箕面三中もと校長から〜教育関係者のつぶやき〜

2015年度から2018年度に大阪府の箕面三中の校長を務めました。おもに学校教育と子育てに関する情報をのせています。

SDGs「持続可能な開発目標」と学校教育

2020年11月25日 08時27分00秒 | 教育・子育てあれこれ
SDGsは「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称で、2015年9月の国連サミットで採択されました。

国連加盟の193か国が.2016年から2030年の15年間で、17個の目標の達成をめざします。


17の目標をそれぞれ要約すると、次のとおりです。
目標1 貧困をなくす
目標2 飢餓をゼロに
目標3 すべての人に健康と福祉を
目標4 質の高い教育をみんなに
目標5  ジェンダー平等を実現
目標6 安全な水とトイレを世界中に
目標7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに
目標8 働きがいも経済成長も
目標9 産業と技術革新の基盤をつくろう
目標10 人や国の不平等をなくそう
目標11 住み続けられるまちづくりを
目標12 つくる責任 つかう責任
目標13 気候変動に具体的な対策を
目標14 海の豊かさを守ろう
目標15 陸の豊かさも守ろう
目標16 平和と公正をすべての人に
目標17 パートナーシップで目標を達成しよう



SDGsのユニークな点は、たんに目標を掲げて実現に努めるだけで終わらず、この数値目標を定期的にモニタリングしていくことにあります。

その進み具合をモニタリングしていく方法として、国連ハイレベル政策フォーラムで各国がその進捗状況を報告しあいます。

日本では2016年5月20日に第1回SDGs推進本部の会議が開催されました。それ以後は、毎年2回開催されています。

SDGsを取り組む領域は、おもに3つに分けることができます。

①経済・ビジネスでのSDGs
2017年11月に経団連が「行動企業憲章」を改定しました。
その中で、Society5.0(ソサエティー5.0)というコンセプトのもとSDGsに本気で取り組むことを宣言しました。

Society5.0(ソサエティー5.0)とは、狩猟社会(Society1.0)→農耕社会(Society 2.0)→工業社会(Society 3.0)→情報社会(Society 4.0)に続く超スマート社会(Society 5.0)のことです。

人類がこれまで歩んできた社会に次ぐ第5の新たな社会を、デジタル革新、イノベーションを最大限活用して実現するという社会がSociety5.0です。

これまでは企業はどちらかと言えば、儲けたお金の一部、余ったお金を使って社会貢献しようという考えでした。

しかしSDGsでは、本業で儲けながら世界を変えていくという大きな変換があります。ビジネスの力、お金の力を使って世界を変えていこうという流れになっています。

いまは、消費者が持続可能な世界に考慮していない企業の商品は買わなくなり、持続可能な社会に考慮している企業の商品を好んで買う傾向になっています。

②地方創生のSDGs
日本国内の各地域でもSDGsを活用して地方を創生していこうという流れになっています。

2018年からその動きは始まり、2020年7月に「SDGs未来都市」が発表され、33の都市が選ばれました。

SDGs未来都市は、持続可能な都市・地域づくりを目指す自治体を政府が選び、10都市には予算をつけてサポートしています。

どの未来都市も、経済、環境、社会の3つの面で、そのバランスをとりながら取り組んでいます。

この3つのバランスを取ることが持続可能を実現する上でたいへん重要だということがわかります。

③次世代・女性のエンパワメントとしてのSDGs

SDGsの取り組みの中でも、その対象を、とくに直接人に焦点をあてたものです。

働き方改革、社会での女性の活躍、多様性・バリアフリーの推進、子どもの貧困対策、次世代の教育振興、健康経営の推進、感染症対策などの保健医療の研究開発など多岐にわたります。


以上が SDGsの概要ですが、このブログでは教育をテーマにしています。
そこで、SDGsは日本での教育にどう関係するのでしょうか。

教育については、SDGsの目標4が示すように就学前から小学校、中学校、高校などのすべての学校で質の高い教育を提供することが求められます。

そのためには、子どもの学力を伸ばす質の高い授業が、毎日、どこの学校でも実践されなければなりません。

また、かりに新型コロナウイルス感染症が収束したとしても、今後もあらたな感染症が広まるかもしれません。

そこで、感染拡大防止のためにも、1学級の人数をもう少し少人数で編成できるようにすること、またICT環境の充実など教育条件の整備が急務になります。

かつ、子どもや若い世代が自分の権利を自覚し、自分の能力を開花させる育成環境を提供するよう努めなければなりません。

さらに、学校での人権教育では、SDGsのとくに目標1、5、10、16に関連して、男女共生の学習や平和学習、さらには年齢、障害の有無、家庭の経済的状況、人種、民族に関係なく、みんなが対等な立場で共生することを学ぶ学習機会が保障されなければなりません。

また、この人権学習は、学校卒業後も生涯学習の中でも学べるようにする必要があります。

このように、SDGsの推進のためには、学校教育の役割も重要であると、わたしもあらためて認識した次第です。

(画像は、NMB48がTwitterに公開している、SDGsとタイアップした楽曲披露[日本科学未来館]のものを使わせてもらいました。)