! 楽しみですよね~、生キワヌカ! アーティスト・データのメンバーにはマイケル・キワヌカの一人しか記されていないので、ギター弾き語りになるのでしょうか? バンドセットでも観てみたい気がしますが、ま、どちらにしろ必見ですよね。ただ日曜日は観たいアーティストがひしめいてるので、かぶりが心配…。


*写真のアルバムは「ETHAN JOHNS SESSIONS」と題されたボーナス・ディスクが付いたマイケル・キワヌカのデビュー作「HOME AGAIN」。「ETHAN JOHNS SESSIONS」はそのタイトル通り、イーサン・ジョーンズがプロデュースを務めた5曲が収録されています。ですがその5曲中、2曲が本編とのダブっています。とは言え、イーサン・ジョーンズと言えば、キングス・オブ・レオン、ライアン・アダムス、レイ・ラモンターニュ、プリシラ・アーンなどを手掛けてきた名プロデューサーですからね、そのダブり曲を聴き比べてみるのも面白い。しかもリズム隊にジェイムス・ギャドソン&ボブ・バビットのモータウン組が参加してたりでかなり興味深いです。






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ジョニー・ウィンター&サニー・ランドレス@ジャパン・ブルース&ソウル・カーニバル

2012-05-27 22:45:27 | フェス、イベント
5月26日、お台場のZepp DiverCity Tokyoへ「JAPAN BLUES & SOUL CARNIVAL 2012」を観に行ってまいりました。

今回の出演は、昨年の初来日公演が既に伝説と化しているジョニー・ウィンターが再び、そして9年振りの来日となるサニー・ランドレスの2組。特にサニー・ランドレスは、前回の来日ステージが弾き語りのソロ・ライヴだったこともあり、今回はいよいよバンド・セットによる来日が実現と言うことで、まさに待望のステージです。私も03年のブルース&ソウル・カーニバルでサニー・ランドレスのステージを観ているのですが、もちろん弾き語りライヴも大変貴重なステージではありました。ですが最後にアイク・ターナーの居ないキングス・オブ・リズムにジョイントし、エレキ・ギターによるサスティーンの効いたロッキンなスライド捌きの片鱗を見せられて以来、バンド・セットでの来日を待ちこがれていたんです。

さて、ブルース&ソウル・カーニバル、まずはそのサニー・ランドレスからスタート。いきなりスピーディーなインスト曲「Z Rider」。サニーのスライドが唸りを上げる。疾走感抜群に駆け抜けながらも雄大なメロディーを感じさせるサニーならではのフィーリング。タイト且つパワフルな一体感でトリオならではの濃密グルーヴを演出するバックも最高! ベースはDave Ranson、ドラムスは名前をよく聞き取れなかったですが、Brian Brignacだったんでしょうね? おそらくこのトリオが現在のサニーのレギュラー・バンドなんでしょう。両者共にサニーの先日リリースされたばかりの最新作「ELEMENTAL JOURNEY」でもがっつり脇を支えていますし、Dave Ransonにいたっては元ゴナーズ(80年代にジョン・ハイアットのバック・バンドとして結成され、サニーがギタリストを務めていたバンド)ですからね。

続いて2曲目もインスト「Native Stepson」。最新作「ELEMENTAL JOURNEY」がインスト作であるのが影響しているのか、選曲にはインスト曲が目立ちましたね。特に中盤に披露された「The Milky Way Home」なんかのトリッキー且つ独創的なギター・リフから縦横無尽なスライド・ソロへ雪崩れ込む感じはサニー・ランドレスならではの格好良さ。インスト曲が多かった分、サニーのスライドを浴びるように堪能出来て良かったかも。まあ、我を忘れて堪能する反面、目はその弦捌きに釘付けだったりで、音を聴きながらどうなってるんだろう?みたいな。

サニー・ランドレスと言えばビハインド・ザ・スライド奏法 。これは実際にスライド・バーを使ったことのある人でないと分かりづらいかもしれませんが、つまり、バーより後方、ネックよりのフレットを余った指で押さえるテクニック。この技によりスライド・バー使用時の、単調になりがちなコード展開などに幅が出来る訳です。この画期的なテクニックはサニーのオリジナルなものらしい。サニーは小指にバーをはめてましたが、その後ろの指、特に人差し指なんかはバッキングのみならず、ソロの時もバーの後ろで忙しく動いていました!

このスライド・バーを滑らせつつ小技を利かす左手の動きが凄いのはもちろんなんですが、意外と弦を弾く右手も凄い。基本的にはサム・ピックを中心にした指弾きだと思うんですが、時に手のひらで叩いたり、擦ったり、タッピングをするかのようにフレット上に指をはわせたり、とにかくトリッキーな動きの連続。うねるようなスライド音と交差するようにハーモニクスやノイズがかった刺激的な音色をギュンギュン言わせていました。正直、目も耳も追いつかない感じ。まさに魔術師的なスライド・マスター!

そして最新作からは落ちついた雰囲気の「Forgotten Story」。途中レゲエっぽくなるところは良いアクセントになってましたね。あとスローな「Brave New Girl」も演ったかな?ちょっとこの辺りは記憶が曖昧なんですけど、とにかく終盤にスローな曲を演って、そこから切れ目無しにアップ・ナンバーの「Uberesso」へと繋ぐ展開は格好良かった! さらに「Uberesso」でのまるでマシンガンのようなサニーのピッキングも天晴でした!

