世界は今、気候変動を猛勉強中…
気候危機「学んでこそ生きる」手遅れになる前に
登録:2020-06-29 06:23 修正:2020-06-29 06:30
2018年、中高で8.4%だけが「環境」を採択
しかも、専門教師はわずか21%
ソウルなどの教育庁、実効性強化に乗り出す
専門家「内申・修能に含めなければ」
イタリア「年33時間」義務化
メキシコ・英国・米国…法制化相次ぐ
環境サークルの支援・巡回教師の導入など
政府も「環境教育振興法」改正を推進
青少年気候訴訟団などの青少年たちが昨年5月24日午後、ソウル世宗路の世宗文化会館前で「524青少年気候行動」集会を開き、節約の問題だけで気候変動を語る教育システムを批判し、政府に気候変動に対する適切な対応を促している=キム・ジョンヒョ記者//ハンギョレ新聞社
「既存の環境教育より、はるかに果敢で根本的な変化が必要だ」
18日、ソウル市のチョ・ヒヨン教育監は『生態転換教育の中長期発展計画』(2020~2024)を発表し、このように述べた。迫りくる「気候危機」時代に学生たちが、この問題を正しく知り、解決方法を探り、実践する市民に成長することができるよう、ソウル地域の学校の教育課程を変えるということが今回の「転換」の中心だ。具体的には、環境を含め、人権、貧困、多文化、平和、青年などの「汎教科学習テーマ」の授業時間を別に指定したり、有名無実となった環境科目の教育が十分に行われるようにしようという提案だ。
イ・ジェヨン国家環境教育センター長(公州大学教授)は「政治・経済・歴史など全領域が結びつく気候危機問題は、既存の授業方式では補うことができない」とし、「国英数など主要科目の授業時間を減らし、内申や修能(大学共通の入学試験)の評価に気候変動を始めとする環境問題が含まれなければならない」と強調した。ソウル市教育庁が、学校に太陽エネルギーを用いる発電所を作って直接電力を生産し、肉食中心の現在の給食に菜食の選択権を取り入れる変化を推進すると明らかにしたことも、このような教育方針と無関係ではない。
これまでの環境教育は事実上、有名無実だった。「環境」科目は1992年、第6次教育課程改編時に新設され、選択科目になったが、2018年時点で中・高校(5591校)の8.4%(470校)のみが選択するのに留まっている。しかも、他科目の専攻教師が教える割合は79%だった。しかし2月、慶尚南道教育庁が「全国市道教育監環境教育非常宣言」を主導し、釜山(プサン)教育庁・忠清南道教育庁が昨年、「環境教育都市」を宣言するなど、環境教育を強化する動きは全国に広がっている。
先月22日「社会関係長官会議」での教育部報告資料の一部//ハンギョレ新聞社
このような流れは世界的な現象だ。イタリアは世界で初めて、今年下半期から公立の小中高校に通う全学年に年間33時間の気候変動の授業を義務化するよう、昨年、法律を改正した。メキシコ政府は昨年初めに憲法を改正し、教育基本権に自然に対する理解と尊重を加え、教育省と環境省が共同で気候変動の教育義務化を盛り込んだ新法を準備中だ。英国の一部の州では、すべての学校に気候教育の教師の配置を義務化することを推進中だ。フィリピンは昨年5月、「環境のための卒業遺産法」を作り、大学を卒業するまでに10本以上の木を植えることを義務化した。米国でもミシガン州のデービー・ディンゲル民主党下院議員が昨年2月、「気候変動教育法」を発議した。米国海洋大気庁(NOAA)に責任と権限を付与し、学校、民間、専門家が対象のオーダーメード型教育を推進するよう毎年200億ウォン(約18億円)の予算を配分するという内容だ。
外国での「気候変動教育」の流れ//ハンギョレ新聞社
世界的な変化は、スウェーデンの17歳の環境活動家グレタ・トゥーンベリさんなど気候危機時代に直接向き合わなければならない未来世代の強力な要求があったために可能だった。韓国でも「欠席デモ」を導いた「青少年気候行動」が昨年5月にチョ教育監に会い、気候危機問題の深刻性を伝え、これを教育課程に加えるよう要求した結果、ソウル市教育庁が動いた。これらの世代が感じる怒りと絶望感・不安感などを乗り越えるためには、教育から改革しなければならないという叫びに、既成世代が応じたのだ。国家環境教育センターが3月、全国18歳以上の成人男女1033人を対象にオンラインアンケート調査を行った結果、43.8%(452人)が「未来世代に悪い環境を譲り、申し訳ない」と答えた。「申し訳ない」は、気候危機問題を考える際に感じる感情のなかで、不安感(74.6%)・無力感(43.9%)に続き、3番目に強い感情だった。
また、国内の環境問題が、1990年代「生活環境汚染」(大気汚染・ゴミ・廃水など)→2000年代「生態系破壊」→2010年以後「気候変動・エネルギー転換」と進んできた流れを見ても、既存とは異なる新しい環境教育が必要だという声が強かった。
環境部や教育部などの中央政府も「始動」に取り掛かった。先月22日の第6次社会関係長官会議では、小中高校での実際の授業に活用できるコンテンツの開発、環境サークルの支援、環境巡回教師(1人が2つの学校を回り授業する)の配置、教育大学のなかで環境教育の成果が優秀な大学を環境教育先導大学に指定・支援など、学校教育を強化できる方法などを論議した。環境部はこれらの内容を盛り込んだ「環境教育振興法」改正案を来月の国会に提出する予定だ。
チェ・ウリ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )