ASAKA通信

ノンジャンル。2006年6月6日スタート。

「幼年時代」20230417

2023-04-17 | Weblog

 

 

こどものつばめはひとりでそらへとびました (保育男子)

     *

「たくさん生きるんだよ、おまえも」

じぶんではない
だれかを祝福することが
じぶんのよろこびであり
みんなのよろこびであるかのように

やさしい魔法のつぶやきがこだましていた

もちろんそれだけではなかったけれど
耳を澄まさなくても聴こえていた


(出典:金子兜太監修『子ども俳句歳時記』蝸牛社)

 

 

 

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「多重記述」20230416

2023-04-16 | Weblog

 

 

 

世界をさかさまに見ると世界が主語になる
世界に主語を与えないように主語をキープする

世界からただ見つめられるのではない
世界を見つめ返す視線をキープする

天も地もない、優も劣もない
とって代われない主語の場所がある

ここからまなざしを動かしていく

このまなざしだけに映る世界の姿をキープする
そうしてはじめて出会い、交換しあうことができる

値踏みし、査定し、削りあうのではない
まなざしに映るものをそのままキープしながら
関係のギフトとして贈り、贈りあう

そうしてはじめて開かれる多重視覚、多重記述の位相
世界の奥行きが拡張されてゆく第三の領域がある

 

 

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「記述の作法」 20230415(20220523)

2023-04-15 | Weblog

 

 


  You live in your description of reality.  
          ──Gregory Bateson

自ら解釈し、自ら認識し、自ら描く世界に生きている
この命題には付け加えるべきことがある

みずから記述し、描いた絵に筆を入れる作業
つねに未完のキャンバスが待っている

いまだ顕現しない絵へ向かう方角へ
覚えておくべき作画の作法
筆を握り、キャンバスへ向かう心得がある

知るかぎり、聴こえるかぎり、見えるかぎり
触れるかぎりの世界に自足するとき、失意するとき
筆は止まり、未知と非知につながる野蛮さが失われる

わかることの位相にすべてを収納するとき
かたちなきものへの感度がおとろえ
キャンバスへ向かう中心から遠ざかる

感情は走りやすく
理解は行きすぎやすく
記述は確定に向かいやすく
自明性に埋まりやすい

はやり、あせり、うごき回り
性急すぎる心に休止符を打ち込む

「これが世界」という記述の確定へ向かう心に
新たな記述のスペースを強制注入する

自分を愚かだと思わないほうがいい
自分を賢明だと思うのと同じくらい、まずい

果実を手にするよりはるかに大切なことがある

あらゆる果実の種が芽吹き花を咲かせる地平
そこを守り、そこに生きる意志をキープする

新たな記述が芽吹く地平を枯らさないように
日々、耕し、水をやり、光をあてる

それがなにかはわからない、それでいい
わからなさの地平だけに根を生やすものがある
そこだけに顕現するものの方角へ舵を取るように

 

 

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「エンリオ・モリコーネ」20230414

2023-04-14 | Weblog

                     「さすらいの口笛 Titoli~荒野の用心棒 A Fistful of Dollars」サントラ - YouTube

                     「夕陽のガンマン For a Few Dollars More」Ennio Morricone - YouTube

                     

 

中二のロマネスク、本気だぜ
病って余裕かますんじゃねえ、バカ野郎

名ばかりの善人は滅びたほうがいい
温泉観光フェスタ、道の駅的おみやげロマン
グループ交際の仕込みに使うんじゃねえ、クソ

宴会ネタの正義、善人面の絵空事には死を

孤独なガンマン
流れ者
悪徳の街
正義ではない
愛は語らない
黙って消える
さすらいの口笛

 

 

 

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「断罪のストーム」20230414 (20211206)

2023-04-14 | Weblog

 

 

 

気づくと正義、善人の側に立っている
向こう岸には悪党どもが集合している

いかん、いかん、いかん、いかん、いかん
向こう岸から見ればクソの集合に見えるだろう

気づくと知と正解の側に立っている
のぼせ上ったバカ面が恥ずかしい

いつのまにかルーティーン化している

回収される不義、不正、不善、非知、蒙昧
すべてゴミの集合として廃棄処理される

どこからどこへ?
仮象の真の世界から仮象のゴミ溜めへ

(資源化のルートは抹消されている)

すべては心の中の出来事として
たったそれだけのことが地獄への道をあつらえる

どんづまりに何が起こるかは決まっている
断罪のストームが世界を襲うだろう

だれがそうしているかはっきりしている

おのれの都合だけのクソ野郎ども
世界を勝手に切り分ける俺たち以外にはいない

 

 

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「知の階段」20230413

2023-04-13 | Weblog

 

 

物象化する知の階段──

仰ぎ見る、上目づかいの心が出力する
関係パターン、ひととひとの連結形式
劣位の自己意識、裏返った優位の意識

積み上がる知の階段、という仮象の連結構造
上昇と下降をめぐる相互査定、相互存在記述

(あらゆる領域に遍在する関係構造)

この連結形式の多種多様な派生態
知財の権威勾配が構成するリアル
連動して、確定される存在の階段

普く遍在する関係構造、連結形式

 

 

 

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「生の波形」 20230412(20220815)

2023-04-12 | Weblog

 

 

感じることと感じられないこと

自動化された反応と無反応の閾があって
ふたつをわけるラインの内側に生きている

上限と下限が区切られた感性的な閾値
スイッチのONとOFFが切り換わる分岐点

仮想されたこの閾値を検証する方法はどこにもない

しかしこの閾値のなかに生きていることはまちがいない
世界はこのうちがわで経験され固有の生の波形が描かれてゆく

その全貌を視覚におさめ目撃することはできない
視界におさめるられる外部の視点は存在しない

外部の感知はただ別の波形の目撃することから訪れる

エレガントな波形
かなしい波形

ありえない波形
ありうる波形

そうありたい波形
そうではありたくない波形

みずからの設定値の修正、再設定を求める意志
この意志の励起は別の波形の目撃から導かれる

波形と波形が出会い、互いの姿を照らしあう
相互の光が交わる地点に生まれる視覚、第三の位相

(この位相で閾値の自明性はいったん解除される)

すべてはおのれの演算の内部の出来事でありながら
既定の閾値の外にある波形のエロスを幻視し
生の波形はそれを重ね合わせながら変化の契機を手に入れる

 

 

 

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「展開コード」2023 0411

2023-04-11 | Weblog

                                                                                            Goodbye Blue Sky - YouTube

 

 

この世の惨劇、地獄を歌いながら
それがひどく美しい歌であることもある

      *

からだに埋め込まれた書き込みがあり
展開に先立って自然のコードが告知する

快-不快

あれはあれ、これはこれ、それはそれ
あれではなくこちらの方角へ

この指定性は動かせないものとして
からだの最も深い底に埋め込まれている

由来を知るすべはない
底知れない指令のコマンドにまみれながら

展開には別のルートがある

声と声がかさなり
手と手がかさなり
身体と身体がかさなり

ことばとことばを交換し、混ぜ合わせる
ひととひとが交わるこの位相において
自然があずかり知らない文法が立ち上がる

  Life is but a dream;
  dream is, but, a life! (Santana)

夢にすぎないものがまぎれのない生きる糧となる

ゆらぎ はかなさ たゆたい 刹那さ 
幽玄を感じとり心にしたためる

記述と記述は出会い、重なり
重なりがつくる位相を捉える視覚が生まれる

自然のコードはすでに転移している

 

 

 

 

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「Security of Being」20230411

2023-04-11 | 参照

 

 

──F・バートン・エヴァンス3世『ハリー・スタック・サリヴァン入門』筒井・細澤訳


  「人格とは対人状況で顕在化するものであって、それ以外ではありえない」(Sullivan)

サリヴァンは「他者を過不足なく尊敬するには自己尊敬が必要である」(‥)とも考えていた。
逆に、不十分な自己感をもつ個人は、他者の思考、感情、動機づけを歪めてしまい、不正確に述べがちである。
固定観念化とおとしめることを用いて見出された他者の不十分な表象は低い自尊心の中核的表出である。
これらのパターンを克服すること、すなわち、不安にとらわれずに不安と
それが自己尊敬に及ぼす影響に取り組むことは、青春期後期にいる青年が大人に発達するうえで肝心要となる。
サリヴァンの考えでは、幸運な情況が介在していない場合、例外的な介入を除けば、
個人を成熟した発達経路に復帰させることができるのは精神療法のみである。

(訳者「解題」)
サリヴァンの臨床では安全保障の感覚が非常に重視される。
安全や安心を体験できる場がなければ、人間が自由に内外を探索することはできない。
対人関係の専門家の援助を求めている時点で、そのクライエントはある種の傷つきを抱え、
孤独のうちに佇んでいる。その傷は対人関係で受けたものである。
その傷を癒すには、対人関係がまた必要とされる。