もちろん、インストだけでなく歌物もありましたよ。「Promise Land」では渋くブルージーな歌声を聴かせてくれましたし、いなたいノリの「Hell At Home」も最高でした。この辺りは南部フィーリングを感じさせてくれて堪らないものがありましたね。さらに意外だったのはスキップ・ジェイムスのカヴァー「Cherry Ball Blues」。もちろんブルース・ロック調にアレンジされてますが、しっかりミシシッピ臭も残ってる。これには参りましたね~。あと曲前にカトリーナがどうのこうのと言って始めた(すいません、英語がダメなもので。おそらく、カトリーナについて歌った曲、とかそんな感じでしょうか?)「Blue Tarp Blues」も印象的でした。例の弦を擦るタッチで不思議な雰囲気を作っていましたね。

そしてラストを締めたのはやはりインストでした。曲は「Pedal To Metal」。これも格好良い曲ですよね~。これだけトリッキーに聴こえるスライド捌きはサニー・ランドレス以外に無いですよね。それを生で観れる至極の喜び。ホント格好良い~!!

アンコール無しの1時間弱という短めのセットでしたが、素晴らしいステージでした。個人的には「Congo Square」、「Back to Bayou Teche」、「Levee Town」などルイジアナ色の濃い曲も聴きたかったんですけどね~。まあ、その分「Z Rider」、「The Milky Way Home」、「Uberesso」、「Pedal To Metal」など、インストの格好良い曲は全部演ってくれた感じで、その点は圧巻でしたね。

ちなみにサニーは曲ごとに赤と茶色の2本のストラトを取っ替え引っ替え弾いてました。またかなり高い位置にギターを構える姿も印象的でしたね。



セットリスト↓

01. Z Rider
02. Native Stepson
03. Promised Land
04. Cherry Ball Blues
05. Hell At Home
06. Forgotten Story
07. The Milky Way Home
08. Blue Tarp Blues
09. Brave New Girl
10. Uberesso
11. Pedal To Metal

既に記憶が曖昧です。インスト曲が多いとはっきりとした記憶が残りづらいんですよね~。特に9曲目。多分新作からのこの曲だったと思うのですが、何分、その新作も前日に買ったばかりでまだ聴き込んでないものですから…。間違っていましたらごめんなさいね。



そしてジョニー・ウィンター。まずはバック・バンドによるインスト曲の演奏から始まり、途中からジョニー・ウィンターが加わる。背を丸めてよたよたと若干小走りのようにステージ中央へやって来るジョニーの姿は何となく微笑ましかったですね。お馴染みの黒いヘッドレスのギターを手にし、そのまま立った状態で演奏を始めるジョニー。これには少々驚きました。まあ、その後すぐに座りましたけど、それでもジョニー・ウィンターの絶好調振りを伺わせるに充分なサプライズでした。

さて椅子に腰掛けたジョニー・ウィンターは、「Hideaway」、「She Likes To Boogie Real Low」、「Good Morning Little Schoolgirl 」、「Got My Mojo Working」、「Johnny B. Goode」と快調に飛ばします。特に「Good Morning Little Schoolgirl 」からの3曲の勢いは半端無かったですね。多少のミストーンなどものともせずに暴れるように突き進んでいくギター・ソロもさることながら、声もハリがあって良く出ていましたし、唸るようなシャウトも迫力ありました。またジョニーをがっちりと後押しするバック・バンドも素晴らしかったですね。

ただセット・リストは前回とほとんど同じ。レイ・チャールズのスロー・ブルース「Black Jack」。ドラマーさんが歌った「Tore Down」。さらに「Don't Take Advantage Of Me」の後半が「Gimme Shelter」になる展開などなど。なんて言いますか、鉄板のセットリストなんでしょうね。

そしてラストは「It's All Over Now」。この曲でジョニーは再度立ち上がり、なんと最後まで立ったまま演奏。いや~、ジョニー・ウィンター、元気ですね! まあ、見た目はかなりおじいちゃんに見えるかもしれませんが、まだ60歳代ですからね(1944年生まれ)。そんなジョニー・ウィンター、歳はともかくとして、椅子に座っていても立ち上がっていても、そのオーラは半端無いものがありました。観客もかなり盛り上がっていましたね。

そしてお楽しみのアンコール。ジョニー・ウィンターはファイアーバードを持って登場。そしてサニー・ランドレスも再び登場。これですよ!ブルース・カーニバルのアンコールと言えばいわゆる「夢の共演」ですよ! ジョニーが椅子に座るや否やスライドをビュンと鳴らす。その時点で観客が大騒ぎ。サニー・ランドレスはジョニー・ウィンターの最新作「ROOTS」で、「T-Bone Shuffle」にゲスト参加しているのでてっきりそれをやるのかと思いきや、曲はエルモア・ジェイムスの「Dust My Broom」。ゲストが居ようが居まいが鉄板のセットリストは変えないぞ!というこだわりを感じさせますね。前半はジョニーがスライドを弾きまくり、後半にはサニー・ランドレスがフューチャーされる。ジョニーの豪快そのもののスライドに比べると、サニーのスライドは端正な完成度を感じさせる。2人の対比も面白い、まさに夢のスライド共演。

もっと共演を観たいところでしたが、サニーはこの1曲でステージを降り、ラストはボブ・ディランの「Highway 61 Revisited」。途中ジミヘンの「Third Stone from the Sun」のフレーズを絡めたり。私、前回のジョニー・ウィンターは前から2列目辺りで観たんですけど、その時、音のバランスがめちゃくちゃだったので、今回は少し引いた位置からゆっくり堪能しました。音のバランスもばっちりで、最高でした!

それにしても、夕方5時に始まって終わったのは7時半過ぎぐらいだったでしょうか? せっかく海外から2組も来ているのですからもう少し長くやってもらっても良いのに~、と思ったり。でもスタンディングで見せてくれたのはホント嬉しいですけどね!





