大橋みつるの平和ト-ク・・世直しご一緒に!

世界の変化を見ながら世直し提言
朝鮮・韓国・中国・ロシアとの友好促進
日本語版新聞紹介

「北朝鮮の兄弟国」と呼ばれるキューバと韓国が公式に国交を樹立したのは初めて。キューバは中南米国家の中で韓国と唯一国交を結んでいない国だった。

2024-02-16 | キューバの医療は世界水準

[ニュース分析]キューバ、南北と「ツートラック」…

韓国、実利外交を展開するか

登録:2024-02-16 06:40 修正:2024-02-16 13:59

 

韓国とキューバ、電撃的に国交正常化
 
 
                              キューバの国旗=ゲッティイメージバンクより//ハンギョレ新聞社

 韓国とキューバが電撃的に国交を結んだことで、中南米に外交の幅を広げている中、両国の国交正常化が及ぼす効果に関心が集まっている。韓国の大統領室と政府は、両国の国交正常化を韓国外交の宿願であり課題を果たしたとして、北朝鮮が受ける政治的打撃を強調した。しかし多くの専門家は、外交成果であることは明らかだが、北朝鮮に及ぼす実質的な影響は大きくないだろうとの見通しを示した。

 韓国外交部は14日夜、「韓国とキューバは14日(現地時間)、米ニューヨークで両国の駐国連代表部間の外交公簡を交わし、両国間の大使級外交関係の樹立に合意した」と発表した。共産主義国家であり「北朝鮮の兄弟国」と呼ばれるキューバと韓国が公式に国交を樹立したのは初めて。キューバは中南米国家の中で韓国と唯一国交を結んでいない国だった。

 大統領室高官は15日、「(キューバとの国交正常化は)韓国外交の宿願であり課題だった」とし、「キューバは米国から制裁を受けているにもかかわらず、190カ国余りと国交を結んでおり、100カ国以上がハバナに大使館を運営するほど中南米拠点国家の一つだ。第3世界の外交において非常に重要な役割を果たしてきており、現在もそうだ」と述べた。政府は国交正常化を機に、旅行客の増加と交流拡大、経済協力の強化、韓流の拡散にポジティブな効果を上げるものと期待している。

 それとともに政府は「北朝鮮の兄弟国家」と呼ばれるキューバとの国交正常化で、北朝鮮が外交的に打撃を受けると強調した。

 大統領室高官は「今回の国交正常化は結局、歴史の流れの中で主流が何なのか、またその主流が誰にあるのかを明確に示したもの」だとし、「(北朝鮮は)かなりの政治的、心理的打撃を避けられないだろう」と述べた。さらに「今回の国交正常化は、かつて東欧圏国家を含め、北朝鮮の友好国家だった社会主義圏に対する外交の完結版だ」と付け加えた。キューバが国際社会による北朝鮮への圧迫に加わるという見通しも示した。与党関係者は同日、ハンギョレに「国際社会で北朝鮮をめぐり協力する際、キューバと話し合える相手になったという意味」だとしたうえで、「国連加盟国であるキューバとも(北朝鮮の)責任ある行動を求め、必要な協力をしようと呼びかけられるようになった」と語った。

 
 
2016年6月5日、当時のユン・ビョンセ外交部長官はキューバのコンベンション宮でブルーノ・ロドリゲス外相と両国初の公式外相会談を行った。韓国とキューバは今月14日、両国の国交正常化を公式に発表した後も、外交公簡を交わす写真を公開しなかった/聯合ニュース

 しかし専門家たちは、両国の国交正常化が北朝鮮に及ぼす影響は大きくないという見通しを示している。キューバは韓国と非政治的な協力を拡大し、北朝鮮とも伝統的な友好関係も維持する「ツートラック」戦略を駆使するだろうというのが、大方の予想だ。

 慶南大学極東問題研究所のイム・ウルチュル北朝鮮研究センター長は「中国とロシアも韓中(1992年)、韓ロ(1990年)国交正常化後も、政治的事案と経済・文化的事案によって南北間で異なる立場を取ってきた」とし、「キューバは北朝鮮と従来の伝統的な友好関係を低姿勢で維持する一方、韓国とは経済的実利に合わせた交流を増やすだろう」とみた。ユーラシア戦略研究所のパク・ビョンファン所長は同日、ハンギョレに「外交的成果は明らかだが、キューバが北朝鮮と断交する可能性はないため、北朝鮮にどんな政治的・心理的打撃になるかは分からない」と語った。

