駒子の備忘録

観劇記と乱読日記、愛蔵コミック・コラムなどなど

宝塚歌劇宙組『王妃の館/VIVA!FESTA!』

2017年05月02日 | 観劇記/タイトルあ行
 宝塚大劇場、2017年2月3日15時(初日)、4日11時、6日13時、21日13時、18時(新公)、25日11時、26日11時、3月5日15時、6日13時(千秋楽)。
 東京宝塚劇場、3月31日15時半(初日)、4月4日18時半、6日18時半、11日18時半、13日18時半(新公)、18日18時半、19日13時半、22日15時半、23日15時半、27日18時半、30日15時半(大千秋楽)。

 パリ、マレ地区のヴォージュ広場、その片隅に佇む「シャトー・ドゥ・ラ・レーヌ」は17世紀フランスに太陽王と讃えられた国王ルイ14世(真風涼帆)が城主と言われ、今では一見客の宿泊を許さぬ高級ホテルとして知られている。だが実際は深刻な経営難に陥っていた。そこに目を付けた旅行社「パン・ワールド・ツアー・エンタープライズ」の社長兼敏腕ツアーコンダクターの桜井玲子(実咲凛音)はホテルとタッグを組み、高額の光ツアーと格安の影ツアーを企画して自身の会社の経営難を救う奇策に打って出る。だがツアー客の中には恋愛小説の鬼才と言われる著名な小説家、北白川右京(朝夏まなと)がいた。彼は今、ルイ14世を主人公にした宮廷ロマン『ベルサイユの百合』を執筆中なのだが、思うように筆が進まず…
 原作/浅田次郎、脚本・演出/田渕大輔、作曲・編曲/青木朝子。映画化もされたベストセラー小説を舞台化したミュージカル・コメディ。

 大劇場初日の感想はこちら、大劇場千秋楽後の中入り感想はこちら、東西新公感想はこちら
 というわけで贔屓の公演は(そして初日から観に行ってしまう珠城さんの月組公演は)何度か記事を書いてしまうので、そして日々ツイッターでもつぶやきまくってしまうので、千秋楽後のまとめとしてはもはや枯れ涸れで何もない…となりがちなのですが、まあやっぱりいろいろありましたよね。
 まずは千秋楽の楽屋入り待ちね。私は板付きガードが嫌いなのでほとんど行かないのですが(タイヘンだから)、千秋楽くらいはそりゃ参加するわけですよ。で、私は『白夜フェニタカ』からなのでそのときはまだかいちゃん会がいましたが、その後はずっと劇場側先頭を務めていて、入り待ちでは退団者会のすぐ後ろでガードに入る(というか退団者会を前に入れる)栄誉に与かっているワケです。現在、東京公演の入り出待ちガードはシャンテ側が使えていませんが、千秋楽だけは別なので。
 で、ここって退団者を見送るには特等席なのです。
 が、今朝、たまたまポジションの関係で私の前からみりおん会の立ちガードさんが並んでいて、みりおんが帝国ホテル側からやって来るのが私には全然見えなかったのです。ただみんなのさわさわしたざわめきで知るだけで、合わせて拍手するだけで。
 で、ああ、そうだよね私みりおんのこと全然評価してこなかったもんね天罰だよね、みたいに思っていたのですが、まず会員さんの掛け声に思わずもらい泣きしてしまいまして。少なからずいる男性会員さんたちが、特におじさまが、配られた小さな紙に書いてある掛け声を野太い声で一生懸命読み上げているのに、なんかものすごく感動してしまったのです。自分でも引くくらいボロボロ泣いてしまいました。
 そうしたら、今度はみりおんが会に挨拶を返すときに、長いガードの列の真ん中に立ったため、ちょうど私の位置から会のカメラマンさんと立ち木の間に斜めにきれいに抜けて見えたんですね。で、なんの飾りもない、でもとても上質そうなシンプルな白のノースリーブのワンピースと、それこそ毛先をちょっと巻いただけで編んでも飾ってもいない金髪を揺らしたみりおんが、ぴっかぴかの晴れやかな笑顔で手を振っているのがばっちり見えて、さらにボロ泣きしてしまいました。
 挨拶はハキハキしていてサバサバしていて明るくて、微塵も湿っぽいところがなくて、私はみりおんのそういうところも実は苦手にしていたのですけれど、でもそれはまぎれもなくみりおんの個性であり特徴でありそしてとても美しく、みりおんらしいなあ、みりおんらしく最後まで楽しんでほしいなあ、楽しむんだろうなあ、それをみんなで楽しく送り出すんだよね…と素直に思えたのでした。
 会服はネッカチーフみたいにして首に小さめにきつく巻いていたので、その下のストールに涙がみんな落ちて、一度帰宅するときにはすっかり冷たく濡れて胸元を冷やしたのでした…