セット・リスト↓

01. Intro
02. Hideaway
03. She Likes To Boogie Real Low
04. Good Morning Little Schoolgirl
05. Got My Mojo Working
06. Johnny B. Goode
07. Black jack
08. Tore Down
09. Lone Wolf
10. Don't Take Advantage Of Me
11. It's All Over Now
----------------------------
12. Dust My Broom (with Sonny Landreth)
13. Highway 61 Revisited


この日のセットリストはこんな感じ。短く感じたんですが、実は前回に比べて「Sugar Coated Love」と「Bony Moronie」が落ちただけ。まあ、メンバーのソロなど端折った部分はあるかもしれませんけどね。


サニー・ランドレス@渋谷タワーレコード

2012-05-26 13:51:57 | インストアイベント
インストア・イベント観覧記その9 Sonny Landreth@渋谷タワーレコード

5月25日(金)、渋谷タワレコで開催されたサニー・ランドレスのサイン会に行ってまいりました。現代のスライド・ギタリスト最高峰の1人、サニー・ランドレス。ルイジアナをベースに活躍し、そのスワンプ色豊かなスライド・プレイで南部好きには既に神格化されつつあるギタリスト。現在、ジョニー・ウィンターと共に出演するジャパン・ブルース&ソウル・カーニバルのため来日中。

今回のインストア・イベントは残念ながらライヴはありませんでした。サイン会のみです。トークもありあません。ま、軽い挨拶はありましたけどね。でも司会者に促されて登場したサニー・ランドレスは、ギターを背負って来たんですよ。お!これはサプライズで何か弾いてくれるのか?とか期待しちゃいましたけど、何もありませんでしたね…。

それはそうと、サイン会のみでちゃんとお客さんは集まるのかな?とちょっぴり心配もしていたんですけど、それは杞憂、サインを求めてもの凄い長蛇の列が出来ていました。やはり人気あるんですね。最近はエリック・クラプトンからもリスペクトを送られてるとかで一般的にも知名度を上げてるようですからね。で、私ももちろんサインを頂きました。「ハロー」、「サンキュー」しか言葉は交わせませんでしたが、サニーの雰囲気は思いのほか気さくな感じでした。人相的なイメージで、勝手に“気難しそうな博士”みたいな印象を持っていたのですが、まったくもってフレンドリーな方でした。

サイン会が終わった後、フロアの一角でサニーの新譜がプッシュされているコーナーがあるので、そこのパネルにもサインを頂こうということになり、サニーもそこへ移動したんです。ですがそこには既にCDを物色中のお客さんが居まして、それを見つけたサニーはすかさず近寄って自分の新譜を勧めるなんていうお茶目な一面も見せてくれました。

そして最後にもう一度サニーが挨拶をしてイベント終了。呼んでくれればまた来るよ!と言っていたそうです。ぜひぜひ今度は単独公演をお願いしたいです! そして拍手に送られ、ギターを担いで去っていきました。っていうか何故ギターを担いでいたんでしょう?やっぱりいつでも何所でも練習出来るよう、ギターは肌身離さず持ち歩いてるんでしょうか? 何となく“スライド・ギターの求道者”なイメージはありますよね。いや、これも勝手な人相的な印象ですけどね。

そんなサニー・ランドレス。ほんのひと時ですが、彼の人柄に触れて、ジャパン・ブルース&ソウル・カーニバルが増々楽しみになりました! 5月26日(土)はお台場ZEPP、翌27日(日)は日比谷野音です。私は5月26日に行きます。って言うか今日です!楽しみです!




SONNY LANDRETH / ELEMENTAL JOURNEY
こちらがこの日、サインを頂いたサニー・ランドレスの新譜。ジョー・サトリアーニ、エリック・ジョンソンがゲスト参加したインスト作品と聞いた時から、想像はしていましたが、やはりフュージョンの香り漂うギター・オリエンテッドなインスト・ロック。ルイジアナ及び南部集は限りなく希薄。でもサニー・ランドレスらしくないか?と言えばそうでもない。前からサニーにはこういう方向性も見えてましたからね。聴き様によってはジャム・バンドのスタジオ作のような雰囲気もありますね。たっぷりとサニーのギターが聴けるという点では聴きごたえ充分です! 「Reckless Beauty」のようなスピード感のある曲はライヴでも演って欲しいな~。

フジロック予習:トゥーツ&ザ・メイタルズ

2012-05-25 17:58:51 | フジロック
TOOTS & THE MAYTALS / TRUE LOVE

フジロック予習、第3弾はジャマイカの伝説、トゥーツ&ザ・メイタルズです!


先日、WOWOWで映画「ハーダー・ゼイ・カム」をやってましたね。ジミー・クリフが主演した72年の映画です。レゲエ・ムービーの元祖として知られますが、そもそもジャマイカ産としては初の長編映画だったそうです。ストーリーにも引き込まれますが、それ以上にキングストンの喧噪、スラム街の風景、そこで暮らすアンダーグラウンドな生き様、マリファナ、ラスタファリアンなどなど、リアルなジャマイカに目が釘付けになります。そしてそんなリアル・ジャマイカを彩るスウィートなレゲエ・ミュージックの数々。ジミー・クリフが歌うタイトル曲「The Harder They Come」も名曲ですが、今回語りたいのはそれではないのです。

映画中で、そのジミー・クリフ演じる青年アイヴァンが、録音スタジオに赴くシーンがあるんですけど、そこでトリオのコーラス・グループがレコーディングをしているんです。彼らこそボブ・マーリーと並び賞されるレゲエのオリジネーター、トゥーツ&ザ・メイタルズ。伝説的なグループの登場は、音楽ファンにとってこの映画のなかで最も印象的なシーンとなっているのではないでしょうか。曲は「Sweet & Dandy」。ロック・ステディなゆるやかリズムと朗らかなメロディー、軽やかに身体を揺らしながら歌うメイタルズの3人、何度観てもこの場面には思わず身を乗り出してしまいます。

さて、そのトゥーツ&ザ・メイタルズ、1962年にフレデリック・トゥーツ・ ヒバートを中心に、3人組のコーラス・グループとして結成。当初は単にザ・メイタルズと名乗ってました。スカの時代からロク・ステディ、レゲエへと変遷していったジャマイカン・ミュージックのど真ん中で活躍し、数々の名曲を残してきました。時代が変わっても親しみ続けられている彼らの66年の名曲「Bam Bam」のメロディなどは、誰もが一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか? また68年に発表した「Do The Reggay」は、曲中で初めてレゲエという言葉が使われたエポック・メイキングな曲でした。

