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日本語版新聞紹介

萩生田光一文科相が国会で「学生支援緊急給付金」の追加配布を表明したことを紹介し、「学生の運動と民青の頑張りが勝ちとった貴重な成果です」と強調。

2020-11-30 | あらゆる差別を許さない

青年と手を取り合い希望ある新しい社会へ

民青全国大会終わる

新委員長に西川氏

写真

(写真)委員長に選出され、あいさつする西川龍平さん(左奥)と新中央委員=29日、東京都内

 日本民主青年同盟(民青)の第44回全国大会は29日、コロナ危機から命と暮らしを守り、新自由主義を転換して希望ある新しい社会をつくろうなどとする決議を採択して閉会しました。新たな委員長に、西川龍平さんを選びました。

 初日に引き続き、地方ブロックごとに会場を設けて開催。討論では、コロナ危機を大きなきっかけに社会を変えたいと民青に加盟した経験や、さまざまな取り組みを通じて政治を動かしてきたという発言が相次ぎました。

 8月に加盟した大学生は「私自身がコロナ危機で変化した青年のひとりです」と発言。幼少期も振り返りながら、今の社会のもとで貧困に陥りやすい状況におかれている母子家庭が、コロナ禍でさらに深刻な状況になっていると訴え。「十分な補償をしない国はおかしいし、声を上げないといけない」と話しました。

 福岡県の委員長は、青年実態アンケートを集めて国や県などへの要請を行い、若者にかかわる県独自の支援策も実現したと紹介。国会でも民青の活動が取り上げられ、「行動すれば政治を変えられることが、同盟員の確信になっています」。

 北海道の委員長は、食料支援などの活動を通じて多くの仲間を迎えてきたと発言。出会ってきた青年の切実さは、どれも緊急性があるものばかりだったとのべ、「命と暮らしを守る政治へと変えるために、次の総選挙で政権交代を実現したい」と語りました。

 結語で小山農委(みのる)員長は、コロナ危機のもとでも青年の命と暮らしを守るために活動して情勢を切り開いてきた発言が各地からあったと語り、「互いに学び、励ましあう歴史的な大会になりました」とのべました。

 その上で、萩生田光一文科相が国会で「学生支援緊急給付金」の追加配布を表明したことを紹介し、「学生の運動と民青の頑張りが勝ちとった貴重な成果です」と強調。

 次の大会期はいよいよ野党連合政権の樹立がかかった総選挙をたたかうことになると語り、青年と民青が手を取り合い「希望ある新しい社会をつくるたたかいをいっそう発展させよう」と呼びかけました。

政治の転換を実現する先頭に

 全国大会では新たな役員を選出しました。新委員長の西川龍平さんはあいさつで、「青年の要求が実現できる政治への転換を実現するために、先頭に立って頑張ります」と決意を語りました。

 選出された役員は次の通りです。(新以外はすべて再任、敬称略)▽委員長=西川龍平(新)▽副委員長=中山歩美、酒巻眞世(新)▽常任委員=青山昂平、阿部泰樹、伊藤ナシカ、佐久間藍

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 菅政権は「経済を回さなければならない」といいますが、日本医師会の中川俊男会長は「感染防止策が、結果的には一番の経済対策」と指摘します。

2020-11-29 | コロナから命を守るために

新型コロナQ&A 第6弾

「第3波」抑止へ 共産党が提案

 新型コロナウイルスの感染が急拡大し、深刻化しています。私たちの命やくらし、営業を守るために、いま政治はなにをすべきでしょうか。Q&Aで考えます。

検査・追跡・減収補填

 Q 感染者が連日2000人超え。「第3波」が来ていると言われ、不安です。どうしたら、抑えられますか?

グラフ
(拡大図はこちら)

 A 全国各地で新型コロナウイルスの感染者が急増し、連日、新規陽性者数、重症患者数が最多を更新する状況です。春の「第1波」、7~8月の「第2波」に続く、「第3波」の感染拡大が起こっています(図参照)。

 北海道、首都圏、中部圏、大阪などでは、重症患者の増大が病院のベッド(病床)やマンパワー(人的資源)の限界を超え、医療体制が機能不全になる「医療崩壊」の瀬戸際におちいる地域も出てきています。

 こうした深刻な事態が起こっているにもかかわらず、菅政権は「静かなマスク会食」など、国民に自助努力を求めるだけ。専門家でつくる感染症対策分科会が「Go To トラベル」の一時停止を提言しても、まともに受け止めず迷走しています。検査や医療の体制を拡充する施策や雇用・営業・くらしを守る抜本的な政策を、何も打ち出そうとしない無為無策に、国民の不安と失望が広がっています。

 菅政権は「経済を回さなければならない」といいますが、日本医師会の中川俊男会長は「感染防止策が、結果的には一番の経済対策」と指摘します。

 日本共産党は、感染の爆発的拡大を抑え、医療体制を維持・強化し、国民のいのちと健康をまもるため、(1)医療機関や高齢者施設などを守るための「社会的検査」、繁華街など感染急増地となるリスクのあるところへの「大規模・地域集中的検査」を政府の大方針にすえて推進する(2)感染追跡を専門的に行うトレーサーを確保し、保健所の体制を抜本的に強化する(3)病院・診療所への減収補填(ほてん)など医療機関への全面支援を行う(4)全国一律の「Go To」はやめて地域ごとの支援策に切りかえる―という四つを提案。その実現に向け各地で運動を進めています。

全国一律のGoTo停止を

 Q 政府は「Go To トラベル」の見直しを表明しましたが、事業に期待している業者もいると聞きます。どうしたらいい?

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(写真)「Go To トラベル」キャンペーンを宣伝する旅行代理店=東京都内

 A 日本医師会会長や、世界保健機関(WHO)のシニアアドバイザーなど多くの専門家から、政府による「Go To トラベル」事業の推進が、感染者急増の契機になったという指摘がされています。

 新規陽性者・重症者数が最多を更新し、政府のコロナ対策分科会からも「Go To トラベル」の「一時停止」が提言されるなか、政府もようやく事業の「見直し」を言いだしましたが、あまりにも遅すぎる対応です。

 「見直し」の内容も、「Go To トラベル」事業自体はあくまで継続し、どの地域を対象から外すかは都道府県知事の判断に“丸投げ”するというものです。そのため、新規感染者数がもっとも多い東京は、いまだ対象地域から外れていません。

 札幌市、大阪市についても、政府は当初「目的地」とする旅行は対象から除くが、両市を「出発地」とする旅行は対象に残し支援すると表明。それが世論の批判を浴びると、今度は両市を「出発地」とする旅行は対象に残しつつ「自粛」をお願いすると言い出すなど、もはや完全な迷走状態です。

 その一方、観光・宿泊関連業者に対する代替の支援策はなく、「Go To トラベル」の対象から外れる地域や、感染拡大の影響で利用客が激減した地域の業者の打撃は放置されたままとなります。

 日本共産党は、全国一律の「Go To トラベル」はやめ、地域ごとに観光・宿泊業者を支援する制度に切りかえることを提案しています。その際、支援の枠組みを、小規模な事業者にも届くよう事業の在り方を見直すことや、持続化給付金の第2弾などの直接支援を組み合わせ、観光・宿泊業者に対する支援を強化することも提起しています。

 感染拡大を抑止しながら、観光・宿泊業者をまもるため、「Go To」事業の根本的な見直しを政府の責任で進めるべきです。

感染拡大を抑えるには

高齢者施設など「社会的検査」

 Q 共産党のいう「社会的検査」とは何ですか?

