く~にゃん雑記帳

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<キョウチクトウ(夾竹桃)> 広島市の花 原爆の焦土にいち早く蘇った復興のシンボル

2012年08月01日 | 花の四季

【枝や葉には強い毒性、バーベキューの串代わりにして中毒死も】

 広島に原爆が投下されたのは67年前の8月6日。当時、草木が生えるまでに数十年かかるといわれた。そんな中で夾竹桃はいち早く蘇って、市民に復興への勇気と元気を与えた。毎年この時期になると、平和記念公園の周辺やメーンストリートの平和大通などでは「市の花」夾竹桃が一斉に咲き誇る。「夾竹桃ピカドンの日をさりげなく」(平畑静塔)。夾竹桃は広島市のほか、千葉市や鹿児島市、兵庫県尼崎市などの市の花にもなっている。

 ピンクの花が桃に、細長い葉が竹に似ていることから、夾竹桃の名が付いた。インド原産で、江戸時代中期に観賞用として中国経由で渡来した。仏典には「歌羅毘羅樹(からびらじゅ)」として登場し、罪人に花輪をかぶせたり、死者の顔をこの花で覆ったりしたという。日本では「本草薬名備考」(1768年)の中に夾竹桃が初めて出てくる。別名に「桃葉紅(とうようこう)」や「半年紅(はんねんこう)」。花が白いシロバナキョウチクトウ、赤の八重ヤエキョウチクトウ、淡黄色のウスギキョウチクトウ、葉に白斑が入ったフイリキョウチクトウなどがある。

 土地を選ばず、やせ地でも育つ。しかも潮風や煙害にも強いため、街路樹や工場の緑化樹、砂防用などとして多く植栽されてきた。中国では邪気を払う樹木として寺院などに多く植えられているという。枝や葉から出る白い乳液は強心剤や利尿剤などの原料になる。だが、オレアンドリンという強い毒性の成分を含むので要注意。体内に入ると、筋肉の収縮、肝機能の低下、頻脈、下痢、めまい、心臓麻痺などを起こす。

 実際に古くから多くの犠牲者を出してきた。中でも多いのが野外でのバーベキュー。枝を串焼き肉の串として利用し、枝の毒成分が染み込んだ肉や野菜を口にして中毒症を起こすことが多い。数十年前、フランスで7人、オーストラリアでも10人が犠牲になった。枝をお箸代わりにしたり、燃やして煙を吸ったりして中毒を起こすこともあるそうだ。日本では1980年、千葉県で夾竹桃の葉が牛の餌に混入し、牛9頭が死んだという。夾竹桃を長年「市の花」にしてきた長崎県佐世保市は10年前、毒性を理由に指定を取り消し、代わってカノコユリを市の花とした。

 女優檀ふみの父親で「最後の無頼派」といわれた檀一雄の命日1月2日は「夾竹桃忌」。生前、写真で見た宮崎市の「こどもの国」の沿道を彩る夾竹桃並木の美しさに感動、花の季節にわざわざ見に行ったという。宮崎では毎年正月、花の時期ではないものの「夾竹桃忌」で檀一雄をしのぶ会が開かれているという。夾竹桃は有毒だから取り扱いには注意が必要だが、緑化木として大きな役割を果たし、紅白の花は花の少ない夏の盛りを美しく彩ってくれる。


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事後しょうたくになりましたが、関連リンクさせてもらいました。
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