また、映画「ハーダー・ゼイ・カム」では主人公のアイヴァンがマリファナの密売に手を染めますが、トゥーツ・ ヒバート本人も66年にマリファナ売買の罪で投獄されてしまいます。しかし出所後に自身の囚人ナンバーをタイトルにその体験を歌った「54-46 That's My Number」をヒットさせるなど、転んでもただでは起きない反骨精神が痛快。73年にはレゲエとJBファンクを掛け合わせたようなリズムが強烈な名曲「Funky Kingston」を収録したアルバム「FUNKY KINGSTON」をリリース。この意欲的な作品はレゲエ史に残る傑作として知られます。レゲエ界のオーティス・レディングとも評される、野太く吠えるようなトゥーツ・ ヒバートの歌唱も印象的ですね。何てったって彼は88年に「TOOT'S IN MEMPHIS」というメンフィス・ソウルのカヴァーを中心にした作品も出してますからね。

そんなトゥーツ&ザ・メイタルズが04年にあらためてその存在感を世に問うたのが上の写真の「TRUE LOVE」。シャギー、ケン・ブース、マーシャグリフィス、スカタライツ、バニー・ウェイラーなど、ジャマイカ勢はもちろん、ウィリー・ネルソン、ボニー・レイット、エリック・クラプトン、ジェフ・ベック、ブーツィー・コリンズ、ベン・ハーパー、そしてキース・リチャーズなどなど、信じられない程の豪華ゲストが集結し、いかにトゥーツ&ザ・メイタルズがレジェンダリーなバンドかを見せつけた快作です。

トゥーツ・ ヒバートとボニー・レイットのまろやか且つソウルフルなデュエット「True Love is Hard to Find」、野性味溢れるトゥーツに挑みかかるようなジェフ・ベックのギターが印象的な「54-46 Was My Number」、ブーツィー・コリンズとザ・ルーツの参加でよりヘヴィーにファンク度を増した「Funky Kingston」、トゥーツ&ザ・メイタルズのレゲエとベン・ハーパー節が見事に溶け合ったメロウな「Love Gonna Walk Out on Me」、レゲエ好きのキース・リチャーズも嬉々として取り組んだであろう「Careless Ethiopians」など。

他にもクラプトンが参加した「Pressure Drop」、ノー・ダウトが参加した「Monkey Man」、トレイ・アナスタシオが参加した「Sweet And Dandy」、シャギーが参加した「Bam Bam」など、往年の名曲が多数収録されているので、ベスト選曲によるセルフ・カヴァー集としても楽しめます。何よりまったく衰え知らずなトゥーツ・ ヒバートの歌声に圧倒されます。ちなみにこのアルバムは04年度のグラミー賞「Best Reggae Album」部門を受賞しています。


そて、そんなジャマイカの伝説、トゥーツ&ザ・メイタルズが今年のフジロックにやってきます。現在60歳代後半になったトゥーツ・ ヒバートですが、歴史の詰まったソウルフルなレゲエをたっぷりと楽しませてくれることでしょう。さらに今年のフジにはもう一人、アーネスト・ラングリンというジャマイカン・レジェンドがやって来ますし、彼らがUKに産み落とした子供達とも言えそうな、ザ・スペシャルズやザ・トロージャンズもいます。今年はそっち系にどっぷり浸かってみるのも良いかもしれませんね。




THE MAYTALS / MONKEY MAN
70年の作品。後にザ・スペシャルズがカヴァーする「Monkey Man」や「Pressure Drop」を含む名盤。この頃はまだコーラス・グループとしてザ・メイタルズと名乗っていました。既にレゲエ期に入った時代の作品ですが、牧歌的なヴィンテージ感とソウルからの影響が混じりあった独特の魅力を醸しています。ジョン・レノン曲「Give Peace A Chance」の大胆なレゲエ・カヴァーや、サザン・ソウルらゴスペルにしか聴こえない「The Preacher」なども収録。トゥーツ・ ヒバートの朴訥とした歌声も相まった、土っぽいサウンドが最高です!



TOOTS & THE MAYTALS / FUNKY KINGSTON/IN THE DARK
73年の傑作「FUNKY KINGSTON」とその翌年作「IN THE DARK」のカップリング盤。タイトル曲の「Funky Kingston」が超格好良いのはもちろん、「Pomp and Pride」や「Louie, Louie」あたりもかなりの名曲。またアイク&ティナ・ターナー「I Can't Believe What You Say」をトロピカルに料理した技ありカヴァーや、なんとジョン・デンバーの「Take Me Home Country Roads」までやっていて面白い。この「カントリー・ロード」はぜひフジでもやって欲しいな~。






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MUSTANG@新宿タワーレコード

2012-05-23 23:57:13 | インストアイベント
インストア・イベント観覧記その8 MUSTANG@新宿タワーレコード

5月23日、新宿タワーレコードにて、ムスタングのインストア・ライヴを観てまいりました。現在、先日開催された「Greenroom Festival」出演を含む来日ツアー中のムスタング。「エルヴィスのように歌い、ボ・ディドリーのようにギターを鳴らし、ジェリー・リー・ルイスのように鍵盤を叩く」と賞される、シンガー兼ギタリストのジャン・フェルジヌを中心にフランスから登場した個性派ロック・トリオです。2010年のフジロックで、前夜祭、ヘヴン、苗場食堂、パレスなど複数ステージに登場し旋風を巻き起こしたのも記憶に新しいですね。

さて、そんなムスタングのインストア・ライヴ、いきなり「Electric De Chocobo」からスタート。これはファイナルファンタジーの「チョコボのテーマ」をムスタング流にカヴァーしたインスト曲。フジロックでもえらい盛り上がった、私も大好きな曲です。ジャン・フェルジヌのリバーブ系のエフェクトをたっぷり効かせつつエッジのたったギターの音色が格好良い!! ドラムスはインストア・イベントのためスネアだけなれど、それがかえってロカビリーっぽくて良い感じ。先月、日本でも発売された新作「TABOU」のタイトル曲もやっていましたね。それにしてもジャン・フェルジヌの歌唱って言うのは、フランス語で歌うフェロモン出しまくりのエルヴィスって感じで、なんか癖になりますね。テンションが高いんだか緩いんだか分からないところも好き。最後にやった「Pia Pia Pia」もまさにそんなムスタング・ワールドで格好良かった!