 そして千秋楽公演、ありがたいことに劇場で観ることができました。カメラでアップになる中継も見たかったですけれどね、さすがに分身はできないのでありました…
 大劇場千秋楽はアドリブ満載でそれはそれは楽しかったけれど、東京大楽ともなるとスカステ映像で全編残すんだし、わりときっちりやるのかな?暴れるとしたらむしろ前楽かしら?とか思っていましたが、どうしてどうして。冒頭のパリの街で早見くんが右京さんの文庫本を持ち出したときから、「ヤバい、やる気だ…!」ってなりましたよね(^^;)。
 右京さんのエクソシスト化場面では「来た! キタキタキタキタ北白川~ん!!」って渾身の(!?)ギャグを飛ばして徘徊し出すし、右京さんとルイのハート掛け合いは大劇場千秋楽でもやっていたからやるだろうと思っていたけれど、乱れ打ちからの特大ハート作成、からの場外ホームラン、までホントにテンポが良くて笑わせてもらいました。
 右京さんの部屋に飛び込んでくる玲子さんは勢い余って柱にぶつかりそうになっているし、ソファの陰に隠れる動作も荒々しい(笑)。カンカン場面ではここ最近の流れでクレヨンが最初っからまこちゃんに絡みまくりでまこちゃんはカンカンが全然見られず(笑)、まこちゃんはカンカンガールが冷やかして両手でハート作るのを手刀でぶった切っていました。引っ張り出されてからはりらたんが両腕広げて迎えてくれてハグされに行って、ほわわわわってなってましたね(^^;)。「初デートにしては重すぎ!」のあとは恒例の男泣き。態度が怪しい戸川くんを脅すところはリュックをひっつかむのに珍しく手間取ったように見えたけれど、その後の戸川くんが初期のようにぴょんぴょん跳ねるのではなく飛行機体勢で体重を斜めにかけてくるのに微動だにせず、さすがの握力でありました(笑)。
 光ツアーの酔っぱらい場面ではやるだろうと思っていたけれど、金沢さんがピエールのスカーフをバンダナにして頭に巻き、早見くんはピエールのベレー帽をかぶり、ピエールは早見くんのストールをハチマキにしていて爆笑! 部屋に戻った右京さんはルイを呼び出すのに「千秋楽スペシャル!」。
 影ツアーの面々に協力してもらえることになった戸川くんはリュックに差してある旗の位置を間違えてみせて逆の手で取ろうとして空振りし、クレヨンに心配され…「優しいみなさんのことは一生忘れません!」でハケ。一方ヴェルサイユ宮殿観光の光ツアーでは、ピエールが立膝ついて二日酔いの早見くんを腰かけさせていました。そののち、右京さんと玲子さんがふたりでいるのを見て冷やかすミチルが、ダブルブッキングを見抜いたときの右京さんのような(そしてのちの丹野夫妻逮捕のときのクレヨンのような)指差しビシッ!でキメて、金沢さんも便乗していたのも可愛かったです。
 そして白眉は下田夫妻捜索中にミチルがピエールとの会話を思い出したくだり。なんと玲子さんが「なんでそれを早く言わないの!?」ってキレた! しかも台詞のアタマは右京さんにかぶっていたようにも聞こえました! ノー打ち合わせで台詞を奪ったの!? やるなぁみりおん!! もう大爆笑しました。そこからのピエールの答えに「どこ!?」のズッコケを今度は全員でやって…もうおもしろすぎました!!!
 そこからちゃんともんちのアコーディオン弾きのソロで空気が変わって、クライマックスはしっとり、きっちり…でもここのラスト、右京さんが歌い始めて盆が回り始めてからのこんクレの背中の芝居が本当に素晴らしかったです。耐えている、心配している、という感情が後ろ姿でも十分に伝わって、「どうしたんだよ?」「なんでもないの…」みたいな台詞が聞こえてくるかのようでした。笑い合っていたのに、ふと来し方行く末に思い至って笑えなくなったクレヨンが定位置(笑)から離れ、気づいたまこちゃんが追い、クレヨンがごまかしまこちゃんがごまかされ、でもやっぱりつらくなって走り去るクレヨンと心配して追うまこちゃんが、右京さんの歌を挟んで次のくだりに本当に綺麗につながっていました。