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(写真)新型コロナウイルスの検体を採取する病院職員=千葉県内の病院

 A 医療機関(病院・診療所)、介護・福祉施設、保育園・幼稚園、学校、学童クラブなど、クラスター(感染者集団)が発生すれば多大な影響が出る施設等で定期的なPCR検査を行うことです。

 厚生労働省によれば、全国の医療機関での院内感染は386件、福祉施設(高齢者・障害・児童)での施設内感染は452件で合計838件に達しています(11月24日時点)。大阪府では、「第2波」以降に発生したクラスターのうち、医療機関と高齢者施設等で発生したクラスターが7割を占めました。いまや、クラスターの中心は、医療機関と介護・福祉施設です。そこに入院・入所する人の大半は高齢者であり、ここでの集団感染を防ぐことは重症・死亡事例の発生を抑えることにも直結します。

 この間、東京都の世田谷区や千代田区、神戸市などで、高齢者施設等への「社会的検査」が始まっています。沖縄県は、医療機関と介護施設への定期検査を始めようとしています。

 政府も、感染者多発地域などにおける医療機関、高齢者施設への「一斉・定期的な検査」を自治体に「お願い」する「事務連絡」を出していますが(9月15日、11月16日、同19日、同20日)、そうした検査を実施する費用は、国の負担が2分の1、地方の負担が2分の1です。その負担が重いために、検査拡大に二の足を踏む自治体も少なくありません。

 日本共産党は、“自治体任せ”ではなく政府が自ら先頭に立って「社会的検査」を推進すること、検査の地方負担問題を解決するため、“全額国庫負担の行政検査”の仕組みをつくることを求めています。

感染多発地域で「面の検査」も

 Q 「大規模・地域集中的検査」とは、どういう検査?

 A 感染拡大を抑止するには「クラスター対策」―「点と線」での検査にとどまらず、感染急増地(ホットスポット)となるリスクのあるところに対し、無症状の感染者を把握・保護するための「面の検査」を行うことが必要です。

 政府も、8月に決めた「今後の取組」で、感染状況を踏まえた「地域の関係者への幅広い検査」を打ち出しました。さらに、11月10日の政府コロナ対策推進本部に出された資料は、7~8月の「第2波」に際し、東京都新宿区・歌舞伎町において、「大規模・地域集中的なPCR検査を実施したことにより、陽性者数が減少したことが統計的な分析で明らかになっ(た)」と、その効果を認めています。

 そうであるなら、「大規模・地域集中的検査」を政府の大方針に位置づけ、強力に推進するべきです。

 日本共産党は、医療機関や高齢者施設に対する「社会的検査」とともに、感染集積地域における在勤・在住者など幅広い関係者への「面の検査」を、政府の責任で行うことを求めています。その費用は、全額国庫負担でまかなうべきです。

保健所強化し追跡担当者確保

 Q 共産党の提案にある「トレーサー」って何ですか?

 A 「トレーサー」とは、検査で陽性となった人を保護して行動履歴や健康状態を把握したり、接触歴をたどって感染が疑われる人を見つけだすなど、“感染追跡”を専門に行う人のことです。

 現在の急激な感染拡大に対応し、陽性者を着実に把握・保護していくには、トレーサーの役割が不可欠です。

 この間、欧米で感染の再拡大が起こっている要因の一つに、それらの国々では感染が疑われる人への大量の検査が行われる一方、陽性者の追跡(コンタクトトレーシング)が十分にできていないことがあると指摘されています。

 ところが、今、日本では保健所の人員・体制が大幅に不足し、感染者の急増に追跡業務が追いつかない事態が起こってきています。

 各地の保健所の追跡業務を応援するため、国は1200人の“派遣要員”を登録しているといいますが、全国2万8000人の保健所職員がフル稼働しても全然足りない現場を支えるには“焼け石に水”でしかありません。

 日本共産党は、国の責任で緊急に、感染追跡の業務を担う人員の確保・養成を図ることを求めています。保健所の体制強化とトレーサーの確保により、「検査・保護・追跡」を一体に推進してこそ、感染拡大を抑止できます。

減収補填して医療体制を守れ

 Q 「医療崩壊」を起こさないために何が必要?

 A 各地で感染症が急増するなか、病床は逼迫(ひっぱく)し、重症患者の増加に医療の体制・人員が耐えきれなくなる、「医療崩壊」の危機がせまっています。そうなれば、コロナ患者の救命ができないだけでなく、がんや脳疾患、心臓病や事故による大けがの患者なども救えなくなり、大量の死者が出る事態が起こりかねません。医療体制を維持・強化するための抜本的な施策が必要です。

 菅首相は、「コロナ患者に対応する医療機関を支援するため、3兆円の予算を投入した」といいますが、実際に医療現場に届いたのは、予算の2割程度です。

 この間、多くの病院・診療所が、患者の受診抑制などによる大幅減収で「コロナ経営危機」に直面し、医療従事者の「コロナ賃下げ」が起こっていますが、政府は一貫して、「医療機関への減収補填はしない」という姿勢をとっています。

 日本共産党は、政府が決めた医療機関への支援策をすぐに現場に届けるとともに、地域医療を支えるすべての病院・診療所に減収補填を行い医療体制を全力で守ることを求めています。不足している感染防護具や医療用機材を国の責任で現場に届けることも必要です。軽症・無症状者を保護するためホテルなどを借り上げて設置する宿泊・療養施設を自治体が確保できるよう、予算の緊急的な追加を行うことも求められます。

教育・文化を守るには

文化芸術の支援へ「復興基金」

 Q 「第3波」到来で再びコンサートやイベントが中止になる恐れもあります。文化・芸術を守るために何が必要ですか。

 A 第2次補正予算で、芸術家や芸術団体を支援する「文化芸術活動の継続支援事業」が7月からとりくまれています。しかし、この事業の予算(文化庁分430億円)のうち、実際に交付決定されているのは、34%にすぎません。いまだに支援を必要としている多くの人に届いていません。

 日本共産党の小池晃書記局長は、6日の参院予算委員会で、採択の遅れの問題を追及。萩生田光一文科相は「今後は迅速な審査を図ってまいりたい」と答弁しました。

 関係者の強い要望をうけ、25日からは、追加募集も始まりました(申し込み締め切りは12月11日)。新規募集だけでなく、すでに申請した人も再度申請できます(詳細は文化庁ホームページ参照)。

 感染が急速に拡大している中で、クリスマスやお正月のイベント、公演のキャンセルも出てきました。公演の中止が広がれば、芸術家やスタッフの収入が絶たれることになりかねません。「休業と補償はセット」でなければなりません。

 文化の灯を消さないためにも、超党派の「文化芸術振興議連」も提案している「文化芸術復興基金」を創設することが必要です。数千億円規模の国費を投入して基金を創設することは、「国は、芸術・文化を見捨てない」という大きなメッセージになります。

苦境学生に給付金・学費半減

 Q コロナ禍でアルバイトもなくなり、日々の食事にも事欠くありさま。それなのに授業料は高いまま。なんとかならないの?

