く~にゃん雑記帳

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〈松伯美術館〉 開館30周年「勤勉努力―素描 下絵そして本画」展

2024年04月17日 | 美術

【上村松園『唐美人』⋅松篁『緋桃』⋅淳之『鳬』┄】

 開館30周年を迎えた松伯美術館(奈良市登美ケ丘2)で「勤勉努力―素描 下絵そして本画」と題した展覧会が開かれている。美人画の上村松園とその子松篁、孫淳之の作品群で知られるこの美術館は、三代の膨大な素描や下絵なども保有する。それらを通して本画が生まれるまでの過程を作者のコメントとともに紹介している。5月6日まて。

 同館では2年前の2022年秋にも「本画と下絵から知る上村松園⋅松篁⋅淳之」展を開催。そのとき松園の作品では『鼓の音』『楊貴妃』『花がたみ』などを下絵と並べて展示していた。今回は『唐美人』『美人納涼』『雪』などを本画と下絵で、そのほか『月蝕の宵』『新蛍』など十数点の下絵も展示している。

 松園は1948年、女性として初めて文化勲章を受章した。生前、作品制作への心構えについてこう語っていたという。「人事をつくして天命を待つ、と昔の人が申したように、何事もやれるところまで努めつくしてみた上で、さてそれ以上は大いなる神や仏のお力に待つよりほかはありません。芸術上のことでもそうであります」

 松篁は母松園の姿勢を見習いながら花鳥画の制作に没頭した。松園から絵について注意などを受けたことはないという。ただ「勤勉、努力していく母の後ろ姿をずっと見続けていた。それが母のいちばん大きな遺産だったと思う」。母に次いで松篁も1984年文化勲章を受章した。今展では『緋桃』『燦雨』『白木蓮』『月明』など松篁の大作が原寸大の下絵とともに展示されている。

 現館長淳之も松篁の後を継いで60種700羽の鳥を飼育する奈良市の「唳禽荘(れいきんそう)」にアトリエを構える。淳之は祖母松園について「大変な量の素描などを整理しながら、努力とはこれなのだと思い知らされた」と述懐している。今展では『鳬(けり)』『水辺』『小千鳥』などを展示中。淳之も2022年に文化勲章を受章し、三代続けての受章となった。

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