ルーツな日記

フジロックが終わり、サマソニ ブログと化しておりますが、
よろしくお願いいたします。

ルーツな日記09総決算

2009-12-31 23:15:09 | 2009年総括


さて、毎年恒例の年間ベストアルバムですが、今年は年明けにベスト30を発表したいと思います。対象作品は基本的に今年発売されたCDで、リイシュー作品や発掘音源、映像物は除外しました。もちろん何かのデータを集計したり、客観的に分析し項目ごとに点数を付けたり、そんなことはいっさいしない、私の気分一つのベスト30です。お楽しみに!

で、そのベスト30から除外した作品の中で、あまりの素晴らしさ故にどうしても触れておきたい作品が2つあります。それはビヨークの「VOLTAIC」(写真左)とビヨンセの「I AM ... YOURS(写真右)」。どちらも映像ありきの作品ということで対象外とさせて頂きました。でも年間ベストな出来映えなのです。

ビヨークの「VOLTAIC」は、単なる付録つきのライヴ・ボックスではなく、「VOLTA」というアルバムがほんの序章に過ぎなかったような、あのアルバムの奥に横たわる広く深い世界をたっぷりと見せてくれる、しかもボックスとしての芸術性も高いという、ビヨークならではのアートを感じさせてくれる作品。やっぱりこの雑然としたボリュームに必然性と芸術性を持たせ、一つの作品として高い完成度で纏められるのは、世界広しと言えど、現在はビヨークぐらいしか居ないんじゃないですかね。デラックス・エディションが流行っているなか、こういう作品をドーンと出すビヨーク。あっぱれです!

そしてビヨンセの「I AM ... YOURS」 これはもう、いかに今年のビヨンセがシンガーとして最強かを世に知らしめるような作品。09年8月、ラスベガスのウィン・アンコール・シアターでのステージで、観客数はわずか1500人。サマソニや日本ツアーのショーとはまるで違いますが、それでもビヨンセはビヨンセ。何度も書きますけど最強です。やっぱ声が凄い!! まず尋常じゃない声量。そしてハリがあって勢いがある。もちろん多彩な声音の使い分け、驚異的なフェイク、震えるようなビブラード、どれをとっても最強としか言いようが無い! さらに百面相のようにコロコロと変わる大げさな表情や大仰な踊りには、演技力とか表現力を遥かに越えたブラック・ミュージックならではの“濃さ”がある。これがまた堪らないんです。序盤の「Halo」から鳥肌物のライヴ。


さて、今年も昨年に続き、異様なほどライヴに恵まれた年でした。ベストはやっぱりビヨンセですよね。あのライヴは凄かった。サマソニでのファーストインパクトも驚嘆でしたが、最前列で見れた埼玉スーパーアリーナはさらに圧巻でした。私の脳には「09年のビヨンセ」としてその凄まじさが永遠に刻まれた感じがします。

そのビヨンセを夏フェスに読んだサマソニこそ今年の夏のハイライトでしたが、もちろんフジロックもヤバかった。なにせファンキー・ミーターズとネヴィル・ブラザーズが揃って来てくれましたからね。彼らを野外フェスで観れた喜び。これも永遠に忘れられませんね。シリルが来なくても、雨が降っていても、彼らは最高でした! あとはプリシラ・アーン。徐々にフェスの記憶が薄れていく中、あのプリシラ・アーンの静謐な空気感だけは未だにふっと甦り、その都度甘味な気分にさせられます。

その他で印象に残っているライヴと言えば、まずは8月のマリーナ・ショウ。これは夏フェスに忙しくってレポートを書きそびれたライヴだったんですけど、素晴らしかったです。マリーナ・ショウが74年の大名盤「WHO IS THIS BITCH ANYWAY」そのままのバック・メンバーを引き連れて行ったスペシャル・ライヴ。特にギターのデヴィッド・T・ウォーカーに参りました。ソロではジャズ寄りの作品が多い彼ですが、この日はブルージー&ソウルフル。体をクネクネと揺らしながらスウィートなフレーズを連発。時に甘味なトーンでメロウに、時に強いアタックでブルージーに。ある時はマリーナに語りかけるように、またあるときは挑みかかるように。とにかくデヴィッドのギターは良く歌い、良く語る。ソウル系セッション・ギタリストとして間違いなく最高峰の匠を観た感じです。もちろん主役マリーナの歌声も素晴らしかったです。