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(写真)食料品のテントに集まった学生たち=9月27日、鳥取市

 A 民青同盟が全国で取り組む学生向け食料支援活動の利用者は、のべ1万人を超え、増加の一途です。

 政府の学生向け「緊急給付金」(10万~20万円給付)は、対象が全学生の約1割に絞られ、「希望者全員に給付」できた大学は19%です。要件が厳しく申請を自粛した学生もおり、困窮していても多くが給付を受けられていません。

 党国会議員団は、民青同盟の食料支援などでつかんだ学生の実態を突きつけ、「緊急給付金」の再実施を、政府に繰り返し迫ってきました。そのなかで、「再追加配分を実施する」(萩生田光一文科相、27日)ところまで政府を動かしました。学生の実態が深刻さを増すなか、政府も「さらに何らかの措置を行うか…検討したい」(同前)と述べています。「緊急給付金」の要件を緩和しての抜本拡充と継続実施が大事になっています。

 また、コロナ禍は、高学費をアルバイトと奨学金=借金という学生の“自己責任”に押し付けてきた自民党政治の矛盾を浮き彫りにしました。いまこそ学費は値下げに転換すべきです。野党は共同で学費半額免除などを盛り込んだ「学生支援法案」を国会に提出しています(5月)。

 「バイトもできず実家にも帰れず、1人で年越しする」「採用抑制が広がり、就職が決まらない。奨学金返済が不安」―高学費とコロナ危機で押しつぶされそうな学生に、学費半額こそ最大のエールではないでしょうか。

大学の感染症対策 国の財政支援こそ

 さらに、学生は学園での学びと交流の場を失うという困難にも直面しています。各大学でオンライン授業だけでなく、対面授業を実施する努力が強められています。ところが、肝心の感染症対策に対する国の財政支援はほとんどありません。「対面授業の割合が低い大学名を公表する」(文科省)という“脅し”はやめ、安全と安心の大学環境づくりにふさわしい財政措置こそ求められます。

くらし・営業を守るには

「自粛」要請なら今度こそ補償を

 Q 酒類の提供を伴う飲食店などに営業の自粛を要請する自治体が出ていますが?

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(写真)東京都の要請にこたえ、28日からの営業時間の短縮を知らせる居酒屋=27日、東京都渋谷区

 A 新型コロナの感染急拡大を抑えるには、「密閉・密集・密接」を避けるとともに、営業時間の短縮なども求められています。

 しかし、時短など「自粛」を要請するなら今度こそ補償とセットで行うことが必要です。自粛に伴う収入減や負担増への補償がなければ効果は限られたものにとどまり、感染防止の実効性も担保されません。それはこれまでの感染拡大で実感したことです。

 今回の「第3波」ともいわれる感染拡大を受けて、居酒屋などに対して「営業の自粛要請」が、一部の自治体などから出されています。

 しかし、これに応じた業者に対する補償はありません。「協力金」という名の支援金は東京で40万円(20日間)で、「家賃にもならない」との声も出ています。支給要件も自治体によりばらばらです。

 そもそも、自粛要請によって生じた損失を、国・自治体の責任で補てんするのは当然のことです。憲法29条3項は「私有財産は、正当な補償の下に、これを公共のために用ひることができる」と規定しています。

 菅首相は、営業時間の短縮要請について「協力した全ての店舗に国として支援していきたい」(26日)とのべましたが、具体的中身は明らかにしていません。今度こそ国はきちんと財政負担し、十分な補償を行うべきです。

業者直接支援策の追加・延長を

 Q 商売をやっているが、このままでは「年が越せない」……。

 A 中小業者のみなさんの声と野党の国会論戦で持続化給付金、家賃支援給付金などの直接支援が実現しました。

 しかし、「一時的にしのいでいる。この状況が長引けば経営継続が難しい。第二、第三の給付金が必要だ」との声は切実です。コロナ禍が長引いているもとで有効な対策がとられなければ年末にかけての倒産・廃業が急増し、「『大廃業時代』が現実味をおびてきた」(「東京商工リサーチ」9月23日公表)といわれています。

 菅政権はこうした現実に背を向けています。コロナによって売り上げが急減しているにもかかわらず、個人大家、みなし法人などは持続化給付金の対象から外されています。また家賃支援給付金は、支給件数が55万件で約4900億円、予算額(1兆9300億円)の4分の1にすぎません(11月20日現在)。しかも、これらの給付金の申請期限は2021年1月15日です。

 財務相の諮問機関である財政制度等審議会は、25日にとりまとめた「建議」(意見書)で持続化給付金や家賃支援給付金について「政府の支援への依存を招(く)」などとして、「終了」=打ち切りを提言しています。

 もともと給付金は、「第2波」や「第3波」を想定していなかった段階のもの。給付金制度の「終了」はもってのほかで、逆に柔軟な運用、申請期限の延長をはじめとした改善とともに、コロナ収束まで、第2弾、第3弾の給付金の継続的支援が必要です。

農林水産業者のみなさんも対象に

 持続化給付金について、政府は「いわゆる農林水産業に係る所得を申告しておられる方々、全ての方々が対象になると理解しております」(5月12日、江藤拓農水相・当時)と答弁しています。

生活困窮者への支援を活用

 Q 親一人、子一人、このままでは暮らしていけない。

 A コロナ禍による生活困窮者への国の支援策には、(1)個人向けの生活福祉資金の特例貸し付け(窓口は自治体の社会福祉協議会)(2)家賃への補助を行う住居確保給付金の特例(窓口は自治体の生活困窮者自立支援制度の主管部局)(3)生活保護制度(窓口は自治体の福祉事務所)―などがあります。

 (1)は、「緊急小口資金」と「総合支援資金」の2種類あり、両方で最大140万円まで借りられます。自営業者、個人事業主、フリーランスはもちろん、学生のアルバイト収入減でも可能。償還時に住民税非課税世帯以下の場合、返還免除が可能です。

 (2)は、離職・廃業または休業による収入減少や社員寮に住む人が住居を失うおそれがある場合にも活用できます。「家賃相当額」(上限あり)を自治体が原則3カ月払います。「特別な事情」がある場合、最長9カ月まで延長が可能です。

 しかし、(1)は12月末に、(2)は給付開始から9カ月をすぎれば期限が来ます。支援の命綱がなくなれば、路頭に迷う人が続出します。支援策の延長がどうしても必要です。政府も検討をはじめたと報じられています。

 (3)は、憲法にもとづく国民の権利です。6月15日の参院決算委員会で、日本共産党の田村智子参院議員の質問に、安倍前首相は「文化的な生活を送る権利がある。ためらわずに申請していただきたい」と答弁しています。しかし、5月以降の申請件数(対前年同月比)は減っています。窓口で追い返す「水際作戦」が大問題になっています。

低所得ひとり親世帯に緊急支援を

野党が法案提出

 11月16日に野党4党(共産、立民、国民、社民)は、衆院に低所得ひとり親世帯緊急支援法案を共同提出。低所得のひとり親世帯への臨時特別給付金(1世帯5万円、第2子以降1人につき3万円)の再支給やひとり親世帯以外の子どもがいる低所得世帯などへの給付金の検討を求めています。政府も再支給を検討しています。

雇調金や休業支援金で雇用守る

 Q 「会社から解雇するといわれた」「休めといわれたのに休業手当を払ってもらえない」。どうすれば?

 A 経営危機を理由にした解雇は「整理解雇」と呼ばれ、人員削減の必要性や解雇回避の努力などがなければ認められません。パートなど有期雇用の雇い止めも正当な理由なしに認められません。

 労働者に休業手当を出して雇用を維持する場合は、国から雇用調整助成金が出ます。

 コロナ特例で日額上限が1人あたり1万5000円、中小企業で解雇などを行わない場合は助成率が10割です。これを活用して雇用と賃金を確保することが必要です。厚労省はこの特例措置の期限を来年2月末に延期すると発表しましたが、3月以降は「縮小する」としています(27日)。コロナの「第3波」が深刻化し、多くの企業が先の見通しが立たない中で早々と「縮小」を打ち出すなど許されません。

 休業手当がもらえない場合は、労働者が国に対して「休業支援金・給付金」を申請できます。賃金の8割まで補償します。しかし、対象が限定されていることもあって、いまだ予算の8%しか支給されていません。

 申請にあたっては、企業が休業指示を認めない場合でも、「週〇日勤務」など勤務日が記載された「労働条件通知書」やシフト表、月4日以上の勤務を6カ月以上確認できる給与明細などがあれば支給決定されます。