 みりおんのラスト銀橋ソロのあとに、いつもは入らない拍手が入り、それは場面の流れを中断させるものだったんだけれど、板付いているルイゆりかはちゃんと振り向くのを遅らせて、下手から出て来ていた右京まぁ様も台詞を言うのを遅らせていました。舞台って素晴らしい…! そしてそこからの、「余はとびっきりのいい男と」への「さあ、それはどうかな?」のはずの返しが、まさか「わかってるよ」になるだなんて! なんて、なんて素敵なの…!!
 で、なんか博多座『王家』千秋楽を思い起こしましたよね…あのときもスゴツヨのアドリブが冴えまくっていて、ヤバいよハードル上がってるよケペちゃんのアドリブどうするよ…って私はヒヤヒヤしたのでした(^^;)。「結婚!?」のあとはわりとすんなりプロポーズしたように見え、真ん中の芝居を邪魔しなかった印象でしょうか。ハケは、いつもクレヨンからかけてくるのに応えるだけなのにまこちゃんの方から「クレヨン!」とか言い出すから仰天しましたよね。で、「帰ったら結婚式だ!」「うん!!」ってダメよソレ死亡フラグだから~!と爆笑しながらもうヒューヒュー言っちゃいました。ホントもうヤダ!(笑)でもきっとクレヨンが凛々しくどんな流れ弾からもまこちゃんを守ってくれるよね…? ホラ所詮こんクレじゃなくてクレこんだしね…?
 金沢さんも無事にミチルと結婚することになって、ズレを右京さんに指摘されてからのハケは「教えてくれるのは最後まで兄ちゃんだけや! 兄ちゃんはオレのエースや!」と次の公演『A-motion』にかけていくの、本当に上手い! 愛ちゃんのアドリブは毎回安心できました。あ、その前の丹野夫妻へは「オレっていい男やろ? 惚れるなよ?」だったかな。いい男だよね金沢さん…! そして早見くんはピエールに眼鏡を渡し、仕事を選んで去りました。ダテだったのか!?(笑)
 そしてそして大ラス、銀橋で差し出した手を玲子さんに握ってもらった右京さんが、花道では玲子さんの肩までガバッと抱いて満面の笑みで退場…! いやぁ劇場内が湧きましたね、歓声上げましたね!! 彼女いない歴が実はまこちゃんといい勝負だったんじゃないかっていう右京さんにも、ついに奇跡が…! いやぁ、あんなにハッピーな気持ちでニヤニヤ幕間に突入できることってなかなかない。本当に楽しかったです。
 コメディーだからいろいろできる要素はもともとあるんだけれど、でも思いつきで突拍子もないことをやっているような感じは全然なくて、ちゃんと練られていました。キャラクターやストーリー、世界観を壊したりはもちろんしていないし、この回だけ見てもスムーズで、でも通常版を知っているとより楽しめて、組や組子の状況を踏まえていればなお楽しいという、素晴らしい千秋楽アドリブだったと思います。組長さんや田渕先生と最後の最後まで相談したんじゃないのかな、それって本当に素晴らしいことですよね。中継組も楽しめたでしょうし、一年後くらいの放送になるかもしれませんがスカステが今から楽しみです。そこで初めて観る人も、販売DVDと見比べられますし、一粒で二度と言うか何度でも美味しい、楽しい演目に仕上がりました。
 カーテンコールでまぁ様が、この演目は観客と一緒になって作り成長させ、今日完成した、というようなことを言ってくださいましたが、そこに参加できて、たくさん携われて、本当に幸せでした。どんな公演でも観客なしには始まらないんだからあたりまえのことかもしれないけれど、観客の笑い声や感動の涙に支えられて役者がはりきる、演技が乗る、芝居が膨らむってこともあるだろうし、それが本当にいい方に出た公演だったと思いました。駄作ならこっちがお義理でリピートしたってその空気は絶対に演じ手側に伝わるでしょうしね。本当に楽しかったです、ありがとうございました。