ギタリストと言えば、大好きなシカゴ・ブルースのカルロス・ジョンソンも最高でしたし、ウッドストックのエイモス・ギャレットもありました。しかしライ・クーダーに行きそびれたのは痛恨の極みです。

メリッサ・ラヴォーとモリアーティを観た「LAFORET SOUND MUSEUM 2009」も忘れられません。特にモリアーティはライヴ以外にもランデブーというスペシャルなイベントにも参加させていただき、メンバー達と楽しいひと時を過ごせたのは一生物の思い出です。

あとはドニー・フリッツ&ザ・デコイズ、こちらも奇跡の来日でしたね。南部の香りをたっぷ堪能させていただきました。そして年末の上原ひろみ!!!

なんだかんだで今年も充実した1年でした。


来年はキャロル・キング&ジェイムス・テイラー、さらにボブ・ディラン!!! そしてフジロックはどんな面子を呼んでくれるのか?おそらく元旦にあるであろう開催発表を間近に控え、そわそわしています。早く来い来いフジロック!!


では皆様、良いお年を!!
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ライヴ納め

2009-12-30 19:18:02 | 余話
年末恒例のゆらゆら帝国を観に、リキッドルームに来ています。ここ数年、毎年最後をゆらゆら帝国でしめています。坂本さんがボソッと呟く「良いお年を」を聞かずして年を越せない感じです。ゲストの巨人ゆえにデカイもめっちゃ気になります。
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今年のブライテストホープ

2009-12-30 16:01:48 | 2009年総括
第1位:モリアーティ!!!!

MORIARTY / GEE WHIZ BUT THIS IS A LONESOME TOWN
フランス・デビューは08年だそうですが、日本に紹介されたのは今年ということで。いやはや、このアルバムは相当聴きましたよ。いにしえのジャズやブルースが持っていた魔力をシアトリカル且つ謎めいた雰囲気で甦らせる不思議なバンドです。来日公演も素晴らしかった。


第2位:ジョシュア・ジェイムス

JOSHUA JAMES / THE SUN IS ALWAYS BRIGHTER
男性シンガーの歌唱にここまで胸を打たれたのは本当に久し振り。最近の男性シンガーは優しく歌うのが流行のように思われますが、そういった趣向とは無縁のリアリティを感じさせる歌声です。ライヴはタワレコでのミニ・ライヴしか見たことが無いのですが、生歌はさらにエモーショナルで染みました。次はフジロックで観たいです!


第3位:SARAH JAROSZ

SARAH JAROSZ / SONG UP HER HEAD
最近手に入れたこのアルバムにもやられました。まだ10代の女性シンガー・ソング・ライターで、ギター、マンドリン、バンジョー、ピアノを弾きこなすマルチ・プレイヤー。古き良きフォーク&ブルーグラスな息吹を匂わせつつ、卓越した演奏力でジャム・グラス的な広がりをも持ちます。何せバックにはジェリー・ダグラス、スチュアート・ダンカン、マイク・マーシャルなど、錚々たるメンバーが参加していますからね~。飾らない歌声がまた心地良いです。生で観てみたいですけど、このジャンルでの来日は難しいかな~。

第4位:ダイアン・バーチ

DIANE BIRCH / BIBLE BELT
SSW系ではおそらく今年一番の大型新人でしょうね。70年代を伺わすこの歌声は素晴らしいですね。ニュー・ソウルっぽい雰囲気があるのも堪りません。来日公演に行きそびれたのが悔やまれます。
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上原ひろみ@ブルーノート東京

2009-12-29 13:28:22 | ジャズ
上原ひろみ / PLACE TO BE

12月27日、ブルーノート東京へ上原ひろみを観に行ってきました! 私が観たのはこの日の2ndショー。「プレイス・トゥ・ビー」日本ツアーの最終公演であり、上原ひろみにとって今年最後のライヴ。最高でした! 生々しく躍動する彼女の動き、表情、音色。まるで彼女の身体の奥底から音楽が沸き上がるようで、その現場を間近で堪能してまいりました。


先日のサントリーホールは後方の席だったので、今回は出来るだけ近くで体感したいなと、気合いを入れて朝から並びに行ったんです。そのかいあって上原ひろみの表情や体の動き全てが目の前で見える最前列をゲット出来ました。見えないのは手元だけ…。肝心の鍵盤捌きだけはピアノ本体の陰になって見えないという席。でもピアノを弾けない私が彼女の指の動きを見ても仕方ないな、みたいな感じでそこは無理矢理納得することに…。って言うかこんな良い席で贅沢は言えません。

さて、上原ひろみが登場。フロア後方から客席の間をぬって、拍手喝采を受けながらステージへ向かってきます。ブルーノートはこの登場の雰囲気が良いですよね。そしてピアノの前に立つ上原ひろみ。近い!! ほとんど手を伸ばせば届くような距離です。こんな近くで上原さんのライヴを観るのは同じくブルーノートでのチック・コリアとのデュオ公演以来です。

狭いクラブ公演ということもあり、熱狂的なお客さん達が集まったようで、彼女を迎える拍手や歓声には、期待とか、感謝とか、愛とか、そんな熱い物がギューっと込められてるような盛り上がり。まさにホームグラウンドでサポーターに囲まれたライヴのよう。まだピアノに触る前から上原さんの瞳はうるうるしてる感じ。だいたい涙もろいと言うか、感激やさんなんですよね。でもその多感さが彼女の演奏スタイルに刺激を与えてるんだろうとも思います。

1曲目は「I’ve Got Rhythm」。先日のサントリーホール公演と同じ曲でスタート。サントリーホールの時は、いかにもホールに響いた音、って感じで、ピアノというよりホールが鳴っている音を聴いてるような印象でしたが、今回は目の前にピアノがあるわけですから、ダイレクトにピアノの鳴りが耳に入ってきます。あのサントリーホールのピアノの音は本当に素晴らしかったですし、その響きで上原さんの演奏を聴けたのは幸せの極致でした。ですが上原さんらしい切れ味のあるアタック感や左手が繰り出すファンキーなグルーヴ感はやはり今夜の方がビンビンに伝わってきました。この曲の後半も凄かった! 音の跳ね方が半端ありません。

次は「Green Tea Farm」だったかな? 実は今回はメモを取らずにライヴを観ていたので、曲目についてはよく覚えてないんです。すいません。記憶にあるのは「Green Tea Farm」、「Islands Azores」、「Berne Baby Berne」、「Desert On The Moon」、「Pachelbel's Canon」など。数曲では曲の頭に即興っぽい演奏を入れたりしていましたね。でやっぱりどの曲でもその集中力と言うか“入り方”が凄い。いや凄まじい。特に「Berne Baby Berne」のようなアップテンポの曲でのどんどんアヴァンギャルドに入っていく様が圧巻。まるで何かの限界を目指すかのようにアグレッシヴに入っていく。これでもか!と入っていく。そしていよいよ限界値に達したときの爆発力! その瞬間に観客がドワー!!っと沸く。それまで固唾を飲んで見守っていた観客達が一斉に「ヒュー!!」だの「ギャー!!」だの歓声を上げるんです。この一体感はクラブならではでしたね。

「Green Tea Farm」のような静かな曲も最高でした。特にスモーキーなトーンを絞り出すよう弾く時の彼女の感情移入はことのほかブルージーで惹き込まれました。まるで曲と一体化したような彼女のしっとりとした表現力に、会場全体が溶け込んで行くかのようでした。そして曲が終わり、最後の低音がスーっと消え行くまで待っての大喝采。騒ぐ時は騒ぐ、聴く時は聴く、という意識の高いお客さん達も素晴らしかったですね。

緊張感の高い曲が続くなか、「Pachelbel's Canon」は独特の“間”を活かした緩いグルーヴとじゃれ合うよな感じで弾いてたのが印象的でした。そんな上原さんに対し、客席からは自然と手拍子が。それとこの曲はピアノの弦に何か金属の棒のような物を乗せてミュートするのですが、ミュートというより金属的な共鳴を得ている感じで、ちょっとチェンバロのような響きがするんです。たぶんその棒の置き方によって毎日響き方が変わってくるのだと思われるのですが、その微妙なニュアンスを、上原さん自身も楽しんでいるような表情をしていました。