 ただし、大企業で働く労働者(非正規雇用を含む)は支援金の対象外となっており、すべての労働者が救済されるよう改善が必要です。

消費税5%減税と納税免除 必要

 Q 今年は消費税が猶予になったが、来年2年分は払えない。

 A 消費税を緊急に5%に減税することは、いま一番困っている所得の少ない人、中小業者にとって一番効果的な支援策です。

 もともと中小・零細業者にとって、10%の消費税増税は大打撃で、赤字でも納税せざるを得ません。

 経済協力開発機構(OECD)のグリア事務総長も、コロナ危機に対応するための緊急政策のなかに「一時的な付加価値税の減税または猶予」を挙げています。

 海外ではイギリス、ドイツ、オーストリアをはじめ37カ国が消費税(世界では付加価値税と呼ばれることが多い)の減税に踏み切っています(図)。ドイツは標準税率を3%、食料品など軽減税率を2%引き下げました。

 また、19年度と20年度分の消費税納税分を免除することは、苦境にあえぐ中小業者を救済するうえで欠かせません。コロナ禍で多くの中小業者は納税にあえいでいます。納税猶予の特例で消費税は約4800億円猶予されましたが、今のままでは来年の確定申告で2年分の納税が求められます。これを放置すれば倒産、廃業に追い込まれてしまいます。

 「第3波」が中小業者を襲っているもとで、消費税の納税の免除は、営業と暮らし、日本経済を守るためにも必要です。

図
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マリアナ海溝での調査任務を完了した中国の科学調査船「探索1号」が汽笛を鳴らしながら、海南省三亜市の南山港に着岸した。

2020-11-28 | 中国をしらなければ世界はわからない

水深1万909メートルへの潜水

成功した「奮闘者」が凱旋 中国

 

人民網日本語版 2020年11月28日13:46
 

11月28日午前8時半ごろ、マリアナ海溝での調査任務を完了した中国の科学調査船「探索1号」が汽笛を鳴らしながら、海南省三亜市の南山港に着岸した。新華網アプリが報じた。

「探索1号」の載せられていた有人潜水船「奮闘者」号は11月10日、マリアナ海溝で1万909メートルの潜水に成功した。「探索1号」の帰還は、「奮闘者」の凱旋となった。(編集KN)

「人民網日本語版」2020年11月28日

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 天弓2は航空機迎撃用の「天弓」を弾道ミサイル迎撃用に性能を改良したものだ。コールドローンチ方式で発射され、能動誘導レーダー方式で弾道ミサイルを見つけ、直撃破壊する。

2020-11-28 | 戦争だけはやめてほしい
 

韓国防衛事業庁、韓国型パトリオット「天弓2」の引き渡しを開始

登録:2020-11-27 09:20 修正:2020-11-27 10:29
 
天弓2は交戦統制所とレーダー、発射台で構成されている=防衛事業庁提供//ハンギョレ新聞社

 北朝鮮の弾道ミサイルを迎撃する誘導兵器「天弓(チョングン)2」が最近、韓国軍に引き渡された。

 天弓2は「韓国型ミサイル防御」(KAMD)の中核的な構成要素で、北朝鮮の弾道ミサイルが飛んでくると高度10~20キロメートルの高さで迎撃する迎撃ミサイルだ。パトリオットミサイルと共に韓国型ミサイル防御の低層防御を担う。軍当局は高層防御のために、長距離空対地ミサイル(L-SAM)を2020年代半ばの完了を目標に開発している。

 
天弓2がコールドローンチ方式で打ち上げられる様子=防衛事業庁提供//ハンギョレ新聞社

 防衛事業庁の発表によると、天弓2は2012年から国防科学研究所(ADD)の主管で開発され、様々な試験発射で100%の命中率を記録し、2017年6月に戦闘用適合判定を受けたという。2018年に量産に着手し、今回初めて砲台物量を軍に引き渡すことになった。

 天弓2は航空機迎撃用の「天弓」を弾道ミサイル迎撃用に性能を改良したものだ。コールドローンチ方式で発射され、能動誘導レーダー方式で弾道ミサイルを見つけ、直撃破壊する。

 天弓2は、弾道弾迎撃のための交戦統制技術と多機能レーダーの弾道弾追跡技術が適用され、誘導弾には速やかな反応時間の確保のために前方翼操縦型の形状設計や制御技術、連続推力型の側推力など、世界最高水準の技術が適用されたと、防衛事業庁は説明した。

パク・ビョンス先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr)
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「赤旗」には、「政権による税金の私物化」ととらえる視点があった、「だからアンテナに引っかかった」と書いています。

2020-11-27 | なんでこんなあほなことが

「赤旗」に改めて注目 「桜」疑惑再燃

スクープ連発なぜ?

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(写真)「毎日」デジタル版21日付で報じた「赤旗」日曜版山本編集長のインタビュー

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(写真)安倍政権の「桜を見る会」私物化を報じる「しんぶん赤旗」日曜版

 安倍晋三前首相側が「桜を見る会」の前夜祭の費用の一部を負担していた疑惑が浮上、安倍氏の国会での虚偽答弁が大問題になっています。そのなかで、「桜を見る会」をめぐる疑惑を最初にスクープ、その後も政権を直撃するスクープを連発する「しんぶん赤旗」が改めて注目されています。

私物化の視点

 沖縄タイムス25日付のコラム「大弦小弦」は、「赤旗」日曜版の「桜」スクープについて、「大手メディアは『年中行事だから』と深掘りせず、見過ごした。『政権と対峙(たいじ)する野党の機関紙だから報じた』で片付けてはいけない構造が、そこにある」と指摘。「ポイントは視点をどこに置くかです」という山本豊彦「赤旗」日曜版編集長のコメントも引いて、「赤旗」には、「政権による税金の私物化」ととらえる視点があった、「だからアンテナに引っかかった」と書いています。

 日本学術会議の人事介入も「赤旗」のスクープでした。コラム子は、「発端は任命を拒否された教授によるSNSの投稿。全国の記者が誰でも見られる情報だった」が、「(大手紙は)視点の違いで見逃している。『これはおかしい』という市民目線の直感を磨く。私たちにも問われる」と結んでいます。

 毎日新聞デジタル版「見る探る」では、「赤旗はなぜ桜を見る会をスクープできたのか 見逃し続けた自戒を込めて、編集長に聞いてみた」と題した、山本編集長へのインタビュー記事が21日付で掲載されました。

「自戒」と決意

 政権を握っているから仕方ないと見るか、行政の私物化と見るか、視点が大事―「それによって、見える景色が180度違ってくる」と強調する山本氏の発言を受けて、記者は「春の恒例行事として、無邪気に桜を見る会を報じた身としては耳が痛い。そうした報道が、政権による公金の私物化に加担してきた面は否めないだろう」と自戒しつつ「残された疑惑の解明を粘り強く続けていかねばならない」と決意を語っています。

 日曜版29日号には、尾池和夫・元京都大総長が登場し学術会議の任命拒否をきびしく批判しました。第2次安倍政権下では内閣府有識者会議座長をつとめ、学術会議の政府からの独立を重視する報告書をまとめていました。尾池氏はこう語っています。

 「任命拒否をいち早く報じた『赤旗』(10月1日付)は見事でした。私はこの問題でまだ、ほかのメディアの記者と会っていません。でも、『赤旗』の取材なら仕方がないと応じました。ここで頑張ってもらわなければ困るからです」

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飲食代の差額を後援会側が負担していたとみられ、そうだとすれば公職選挙法違反にあたります。後援会が政治資金収支報告書に記載していなかったのも政治資金規正法違反です。

2020-11-25 | 市民のくらしのなかで

                       桜は別の場所で撮ったものです。

しんぶん赤旗主張

「桜」前夜祭疑惑

安倍前首相は国民に真相語れ

 政府主催の「桜を見る会」に安倍晋三首相(当時)が地元・山口県の後援会員らを大量に招待し、その前日に都内の高級ホテルで開いていた「前夜祭」に関して、東京地検特捜部が安倍氏の公設第1秘書らから事情聴取したことが明らかになりました。ホテル側に支払われた総額が参加者から徴収した会費総額を上回り、安倍氏側が過去数年間で数百万円もの差額を補てんした可能性があるといわれています。これまでの安倍氏の説明と全く食い違います。国会で真相を語るべきです。

数年間で数百万円補てん

 前夜祭は、「桜を見る会」と一体で、2013年から19年にかけて、「安倍晋三後援会」の主催で都内の高級ホテルで開かれました。安倍氏側は、前夜祭の費用はホテル側が参加者1人5000円と設定したもので、安倍事務所はホテルと参加者の契約を仲介しただけだなどと国会で主張し続けました。

 1人最低1万1000円程度と推定される飲食代の差額を後援会側が負担していたとみられ、そうだとすれば公職選挙法違反にあたります。後援会が政治資金収支報告書に記載していなかったのも政治資金規正法違反です。5月に弁護士らがこれらの問題を東京地検に告発していました。

 後援会の責任者でもある安倍氏の公設秘書らを事情聴取した特捜部は、ホテル側が発行していた明細書や領収書の存在も把握しているとされます。安倍氏は、明細書などについて、「ホテル側からの発行はなかった」とも言い張ってきました。特捜部の事情聴取で、安倍氏が国会で虚偽の説明をしていた疑いはいよいよ濃厚です。

 もともと安倍氏らは、政府主催の「桜を見る会」に多くの支持者などを招待し、税金を使って飲ませ食わせしており、公職選挙法違反の買収にあたる疑いが強いものです。安倍政権の間に、招待者は急増し、費用も膨らみ続けてきました。

 「しんぶん赤旗」日曜版の昨年10月のスクープと日本共産党の田村智子参院議員の同11月の国会質問で表面化したこの問題は、その後、招待者名簿などの公文書が廃棄されていたことや、招待者の中にはマルチ商法で多くの被害者を出した会長が「首相枠」で招かれていたことが明らかになり、国会やマスメディアでも再三追及されてきました。

 安倍氏は一貫して、招待者名簿は廃棄したことなどを理由に、解明に背を向けてきました。有権者に対する買収は、票をカネで買う許されないもので、河井克行元法相夫妻の大規模買収事件とも共通です。首相を辞めたからといって、説明責任を果たさず、逃げ回ることは許されません。

与党は国会招致に応じよ

 安倍政権で官房長官だった菅義偉首相も、「桜を見る会」問題での真相解明に応じてきませんでした。菅首相は就任後、「桜を見る会」の中止を表明しましたが、疑惑については終わったものという姿勢です。「中止」で疑惑に幕引きしようというのは言語道断です。

 菅首相は、安倍氏に説明責任を果たさせるべきです。安倍前政権下で相次いだ「森友」「加計」などの疑惑も解明が尽くされていません。疑惑は絶対にあいまいにはできません。与党は安倍氏の国会招致に応じるべきです。

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当神社の領内で乱暴や放火、軍用金や兵糧米を徴収することを軍勢に禁じた禁制です。乱の直後に神社が光秀に銭を贈った記録もあり、当時の緊迫した様子が伝わります

2020-11-24 | 東アジアの文化と歴史を学ぶ会

    しんぶん赤旗、 きょうの潮流

      

 鴨川のほとりで古都の歴史を刻んできた上賀茂(かみがも)神社。そこである戦国武将の書状が特別公開されています。達筆で均整がとれた文体からはイメージと異なる姿が浮かんできます

▼織田信長を討った5日後に出したとされる明智光秀の文書。当神社の領内で乱暴や放火、軍用金や兵糧米を徴収することを軍勢に禁じた禁制です。乱の直後に神社が光秀に銭を贈った記録もあり、当時の緊迫した様子が伝わります

▼今年の大河ドラマの主人公でもある光秀。これまで謀反人や逆賊といった悪者の印象が強かったですが、研究がすすみ見直されています。教養高く医学にも通じ、足利将軍家に重用された。礼儀正しく部下思い、領民からの評判も上々。そんな人物像がみえてきました

▼光秀といえば日本史最大の謎の一つとされる本能寺の変です。怨恨(えんこん)や野望、単独や黒幕、信長の暴走阻止や四国問題…。さまざまな説がとりあげられてきましたが、どれも決め手を欠き、いくつもの動機が重なったと説く史家も

▼戦国の時代は英雄扱いされてきた信長、秀吉、家康の天下取りを中心に描かれてきました。しかしその周りの人々や民との関係にも視野をひろげ、何を導き出すか。歴史の大事な検証でしょう

▼光秀を特集した雑誌『現代思想』の対談のなかでドラマの時代考証を務めた小和田哲男さんが語っていました。「歴史は鏡。そこに過去を映して未来を照らす。未来のために過去がある。その過去を明らかにせずに未来の指針をつくることはできない」

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人生のすべての空間を白く覆ったマスク。参加した写真家たちは「いつ終わるか分からないこの諸場面が、2020年の日常で終わることを切に願いながら、この作業を世に残した」

2020-11-24 | コロナから命を守るために

[フォト]マスク人類、今や顔すら失ってしまうのか

登録:2020-11-23 05:10 修正:2020-11-23 09:38
 
「COVID19-マスク」写真展 
 
誰もいない教室で子どもたちを待つ教師 
療養所の外から母を見つめる娘 
写真家が切り取った「コロナの日常」
 
 
10月4日、京畿道坡州市。社会的距離措置レベル2が適用されていた時期の妻と夫。白いマスクで不安と不便さを、黒い闇で社会的距離を表現した=ペク・ホンギ//ハンギョレ新聞社

新型コロナウイルスは、我々の日常をマスク無しでは生きられないようにしてしまった。誰もが初めて経験するその日常を、40人あまりの写真家が記録した。都市と農村、家と学校、病院と葬列など、人生のすべての空間を白く覆ったマスク。参加した写真家たちは「いつ終わるか分からないこの諸場面が、2020年の日常で終わることを切に願いながら、この作業を世に残した」と語る。

 「今日からコロナのために家族の立ち入りを禁止します」

 療養所のガラス越しに何とか手を振ってくれた母、涙が流れて歯がゆかった。…散歩に出てきた子どもに会った。マスクをしてよちよち歩きする子どもの姿は可愛かったが、すぐに悲しくなった。すまない気持ちになった。

 …久しぶりに学校に子どもたちがやって来た。見違えるようだった。…新しい学年になって数カ月しての初登校。間隔をあけて座らなければならず、体温をチェックした。コロナで変わってしまった学校。

 
 
8月1日、京畿道一山のフゴク聖堂。教会のミサにやって来る人は普段の4分の1にも満たなかった。ミサの前に目を閉じて祈る姿が美しかった=カン・ヨンシル//ハンギョレ新聞社

 …マスクの不便さは、コロナが我々に与えた最も軽い刑罰なのかもしれない。…マスクは兜で、防護服は鎧だった。彼らは現代戦の最前線に立つ戦士のようだった。…コロナウイルスの最前線へと向かう。警戒心と恐怖に向き合う。…映画などで見たようなシーンだった。人類は今や顔すら失ってしまうのだろうか。…目に見えないウイルスが全地球を脅かし、誰もがマスクの後ろで息を殺す。…どれも白い顔だ。それでもお互いが誰か分かる。本当に不思議な経験だ。

 
 
9月10日、世界自殺予防デーの「人への愛、命への愛、夜道を歩く」。二重に顔を隠した姿が戦場へと向かう将のように悲壮に見える=キム・ヘリ//ハンギョレ新聞社

 …アップカミング・ファッション(Upcoming fashion)。マスクがなければ、ドアの外に出ることすらできない世の中。…命のフィルターを着ける。今日殺した私の息があなたの命となるように。 …もどかしいけれど、これもまた過ぎ去るだろうから。…人と人との境界から相変わらず温情はにじみ出る。

 …コロナで見舞いにも行けぬまま、友は天国へと引っ越した。…数日前、知人の急逝の知らせを受けた。コロナによる死だった。ひとり隔離された病室で死闘を繰り広げ、どれほど恐ろしかったろうか。家族も最期を看取ることはできなかった。彼女に最後の挨拶をする。…済州4・3抗争の現場の椿の下でセウォル号の傘を持ち、脱原発リュックを背負い黄色いリボンのマスクをつけた人は、他人に映し出された自分。

 
 
2020年11月13日、京畿道楊平。コロナ禍中に秋の収穫を終えた老夫婦の三輪車での外出。マスクが不便で寒くもなったが、どんな自家用車もうらやましくはないだろう=カン・ジェフン//ハンギョレ新聞社
 
 
10月13日、京畿道一山の5日市。市場で売り物の手入れをする合間を縫って、お婆さんたちはマスクを持ち上げて一息ついた=キム・グァンジュ//ハンギョレ新聞社

 …単にMERSみたいなものだろうと、特に疑うこともなく受け取っていた。しかし10カ月が過ぎてさらに驚愕するのは、いまだにいつ終わるか分からないという恐怖感だ。…地球が発する警告を無視した対価がこんなにも大きいとは。…招かれざる客! うまく避ければ済むだろうと思っていた新型コロナ。緊急災害警報を伝えるショートメッセージは止まらない。不吉だ!…過ぎ去った日常こそ、最も大いなる祝福であったことを思い知らされた2020年。日常生活深くへと浸透し、私たちのあらゆる行動を制止しているコロナ禍、恐ろしい。もっと頑張って耐えよう。

 
 
10月3日、ソウル大。ソウル大学で博士課程在学中のバングラデシュ人カルジャマンの家族。常にマスクをつけることが日常となった最近、一生ヒジャブをかぶらなければならないイスラム女性の心を推し量ってみる=パク・テソン//ハンギョレ新聞社
 
 
7月4日、慶尚北道栄州の紹修書院。韓国の書院のユネスコ世界遺産登録1周年を迎え、紹修書院で捧げられた「祭祀」。空色の礼服を着、黒笠をかぶった士人たちもマスクをしている=シム・ヤンジン//ハンギョレ新聞社

 これらは、「フォトチョン」(カン・ジェフン写真学校出身の写真家集団)の2020年の写真展「COVID19-マスク」の参加者たちの作業後記だ。文と写真をつなぐテーマは「マスク」。誰もいない学校で子どもたちを待つ教師、療養所でガラス越しに母親に手を振る娘、ボランティアをする活動家、休校中の高校生、選別診療所に取材に来た写真記者など、様々な職業、様々な年代の写真家たちが、コロナウイルス・パンデミックに直面する市民や防疫に努める人々の日常を記録した。これらの写真は、24日から30日までソウル鍾路区貫勲洞(チョンノグ・クァンフンドン)の耕仁美術館で展示される。

カン・ジェフン|写真家 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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学術会議は1949年、科学者が戦争に動員された戦前の反省の上に、憲法がうたう「学問の自由」を確保し、人類の平和のために努力することを宣言して発足しました。

2020-11-23 | 反共は、暴走政治の助け舟

主張 しんぶん赤旗

「軍民両用」強要

日本学術会議の原点を壊すな

 井上信治科学技術担当相が参院内閣委員会(17日)で、日本学術会議に対して、研究成果が民生にも軍事にも使われる「デュアル・ユース」(軍民両用)について検討を求めていることを明らかにしました。自民党幹部も同様の発言を繰り返しています。これは、学術会議への軍事研究の押し付けであり、学術会議の在り方を真正面から否定するものです。

戦争協力の反省が出発点

 学術会議は1949年、科学者が戦争に動員された戦前の反省の上に、憲法がうたう「学問の自由」を確保し、人類の平和のために努力することを宣言して発足しました。翌50年に「戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わない」旨の声明を、67年にも同様の声明を出しています。その背景には戦争協力への痛苦の反省と、再び同じ過ちが生じることへの懸念がありました。ここに学術会議の原点があります。

 これを揺るがす事態が安倍晋三前政権のもとで持ち込まれました。防衛省がデュアル・ユース技術の積極的活用のために2015年度に創設した安全保障技術研究推進制度です。

 各大学と学術会議は、この制度に応募するかどうかが問われるようになりました。学術会議は1年にわたる検討を経て、軍事的安全保障研究が「学問の自由及び学術の健全な発展と緊張関係にあること」を確認して、過去の2回の声明を「継承」する新しい声明を17年に採択しました。

 声明は、「軍民両用」に関しては「研究成果は、時に科学者の意図を離れて軍事目的に転用され、攻撃的な目的のためにも使用されうる」として、「研究資金の出所」について「慎重な判断が求められる」としました。そして、大学等の研究機関に対して、軍事研究と見なされる研究について審査する制度の設置を求めました。

 防衛省の推進制度については、「将来の装備開発につなげるという明確な目的に沿って」いるとして、その目的が兵器開発にあることを見極め「政府による研究への介入が著しく、問題が多い」と厳しく指摘しました。

 同制度への大学の応募は、15年度は58件にのぼりましたが、一貫して減少し、20年度は8件にとどまっています。防衛省は17年度に予算を6億円から110億円へと18倍化して、札束で学術界の切り崩しを図ろうとしましたが、思い通りになりませんでした。

 自民党などは、学術会議が「学問の自由」を奪っていると攻撃していますが、各大学の見識にもとづいた判断を侮蔑するものです。

 井上担当相の答弁によって、菅政権と自民党の狙いは、学術会議を変質させ、科学者を軍事研究に動員する体制づくりにあることが浮き彫りになりました。これは、二度と戦争の惨禍を繰り返さないと誓って制定された憲法9条を変え、日本を「戦争する国」につくりかえようとする動きと軌を一にするものに他なりません。

任命拒否を撤回させよう

 違法違憲の任命拒否という暴挙を、学術会議の在り方に問題をすりかえ、軍事研究を押し付ける卑劣な企てを許してはなりません。

 任命拒否を撤回させ、「学問の自由」と人類の平和に努力する学術会議の原点を守ることは国民的な課題です。

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政府の法案に反対したから外したのかとの質問に「あり得ない」と答えました。  一方で、総務相の時に総務省課長を更迭した理由を「政策に反対したから」と著書や答弁でのべています。

2020-11-22 | 岸田総理の憲法違反がはじまった。

学術会議問題 菅首相答弁ファクトチェック

(任命拒否が)政府の法案に反対したから

ということはあり得ない

「政策に反対」課長更迭

 任命拒否された6人の研究者は秘密保護法、辺野古基地建設、共謀罪、安保法制などに反対の姿勢を明らかにしていました。菅首相は2日の衆院予算委員会で、政府の法案に反対したから外したのかとの質問に「あり得ない」と答えました。

 一方で、総務相の時に総務省課長を更迭した理由を「政策に反対したから」と著書や答弁でのべています。

 6人の任命拒否については「通常の公務員の任命と同様に理由について答えを差し控える」といいながら、公務員である課長の人事の理由を自慢げに語るのは矛盾しています。

 「共同」は8日の配信記事で、首相官邸が「政府方針への反対運動を先導する事態を懸念し、任命を見送る判断をしていた」ことを「複数の政府関係者が明らかにした」と報じました。

