蝶になりたい

いくつになっても、モラトリアム人生。
迷っているうちに、枯れる時期を過ぎてもまだ夢を見る・・・。

セールスマン方式は、危険です

2010-03-01 | 人々の風景
地下鉄電車、いつものように、発車まで、端っこの座席に座ってぼんやりしていると、
ドアが閉まる直前に、若い男性がドアに足を差し入れた。
明らかに足を入れた瞬間にはドアは閉まると、わかっての確信犯?
セールスマンが、よくやる手口。
次の展開を綿密に予測していなかったが、足を挟んだまま、ドアは閉まった。
靴の3分の2ぐらいが車内に顔を見せ、取り残されている。
私の隣の座席に座ったオバアさんが「危ないよう」と思わず口から出る。
私もその瞬間、もしこのまま電車が発車してしまったら・・・・と想像して、戦慄が走った。
心臓が、コクっと凝縮して動いた。

靴を挟んだまま、電車が発車する、・・・と。
靴の中には足が入っている。
足は胴体につながっている。
胴体はホームの上にある。
固定された足と胴体が、同時に別々の方向に力が加わると・・・・???


警察やら救急車が駆けつける図、ブルーシートの青が、とっさに頭に浮かぶ。
目撃者として、色々聞き取り調査に協力しないといけなくなり、時間が奪われ、煩雑に。
いわゆる事故に巻き込まれた、というやつ? ザワザワザワ。

大好きなミートソーススパゲッティやハンバーグが食べられなくなったらどうしよう。
飛び込みではないから、そこまでは酷くないはず。
あまり衝撃的シーンが繰り広げられる心配はなさそうだが、
もっと大ぶりの、転倒とか、骨折、打撲、といった
外見はどうってことなさそうなかんじに落ち着くのだろうか。
ブルーシートしか思い浮かばない、発想の貧困さ、とっさの具体的イメージがわかない。


動かない挟まれた靴の顔と、その時間を切り取ったまま、私とにらめっこ。
一瞬、時が止まった。
その間に、私はアタマの中で、映像やら画像やら、色やら、音やら・・・カオスでぐるぐる。
が、次の瞬間、ドアが開いた。
若いおにいさんは、何食わぬ顔で、車内に入り込んだ。

どうもなくてよかったのだが、どうかなっていたら、私もきっと、どうかなっていただろう。
とりあえずは、熟したトマト色が鮮やかな、イタリアン・グルメは、難なく楽しめそうだ。






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