キム・ミナ、クォン・ヒョクチョル記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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キューバがワクチン開発に成功すれば、米国や欧州連合(EU)などのワクチン獲得競争からはじき出された貧しい国々にとっては、ワクチン確保がはるかに容易になるからだ。

2020-11-16 | キューバの医療は世界水準

キューバの新型コロナワクチン開発、第3世界が注目

登録:2020-11-16 02:09 修正:2020-11-16 07:35
 
8月に続き、最近2つ目の物質の臨床試験に着手 
成功すれば発展途上国のワクチン確保に大きな助け
 
キューバは2種類の新型コロナワクチン候補となる物質の臨床試験を行っており、ワクチンの確保競争で遅れをとっている第3世界の注目を集めている。キューバのワクチン開発に対する資金援助を検討している欧州の非政府組織「Medi-Cuba Europa」のフランコ・カバリ代表が13日(現地時間)、キューバのハバナで開かれたワクチンに関する記者会見に出席し、発言している=ハバナ/EPA・聯合ニュース

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫に成功したカリブ海の島国キューバが、独自に開発した新型コロナワクチン候補となる2種類の物質についての臨床試験を行っており、第3世界の注目を集めている。キューバがワクチン開発に成功すれば、米国や欧州連合(EU)などのワクチン獲得競争からはじき出された貧しい国々にとっては、ワクチン確保がはるかに容易になるからだ。

 キューバ共産党の機関紙『グランマ』の最近の報道によると、12日(現地時間)に自国のフィンライワクチン研究所の主導で開発された、2番目となる新型コロナワクチン候補物質「ソベラナ(主権)2」が臨床試験に入った。同紙によると、このワクチン候補物質は、ウイルス抗原、人間細胞と結合する「受容体結合ドメイン(RBD)」と非活性化させた毒素を化学的に結合した革新的な物質だという。

 フィンライワクチン研究所のビンセンテ・ベンコモ所長は、「8月に始まった『ソベラナ1』の臨床試験は大きな副作用なく進められており、近く試験結果を公開する予定」と述べた。研究チームは年末までに、2つの新たな候補物質についても臨床試験を始める計画だ。同研究所とともにワクチンを開発中のビオキューバファルマ(Bio Cuba Pharma)のエドゥアルド・ディアス社長は「2021年からキューバ人にワクチンを普及できるだろう」との予想を示した。ビオキューバファルマは、32の企業からなるおよそ2万人規模の企業集団で、フィンライワクチン研究所などの20の研究機関と共に様々なワクチンを開発している。

 キューバは1980年代から生物工学技術の開発に力を注いでおり、髄膜炎ワクチンやB型肝炎ワクチンなどの8つのワクチンを独自開発し、40カ国あまりに輸出している。このため、キューバが新型コロナワクチンの開発に成功すれば、中南米の発展途上国にとって大きな助けとなるとみられるとロイター通信は指摘した。

 世界保健機関(WHO)アメリカ地域事務局(PAHO)のキューバ駐在官ホセ・モヤ氏は「キューバのワクチン開発および普及は、我々の地域の脆弱階層にとって特に重要だ」とし「キューバがワクチン開発を完了すれば、アメリカ地域事務局を通じて普及される」と述べた。また、キューバの開発状況はWHOとGAVIアライアンスなどが作ったCOVAX(コバックス)が追跡していると説明した。

 ロイターによると、キューバのワクチンは、ベネズエラなどの周辺諸国やアフリカ疾病予防管理センターなどが注目しており、キューバと保健分野で協力関係にある国々に優先的に供給される見通し。

シン・ギソプ先任記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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「公共医療が気に食わない朝鮮日報の見苦しい記事の真実」

2020-09-20 | キューバの医療は世界水準
[インタビュー]
「『キューバの公共医療は奴隷』という
記事はでたらめな扇情報道」

登録:2020-09-19 01:54 修正:2020-09-19 14:34


中南米が専門の社会人類学者、チョン・イナ博士

      
      
2018年にキューバのハバナ医科大学に入学し、予科1年生課程を終えたチョン・イナ元釜山外大教授が、7月の帰国を前に校庭で同期生と共に写真を撮っている//ハンギョレ新聞社