*上の写真、告知ポスターを撮ったつもりが、リハーサル中のジャン・フェルジヌも写ってしまいました。すいません。

FUJI ROCK DAYS

2012-05-22 23:35:26 | フジロック
5/19(土)20(日)の2日間、渋谷パルコとTOWER RECORDS 渋谷店にて、毎年恒例のフジロック・プレ・イベント『FUJI ROCK DAYS』が開催されました。HMV渋谷店が無くなり、変わりに昨年はTUTAYAがこのイベントの一翼を担っていましたが、今年はそのTUTAYAも手を引いてしまったようで、いよいよパルコとタワレコだけになってしまい、何とも寂しい感じ。流石に「渋谷ジャック」という言葉も使わなくなったのでしょうか?


私は5月20日(日)に行ってまいりました。お楽しみはタワレコの抽選会。苗プリ宿泊やバス・ツアーなど豪華賞品が当たるこの抽選ですが、私は毎年ハズレばかり引いています。当たったことは一度もありません。もうステッカーは要らない!とか思いながら今年もCD買って抽選会場へ。抽選方式も例年通り、箱の中に手を入れてボールを取るやつなんですけど、その箱の中のボールがあまりに少なくて当たる気がまったくしない。どうせハズレだろうと思いつつ、取ったボールがなんと、アウトドアグッズ賞!! 当たったんです! そしてさらにくじを引き、数あるアウトドアグッズの中から、象印のステンレスボトルが当たりました!

実は、象印のステンレスボトルをフジロック用に買おうと思っていたところなんですよ。これホントの話。昨年のフジロックに象印の「給茶スポット」というのがありまして、確かグリーン・ステージの後方辺り、そこへマイボトルを持っていくと無料でお茶を入れてくれるらしいんです。これは象印がMy planet My bottle Project という活動の一環として行なったもので、マイボトルを携帯することにより、『環境への貢献』『健康的なライフスタイル』を提案するキャンペーンだそう。残念ながら私は昨年、マイボトルを持っていかなかったので「給茶スポット」を利用出来なかったんです。ですが象印は今年も「給茶スポット」をやってくれるそうなので、ならば今年こそはと思い、携帯用に少し小振りなステンレスボトルを買おうと思っていた訳です。そこへまさかの象印ステンレスボトルをゲット! しかも携帯用にちょうどいいサイズ! ラッキーでした。ちなみに、私の直前に抽選していた方は、バスツアーを当てていました。意外と当たるもんですね。日曜日の夕方という時間帯が良かったのでしょうか?

像印「マイボトルをもってフジロックに行こう」→http://www.zojirushi.co.jp/cafe/fujirock/



そしてメイン会場とも言うべき渋谷パルコへ。公園通り沿いのいつもの場所に軒を広げ、道行く人々の興味を引いてました。フジロック気分な屋台が一台来ているというのも、例年通りな雰囲気ながら、アウトドアグッズの展示などなかなか良い感じでしたね。実はこちらでも抽選会をやっているのですが、ここでチケットを買った人だけなんですよね~。いつもそうなんですよ。もうとっくにチケット買ってますって!って毎年思います。ま、そんなに抽選がしたいか?って話ですけどね…。

パルコ地下のFRFオフィシャル・ショップ「GAN-BAN」にも一応立ち寄って、今回のフジロック・デイズ巡り終了。まあ、正直、毎年代わり映えしない、しょぼいプレ・イベントですけど、何だかんだで楽しみにしてるんです。これもフジロックへ向けた行事の一つみたいな。これでまた一つフジロックが近づきました! しかも今年はマイボトルが当たりましたしね!









タワレコでゲットした恒例のフリー誌「Festival Echo'12」。冒頭の「フジロックの森プロジェクト」に関する記事は色々と考えさせられますし、このような取り組みを行なっているフジロックを誇りに思いますね。今年は例年以上に苗場の森を肌で感じながらフジロックを楽しみたいと思います。そして特集は「フジロックの歩き方」。気分上がります!!



こちらは「ごみゼロナビゲーション」でお馴染みの、A SEED JAPANによるフェスティヴァル・ボランティア・ガイド。ボランティアに興味がある方は必見なのはもちろん、無い方でもフェスでの過ごし方におけるA SEED JAPANからのメッセージを感じられるフリー・ペーパーです。フジロックに行くとエコ意識が高まりますけど、それを日常生活にも出来るだけ反映させたいですね。



33rd Blues Music Awards 受賞者

2012-05-21 23:52:03 | ブルース
TEDESCHI TRUCKS BAND / REVELATOR

2012年の『Blues Music Awards』が5月10日に発表になったようです。数年前までは『W.C. Handy Blues Awards』という名で親しまれてきたブルースの祭典です。昨年はアルバム「Living Proof」を引っさげ、『Album of the Year』を含む5部門を受賞したバディ・ガイの年となりましたが、今年はテデスキ・トラックス・バンドです!