 楽屋出待ちでもまぁ様は千両役者っぷりを発揮して、背中に大きく龍と「朝夏まなと」の文字が入った赤い法被を羽織って登場してくださり、投げキスからの深いお辞儀も美しく、素晴らしいパレードでした。
 そしてどちらかと言えばいつも出が遅い方の贔屓が退団者のあと一番に出たことに動揺したこともあり、むしろ今日イチの大きな拍手をりくに捧げる澄輝会ね…!(笑)イヤでも本当にいいお相手役さんでした、どんなに感謝しても足りません! ペコペコさせちゃってごめんなさいね、暑苦しい愛情を押しつけてごめんなさいね…またコンサートでもご一緒よろしくお願いいたします!

 
 …という、幸せな一日となりました。
 総じて評判のいい公演だったかと思いますが、東京は例によってチケ難で、他組ファンの方だとそうリピートもできなかったろうし、しなくてもいい、楽しいけどたわいないお芝居だった、という評価もあったかと思います。オールドミス、オカマ、鬘、猿あたりが引っかかる方が多かったのも事実でしょうし、そういうことはきちんと把握して今後の課題とするべきかと思います。
 お芝居は、脚本・演出としては東京で大きな変更はありませんでした。ラスト、プティ・ルイもルイに抱きしめてもらえるようになり、ルイ一家とムノン、という構図になったことくらいかな。
 まぁ様右京さんはエクソシストの際の乱れっぷりが激しすぎて場面が押し気味になる回があったりしていましたが、大劇場公演で収録されたブルーレイと見比べるとやはり濃くメリハリが強くなっていて、「変人だけどチャーミング」な感じをより強く打ち出せていてよかったと思います。「どこ!?」の言い方やずっこけ芸、ラストで金沢さんとミチルちゃんの熱いチューを見てどひゃっとするところなど、ホント毎回絶品でした。
 受けるみりおん玲子さんは、やはり大劇場より柔らかくなったと思います。いい意味で抜けてきた、というか。クールビューティーなしっかり者がたまたま運に恵まれず社運が傾いてきて…というよりは、本当に、シャカリキにがんばっちゃってるんだけどちょっと空回り気味だったり意外とヌケてたりお人よしすぎてババ引いたりとかしてそうで、だから資金繰りが苦しそうなのも納得かな、という感じがよく出てきていて、だからこそ上手くいくといいなとか、新たな旅立ちを応援したいなと素直に思える仕上がりになっていました。
 ただ、東京は花道が短いのか、いつもふたりが引っ込んだあと幕が下り出す前にちょっとだけ間が開きすぎで、もう少しゆっくりハケてくれるか、さっさと幕を下ろし始めてくれるといいのになー、とはずっと思っていました。でないと拍手が入れづらいし、紗幕の向こうでただポーズしているだけのルイ一家とムノンだけ眺めていても間が保たないよと思っていたのです。それを別にすれば、右京さんがまず立ち止まって、思い切って、手をゴシゴシしてから差し出して、玲子さんに握り返してもらえてうれしくて微笑み合って…というあの一連の流れは本当に素晴らしかったです。玲子さんのはにかむような笑顔も本舞台にいるころからこぼれるようになって、本当に心が温かになりました。
 玲子さんで個人的に好きなのは「ごめんなさい、私ったらつい…」ってとこ。なんかすごくみりおんっぽいイメージなのです、私の中で。ホントすみません。素晴らしい実力の、三拍子そろったトップ娘役さんだったと思っています。いい役だったな…
 アントワネットもアイーダもシシィもやった、でもヒルダもメルセデスも素敵でした。ご卒業おめでとうございます。まぁ様も、『王家』や『エリザ』の間にハッピーエンドのハートウォーミングなお芝居とオリジナル・ショーの二本立てができて、よかったなと思いました。いいバランスでした。