 「かつてフィデル(・カストロ)はこんなことを言っていました。『キューバは隣国に爆弾ではなく医師(白衣の部隊)を送る』。ところが最近、韓国のある報道機関が突然『キューバ公共医療の別名、白衣の奴隷たち』という扇情的な見出しの記事を出しました。『事実確認』や当事者の直接的な対応が難しい外国の例を利用して『公共医療強化政策に反発する医師のスト』を擁護しようという政治的意図を露骨に表した、偏った歪曲報道だと思います。それで私も立ち上がらずにはいられませんでした」

 7日、オルタナティブな社会を模索する知識人集団「もう一つの百年」のホームページに「公共医療が気に食わない朝鮮日報の見苦しい記事の真実」(thetomorrow.kr/archives/12784)と題する反論コラムを掲載したチョン・イナ元釜山外国語大学教授(43)は非常に真剣だった。それもそのはず、チョンさんは中南米専攻の社会人類学博士であり、現在キューバのハバナ医科大学予科1年の在学生として、誰よりもキューバの医療の現実を知っているからだ。7月に帰国し、韓国に滞在しているチョンさんに、教授職さえ捨ててキューバで40歳を超える「最高齢医学生」へと変身したわけを聞いてみた。

2年前、釜山外大の研究教授を辞し
ハバナ医大に「最高齢」の学生として入学
7月の帰国直前にも地域診療所で実習
「あらゆる人が共に生存する権利を同等に保障」
医療派遣団、30カ国以上で「コロナ防疫」
「ベネズエラで派遣団の診療を受けた」


      
先月中旬、ソウル孔徳洞(コンドクトン)のハンギョレ新聞社を訪問したチョンさんは、20年あまりの中南米についての社会人類学研究の突破口を見出すため、世界的な公共医療先進国であるキューバの医科大に留学を敢行したと語る//ハンギョレ新聞社

 「グアテマラに派遣された女性医師が売春を強要されているという話から、キューバの医師は必ず国外で服務する義務があるなどというでたらめ、医師免許証を返納しようとすれば数年間の収監生活を強いられるなど、嘘に満ちた記事でした。『白い奴隷たち』に変身させられたキューバのヘンリー・リーブ国際医療派遣団は、2005年に結成されて以来、災害と感染症に苦しむ全世界の数百万の人々に緊急医療支援を行った功労により、韓国人初の世界保健機関(WHO)事務総長を務めた故イ・ジョンウク博士を称える『イ・ジョンウク公共保健記念賞』を2017年に受賞してもいます」

 さらにチョンさんは、帰国直前にハバナで自ら目撃したエピソードも聞かせてくれた。「イタリアの要請で派遣された52人の医療陣が、2カ月間の任務を無事終えて帰国するという放送をみんなで一緒に見ていたのですが、みな誇らしげな表情がありありと浮かんでいました。新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防疫のため、キューバは世界の30カ国以上に医療陣を派遣しています」



2005年、キューバ国家評議会議長兼首相の故フィデル・カストロ(右)が「ヘンリー・リーブ国際医療派遣団」発足式で拍手をしている。ヘンリー・リーブとは、19世紀半ばのキューバ第1次独立戦争で戦った軍事的英雄の名前=チョン・イナさん提供//ハンギョレ新聞社

      

ヘンリー・リーブ国際医療派遣団の発足式。彼らは11年間で19カ国に7254人の公衆保健人材を派遣して350万人を治療し、8万人の命を救った功労が認められ、2017年に世界保健機関(WHO)から「イ・ジョンウク公共保健記念賞」を受賞した=チョン・イナさん提供//ハンギョレ新聞社

     

キューバのヘンリー・リーブ国際医療派遣団が6月にイタリアでの新型コロナ防疫活動を終えて帰国した。今年に入って世界27カ国で新型コロナ救護奉仕を行ってきた彼らにノーベル平和賞を授与しよう、というキャンペーンがオンラインで進行中。ホームページ(https://www.cubanobel.org)参照=写真/聯合ニュース

 実際にキューバの新型コロナへの対処は、韓国の「K-防疫」と共に模範として挙げられている。7月3日現在でキューバの累計感染者は2400人以下で、総死者数は86人、周辺国メキシコの27分の1、ブラジルの70分の1にすぎない。

 「キューバ当局は新型コロナ大流行の初期に、真っ先に地域社会中心の共同行動を開始しました。すべての医療陣と医大生を各地域に派遣し、高齢者と感染脆弱階層を把握する特別専門医療陣も組織しました。このような素早い対処の目的は、あらゆる人が共に生存する権利を同等に保障することです。キューバの選択は正しいと思います」