その応用範囲は医療分野に限らず、人間が生きていく社会全般に当てはめることができる。
サリヴァンが晩年に国際緊張の緩和に関心を寄せたのはけっして偶然ではない。
国家規模から隣人のトラブルまで、サリヴァンの眼差しは「対人関係の学」を貫いている。
そしてこの理念は、精神分析に親しんでいる者であろうと
縁遠いものであろうと、等しく有益に作用することであろう。

 

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「知のかまえ」20230410

2023-04-10 | 参照

 

 

── ヘーゲル『ヘーゲル・セレクション』廣松渉・加藤尚武編訳

知が変化するときには実は対象それ自身も意識にとって変化する。
というのは、現存した知は本質的にいって対象についての一つの知だったのであり、
対象は当の知に本質的に属していた以上、知[の変化]とともに
対象も別の対象に成るからである。

こうして、さきには意識にとって即自[自体存在]であったものが即自ではないということ、
より正確に言えば、それは当の意識にとってのみ即自であったにすぎないということ、
このことに意識が気付くようになる。

このような次第で、意識が自分の知が対象に照応していないということを
対象に即して見出す際には、対象それ自身も持続しない。
つまり、或る尺度で測られるはずのものが検査に合格しない場合には、
検査のこの尺度が変化するのである。
検査は、単に知の検査であるのみでなく、当の尺度の検査でもあるわけである。

 

 

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「記録係」 20230409(20221230)

2023-04-09 | Weblog

                                                                          Hey You - YouTube

 

 

 

外なる気圏と内なる気圏
二つが交わる気圏を生きている

二つの気圏は交わり、溶け合い
人間が生きる気象をつくり、変幻する

晴天、曇天、雨、雪、みぞれ、木枯らし、ストーム
変幻する気圧、熱、光、影、風にさらされ

ゆらぎ、おびえ、ふるえ、勇み立ち
そのつど泡立ちながら生の波形は変化する

この気圏の外に出ることはできない

先回りしてストップをかけるように
いつも穏やかに心を保つことはできない

しかしこの気圏を生きながら
すべてが同期しているわけではない

どんなに荒れ狂うストームに襲われても
心の奥に開かれたバックステージがあって
すべての経験が刻まれていく作業場がある

おそらく人間だけがもつ特別な作業場があって
ここにひとりひとりの固有の時間が流れている

かつて-いま-これから

デジタルな時間表示とは異なる時間進行
変幻する気象と切り離されたこの場所に
ひとりひとり、固有の物語を編み上げるように
すべてをモニターしてメモリに刻んでいる記録係がいる

     *

記録係はバックステージにいる
カーソルが届かないデスクトップの裏部屋

オペレーションの全貌は見えない
見えないが絶えることなく作業を継続している

生きる全時間、全航跡をモニターしてトレースする
この作業はループしながらそのつど再編集されていく

俺たちはこの作業の成果を「記憶」と呼んでいる

望んでも望まなくても、頼んだわけでもなく
日々、刻々、作業は厳格に継続されている

作業の目的は何なのか──

明示されたメッセージは読み取れない
作業のしくみはどこにも開示されない

しかし記録係のいとなみの全体が告げている

一つの意志の所在を証するように
メッセージは生の全域に及んでいる

記録だけなら機械でもできる

刻まれたメモリのページをめくる
ただページをめくる以上のこと

生きられる全時間、全航跡 全波形
出会った全思考、全感情、あらゆる事象

メモリすべてを資源としてブリッジする地点がある

そこに立って、残らず連結して新たな予期を立ち上げ
生の地平を拡張するようにしてこの気圏を生き抜け

 

 

 

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「Ceasefire──停戦命令」 20221130

2023-04-08 | Weblog

 

 


「愛がなければ通り過ぎよ」(ニーチェ)