そして本編ラストは「Viva! Vegas」の3部作。左手が産み出すハネたリズムが最高な「Show Cuty, Show Girl」、続くメロウな「Daytime In Las Vegas」も素晴らしかったですが、やはり最後の「The Gambler」でしょう。冒頭のルーレット(スロット?)を表現したパートでは照明もぐるぐる回るといういきな演出。観客も手拍子やらかけ声やらで当たりを願う。2回はずれたあと3回目で大当たり。やんやの喝采の中ジェットコースターのようなスピーディーな曲へとなだれ込む。この瞬間が圧巻でした。さらにこの曲も左手のリズムが驚異的。バウンシーにうねりながらどんどん加速していく感じ。もう堪りません。終わったあとはスタンディングオベーション。

アンコールは異例の3回! 1回目は「Brain Training」。予定ではここで終わりだったのでは?と思えるのですが、その後も拍手が鳴り止まない。再び登場した上原さんはもう涙をこらえきれない様子。そのまま「Place To Be」へ。高揚したアンコールでもスローでは最後の一音の余韻まで堪能して大拍手。そしてそのまま拍手が鳴り止まない。流石に一部のお客さん達は帰り始めたようでしたが、熱狂的な方々は諦めない。もう仕方ない雰囲気を感じさせつつ上原さんが戻って来る。歓喜に包まれる会場。彼女はステージに足を一歩踏み入れた瞬間にピアノに駆け寄り、飛びつきざまに「The Tom and Jerry Show」。ロックでした!

終わったあと、時計を観たら22時55分。開演予定時刻が20時45分でしたから2時間越えですか? 2部制のブルーノートにしては長丁場でした。といっても開演時間は多少押してたようですし、2度目と3度目のアンコールの間には相当な時間が流れてましたけどね。10分ぐらいは拍手し続けてたのではないでしょうか?

上原さんの演奏はいつでも素晴らしい。即興主体ながらはずれはない。そしてピアノを弾く上原さんと、それを聴く観客達の間に、気持ちの上でのコール&レスポンスが確実にある。サントリーホールでの広い会場を巻き込んでいく高揚感も素晴らしかったですが、それとはまた違う、狭い空間ならではの親密な一体感がまた、素晴らしいライヴでした。

さて、今後の活躍がますます楽しみな上原さん。来年はどんなスタイルでの演奏を聴かせてくれるのか? 今回のピアノ・ソロでは、上原さんが根源的に持っているようなポリリズミックに跳ねるリズム感を実感したので、そんなリズムに重点を置いた作品を作って欲しいな~なんて思ったり。



~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 09.12.19 上原ひろみ@サントリーホール
 09.09.11 上原ひろみ@表参道ヒルズ
 08.12.28 @有楽町(上原ひろみ ジャパン・ツアー・ファイナル@東京国際フォーラム)
 08.09.02 東京JAZZ2008まとめ、その1
 08.08.25 @東京JAZZ2008(上原ひろみ at 丸ビル)
 08.08.21 東京JAZZ2008予習:上原ひろみ
 08.06.07 上原ひろみ(5月31日新宿タワーレコード&「BEYOND STANDARD」)
 08.04.29 上原ひろみ(CHICK COREA & HIROMI / DUET) 
 07.12.31 「ルーツな日記大賞07」第1位:上原ひろみ 
 07. 9.27 チック・コリア&上原ひろみ@ブルーノート東京 
 07.09.03 上原ひろみ結婚! 
 07. 8.06 フジロック07 第2位(HIROMI'S SONICBLOOM@オレンジコート)
 07. 7.26 フジ予習:上原ひろみ(「TIME CONTROL」) 
 05. 8.25 フジロック05 第4位)
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@ブルーノート

2009-12-27 19:12:06 | ジャズ
今日は上原ひろみを観にブルーノート東京に来ています。朝早くから並んで寒かったです。あまりにも沢山の人が列びすぎたせいか、予定より早く整理券を配布してれたので、助かりました。2ndステージの開場までまだ少しありますけど、既にドキドキしています。ジャパン・ツアー最終公演なので盛り上がりそうです!しかもクラブ公演ですしね!
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サム・カーを偲ぶ