テデスキ・トラックス・バンドは『Album of the Year』と『Band』の2部門を受賞し、さらにデレク・トラックスがギタリスト賞と言える『Gibson Guitar Award』部門を、そしてスーザン・テデスキが『Contemporary Blues Female Artist』部門を仲良く受賞しています。正直、ブルース・アウォードでテデスキ・トラックス・バンドってどうなの?って感はありますが、新作「Revelator」は傑作でしたし、ライヴ活動も含めその話題性、人気、勢い共に郡を抜いている印象はありますよね~。そういう意味では『Album of the Year』及び『Band』両部門の受賞も頷けますね。

そして彼らに勝るとも劣らない存在感を示したのがタブ・ベノワ! こちらは『Contemporary Blues Album』、『B.B. King Entertainer』、『Contemporary Blues Male Artist』の3部門を受賞。テデスキ・トラックス・バンドに比べれば、まだまだローカルなアーティストというイメージなタブ・ベノワですが(特にここ日本では。本国ではどうなんでしょうね?)、ニューオーリンズ音楽が好きな人にはお馴染みのルイジアナ出身のギタリスト/シンガーです。こういう人が評価されるのはニューオーリンズ・ファンとしては嬉しいですよね~。

その他では、3月にシンディー・ローパーの来日公演に同行したことも記憶に新しいハーピスト、チャーリー・マッセルホワイトが『Instrumentalist - Harmonica』、『Traditional Blues Male Artist』の2部門を受賞、そして日本でも人気が高そうな黒人女性シンガー、ルーシー・フォスターも『DVD』、『Koko Taylor Award (Traditional Blues Female)』の2部門を受賞。

あとは、マーシャ・ボール、ボビー・ラッシュ、エリック・ビブ、シカゴ・ブルース・ア・リヴィング・ヒストリーの受賞が、個人的に嬉しいです。


以下、今年の受賞者、受賞作品↓

Acoustic Album
David Maxwell & Otis Spann / Conversations In Blue

Acoustic Artist
Eric Bibb

Album of the Year
Tedeschi Trucks Band / Revelator

B.B. King Entertainer
Tab Benoit

Band
Tedeschi Trucks Band

Best New Artist Debut
Samantha Fish / Runaway

Contemporary Blues Album
Tab Benoit / Medicine

Contemporary Blues Female Artist
Susan Tedeschi

Contemporary Blues Male Artist
Tab Benoit

DVD
Ruthie Foster / Live At Antone's (Blue Corn)

Gibson Guitar Award
Derek Trucks

Historical Album
Howlin' Wolf / Smokestack Lightning (Chess Records)

Instrumentalist - Bass
Biscuit Miller

Instrumentalist - Drums
Chris Layton

Instrumentalist - Harmonica
Charlie Musselwhite

Instrumentalist - Horn
Terry Hanck

Instrumentalist - Other
Sonny Rhodes (lap steel guitar)

Koko Taylor Award (Traditional Blues Female)
Ruthie Foster

Pinetop Perkins Piano Player
Marcia Ball

Rock Blues Album
Joe Bonamassa / Dust Bowl

Song
Johnny Sansone / The Lord is Waiting, the Devil is Too

Soul Blues Album
Bobby Rush / Show You A Good Time

Soul Blues Female Artist
Denise LaSalle

Soul Blues Male Artist
Curtis Salgado

Traditional Blues Album
Billy Boy Arnold, John Primer, Billy Branch, Lurrie Bell, Carlos Johnson / Chicago Blues: A Living History – the (R)evolution Continues

Traditional Blues Male Artist
Charlie Musselwhite





チャック・ブラウン、安らかに

2012-05-20 13:21:36 | ソウル、ファンク
Chuck Brown, It Don't Mean A Thing, Prospect Park, Brooklyn, NY 7-30-11


ゴッドファーザー・オブ・ゴーゴーとして知られるチャック・ブラウンが、5月16日、メリーランド州ボルチモアの病院で亡くなられました。 肺炎で入院中、敗血症による多臓器不全を引き起こされたそうです。享年75歳(76歳?)。

ワシントンDCで生まれ、80年代に大ブームを引き起こしたゴーゴー・サウンド。緩やかな粘りを持ちながらもハネたビートにラテン・パーカッションが絡むファンク・グルーヴ。ライヴでは切れ目無く延々2時間でも3時間でも濃密なファンク絵巻を繰り広げるとか。そのゴーゴー・サウンドの生みの親と呼ばれ、現在のブラーック・ミュージックにも多大な影響を与えたその人、チャック・ブラウンです。

私は80年代の黒人音楽と言うのが結構苦手で、ゴーゴー・サウンドもほとんど聴いていません。ですがチャック・ブラウンは気になります。もちろん60年代、70年代から活躍している方だそうですけどね。なにせゴッドファーザーの称号を得ているレジェンドですから。風貌からも親分的なギラギラとしたオーラを感じさせられて格好良いじゃないですか! 一度は生で観てみたいと思っていたんですけど…。ちなみに日本には87年に初来日し、以降それを含め計7度の来日を数えるそうです。

近年は、07年にオリジナル・スタジオ作としてはおよそ12年振りと言われる「We are About The Business」を発表し存在感を表し、その翌年に来日。またライヴ録音を中心にした3枚組アルバム「We Got This 」をリリースした2010年にも来日公演を実現させています。これら晩年の来日公演でも、おそらく延々とノンストップで続く往年のゴーゴー・サウンドで盛り上げてくれたことでしょうね。


ゴッドファーザー・オブ・ソウル、ジェイムス・ブラウン。
ゴッドファーザー・オブ・R&B、ジョニー・オーティス。

そしてまた一人、ブラックミュージック界のゴッドファーザーが天に召されてしまいました。

チャック・ブラウンさん、安らかに。

木村充揮@新宿タワーレコード

2012-05-19 12:56:57 | インストアイベント
インストア・イベント観覧記その7 木村充揮@新宿タワーレコード

5月18日、新宿タワーレコードにて木村充揮さんのインストア・ライヴを観てまいりました。先月発売された『木村充揮自伝~憂歌団のぼく、いまのぼく』という自伝本のプロモーション・イベントです。