すべてこの格率どおりに生きることはできない
通り過ぎれない状況、通り過ぎれない関係、生活世界がある

見渡せば逃れようのないのっぴきならなさがひしめいている
生かすちからと滅ぼすちからとせめぎあっている

せめぎあい、駆り立てられ、焦燥し、動き回りながら
四六時中、〝決済〟を求める怒号に呑み込まれる

勝つか負けるか、生きるか死ぬか──
ひと皮めくれば獰猛さを競いあうゲームのなかにいる

それでずっとやってきた
歴史を動かしてきたものだ
そのことは認識したほうがいい

そのうえで、通り過ぎれない心が自らに告げる

この状況に〝人間の知恵〟を連結しなければならない
状況の本質をえぐり出して修正の方角を定めなければならない

現実を受けいれ耐えること
与えられ示されるまま
あきらめて歯を食いしばって生きる

このルートには救いがない
生も死もすべてはゲームプランの内側で進行する

享楽と荒廃のカップリング
全体収支は荒廃へ向かっている

たくさんのものがこぼれ落ちていく
不幸を加算しつづけるゲーム

そうではなく

生きるに値しないものを
生きるに値するものに変換する

現実は甘くないに決まっている
甘くないものを甘いものに作り変えていく

愛がなければそのまま通り過ぎてしまいたい
通り過ぎれない状況に心がみずからに告げる

「ceasefire」
(一人の哲学者はエポケーと呼んだ)

そうしてはじめて気づくことができる
ゲームが教えない未踏のルートがある

どんなにすさんだ風が吹き荒れても
すさみをすさみとして感じる心がいる

そうではなく生き、生きあいたい

感じる心がどこにもいなければ
世界はのっぺらぼうのまま滅びていくしかない

この明晰な了解において

感じる心に生きるスペースをあつらえる
そうしてはじめて人間の知恵が芽吹く地平が確保される

ちょっと道草しようか
俺はいつでもオーケーだ

 

 

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「連結装置」20230408

2023-04-08 | Weblog

 

 

連結装置、人間の意志だけが開く第三の領域がある

直列ではない、結びあわせて開かれる
はかなくもかけがえのない開口部があって
開かれた窓の先に新たな歌が生まれる連結の地平がある

 暗きより暗き道にぞ入りぬべき はるかに照らせ山の端の月
                  (和泉式部『拾遺』)

平安朝、跡かたなく砕け散って消えた千年はるかかなた
一人のおんなの歌が山の端の月のように「今」を照らす

連結のいとなみは通時的であると同時に共時的でもありうる
「今」において享受をともにする意志と意志が出会うことがある

 めぐり逢ひて見しやそれとも分かぬ間に雲隠れにし夜半の月影 
                             (紫式部(『新古今集』)

あの歌があって、この歌があって、未生の歌が励起する
俺たちはこの連結のいとなみに加わることだけができる

外にさがしても何もない
吹きさらしの風が吹いているだけだ
 
 ふるさとは語ることなし (坂口安吾「碑文」)

連結装置、人間の心だけがあつらえる開口部があって
はかなく、かなしくも窓を開いて享受をともにする地平がある

 この憧憬は生の喪失の感情であって、失われたものを生として、
 かつて生に親しみ深かったものとして認知するからである。
 この認知はそれだけですでに生の享受である。
     (ヘーゲル『キリスト教の精神とその運命』細谷・岡崎訳)

 

 

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「泣く動物」 20220406

2023-04-07 | Weblog

 

 

妄想として聞いてくれ

泣く生き物がいる
いつも泣いている
俺も泣いている
ほんとうだ

わけがわからん?
そうにちがいない

我慢して聞いてほしい
しかしだ
どうしようもなく泣く生き物は
どうしようもなく泣かせる生き物でもある

泣きたくない存在
泣かせてはいけないものを泣かせてしまう

世界が泣いている

泣かし、泣かされる
泣くだけではない
泣かせ、殺し合う

どうする?

泣く以上のことをしなければならないだろう
余計なお世話かもしれない
だから泣かせることになるのかもしれない

けれど、考えてみてくれ
世界は泣く以上のことを求めているはずさ

ただ泣くために生まれてきたわけではない
泣く以上の生、それを享受する
それは疑えないだろう

泣く生き物としての本質は変わらない、しかしだ
泣いて泣かしあうだけの生き物として滅びていいはずがない

だから妄想の結論はこうなる

ただ泣き虫として生きることはできない
泣いて泣かせて終わりにしない
泣き、泣かせる以上のこと、それをしなければならない

 

 

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「ことば」 20230210

2023-04-07 | Weblog

 

 

「はじめにコトバありき」

この記述命題は正しく次のように変換される

「はじめに生の意志、生きんとする欲望ありき」

変換される理由はただひとつ──

生の意志を母として、子(コトバ)は懐胎され産み落とされる
つまり、子は母を産むことができない

母をいたわり母をいつくしむ心をもたない子の暴走と専制
おのれの起源を忘れ、子が母を支配し蹂躙し殺める倒錯の歴史

この不幸な用法からはやく離脱しなければならない

 

 

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