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映画『デューン 砂の惑星 PART2』

2024年04月12日 | 映画鑑賞記
IMAXで4回、通常上映の字幕で1回、吹替で1回、そして3画面ビューのスクリーンXで1回…ここまでで7回観て来ました、映画『デューン 砂の惑星PART2』。今日は、じっくりと感想をば。






この作品、原作はフランク・ハーバード著の『デューン 砂の惑星』というSF小説。
ハヤカワ文庫から上中下巻が出ていて、私は映画のPART1前に原作読了。

陰謀により一夜にして滅ぼされてしまった公爵家の跡取りポールが、砂漠の惑星で生き延び、やがて力を付けて捲土重来を果たすのか!?……という宇宙を舞台にした壮大なストーリー。

大好きな小説だったので、映画化もワクワクしながら待っていて、PART1もとても楽しみました!
勿論、Blu-rayも買っています。

そして、満を持して、今回のPART2。

物語は前回からのすぐ続きの世界…ポール達が、まだハルコンネン家の部隊に追われている状況からスタートします。

本当に前作のそのまま直後って感じなので、「私もここに帰ってきた!」という感覚で一気に映画世界に引き込まれました。

そして、圧倒的な映像美!!
素晴らし過ぎです!!

過酷な砂漠や戦闘のど真ん中に自分が置かれたような壮大な臨場感は、映像だけなのに、まるで4Dで観ているかのようで。灼熱の太陽の熱、砂嵐の風、砂虫に吸い込まれそうな勢いが感じられました。
本当に砂被って砂だらけになった気分!
それは、私もフレメンの一員となり、ポールの闘い、覚醒、そして砂漠の脅威を共有したかのようでした。

その映像美は、IMAXが素晴らしいと評価されていて、勿論その通りなのですが、普通のシアターの上映でも十二分に味わえると思います。なので、劇場鑑賞をオススメしたいです。


そしてそして。
私は原作既読なので、原作と違う点、原作に忠実な点なども味わいながら鑑賞しました。

原作小説とはストーリーの展開や、登場人物の描かれ方が若干違ってて、そこも面白かったです。

特に私はチャニの違いが印象的でした。
映画のチャニは、予言や運命をただ受け入れるのではなく、自分の信念で自分の道を切り拓こうとする強い女性です。
ポールを救世主として崇め、その信仰に熱狂的になっていくフレメンの中で、唯一の冷静な視点・冷静な存在がチャニなのですよね。
予言や信仰に囚われてはいけないと言い続ける理性的な姿勢に惹かれました。

その一方で、「ひとりの男性を愛する女性」としてのチャニの視点としては、さぞ辛いだろうなぁと涙。
過酷な砂漠で生き抜くには男も女もなく皆平等であると、対等な人間同士として愛し合ったはずのポールが、時折、公爵家の人間としての顔や証を見せますよね。
アトレイデス家の血族しか開けられない核爆弾の祠の鍵を開けちゃったりとか。
そういうシーンでのチャニの表情が心に残りました。
砂漠の民である自分との超えられない「違い」を感じてるのかな…と。
また、身近な存在で、同じ人間のはずなのに、段々と神格化されていくポールを見るのも不安で複雑ですよね。

そんな過程があっての、あのラスト。切な過ぎて胸が痛かったです。

でもでも、私は、ラストは小説より映画の方が断然好き!!

小説のポールは、チャニに対し、イルーラン姫との結婚を「政治的に必要なこと」とか「私があの女に与えるのは、私の苗字だけ。優しい眼差しも、優しい言葉も与えない、指一本触れることもない、私の子どもも産ませない、彼女に欲望を覚えることもない、一瞬たりとも」とか、色々説明(言い訳?)していましたが、映画のポールは、チャニにただ一言「命ある限り君を愛してる」とだけ言って、イルーラン姫との結婚を宣言します。

かっこいい!
切ないけど!

実は、私、個人的には小説のあのラストの台詞は、印象的ではありましたが、ショックだったのです…。
映画の方は、ドラマティックにカッコ良くなってて、切ないけど美しく、大好きなラストシーンとなりました。

このように、原作と異なるポイントもありますが、その一方で、原作の台詞やシーンを忠実に持って来ているステキなシーンも多いのも魅力。

私の凄く好きなシーン、ポールとチャニが砂漠でキスをする美しいシーン。
そのキスの前に、ポールがチャニに、緑と水が豊かな彼の母星・カラダンについて語るのですが、あのシーンは、原作小説だと、本当に冒頭、まだカラダンにいる時のポールが見た夢のままなのですよね。
ポールが「砂漠の女の子にウスールという名で呼ばれていた」、「会話の中でその砂漠の女の子が『海』や『波』などの言葉を知らないので、説明してあげていた」と、自分が見た夢を語るシーンがあるのですが、まさに、映画でもそうでしたよね。
そっか~、原作のあの夢のシーンを、ここでリアルのシーンとして持ってくるのか~と、原作既読な私はキュンキュン来ましたです。

砂漠のシーンや戦闘のシーンが圧巻というのもこの作品の大きな魅力ですが、さりげなく原作の台詞やシーンを忠実に入れて来て、
「おお!ここでこの台詞を持ってきたかっ!!」
と感動させてくれるポイントも多く、私にとっては、それも大きな魅力でした。
  

それから、前作から通してのポールの成長、変化も大きな見どころです。

恵まれた環境で育った公爵家のお坊ちゃまが一夜にして全てを失い、過酷な環境を生き抜く砂漠の民になり、やがて戦士として認められて、遂には支配者の顔になっていく。
その苦悩の過程を演じるティモシーにとにかく魅せられます。  

本当にふとした所にポールの支配者としての未来を予見させるシーンが散りばめられていた気がしました。
例えば、砂虫に乗るシーン。
砂虫を乗りこなし、砂虫の上で徐々に膝を伸ばし立っていくポールと、ラストシーンでポールに跪く皇帝が対照的で。
フレメンの間では、神様のように思われている砂虫、その最大級の砂虫を手懐け、上に立つ姿が、支配者としての未来を暗示してるように見えました。

そして、彼は、フレメン達を信者のように従えて大戦争を引き起こします。
それは、SFエンターテイメントでありながら、信仰で人を統べる、あるいは縛ることの怖さ、重さについても真面目に考えさせられるところでもありました。
再三に渡りチャニが注意喚起していた、「予言は私達を縛り付ける」という危険性、まさに、彼女が危惧した通りになっていってて。

だから、一見、復讐を果たし大勝利を手にしたポールですが、果たしてこれは、本当の意味での勝利なのかな?
どこか間違えてないのかな?…という不安が残り、英雄譚のハッピーエンドとは思えなくて。
信仰、武力、兵器を駆使し、登り詰めたポールが、この先、破滅していくのではないかという、なんとも言えない怖さ、不安を感じずにはいられないエンドなのですよね。
きっと、チャニも同じ不安を抱えていると思います。

原作とは異なり、袂を分かったかのように見えるポールとチャニの今後や、ポールの戦い、そして、治世の行く末が気になり、PART3が待ち遠しいです。





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