 チョンさんがこう確信するのは、チョンさん自身がキューバの国際医療派遣団の恩恵を受けたためでもある。「高校時代からスペイン語が好きで、同時通訳を夢見ていました。それで、メキシコのグアダラハラのある私立大学に留学しました。その後、ソウル大学大学院に入学し、中南米地域学を専攻しましたが、当初の期待とは大きく違っていたため辞め、2004年にスペイン政府の奨学金をもらい、北部の都市にあるサラマンカ大学の修士課程に入り直しました。2008年の博士課程時代、ベネズエラの首都カラカスのあるバリオ(貧民共同体)に現地調査に行きました。その時、急に具合が悪くなって苦労したんですが、ちょうどキューバの国際医療派遣団に出会い、無償で治療を受け、無事に論文を書くことができました。何よりも派遣されてきている医師たちが『名誉な仕事』をしているという使命感を持っていました」

 ベネズエラとキューバの医療国際連帯は、2003年からチャベス政権が推進した「バリオ・アデントロ」(「地域の中へ」という意味)ミッションによって始まり、今も2万人以上のキューバ医療陣が都市の貧民地区と農村の医療死角地帯で活動を繰り広げているという。

 チョンさんは2012年、ベネズエラ現地住民の自治組織である住民評議会の研究で、サラマンカ大学から社会人類学の博士号を授与された。その後帰国し、高麗大学研究教授を経て、駐グアテマラ韓国大使館の研究員として働いていたが、2014年に父親の死去で帰国し、一人残された母親と暮らすために韓国に定着した。だが、2014年から釜山外大の研究教授を務めていたチョンさんは、2018年夏、再び「新たな挑戦」を開始する。

 「20年近くベネズエラ、メキシコ、グアテマラ、キューバなどの中南米地域を対象として社会運動、階級闘争、社会的不平等、貧困社会の構造などを主に研究してきましたが、観察者であり異邦人としての視線で研究することに限界を感じていたんです。一種の研究スランプでした。キューバの医療派遣団のように、実質的に現地人の生活に役立つ能力を培いたかったんです」

 ハバナ医科大学には、チョンさんを含めて4人の韓国人が留学中だ。「外国人の学費は年間1000万ウォン(約90万円)ほどですが、中南米地域の脆弱階層の奨学生は無償で、その代わりに社会奉仕の義務があります。予防医学、社会医学が中心なので、学生と教授、学生と学生、学生と地域のコミュニケーションを重視します。医大生は1年時から授業中にポリクリニックという町内の総合病院やコンスルトリオという地域診療所を訪ねて毎週実習を行っています」

        

チョン・イナさんが7月の帰国直前に、ハバナ医科大学予科1年生の同期生たちと地域診療所で新型コロナ全数調査を行う合間に撮った写真//ハンギョレ新聞社

 チョンさんは帰国する直前、新型コロナの全数調査活動で地域に入った際、「笑え。緊張するな。医師がリラックスして見えないと患者も安心できない」と言って、表情管理にまで気を使っていた担当教授の指示を聞いて「患者優先の人間教育」を実感したと付け加えた。

 世界銀行の統計によると、2018年現在、キューバの人口1000人当たりの医師数は8.4人で、世界最多水準だ。豊富な医療陣を背景に「家族主治医制度」を取り、1次医療を担う医師たちが地域内の担当家庭を地道に管理し、疾病予防と健康管理に責任を負う。新型コロナ感染者は、すべて国家隔離センターに収容して治療を行っている。

 「家族主治医制度により、村ごとにある診療所に行けば、いつでも担当主治医に会えるので、新型コロナでも住民は全く動揺していません。医大の学生もエリートだとか高額収入といった特権意識はなく、『どのような医者になるのか』に集中すればいいので安定しています。今回のコロナ・パンデミックの本質は、ウイルスという『公共の敵』から誰も疎外されない同等の権利が保障される社会システムを整備すべきだということだと思います。今すぐワクチンが開発されたとしても、特定の国や企業が高値で独占供給すれば、大多数の一般人にとっては『高嶺の花』になる可能性もありますから」

 チョンさんは、キューバの空港が開き次第、現地に帰る予定だ。しかしチョンさんの最終目標は「医師」資格を取ることではない。「医術を用いて現地の人と実質的なコミュニケーションを図り、草の根社会運動を一緒にやっていく実践人類学者になりたいんです」
キム・ギョンエ記者 (お問い合わせ japan@hani.co.kr )
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