木村さん一人のアコギ弾き語りライヴ。「Georgia On My Mind」から始まり、「俺の村では俺も人気者」など憂歌団時代の曲も交えて6曲を披露。特に小気味良い弦捌きにフワフワとした“天使のダミ声”が乗る「あたしの彼氏」とか、ブルージーな歌声が心に滲みた「胸が痛い」なんかは素晴らしかったですね。平日の午後6時という時間帯もあってか、お客さんは少なめだったかもしれませんが、相変わらずのとぼけた雰囲気と、曲中に「ヒュー!ヒュー!」と奇声を発しながらの木村ワールドで盛り上げてくれました。最後は名曲「Che Sara」。これも滲みましたね~。

アーロン・ネヴィル@ビルボードライヴ東京

2012-05-18 12:54:41 | ニューオーリンズ
AARON NEVILLE / BRING IT ON HOME... THE SOUL CLASSICS

5月15日、ビルボードライヴ東京にて、アーロン・ネヴィルのライヴを観てまいりました。私が観たのはこの日の2ndショー。東京公演の最終ステージであります。ニューオーリンズが生んだ奇跡のゴールデンヴォイス、黒いヨーデルとも賞される、アーロン・ネヴィルの唯一無比の歌声をたっぷり堪能してまいりました。

これまでネヴィル・ブラザーズでは何度も来日しているものの、ソロ名義では今回が初めての来日。ソロ・アルバムも多数リリースし、ソロ・シンガーとしても絶大な人気を誇るアーロン・ネヴィルですから、まさに待望の来日公演です。私もアーロンのソロ公演はニューオーリンズに行かなきゃ観れないんじゃないか?と半ば諦めていたので、ビルボードからアーロンのソロ公演が発表された時は一瞬目を疑いましたよ!まさか日本でアーロンのソロ公演が観れるとは!しかもチャールズ・ネヴィルまで同行してくれるなんて、まさにビルボード様々です!

さて、私は前から3列目の席、テーブルで言うと前から2列目、中央より向かって右寄りの席に座りました。本当は3列目のド真ん中が良かったのですが、そこは先客がいらっしゃったので、その隣のテーブルを選びました。斜めからアーロンがよく見えそうだったので。しかしマイクの位置からチャールズの立ち位置が私の席とは逆の左側だと分かって少々がっかり。私としたことが、うっかりしてました。

バック・メンバーは、チャールズ・ネヴィル(Sax)、マイケル・グッズ(Key)、福田眞國(G)、デヴィッド・ジョンソン(B)、アール・スミス(Ds)の5人。マイケル・グッズと福田さんはネヴィル・ブラザーズのバンド・メンバーとしても活躍し、近年のネヴィル・ブラザーズの来日公演にもメンバーとして来日している方。

まずはチャールズ・ネヴィルを含むそのバック・メンバーが登場し、挨拶代わりの一曲。チャールズ・ネヴィルをフューチャーした「Her African Eyes」。ネヴィル・ブラザーズの「LIVE ON PLANET EARTH」に収録されていた曲。これ隠れ名曲ですよね。こういう選曲は嬉しい!軽やかな異国情緒を感じさせるチャールズのアルト・サックスの音色が素敵でした。

そしていよいよアーロン・ネヴィルが登場。チャールズ兄さんとちょこんと拳を合わせステージ中央へ。70歳を超えているとは思えないマッチョな身体に帽子が良く似合う。まずはネヴィル・ブラザーズの傑作「BROTHER'S KEEPER」から、そのラストを締めたレナード・コーエンの名曲「Bird On A Wire」。ゆったりと宙を舞うようなメロディーが、ヨーデルのような筋回しと振幅の深いビブラードで華麗に彩られる。その響きはまさにゴールデンヴォイス。顔をしかめて振り絞るように歌う繊細なファルセットは、若い頃とはまた違う、今のアーロンならではの美しさ。

続いてヴァン・モリソンの「Crazy Love」。イントロが鳴ると一部のお客さんから拍手が漏れました。私もアーロンの歌う「Crazy Love」大好きなので、そりゃもう、うっとりでした。そしてホール&オーツの「Sara Smile」。この曲を歌う前にアーロンが、“my wife"と言っていたのですが(その前後の言葉は残念ながら聴き取れず…)、実はアーロンの現在の奥様の名前が“サラ(Sarah)”なんですよね。アーロンの優しい愛妻家の一面が感じられたこともあり、この「Sara Smile」はホント甘味でしたね。ちなみにネヴィル・ブラザーズの09年のジャズフェス録音盤でもアーロンはこの曲を歌ってまして、その時は“my fiancee "と言っています。

続いて「Ave Maria」。生で聴くアーロンの「Ave Maria」ですよ!もう至福この上ありませんでしたね。あの静かに祈るような歌唱が作り上げる空間は、あまりに静謐すぎてまるで時間が止まったようでした。ちなみに、私事で恐縮ですが、私、自分の結婚披露宴でキャンドルサービスというのをやりまして、式場に頼んでそのバック・ミュージックにかけてもらったのが、アーロンの「Ave Maria」だったんです。もう15年も前の話ですけど、なんかその時のことを思い出しちゃいましたね~。ってどうでもいい話ですいません。

さて、美し過ぎる「Ave Maria」で割れんばかりの拍手喝采を受けたアーロンが一旦ステージを降ります。と言うことは、そうです、チャールズ・ネヴィルです。もちろんチャールズはこれまでの曲でも、アルトとテナーを持ち替えながらその独特の怪しさを持った音階で存在感を発揮していまいました。そのチャールズと言えば「Besa Me Nucho」です。これは近年のネヴィル・ブラザーズの来日公演でも、彼のソロタイムで必ずと言っていい程披露されていた曲。正直、今回もこの曲が始まった瞬間、またこの曲? とか思っちゃいましたが、いやはやこれが良かった! チャールズ節全開なのはもちろんですが、その緩急の付け方が絶妙で、しかもそれとバシッとシンクロする、メリハリの効いたバックの演奏がまた素晴らしかった。ネヴィルズ組はもちろん、このドラムスさんとベーシストさんもかなりのやり手ですよ。チャールズのノリも含めて勢いのある演奏にグイグイ引き込まれましたね。

再びアーロンが戻っての「Fever」。ネヴィルズを踏襲したファンキーなリズムが心地良い。そして最後にアーロンがアクロバティックな喉回しを連発する。これはホント誰にも真似出来ない技。まさに“黒いヨーデル”。素晴らしかった! さらに「Everybody Plays The Fool」。ソロ作「WARM YOUR HEART」に収録されたメイン・イングリーディエントのカヴァーですけど、私、この曲大好きなんですよ! アーロンのスウィート&トロピカルな持ち味が気持ち良くて堪らない。この曲が生で聴けて嬉しかったです!