 そして近日中になんらかの発表があるのかもしれないゆりかのルイですが、これまた東京でチャーミング度が増してきていたように思いました。当初はひとりだけ真面目ぶっていて浮いているのがおもろい、という感じにも見えましたが、だんだん、ずっと凝り固まっていていた人が突然現れたユニークな男の助言を聞き入れてみようかなとほぐされていく感じ、だからこそそれでヴェルサイユまで出向いたのにディアナと会えなかったときの落胆と悲しみ、だまされ裏切られたのだという思い込みと落ち込み…あたりに泣ける芝居に変化していましたね。右京さんソロをしんみり泣かせるためにもその前のルイの激昂が大切なのであり、そのシリアス度合いの高まりには毎回ゾクゾクさせられました。だからこそそのあと「仲間内での窃盗に心中」に見かねて出てきちゃうところが可愛くて微笑ましいのです。いい領主様なんだよね、きっと。最後に右京さんと笑い合うところも本当に素敵だし、三人で歌う「♪誰かのために笑えたら」のリプライズのハーモニーも本当に素晴らしかったです。
 愛ちゃんの金沢さんは、すべてをお金の力できれいに解決し回収していくファンタジーを成立させなければならない今作最大のトリックスターですが、それをおおらかに演じきっていてよかったです。まどかミチルも「ふたりっきりで? 怪しい~」あたりでいろいろやるようになったりして、こんクレに押され気味に見えましたがこのふたりのラブラブ度も上がっていたのもよかったです。銀橋での右京さんや早見くんとの掛け合いも日々変化していましたしね。
 ずんちゃんの戸川くんも変わらずキュートでチャーミングなダメっ子くんでよかったです。観られたためしがないんですがムッシュ・デュランとアヤしいってホントですか(笑)。帰国後、彼もまこちゃん同様無職かもしれませんが、幸多かれと祈らずにはいられません。
 ゆうりちゃんディアナやららたんプティ・ルイはやはりしどころがないと言えばないので変化もしようがないから、まあ仕方ないかな。丹野夫妻も変わらずクール、下田夫妻がきっちり泣かせて岩波夫妻がきっちり締める。いいコンビネーションでした。

 そしてこんクレは…もう語り疲れましたね(笑)(あっ、なんかかいちゃんブリドリのときのあっきーのコメントと一緒じゃん、とか勝手に想起して被弾)。
 カンカン場面は私は大劇場版の方がいいと思っていて、東京では前半にクレヨンやかけるの歌手がまこちゃんに絡みすぎだと思っていました。前半はそれぞれバラバラに盛り上がっていた方が、あとでクレヨンがまこちゃんに群がるカンカンガールに気づいて薙ぎ払うところがおもしろく感じられたのにな、ってことです。でももうなんでもいいや、いちゃいちゃしていてくれて幸せだったからもういいの(^^;)。
 「さっきまで笑ってたくせに、なんで急に泣いてるんだよ?」とか「泣くな、黒岩源太郎」とかの芝居はブルーレイと東京とでは全然ニュアンスが違っていましたね。さらりとしていた大劇場版もいい、モジモジわたわたしていた東京版もいい。「俺のために笑え」とかホント、リアル男子が言ったらぶっ飛ばしたろーかって台詞ですけれど、まこちゃんだから、あきまこちゃんだからいいんだよね。そういう意味ではやはりファンタジーなんですよ宝塚歌劇って。現代の日本人が登場人物の、現代のパリが舞台のお話でも、大人のおとぎ話なんですよね。でもそれがいい。そんなことを改めて感じさせてくれた作品であり、その貢献カップルだったかもしれません。
 大楽のキス、りクレヨンがあきまこちゃんの頭に回す左手がいつもよりちょっとおずおずしていてゆっくりで、よかったなあ…大画面で見たかったなあ(笑)、どんなでしたかね?