2009-12-26 21:20:10 | ブルース
SAM CARR'S DELTA JUKES / LET THE GOOD TIMES ROLL

今年も悲しいことに沢山のアーティストが逝ってしまいました。忌野清志郎とマイケル・ジャクソンの訃報には本当に驚き、しばらく呆然としてしてしまいました。

でも私にとって一番の喪失はスヌークス・イーグリンでした。大好きなギタリストでした。そしてエディー・ボーも。この二人のニューオーリンズ・レジェンドの死は悲しすぎます。

レス・ポール。学生時代ギタリスト志望だった私はストラトより断然レス・ポール派でした。

さらにピーター・ポール&マリーのマリー・トラヴァース。

ザ・フラミンゴス~ザ・デルズのテナー、ジョニー・カーター。

メンフィスの名鍵盤奏者にしてかのディキシー・フライヤーズの中心人物ジム・ディッキンソン。

スワンプやカントリー・シーンでの名演も光った西海岸の名キーボーディスト、ラリー・ネクテル。

ニュー・ロスト・シティ・ランブラーズのメンバーで60年代フォーク・リヴァイヴァルの立役者マイク・シーガー。

チェス時代のリトル・ウォルターをはじめ、70年代以降もボビー・ブランドやジョン・メイオールなど数々のセッションをこなした名ブルース・ギタリスト、フレディ・ロビンソン。


悲しいですね。「ルーツな日記」としてもとても無視出来ない方達が沢山亡くなられてしまいました。なのに満足な追悼記事を書かずじまいのうちに年を越えてしまいそうです…。そしてもう一人、個人的に大好きだったアーティストが亡くなられています。それはサム・カー。サザン・ビートはこの人にあり!って感じの南部ブルース・ドラマーです。9月21日、ミシシッピ州クラークスデイルの養護施設で亡くなられたそうです。心不全だったとか。享年83歳。

1926年ミシシッピ州生まれ。父親はかのロバート・ナイトホーク(ロバート・リー・マッコイ)です。サム・カーと言えば、名サザン・ハーピスのフランク・フロスト、ギタリストのビッグ・ジャック・ジョンソンと組んだジェリー・ロール・キングスが有名ですね。3人のローカル色濃厚な演奏が堪らなくディープで、特にサム・カーの叩くいなたいシャッフル・ビートは、聴く者を瞬時に南部へとトリップさせてくれました。

そしてサム・カーはフランク・フロストと共に来日もしています。97年のパークタワー・ブルース・フェスティヴァルでした。今思えばよくぞ呼んでくれました!って感じですね。あの頃のパークタワーのブッキングは神がかっていました。もちろん私も観に行きましたよ。もう彼らのライヴは完全に異空間。新宿の高層ビルの中なのに、ほとんど自分家の庭先で演っているような雰囲気でした。それがまた良い味わいなんですよ。南部の空気をしっかり感じさせてくれました。

その後サム・カーはフランク・フロストと二人名義のアルバムを出したり、フロストが亡くなられた後はSAM CARR'S DELTA JUKES名義で作品をリリースしたりと、地味ながらも確実にサザン・ビート・マスターとしての存在感を示しくれていました。でもそんなマニアックな活動の他に、実は最近、意外なところで彼の名を見つけたのです。それは今年のフジロックを熱いファンク魂で沸かした、イーライ・リードのデビュー作「ROLL WITH YOU」の日本盤解説。

それによりますと、イーライ・リードは18歳でクラークスデイルに移り住み、そこでサム・カーから個人授業を受けていたそうなのです。デビュー前のイーライ・リードがまさかサム・カーからレッスンを受けていたなんて! でもイーライ君はサム・カーから何を習ってたんですかね?やっぱりドラムですか? 何はともあれ、イーライ君のあの熱き南部魂は、サム・カーから伝授されたものなのかもしれません。