軽やかな「Everybody Plays The Fool」の後はどっぷりとした「A Change Is Gonna Come」。言わずと知れたサム・クックの名曲にしてアーロンの十八番!艶っぽいながらも何処か陰を感じさせるアーロンの歌声、独特の筋回しから、スピリチュアルなエモーションをたたえたファルセット。それはもはや崇高と称したい美しさ。間奏はチャールズのサックス・ソロから福田さんのギター・ソロへ。ソウルフルなチャールズもさることながら、福田さんのタメを効かせつつ切れ込んでいくようなブルージーなギターが素晴らしかったですね。パキッとしながらも太い音色がまた良かったです。

しかしチャールズと福田さんの見せ場はなんと言っても「Yellow Moon」での最後の掛け合いですよ。しかもそれまでステージ向かって左側にいたチャールズがこの時ばかりは右側へ移動して福田さんと向かい合ってバトルする。その位置はちょうど私の目の前!! これは迫力ありましたね! 私は20年前にネヴィル・ブラザーズを初めて観て以来、この掛け合いが大好きなんですよ! しかもここまで間近で観ることは多分初めて。感無量でしたね! 腰を落としてゆったりとグラインドさせながら福田さんを煽るように吹くチャールズが格好良かった!

ネヴィルズ色の強い王道なセットリストの中で一際異彩を放っていたのがハンク・バラード&ザ・ミッドナイターズによる50年代のヒット曲「Work With Me Annie」。こういう選曲はドゥー・ワップが好きなアーロンらしくて、そのノベリティ調も相まってなんかほっこりしましたね。もちろんこういう曲を歌うアーロンも最高! そして本編ラストはアーロン・ネヴィルの代名詞「Tell It Like It Is」。ビルボードのような小さなクラブで、しかも間近で聴く「Tell It Like It Is」。極上でしたね。うっとりでしたよ。

歌い終わると同時に観客もスタンディングオベーション。中央に集まったメンバー達を割れんばかりの拍手喝采が迎える。そしてステージを去っていくメンバー達。一際大きくなる拍手の嵐、するとアーロンが歩みを止めて、もう1曲?みたいな仕草をする。そして歌い始めたのが「Amazing Grace」。まるでファルセットがキラキラと客席に降り注ぐような美しさ。ただただジーっと聴き入りました。やはりアーロンの歌う「Amazing Grace」は特別です。感動でした! そして再び中央に1列に並んだメンバー達が、一斉に観客達へ投げキッス。およそ1時間強。短めのセットとは言え、アーロン・ネヴィルのソロ公演というプレミア感濃厚なステージでした。


そして終演後のお楽しみはサイン会。私もアーロンとチャールズからサインを貰いました。特にアーロンはかなり長い時間、サイン会をされてましたね。何となくその風貌から怖い人?というイメージもあったかもしれませんが、疲れている中、一人一人と穏やかに接しているアーロンはとても暖かく、素敵な人でした。ライヴ中にも感じましたけど、芯の強い優しさを感じさせるような視線が印象的でしたね。長いサイン会を終え、楽屋に引き上げるアーロンを、最後まで残っていたファン達が拍手で送ったんですけど、その拍手にアーロンは歩みを止め、自らファン達に手を差し伸べ、再び握手してくれました。素晴らしい歌声を聴かせてくれたアーロン、そのアーロンに心から感謝するファン達、そのファンの気持ちに応えるアーロン、なんか感動的でしたね。


追記:来日ツアー中にアーロンが自身のツイッターでこんなツイートをされています。
「Farewell show for guitarist Makuni Fukuda. He is a great musician and even better person. He will be missed dearly.」
これは福田さんがアーロンのバンドを去るということでしょうか? そう言えば、コンサートの終演時、アーロンはしきりに福田さんへの賛辞を述べていましたし、バンド・メンバー達も福田さんに歩み寄り抱き合ったりしていましたっけ。もしそうなら寂しいですよね。それにネヴィル・ブラザーズのことも気になります。どちらにしろ福田さんの活躍は、我々ニューオーリンズ愛好家の日本人にとって、誇りですよね~!

セットリスト↓

01. Her African Eyes
02. Bird On A Wire
03. Crazy Love
04. Sara Smile
05. Ave Maria
06. Besa Me Nucho
07. Fever
08. Everybody Plays The Fool
09. A Change Is Gonna Come
10. Yellow Moon
11. Work With Me Annie
12. Tell It Like It Is
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13. Amazing Grace

メンバーの足下にあったセットリストには「Stand By Me」や「Bob Marley Medley」なんかを含む17曲が記されていましたが、それらは端折られたようです…。




CHARES NEVILLE & DIVERSITY / CHARES NEVILLE & DIVERSITY



~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 12.05.12 アーロン・ネヴィルの課外活動
 10.11.13 アーロン・ネヴィルの新作「 I KNOW I'V BEEN CHANGED」
 09.08.20 フジロック09・ベスト5 第2位! ネヴィル・ブラザーズ
 08.11.02 ネヴィル・ブラザーズ@JCBホール まとめ
 08.10.31 ネヴィル・ブラザーズ@JCBホール 2
 08.10.30 ネヴィル・ブラザーズ@JCBホール 1