 スーパー・レビューは作・演出/中村暁。
 これまた、まあなんてことないショーなんだけれど、楽しく通いましたし、「ソーラン宙組」という今後の組の財産になりそうな名場面を作ってくれたので今は感謝しかありません。
 プロローグの客席降りは下手通路先頭になって、ちょうどフェニタカでSSS席だったところと逆サイド?が狩り場(笑)になっていましたね。楽しそうだったなー! 真ん中が見えてないんでホント申し訳ありませんが、愛ちゃんが三番手らしく男役を引き連れて歌い踊る場面がちゃんと作られていて、よかったと思います。
 ずんちゃんとまいあ、まどかの銀橋場面は私はまいあぱっかり観ていました、カワイイ…
 ヴァルプルギスなら魔女のもあちゃん、ゆいちゃん。好きなんです、カワイイ…
 エン・シエロはあっきーの若者が引っ込まないと牛が観られない…でもりくの牛S、本当にカッコよかったなー。刺されて倒れるときの息づかいがいいんだよね。
 そして終始気恥ずかしかった「ネコハジャ」ですが、いい感じに調子に乗っていてよかったとは思っています…もう、ホントはそんな顔するよーな人じゃないくせにー!ととにかく私は恥ずかしいのですが。そんなにお口ゆがめちゃってもー(><)、みたいな。でも何人いたのか知らないくらいそこしか観ていませんでした、すまん。
 そしてソーラン節ね! ホント素敵だったよね! レディス場面もたまらないよね! 客席登場で、ちょっと遠かったけど笑ってもらえた気がしたときはたぎったよね!!
 大楽のここはさすがまぁ様が観客を乗せるのが上手くて、全力で発声できて本当にうれしかったです。なんなら掛け声だけでなく全部歌い出しかねないくらいだった(笑)。ゆりかセンターのリプライズもホント暑苦しくて素晴らしかった。
 誇りと野心は、対立する観念じゃないよ?とかたまにはこういうとき野心側に入れられてみたいものだよねとか思ったりしながら眺めていました…でもやはり単純に美しくて、感動的でした。
 フィナーレの歌手は、どうやら拍手の入り方からすると上手のずんちゃんの方が一瞬早く振り返っているようですね。でもいいの、壁に映る影まで美しかったから…あとホントにいいハーモニーでした。お衣装のことはまゆさんにも言えたようだし、よかったねあきちゃん!(笑)
 またあっきーばっかり観ているもんでみりおんの登場が観られないし拍手入れられないしで申し訳なかったのですが、男役はべらかしタイム、よかったですよね。愛ちゃんの激しさ、りくの優しさ、かなこの気障、かけるの逞しさ…ホントは歌ってほしいところでもあったけれど、踊るみりおんも輝いていたのでこれはこれで素敵でした。
 ゆうりちゃんがロケットガールという贅沢なロケット、『クライマックス』でさんざん観たこのお衣装も愛らしいから許します。サイドをららまどかが固め、まいあも観たいしりらも可愛いし、なのにこってぃとかホント顔がもううるさいんだよ!ってのが毎回たまりませんでした。
 黒燕尾も、好みの振りではないけれど、観れば観るほどツボではありました…腕の止め方、脚の流し方、顔の伏せ方、何もかもが決まっていて美しかったなあぁ…
 そして全世界に誇れるレベルのデュエットダンスとリフト! スモークが綺麗で、ドレスの裾が美しく翻って、照明が典雅で…まさしく天上の美でした。
 エトワールのしーちゃんはホント毎回美声で、私が観た限りではヨレたことも外したこともケロったこともなく、素晴らしかったです。パレードやラインナップに思うところがなくもないけれど、それはまあここでは目をつぶりましょう…
 幕の下り方は陽気でいいよね、毎回楽しく見終えることができました。
 