それにしても今をときめくイーライ・リードのライナーにサム・カーが出てくるなんて! そんな予想外なサプライズに喜んでから間もなくの訃報でした。

サム・カーさん、安らかに。


*上写真はSAM CARR'S DELTA JUKESの07年作「LET THE GOOD TIMES ROLL」。おそらくサム・カー名義では最後の作品。DELTA JUKESというバンドでの録音ということだと思うのですが、バンド・メンバーをはじめ録音データの記載がいっさいないので、よく分かりません。写真もサム・カーだけですしね。サウンド的には妙に骨太すぎてサム・カーの魅力が若干損なわれているようにも思えますが、ふくよかなシャッフルビートは健在です。




FRANK FROST / HARP & SOUL
そしてこちらはフランク・フロストの66年ジュウェル・セッションを収めたアルバム「HARP&SOUL」。サザン・ブルースの聖典的な大名盤。色々な装釘で出されていると思いますが、これは90年にP-VINEからリリースされたもの。フロスト名義ではありますが既にジェリー・ロール・キングスの3人が揃っています。 何故かハーピストのフロストはほとんどハープを吹かず、ほぼヴォーカルに専念。代わりにこちらもサザン・ハープの代表格アーサー・ウィリアムスが土臭くも勢い満点のハープで歴史的な大熱演をしています。全編でドラムを叩くサム・カーのビートはまるで南部の風ようです。



JELLY ROLL KINGS / ROCKIN' THE JUKE JOINT DOWN
ジェリー・ロール・キングス名義での初アルバム「ROCKIN' THE JUKE JOINT DOWN」。79年の作品。驚異的なローカル色を全面に出した奇跡のトリオです。三者三様の個性が南部の臭気をまき散らします。特にフロストの弾くキーボードの音色とフレーズが恐ろしい程にチープで、これが絶妙な味わいを醸します。そのチープさと、サム・カーを中心にしたハネたリズムはまさに“ ROCKIN' "です! こちらも大名盤。



JELLY ROLL KINGS / OFF YONDER WALL
ファット・ポッサム入りしてエグ味がさらに増した97年作。ちょうど来日した頃にリリースされた作品で、私もよく聴きました。フロストはハープを吹かず、キーボードに専念。その分、ビッグ・ジャック・ジョンソンのギターがフューチャーされた作品。



FRANK FROST & SAM CARR / THE JELLY ROLL KINGS
ビッグ・ジャック・ジョンソンが抜けてバンドではなくなり、フランク・フロスト&サム・カー名義となりましたが、アルバムタイトルが「ザ・ジェリー・ロール・キングス」。ってどんだけこの名が好きなんでしょう?って感じですね。でもジャクソンが居ないせいか、フロストがハープを吹きまっくていて、サム・カーのドラムも軽快に走る、まさに痛快な作品。相当良いですよ! サザン・ブルースここにあり!

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メリー・クリスマス!!

2009-12-25 00:53:56 | ジャズ
KERMIT RUFFINS / HAVE A CRAZY COOL CHRISTMAS!

メリー・クリスマス!

このジャケを見た瞬間、買わずにはいられませんでした。という訳で、今年のクリスマス・イブはカーミット・ラフィンズを聴いてます。元リバーズ・ブラスバンドの中心人物で、ニューオーリンズを代表するトランぺッターの一人です。ヒップなブラスバンド出身ながら、トラディショナルなジャズ路線でも豊かな味わいを聴かせてくれます。

前作「LIVIN A TREME LIFE」も素晴らしい作品でしたが、今作はクリスマス・アルバムだけあって、さらに暖かいトラディショナル色を前面に出した快作です。NEAL CAINE(b)、MATT LEMMLER(p)、HERLIN RILEY(ds)といったジャズ系の名手達が参加し、「Silent Night」や「Santa Claus Is Coming To Town」、「Little Drummer Boy」、「Silver Bells」などのクリスマス定番曲から、ニューオーリンズ・クリスマスな感じの「A Saints Christmas」といったカーミットのオリジナル曲まで、賑やかでハートウォーミングなニューオーリンズ・ジャズがクリスマスを彩ります。もう最高です!

