く~にゃん雑記帳

音楽やスポーツの感動、愉快なお話などを綴ります。旅や花の写真、お祭り、ピーターラビットの「く~にゃん物語」などもあるよ。

<アケビ(通草)> 雌雄同株 下垂した大きな雌花の脇に雄花が数個

2016年04月15日 | 花の四季

【若葉は山菜に、つるは生薬「木通」や籠細工に】

 日本、朝鮮半島、中国原産のアケビ科の落葉性つる植物。雌雄同株異花で、春に若葉の展開とともに開花し、秋にうす紫色の楕円形の実を結ぶ。花は直径2~3cmの雌花とそれより小さい1~2cmの雄花数個が葉の間から垂れ下がる。花弁はなく、3枚の花びらのように見えるのはいずれも萼片(がくへん)。雌花の雌しべの周囲には雄しべが退化した痕跡、雄花の中央には雌しべが退化した痕跡が残る。自花不和合性が強いため1株だけでは結実しにくい。

 アケビは漢字で「通草」、生薬名で「木通(もくつう)」。導管という根から吸収した水分の通路の組織がよく発達し空気の通りが良いことによる。生薬の「木通」はつるを輪切りにし乾燥したもので、つるに含まれるアケビンなどの成分によって利尿や腎臓機能の向上などに効き目があるという。強靭なつるは長野の民芸玩具「鳩車」などのような籠細工にも利用される。

 アケビは別名「アケビカズラ」。名前の由来には諸説あるが、最も一般的なのは実が熟すとパカッと縦に割れる「開け実(あけみ)」からの転訛というもの。ほかに「赤実(あかみ)」転訛説、「開玉門(あけつび)」の略語説など。実が割れた様子を人のあくびにたとえた「あくび」転訛説というものまである。全国の山野に自生するアケビは「あけご」「からすうべ」など各地で様々な呼び方がある。その中で多いのが「ねこぐそ」「ねこんくそ」「ねこくそかずら」など猫とくその組み合わせ。熟した実の見た目からだろうが、アケビには少々気の毒な気もする。

 アケビの葉は5つの小葉からなる。同じ仲間に小葉が3つの「ミツバアケビ」。つるが細く、アケビ細工によく用いられるのも主にこちら。実も大きく甘みも強い。「ゴヨウアケビ」はアケビとミツバアケビの雑種といわれる。アケビの若葉は山菜として和え物や炒めもの、汁の実などに使われる。東北地方では果皮を干して保存食にも。アケビを地域の特産物として積極的に栽培しているのが山形県で、全国の出荷量の大半を占める。「おもひ出も遠き通草の悲し花 きみに知らえず散りか過ぎなむ」(斎藤茂吉)

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