 みりおんサヨナラショーは大劇場千秋楽に続き圧巻のリサイタルでした。彼女の力量を余すところなく発揮して、ひとりで十分に劇場を埋め、輝いていました。どの歌も当時より格段に上手い、そしてどの歌もちゃんと役として歌っている。素晴らしかったです。
 黒燕尾で踊るゆりかセンターのお兄ちゃんたちの「HOT EYES!!」もよかったです。全体の構成としてもとてもよくできていて、「世界に求む」での締めも感動的でした。
 何度かあったカーテンコールは、次はまぁ様が卒業する番なんだと思うとなかなか複雑でもありましたが、まずはしっかりみりおんを送り出せたのではないかと思います。最後の最後に緞帳前にひとりで出てきたまぁ様が、「同志を呼びたいと思います」と言ってみりおんを呼び寄せたのは、よかったなあ。花組時代から何かと一緒の関係性をよく表した言葉だったんじゃないかなと思いました。

***

 最後に、澄輝日記としてちょっとだけ。
 今公演も本当に楽しゅうございました。職場最寄駅から日比谷駅までの定期券を今回初めて買ったんですけれど、そのときは「元が取れるほど使うかな?」とか思っていたんですよね…が、使った使った(笑)。おかげさまで抜けられない会議があった一日以外はすべて入り待ちに行けましたし、出待ちは嫌いなんだけど一回公演のあとはお化粧のときも多いし日がまだあって明るくて見やすいしで公演後半はけっこういそいそと出向いてしまったし、週末は取り次ぎお断りが出ていましたが私は平日夜公演ばかりを頼んでいたのでほぼほぼ予定どおり通えて、定期券を使いまくりでした。このペースが保てるなら次回も定期券は必須ですね!
 また、周りの「宝塚歌劇にちょっと興味ある、観られるものなら観てみたい」くらいの友人知人、ビギナーファンもたくさん同伴できてみんなに喜んでもらえて、「おもしろかった、他のも観たい!」と言っていただけて面目が立ちました。アテンド、楽しかった!
 当人はあいかわらず役を引きずらない人でゆるほわマイペースで、真冬のように寒かった最初の三日間にずっと同じウールコートで来られた日にはどうしようかと思いましたが(笑)、徐々に暖かくなって暖かいってだけでうれしそうで、春ファッションもお召しになっていただけてよかったよかった。楽しく充実しているようで日々が過ぎるのを早く感じているようでもありましたし、OGがたくさん観に来てくださって楽しんでくれまた盛大に冷やかしていくようで、そういう様子が日々こぼれ聞けるのも本当に楽しかったです。スカステ露出も多くてありがたかったし、楽しかったです。
 大劇場公演時には同日開催で行けなかったりく茶に東京では会友と共に参加してきましたが、これもおもしろかったです。なんせ私たちうるさい!ってことに気づきました(^^;)。お茶会って盛り上げるものだと思っていたし、登場の音楽がソーラン節だったらハイハイするやろ!と思ったらしていたのは私たちだけだった…トークにもいちいちうなずいて頭振ってるのが後ろから見ていて笑えた、と別のお友達に言われてしまいました。ご迷惑をおかけしていましたらすみません…愛と情熱があり余っているだけなんです、悪意はないのです…
 りくちゃんは、あたりまえなんだけど普通に男役モードで話すので、相手役(笑)にいちいちデレるとかもあまりなくて、そういうのも新鮮でおもしろかったです。でも「あっきーさんファンにいつか刺されるんじゃないか…」って怯えてみせるのは、もしちょっとでも本心だったら申し訳なかったなー、そんなことないのになー、私はありがたいってお手紙書いちゃったんだけど上手く伝わってないのかなー、とかちょっと心配になってしまいました。むしろこちらが申し訳ないと思っている部分だってあるんですよ。りくちゃんファンは普通にカッコいい男役姿の贔屓が観たかったろうな、こういう配役で相手役があんなで(オイ)すまんかったのお…くらいには思う部分もあるワケですよこちらとしては。でも今回のお芝居のMVPは本当にりクレヨンだったと思っています。
 早くからダンサーとして本公演でも起用され、新公主演だって三度もしていて、でも同期の愛ちゃんが今や組の三番手として登用されていることに当人もファンも思うところはあるのかもしれません。でも『エリザ』ルドルフ役替わりへの登用といい今回のショーも含めた配役といい、力量は確実に買われていて報われているんだと思うのです。お茶会の参加者も我々含め新顔が多かったのか(私は博多座『王家』でも参加させていただきましたけれど)、ファンが増えている実感があるのか、締めのあいさつで「400人もいる現役生徒の中で、今回で蒼羽りくという存在を知った方も多いかと思いますが…」みたいなことを言う謙虚さに、私は泣きそうになりました。そんなことないよ、みんな知ってるよ、応援してるよ、がんばってるのを見守ってるよ…と言いたかったです。どの生徒も新公を卒業してからあたりの、本公演での役付きが一度落ちる時期をしんどい思いをして経てきていて、それでもがんばっているとちゃんとこうしてまた扱われるんだと思うんですよね。ホントいい子だし素敵なスターさんです、応援し続けたいです。