カーミットのトランペットの音色ももちろんですが、彼のサッチモを思わす歌声も楽しい。そしていかにもニューオーリンズらしいセカンドラインなハネたリズムが心地良いです。ニューオーリンズはファンクも良いですけど、やっぱこういったトラディショナルなヴァイヴを伝えてくれるジャズも堪りませんね。こういうのを聴くと、ニューオーリンズに行きたくなっちゃいますよね~。

そしてクライマックスはダニー・ハサウェイの大名曲「This Christmas」。さらにクリスマスと言えばの「Jingle Bells」。この2曲ではトロンボーン・ショーティと古巣リバース・ブラス・バンドの面々も加わり、ブラバンならではのガンボなノリで締めくくられます。厳かな聖夜も素敵ですが、やっぱクリスマスは楽しくないとね!

ニューオーリンズ好きには堪らないクリスマス・アルバムです。



さて、皆様はクリスマス・イヴをいかがお過ごしですか? 私はワインを飲みつつチキンを食べて、アンリ・ルルーのケーキを頂きました。かなり満喫です。







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ボブ・ディラン来日決定!!!

2009-12-24 07:53:44 | ルーツ・ロック
ボブ・ディランの来日が決定したようです!しかもライヴ・ハウス・ツアーです!

ボブ・ディランがライヴ・ハウスで、そしてスタンディングで観れるなんて夢のようです。東京はZEPP TOKYOで3月21日から29日にかけて6日間です。他に大阪と名古屋もZEPPに登場です。呼び屋さんはウドー。ボブ・ディランのようなビッグ・アーティストをこんな形で来日させるなんてウドーらしくない感じですが、これを実現させたウドーには大拍手を送りたいです。

しかし肝心のチケットが取れるか?と不安がよぎるなか、ウドーのサイトでは既に先行予約が始まっていたので、申し込んでみたところあっさり取れました。もうお金も払ってきました!やったね!

これで3月まではディラン漬けになりそうです。とりあえず買ったきり読んでいなかった「ボブ・ディラン自伝」を読もう!

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妻のジャケ買 part2

2009-12-23 12:44:12 | ブルース
R.L.BURNSIDE / TOO BAD JIM

先日、妻が森山直太朗のファンクラブ・ライヴの最終日を観に仙台まで行ってきたのですが、その土産にということで、仙台タワレコでジャケ買してきてくれました。R.L.バーンサイドの「TOO BAD JIM」です。ポイントは犬の目がキラ~ン!とこちらを観てるから、とのことです。ちなみに半額だったそうです。

しかし残念ながらこのアルバムは持ってたんですよね~。でもジャケ写違いですけど。ファットポッサムってジャケ違いが結構あるんですよね~。アルバム・タイトルをほとんど覚えていない私は何度か騙されました。でも今回はジャケ買ですし、お土産ですし、何故か仙台でバーンサイドを選んできたというディープな感覚に嬉しくなりました。

で、なんだかんだで久しぶりに聴いたこの「TOO BAD JIM」。やっぱ良いですね。バーンサイドと言うとジョン・スペンサーとの共演作が有名ですが、私はこのアルバムが一番好きなのです。ミシシッピー州北部ヒル・カントリー・ブルースを代表する一枚ですよね。独特のハネたリズムと、ひなびた中にプリミティヴな荒々しさを含んだミシシッピ臭濃厚なスライド・ギターが最高です! 濃厚でコクの有る歌声も良いですね。

強烈なサザン・ビートに胸躍る「Shake 'Em On Down」。どっぷりと弾き語る「Short-Haired Woman」や「Death Bell Blues」。ローリン・アンド・タンブリンなスライド・リフが炸裂する「Fireman Ring The Bell」。極めつけは最後を締めるドロンドロンな「Goin' Down South」。シンプルなサウンドなのにこれだけサイケ且つ呪術的に鳴らせるブルースって凄いなと。トリッピーです!大音量で聴きたいですね。

なんかバーンサイドが活躍した時代が懐かしいですね。あの頃のファット・ポッサムは輝いてました。それは過去の遺物と成り果てつつあったブルースが、都市化と異種配合を繰り返し細々と生き残りを賭けていた90年代。まるで時代の流れから取り残されていたかのようなヒルカントリー。そして突如としてブレイクしたバーンサイド。ブルースが持つ本来の野生と、コアな南部フィーリングが凝縮されたサウンドは衝撃的でした。そのとき既に60代なかば。残念ながら今は故人となってしまいましたが、私は幸い何度かこの人のライヴを観ることが出来ました。歪みまくったスライド・ギターで繰り出されるワンコード・リフの応酬は、流石にブロークン・ブルースなんて評されるだけあって、ギラギラとした攻撃的な破壊力と、ドロ~ンとした陶酔感が堪らなくディープな世界を作り出していました。

こういうのを聴くと、やっぱブルースはミシシッピだよな、って思ってしまいます。


~関連過去ブログ~ お時間有ったらぜひ!

