動物行動学の研究者「竹内久美子さん」の、「好色のエネルギーは政治エネルギーへ転換できる」という説を、蝶とハチの写真と一緒に紹介しましょう。<・・・>が著書の引用
一夫一婦制を良しとするタイプは<家庭内に最高順位者(妻)がおり、家庭こそが全宇宙ということになるだろう。彼の心の大半を占めているものは、今日は妻の機嫌が良いか悪いか、こんなことを言ったら妻は怒るだろうか、どうか家庭にトラブルが起こりませんようにという、ここ一両日中の心配事である>
<当然、彼は広い視野を持っていないし、また持つ必要もない。長期的に物事を考えることもできないが、できる必要もない>
一方、一夫多妻制を実行しようとするタイプは<複数の女を操作しなければならないので、まず広い視野と物事を長いタイムスケジュールで考える能力は必要である。繊細緻密な思考力、女のこころを読む能力、そして何より女の尻に敷かれない自信と勇気>を持っている
一夫多妻制を実行しようとする<彼の周囲には複雑な人間関係が次々と展開されてゆく。それらの困難な状況に対応するためには、人と人とを調停する能力、ウソや方便なども含めた言語的能力、人を惹きつけたり納得させる話しぶりと姿勢>を備えている必要がある。
<妻の尻に敷かれていないこの男は、自由に家庭の外に出て行き、男社会の一員となる。この男社会とは、女をめぐる男同士の友好的連合で、メンバー同士がうまくやってゆくために順位ができる>そのメンバーの中の最高順位者が国家の指導者となるのが理想というのが竹内久美子説です。
<国家の指導的立場にある男が事実上の一夫多妻制を目指す男なら、まず問題はおこらない。そういう彼には、いわゆる政治的能力がある。彼本来の繁殖方法と能力とがその立場にぴったりと一致するからである>
一方<妻の尻に敷かれ、その妻との間にしか子供をつくらない男、広く社会へ出て行って男だけの順位制社会を作ることに躊躇しがちな男。そういう男がひょんなことからリーダーの座についてしまうこと>は、国家の破たんにつながる大問題となる。
<なぜなら、彼本来の政治的能力の欠如もさることながら、妻を恐れ、妻の命令通りに動くという彼の行動パターンが国家をも巻き添えにして(国家を混乱させて)しまうからである>
参考文献:賭博と国家と男と女 竹内久美子著