 そしてうちのお茶会も直前の会場変更で大きくなり、スカスカしていそうで大丈夫かなとか心配しちゃいましたが、歌のプレゼントで間奏で踊るサービスをやらかしたりと、スペースがあるって素晴らしい!と思いましたね。同伴した非会員のお友達もみんな楽しんでくれたようで、よかったです。
 司会も進行もオペレーションもスムーズで、本当にたいしたものでした。特に司会がよかったなー。よく、進行の確認に追われたりして司会が生徒の話を聞いていなくて、生徒が話し終えていても次の質問をしなかったり、生徒が話に詰まっても助け船を出さないことがあったりするものなんですけれど(私はそのたびにヒヤヒヤイライラします)、そういうところがまったくありませんでした。素晴らしい! 生徒を待たせない、手持ち無沙汰にさせない、生徒に負担をかけない!ってのがまず第一にあるべきだと私は思っているので。
 でもそれより何より、当の生徒のゆるふわ勝手なトーク進行がよかったですねー(笑)。なんだあのフグ話は!(笑) ゲームも、参加者が書いたセリフを生徒が選んで読み上げるようなものだったので、結果的に当人の超マイペース・トークコーナーみたいになっていて、実におもしろかったです。素晴らしく魅力と個性が出ていた時間になっていたと思いました。
 男役さんには舞台を降りてもバリッと、シュッとしていてほしい…というタイプのファンの方にはもしかしたら目ウロコな存在なのかもしれませんけれど、この人はこういう人なんですよムダにカッコつけるとか飾るとかできない人なんですよでもムダにカッコいい人なんですよ(オイ)…っていう魅力が、おそらくかなりの数いたであろう初めて参加した方々にも上手く伝わっていたならいいなあ、と願います。
 今後の予定で次の本公演に触れ、それがまぁ様の卒業公演であることから、退団を聞かされたときの話になり…組子に伝えられたのは大劇場千秋楽公演後だったそうですが、珍しく言いよどんで、言葉を選ぶように、でも結局率直に「…早いな、と思いました」と言ったのは、本当に本音なんだろうな、と私は思いました。誰だって、いつかは、ということは考える。考えたくなくても、予想する。でも、予想していたより早かった。いつも、往々にしてそれはそういうものなのかもしれないけれど。
 で、ファンだって贔屓の進退のことは常に考えているワケで、そりゃトップさんとご一緒してサヨナラショーで花道作ってもらえたらその方がいいんじゃない?とか一度は考えるじゃないですか。でも、この言葉を聞いて私は、自分は今じゃない、まだやりたい、って思ってくれたんだろうなって思って、泣きそうになりましたよ…
 会員さんも日々のガードも増えているし、組でのポジションも上がっていると思うし、有望な下級生の邪魔をしているってこともまだないと思うし、誰ともあまりかぶらないニンの持ち主だと思うし、うまく使っていただけたらまだまだ輝く人なんだと思うんですよ劇団さん…! どうか、よろしくお願いいたします。
 心を込めて、誠心誠意、引き続き応援し続けたいと思っています。やらかし気味なところもある自覚もありますが(^^;)(本当に周囲の黙認がありがたいです…甘えてません、ちゃんとわかってますマジで…!)、ちゃんと一線守っているつもりなんですこれでも…! でもうちわは作る(笑)。え? 振るよね?(笑) 振っていい許可が出ることを信じて、せっせと準備したいと思います。コンサートは、基本的にはノリが悪い自分がどこまでノレるかの勝負でもあります。がんばります!!!(迷惑な宣言…)

 


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