駒子の備忘録

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続・宝塚歌劇版『ベルサイユのばら』完全版を考える

2010年02月28日 | 日記
第一幕
●プロローグ
  小公子、小公女、バラの青年、バラの娘
   ♪ごらんなさい ごらんなさい ベルサイユのばら(「ごらんなさい」)
  フェルゼン、アントワネット
   ♪愛 それは甘く 愛 それは強く(「愛あればこそ」)
  オスカル、アンドレ
   ♪白きばらひとつ清らかに咲く(「ばらベルサイユ」)
  オスカル
   ♪ああ 我が名はオスカル(「我が名はオスカル」)

 女ながらジャルジェ家の跡継ぎとして育てられたオスカル・フランソワは、オーストリア帝国ハプスブルク王家から嫁いでくるフランス王太子妃マリー・アントワネット付きの近衛士官に任命される。

 というようなことをセリフで説明しつつ次の場面に移っていくのはどうでしょう。このバージョンはないようなので。
 しかしプロローグですが、カーテンの電飾はかまわない、しかしレタリングがダサいのが許せません。
 どうにかしてください、マジで。絵から出てくるパターンも嫌だなー。だって絵が下手なんだもん。

 トップスターがオスカルでもアンドレでも、プロローグのこのふたりの衣装はオスカルが白と銀、アンドレが白と金の軍服と決まっているようですが、これに対して
「オスカルは光でアンドレは影、オスカルが太陽ならアンドレは月なのだから、オスカルが金でアンドレが銀の軍服であるべきだ」
 というような意見を聞いたことがあります。
 至極まっとうだと思います。改善してくれる気はないのでしょうか。

●パリ・オペラ座の仮面舞踏会
  ♪ああ パリの夜 踊り明かさん いつまでも

 オスカルを連れておしのびでパリへ出かけたアントワネットは、スウェーデン留学生のフェルゼンと出会う。

   「無礼者!」~「私は生まれて初めて私の心ときめかせる人に会った」

   ♪叶わぬ恋とは知りながら(「愛の怯え」)

 フェルゼンの一人称はぜひとも「わたし」としたいところです。

●ベルサイユ宮の廊下
  プロヴァンス伯爵とオルレアン公爵

 希望と祝福に満ちた輿入れから十数年、アントワネットの浪費に民衆の不満が高まっていることが論争される。
   「何より忌まわしいのは不倫の噂」

●ベルサイユ宮の夜会
  ♪ベルサイユに我ら集い 永遠に称えん王家の栄光(「ベルサイユ宮の舞踏会)
  さんざめく宮廷貴婦人たち
  アントワネット、ポリニャック伯夫人
   「女王陛下ご臨席!」「みなさん~わたくしはあの方がそばにいないと寂しいの」

 スウェーデン竜騎兵の軍服を着たフェルゼンが現れるが、ポリニャックに遠ざけられる。

  ドレス姿のオスカル
   「あの方はどなた?」「なんでも外国の伯爵夫人とか…」
 オスカルは正体を知られぬままフェルゼンと踊り、立ち去る。

●控えの間
  アンドレ、オルタンス、マロン・グラッセ、ル・ルー
   「あなたはオスカルお姉ちゃまを心ひそかに愛しているんでしょ」
 オスカルは彼女たちに無理矢理着せられたドレスを脱ぎに去る。
 フェルゼンが貴婦人を追ってくる。
 軍服に着替えたオスカルがフェルゼンに帰国を奨める。
   「お別れするのが本当の愛ではないのか?」
   ~「こんなむごいことは言われないはずだ」
   ~「私だって恋をしている!」
  フェルゼン ♪この世では結ばれぬ愛と知りながら(「結ばれぬ愛」)
  オスカル ♪私は愛の巡礼 見知らぬ国を唯一人(「愛の巡礼」)
  アンドレ ♪朝風に揺れる後れ毛見せながら(「白ばらの人」)

 フェルゼンとオスカルには原作どおり互いを「おまえ」と呼ばせたいところですが…せめて「きみ」にしてほしいです。オスカルがたとえ恋心を吐露するシーンでも、「あなた」はやめてほしい。

●パリ下町
 ジャンヌが町を出る。
   「あたしは神様に逆らって生きたいの!」
 ラ・モリエールがポリニャックの馬車に轢かれる。
   「文句があるならベルサイユへいらっしゃい」
  ベルナール ♪人はみな幸せに 世の中は明るく(「人はみな幸せに)

 この歌はオスカルが、アランやロザリーの案内でパリの下町を訪ねるシーンがあるバージョンで歌うものですが、ベルナールが歌っても変と言えないこともない、と思います。
 アラン、ベルナール、ジェローデルというキャラクターは四番手以降の若手スターのしどころですね。役の重い軽いはバージョンによってだいぶちがいますが、配役次第といったところでしょうか。