 09.11.17 妻のジャケ買
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ディランのクリスマス

2009-12-22 08:16:23 | ルーツ・ロック
BOB DYLAN / CHRISTMAS IN THE HEART

クリスマスが近づいてきましたね。今年も様々なアーティストがクリスマス・アルバムを発表していることと思われますが、中でも圧倒的な存在感を示しているのがボブ・ディランのこのアルバム。

ボブ・ディランがクリスマス・アルバムを発表すると聞いて、どんなにマニアックな作品を作ってくるのかと楽しみにしていましたが、これがびっくりするぐらい王道なクリスマス・アルバムなのです。「Here Comes Santa Claus」に始まり、「Do You Hear What I Hear?」「Winter Wonderland」「Hark The Herald Angels Sing」「I'll Be Home For Christmas」「Little Drummer Boy」「Silver Bells」「The Christmas Song」と、クリスマス・シーズンの定番中の定番曲が並んでます。

暖かいサウンドにうららかなコーラスを配したバックのサウンドもクリスマスど真ん中! そこにディランの強烈なダミ声が乗ります。 1曲目「Here Comes Santa Claus」を聴いてまずその声にびっくりしました。ディランが優しく笑ってるんです。ダミ声の奥に笑顔が見えるんです。なんとなくしかめっ面して歌っている姿しか想像しづらいボブ・ディランですが、ここでは確実に笑っています。この歌唱を微笑ましいと感じるか、ちょっぴり怖いと感じるかは人それでしょうが、どちらにしろ強烈な異臭を感じます。

ウキウキとしたクリスマス気分満喫な「Winter Wonderland」でもディランの声は優しく弾んでいます。ディランはいったい何所まで本気なのでしょうか? そもそもデビュー以来、人を煙に巻くことを生業にしてきたような人ですからね。でもそこにこそディランの凄みがあり、それがディランのディランたるゆえんなのです。だからこそこのアルバムのディラン作品として、もしくはクリスマス・アルバムとして感じる猛烈な違和感が逆に堪らないのです。これぞディランなのです!

極めつけは聖歌「Hark The Herald Angels Sing」。荘厳なメロディーを異様な程のガラガラ声で歌い上げます。並のシンガーが同じことをやったら、たんなるパロディーかおふざけにしかならないパターンですが、ディランが歌うと底が知れない説得力を感じさせられます。天使のような女性コーラスとの対比も見事。これはとにかく圧巻の一言。

「The Christmas Blues」や「Must Be Santa」でルーツ色もしっかり感じさせてくれます。特にデヴィッド・ヒダルゴのアコーディオンが大活躍するポルカ風ダンス・ナンバー「Must Be Santa」は光ってますね。ハワイアンな「Christmas Island」も秀逸。でも案外こういった曲の方がディランとして座りが良すぎるような気もするし、ホッとさせられる。逆に「Have Yourself A Merry Little Christmas」や「Silver Bells」のような曲で感じさせられる得体の知れない違和感の方に、痛快な程のディランらしさあるのかもしれません。

王道でありながら、決して単なるクリスマス・スタンダード集ではないディランのクリスマス。最終曲「O' Little Town Of Bethlehem」の最後のフレーズ、「アーメン」と歌うディランの声が、強烈に頭に残ります。でも案外、この仙人のようなガラガラ声が以外とクリスマスに合っていうような雰囲気もあったりするから面白い。なにはともあれ、毎年必ず聴くであろうクリスマス・アルバムがまた一枚増えました。

ちなみにこのアルバムの売り上げは食料支援などの慈善団体に寄付されるそうです。

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