 推薦名簿の決裁をめぐって首相は、学術会議が提出した105人の名簿から6人を除外することについて杉田和博官房副長官から説明されたと4日の衆院予算委で答弁しています。事実はどうなのか、除外の理由についてどう説明したのか―。任命拒否にかかわったとみられる杉田副長官の国会出席が求められます。

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中国は新たな発展構造を積極的に構築し、対外開放を堅持し、世界各国とともに互恵・ウィンウィンを実現し、アジア太平洋地域と世界のより素晴らしい未来をともに創造していく、と強調した。

2020-11-22 | 中国をしらなければ世界はわからない

習近平国家主席「アジア太平洋と世界のより素晴らしい未来を共に創り、共に分かち合う」

人民網日本語版 2020年11月20日11:03
 
習近平国家主席「アジア太平洋と世界のより素晴らしい未来を共に創り、共に分かち合う」
 
 
 習近平国家主席は19日、北京においてテレビ会議方式でアジア太平洋経済協力(APEC)CEO対話会に出席し、「新発展構造を構築し、互恵・ウィンウィンを実現する」と題する基調演説を行った。習主席は演説の中で、「世界は不可分の運命共同体であり、防疫国際協力を全面的に深化し、世界経済の回復を促進するべきだ。中国は新たな発展構造を積極的に構築し、対外開放を堅持し、世界各国とともに互恵・ウィンウィンを実現し、アジア太平洋地域と世界のより素晴らしい未来をともに創造していく」と強調した。新華社が伝えた。

習主席は、「中国はすでに世界経済や国際体系と深く融合している。中国が新たな発展構造を構築するのは、閉鎖された国内の単一的な循環では決してなく、オープンで相互に促進し合う国内と世界の2つの循環だ」と指摘。さらに次のように述べた。

▼新たな発展構造の下では、中国市場のポテンシャルが十分に発揮され、世界各国のためにより多くの需要を生むだろう。我々は関税と制度的コストをさらに引き下げ、複数の輸入貿易促進革新モデルエリアを育成し、各国の質の高い製品とサービスの輸入を拡大していく。

▼新たな発展構造の下では、中国の開放の扉はさらに開かれ、世界各国とともに発展のチャンスを共有することになるだろう。中国は貿易と投資の自由化・円滑化を引き続き促進し、外商投資参入前国民待遇とネガティブリスト管理制度を整備し、法に基づいて外資企業の合法的権利・利益を保護し、サービス業の対外開放を順次拡大し、市場化され、法治化され、国際化されたビジネス環境を引き続き創出する。また、自由貿易試験区により大きな改革自主権を与え、多国間貿易体制を引き続き揺ぎなく支持し、グローバルな経済ガバナンス体系改革により積極的に参加する。

▼新たな発展構造の下では、中国の対外協力は絶え間なく深化し、世界各国とともに互恵・ウィンウィンを実現していく。我々はより積極的に国際分業に参加し、より効果的に世界の産業チェーン、サプライチェーン、バリューチェーンとの融合を進めていく。中国との協力を望む国、地域、企業であれば、我々はそのいずれとも積極的に協力を展開する。我々は多国間主義と「共に話し合い、共に建設し、共に分かち合う」原則を引き続き堅持し、質の高い「一帯一路」(the Belt and Road)共同構築を推進し、環境に配慮したグリーンな発展協力を強化していく。(編集AK)

「人民網日本語版」2020年11月20日

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被害者側の法律代理人は、強制動員記録を確認するため住石ホールディングスが保管している死傷者の現状や厚生年金(労災保険)の記録などの文書提出命令を申し立てた。

2020-11-21 | 東アジアの文化と歴史を学ぶ会

三菱重工業に続き住石ホールディングスも

強制動員に関する資料提出を拒否

登録:2020-11-20 08:34 修正:2020-11-20 12:39
 
光州での強制動員損害賠償公判
 
 
1月14日、「光州・全羅南道強制動員被害者による戦犯企業への第2次集団訴訟提起」記者会見で、被害者と遺族たちが日本の謝罪を求めている=ハンギョレ資料写真//ハンギョレ新聞社

 日本の三菱重工業に続き、もう一つの戦犯企業である住石ホールディングス(元住友石炭鉱業)も法廷で強制動員に関する資料提出を拒否し、被害者の指弾を受けた。

 19日、光州(クァンジュ)地裁民事14部(イ・ギリ裁判長)は203号法廷で、強制動員被害者8人が住石ホールディングスを相手取って起こした損害賠償訴訟の2回目の弁論期日を行った。

 この日、被害者側の法律代理人は、強制動員記録を確認するため住石ホールディングスが保管している死傷者の現状や厚生年金(労災保険)の記録などの文書提出命令を申し立てた。

 裁判所は認容したが、被告側は直ちに光州高裁に抗告した。住石ホールディングス側の法律代理人は、住友石炭鉱業と住石ホールディングスは他社であり、関連記録も持っていないと主張した。

 これに先立ち三菱重工業も12日、同法廷で開かれた損害賠償訴訟で資料提出命令を受けたが、「過去と現在の三菱重工業は異なり、関連書類を保管していない」と抗告した。

三菱重工業の次の裁判は来年1月14日、住石ホールディングスは1月28日に行われる予定だ。

 一方、光州・全羅南道の強制動員被害者遺族89人は、昨年4月と今年1月の2回にわたって戦犯企業13社を相手取り訴訟を起こした。

キム・ヨンヒ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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小豆川助教は「海だけでなく、地下水の監視も強化すべきだ」とし「事故や災害があった場合に高濃度の水が敷地外の地下にも漏れ出す可能性があることを示したものだ」と話した。

2020-11-20 | 原発やめろ!

「福島原発の外でも自然界より高濃度のトリチウム検出」

登録:2020-11-18 02:08 修正:2020-11-18 07:18
 
敷地の外で確認されたのは初 
日本の研究チーム、2013年から6年にわたり分析
 
福島第一原発の汚染水タンク/聯合ニュース

 2011年3月の東日本大震災で原子炉の爆発事故が起きた福島第一原発周辺の地下水から、自然界に存在するレベル以上のトリチウム(三重水素)が検出された。毎日新聞が17日に報じた。トリチウムは福島第一原発から排出される汚染水に含まれる放射性物質の一つで、敷地外の地下水から持続的に自然水準以上のトリチウムが確認されたのは今回が初めて。

 東京大学の小豆川勝見助教(環境分析学)らで構成された研究チームは、2013年12月から昨年12月までの6年にわたって福島原発周辺の10カ所の地下水を採取し、分析した。その結果、原発の敷地から南に10メートル、300メートル離れた2カ所から、トリチウムが自然に存在するレベルを大きく上回るリットル当たり平均約20ベクレル(放射性物質の1秒当たりの崩壊回数を表す単位)が検出された。この値は日本政府の排出基準値(1リットル当たり6万ベクレル)を大きく下回っているが、雨水など自然界では1ベクレル程度のため、無視できない数値だ。

 研究チームは「トリチウムの発生源は福島第一原発しか考えられない」とし「爆発事故初期に原子炉建屋から漏れた汚染水が地下に拡散したか、2013~2014年の汚染水貯蔵タンクの水漏れ事故の際に漏れたと推定している」と説明した。小豆川助教は「海だけでなく、地下水の監視も強化すべきだ」とし「事故や災害があった場合に高濃度の水が敷地外の地下にも漏れ出す可能性があることを示したものだ」と話した。この論文は英国の科学ジャーナル「サイエンティフィック・リポーツ(電子版)」に掲載された。