●ジャルジェ家
  オスカル、アンドレ、ジャルジェ夫人、ロザリー
 夫人を母の敵と間違えたロザリーが、オスカルから貴族の作法を教わることになる。

●ベルサイユ宮
  ♪オー プランタン 春4月(「オー、プランタン」)
   or ♪ダンスをするのもいいわ 歌を歌うのも(「恋をすれば」)

  オスカル、アンドレ、ロザリー、ポリニャック、ジャンヌ、シャルロット
 オスカルがロザリーを宮廷に連れて行く。
  「私の姉の嫁ぎ先の主人の妹の…」~「母の敵と姉さんが…!」

 シッシーナ夫人とモンゼット夫人に関する駄洒落は許せませんが、貴婦人たちがオスカルをアイドル扱いして夢中になっているというのは原作にもあるエピソードで、このコミカルなくだりは嫌いではありません。「オスカル、あたくしのオスカル!」というセリフとかね。

●夜の庭園
  フェルゼン、アントワネット
    ふたりは人目を忍んで逢い引きを重ねる。
   「わたくしは未だにオーストリアの女なのです」
   ♪人には終わりがあるように 花さえいつかは散ってゆく(「ばらのスーベニール」)

  オスカル、アンドレ、黒い騎士(ベルナール)、ブイエ将軍、
  ジャルジェ将軍、ジェローデル、ロザリー
 貴族の屋敷を次々と襲っていた盗賊・黒い騎士を捕らえるも、民衆の現状を説く姿にうたれ、オスカルは彼を将軍に引き渡すのを思いとどまる。

   酔ってアンドレの膝を借りるオスカル
   「星がきれいだ」♪ブロンドの髪ひるがえし 青い瞳のその姿(「心のひとオスカル」)

 このシーンでは庭園の池だか運河だかに浮かべられた船のセットが出てくることが多いようですが、恋の情熱とときめきを表現するダンスシーンでもいいと思います。

●ジャルジェ家
  ロザリー、ベルナール「大人にしているんですよ」
 ロザリーの実の母親、マルティーヌ・ガブリエルとはポリニャック夫人の名前であることが判明する。

●ベルサイユ宮
  ♪俺達は陽気な近衛兵 士官帽子を小粋にかぶり(「俺達は陽気な近衛兵」)

  ポリニャック、ジャンヌ
 フェルゼンが帰国の暇乞いに来るがポリニャックが退ける。
   「スウェーデンの恥になりますわ」
  アントワネット、オスカル「世の中の恋人たちならば、涙が枯れるまで別れの言葉を交わすのだろうけれど」

 ロザリーはポリニャックの娘だとオスカルが告げ、怒ったポリニャックは代理人を立ててオスカルに決闘を申し込む。

 「オスカルのお稚児さんね」と続く森のシーンでの「稚児の剣法、見せてやる!」というセリフは絶対にカットしてください。
 フェルゼンがルイ16世に帰国を告げ、ルイが引き止めるというシーンがあるバージョンもあります。あのルイがいいんですよね。アントワネットとフェルゼンとの噂を知らないではないが、一線を越えてはいないだろうとふたりを信頼し、またフェルゼンの誠実な人柄を信用しているルイ。従兄弟たちに陰口を叩かれていることを知らないではないルイ。泣かせます。

●サン・クルーの夜の森
  オスカルの身代わりに決闘に臨むアンドレ
  帰国直前に決闘の噂を聞いて止めに来るフェルゼン
  「君がつまらぬ決闘で怪我でもしたら、誰が王妃様をお護りするのだ~私は君との美しい思い出を胸に抱いてスウェーデンへ帰る」~「オスカルに言ってやってください」
 ジャンヌの罠にはまり、アンドレは片目を負傷する。

 アンドレの片目は原作とちがって、この他にアランとの喧嘩によって負傷するバージョンもありますが、ここではこれで。
 フェルゼンが帰国に際しアンドレと語り合ってから去るシーンがあるバージョンもあります。このくだりにそのあたりのセリフをうまいことはめ込めればと思うのですが…

●ベルサイユ宮
 ジャンヌはロザリーと決別する。
   「私とあなたはもう赤の他人、二度と声をかけないで!」
  ポリニャック、ロザリー
  「許してください、ロザリー。あなたはわたくしの娘です」
 オスカルがポリニャックを告発する。
   「アンドレの敵! 宮中に巣食う佞臣!」~「母なんです!」
  プロヴァンス、オルレアン、ブイエ、ジャルジェ
 フランスに暴動が起きたことを国王に報告しようとする。
  アントワネット「すべての責任はこのわたくしが取ります。
  マリー・アントワネットはフランスの女王なのですから」

 シャルロットの自殺、ジャンヌが告発され宮廷を追放されるくだりはカット。

--幕--

(続く)

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