く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<ノウゼンカズラ(凌霄花)> 夏の青空に映える橙黄色の花

2012年07月14日 | 花の四季

【有毒って本当? 貝原益軒「花上の露目に入れば目くらくなる」】

 花の鮮やかな色合いから一見熱帯育ちのような雰囲気だが、原産地は中国。日本には平安初期に渡来した。つる性の落葉樹で、付着根を出して他の樹木や壁面などをよじ登っていく。漢名の凌霄の「霄」は空や天、「凌」は凌ぐ。空を凌ぐほど高く伸びて咲く花ということだろう。漢名の発音から平安時代の「本草和名」(918年ごろ編纂)には「乃宇世宇(のうせう)」と表記されており、これがノウゼンに転訛したといわれる。

 長く有毒植物かどうかが話題になってきた。「花を鼻にあててかぐべからず。脳をやぶる。花上の露目に入れば、目くらくなる」――。「養生訓」で有名な貝原益軒は植物学者としても名をはせたが、著書の一つ「花譜」(1694年)の中にこう記した。「ラバコール」という有毒成分を含み、花をすりつぶし汁が手などにつくと炎症を起こすともいわれる。一方で有毒説は根拠のない俗説という見方も。ノウゼンカズラは古くは「まかやき」とも呼ばれた。目がくらむほど美しい花を意味する「目赫(まかがや)き」が語源という。有毒説はそれを誤解したのではないかというわけだ。そこで実際に花を腕の内側に擦り付けて、しばらく様子を見た。だが、かぶれるなどの変化は見られなかった。

 長寿の木として知られる。金沢市の県指定名勝「玉泉園」では朝鮮五葉松の老樹に絡みつき、松の先端で毎年花を咲かせる。この五葉松は豊臣秀吉の朝鮮出兵の際、僅か7歳で日本に連れてこられ、後に加賀藩金沢町奉行にまでなった朝鮮人官僚(脇田直賢)が故郷を偲び苗木を取り寄せて植えたという。それに絡むノウゼンカズラも樹齢が300年を超えるともいわれる。島根県大田市の「龍巌のノウゼンカズラ」は推定樹齢400~500年。市の天然記念物に指定されている。

 ノウゼンカズラの英名はラッパのような花の形から「トランペットフラワー」。同じ仲間に米中南部原産のアメリカノウゼンカズラやツリガネカズラなどがある。アメリカノウゼンカズラ(別名コノウゼンカズラ)は花の筒の部分が長いのが特徴。鳥の仲間では最小のハチドリがホバリングしながら、その筒の中にクチバシを差し込んで蜜を吸う光景がよく見られるそうだ。「空に浮くときのうぜんの花濃かり」(石原八束)。


コメント    この記事についてブログを書く
  • Twitterでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« <栗原恵、岡山シーガルズに... | トップ | <祇園祭㊤> 豪華な懸装品... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