 日本政府は福島第一原発の敷地内のタンクに保管中の汚染水を「多核種除去設備(ALPS)」で浄化処理した後、海に放出するという方策を推進してきた。日本政府は、「ALPS処理を経れば、水と似た性質のために現存する技術では除去できないトリチウムだけが残る」と主張し、汚染水の海洋放出方針を先月27日に公式に決定しようとしたが、地元の漁業従事者らが反対し、決定を延期している。

キム・ソヨン記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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首相就任直後に加藤勝信官房長官、杉田和博官房副長官に学術会議への懸念を伝え9月22日か23日に菅首相自身が6人を外すことを「判断」したといいます。

2020-11-19 | 反共は、暴走政治の助け舟

2020年11月19日(木)

フェイクの果ての「赤旗」攻撃

菅官邸を擁護する佐藤優氏の寄稿

 元外務官僚で作家の佐藤優氏が『文芸春秋』(12月号)への特別寄稿で、菅義偉首相による日本学術会議への人事介入を報じた「しんぶん赤旗」のスクープが、事態を混乱させた原因であるかのように書いています。「文春オンライン」も、「赤旗のスクープで交渉の余地がなくなった」との見出しで紹介記事を載せています。

 その趣旨はこうです。

 ―「赤旗」に出なければ、任命拒否の内示を受けた時点で学術会議の山極寿一会長(当時)がすぐにかけ合えば、「官邸と学術会議の間で交渉の余地はいくらでもあった」。

 ―菅首相や官邸中枢が主導的な役割を果たしたと思えず、“もらい事故”だった。

 ―菅首相には「学問の自由」に介入する意図はなかった。

意図的な“事件”

 事実はどうか。山極氏の会見(10月1日)によると、任命拒否の連絡があったのは9月28日の夜です。会長退任の2日前でした。理由について内閣府に聞くと、返事は「いっさい答えられない」。そこで山極氏は文書で菅首相に返答を求めたものの、任期中に返事がなかったといいます。

 「赤旗」のスクープは10月1日付です。つまり記事が出る前から、山極氏は菅首相に説明を求めていたのに、官邸からは返答がなかったのです。官邸はもともと学術会議に「交渉の余地」を与えていなかったといえます。

 官邸中枢が主導的な役割を果たしていないという主張は、菅首相自身の国会答弁とも異なります。この間の答弁によると、首相就任直後に加藤勝信官房長官、杉田和博官房副長官に学術会議への懸念を伝え、9月22日か23日に菅首相自身が6人を外すことを「判断」したといいます。その後、24日に内閣府が決裁案を作成し、28日に首相が決裁しました。

 菅政権は学術会議の推薦に基づき首相が「形式的に」任命するという確定した法解釈をこっそり覆し、任命拒否をしました。専門家からは法治国家を破壊するクーデター的手法と指摘されています。“もらい事故”ではなく、首相が意図的に引き起こした“事件”というべきでしょう。

 佐藤氏を知るメディア関係者は、「官邸の代弁をしている」といいます。佐藤氏は「赤旗」スクープについても、「官邸からすれば、これは“スクープ”ではなく、“情報漏洩(ろうえい)”」と述べ、情報源が学術会議事務局員だと官邸目線で決めつけています。

 スクープの端緒は、松宮孝明・立命館大学教授が、任命拒否されたと9月29日にフェイスブックで公表したことです。この事実について「赤旗」は隠していませんし、公表もしています。『文芸春秋』と同時期に発売された『世界』(12月号)は、松宮教授が公表していると正確に記しています。

「問題の本質」は

 「赤旗」に佐藤氏から、事実関係について問い合わせはありません。当事者に取材せぬまま、“情報漏洩”と不正に情報を入手したかのように虚偽の内容を書いています。

 根拠を示さず、事実をゆがめて、政権の行為を正当化する―。典型的なフェイクニュースの手法です。学術会議問題では、与党政治家らがネットでデマを流し、あたかも会議側に問題があるかのように“世論誘導”をしています。佐藤氏の寄稿も、それらと同一線上にあります。

 佐藤氏の寄稿は「権力論 日本学術会議問題の本質」と銘打っています。フェイクニュースは「問題の本質」をゆがめます。「問題の本質」は、菅首相が違法違憲の人事介入で「学問の自由」を侵害したことにあるのですから。(社会部長 三浦誠)

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福井仁史日本学術会議事務局長 これまで任命されなかった例がないので、学術会議の内規にはとくにない。

2020-11-18 | 岸田総理の憲法違反がはじまった。

論戦ハイライト

学術会議任命拒否 法趣旨わい曲

参院内閣委 田村議員の質問

 17日の参院内閣委員会で、菅義偉首相が日本学術会議の会員の任命を拒否した問題をめぐり、任命拒否の理由と根拠について追及した日本共産党の田村智子議員。任命拒否は、日本学術会議法の本来の趣旨をわい曲したもので、法治主義を破壊する問題だと主張しました。

田村氏 首相に一任していない

学術会議事務局長 (任命されない時の対応) 内規にない

写真

(写真)質問する田村智子副委員長(右端)=17日、参院内閣委

 田村氏は、政府がこの間、任命拒否が許される場合について「個々の法律ごとの制度に則して、それぞれの解釈に委ねられる」(13日、衆院内閣委員会)と答弁していることを示し、日本学術会議法に定める会議の独立性にてらして、任命拒否が可能な場合を質問しました。

「形式的任命」

 近藤正春法制局長官 任命権者たる内閣総理大臣が国民に対する責任において具体的に判断すべき人事に関する事柄だ。事柄の性質上、明確に答えることは困難だ。

 田村 それでは首相に一任するようなものだ。

 田村氏は、1969年に高辻正己法制局長官(当時)が国立大学学長の任命拒否について「明らかに法の定める大学の目的に照らして不適当と認められる」場合と答弁し、九州大学の学長任命をめぐる裁判(九大・井上事件)では「申出が明らかに違法無効と客観的に認められる場合」と判示もされていることを指摘。その考えが示された後、83年に中曽根康弘首相(当時)が日本学術会議法の審議で「形式的任命」と答弁していると述べ、これらは「首相一任ではない」と主張しました。

 田村氏は改めて、任命がどういう場合に「国民に責任が負えない場合」となるか答弁を求めました。

 加藤勝信官房長官 会議の設置目的、および職務などに照らし、任命権者において個別に判断するべき事項だ。人事に関する事柄で、示すことは難しい。

 田村 とんでもない。どういう場合に国民に責任を負えないか、何一つ言えない。

 加藤氏の答弁は、首相に全権を委任する驚くべき答弁です。

一貫した考え方

 田村氏は「(学術会議に)推薦された方々を必ず任命しなければならないわけではない」という解釈が83年の学術会議法改定以後の一貫した考え方だというのであれば、任命されなかった場合の対応について、日本学術会議法、会則、内規ではどう定めているかを質問しました。

 福井仁史日本学術会議事務局長 これまで任命されなかった例がないので、学術会議の内規にはとくにない。

 田村 “一貫した考え方”なのに、対応策もない。首相の任命は形式的であり、推薦されたものは拒否をしない。これが一貫した法解釈だからだ。

 田村氏は、6人を任命することがどうして国民に責任を負えないことになるのか、明らかな理由を国民と国会に示すべきだと主張しました。

 田村氏は、中曽根元首相は明確に「学問の自由」の保障、学術会議の独立性の保障の観点から「形式的任命」と答弁していると指摘。同答弁について、加藤氏が「40年前だから、趣旨を把握するのは難しい」と述べたことを批判しました。

 田村 政権によってコロコロと法の解釈が変わる。過去の国会の答弁を軽んずる。無視をする。都合の悪いものは趣旨がわからないという。民主主義にかかわる問題です。学術会議だけの問題ではない。

 田村氏は、任命拒否は法治主義の破壊だと主張し、任命拒否の撤回を求めました。

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