く~にゃん雑記帳

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<明日香村・綱掛神事> 五穀豊穣・子孫繁栄を願い飛鳥川に「男綱」と「女綱」

2014年01月14日 | 祭り

【悪疫の侵入を防ぎ住民を守るための正月の伝統行事】

 奈良県明日香村稲渕(いなぶち)集落で「成人の日」の13日、新年恒例の飛鳥川の「綱掛神事」が行われた。川を通って悪疫などが侵入するのを防ぐとともに、五穀豊穣・子孫繁栄を願って古くから続く伝統行事。巨大な男性のシンボルをかたどった「男綱」を観光客も参加して掛け直した。上流の栢森(かやのもり)集落では一足早く11日に「女綱」を掛け替えており、これで〝男女対〟の新しい綱がそろった。

 

 稲渕地区は「日本の棚田百選」に選ばれており、昔ながらののどかな農村風景で知られる。蘇我馬子の墓ともいわれる石舞台古墳からは歩いて約20分の距離。この日正午すぎに着くと、川べりで青紫の法被姿の十数人がわら打ちや縄なえなどの作業を分担し新しい綱づくりに励んでいた。飛鳥川をまたぐ綱の長さは約80m、その中央を飾るシンボルは高さが1.5mもある。午前7時半ごろから作業を始めたという。近くのテントでは熱々の甘酒を無料接待していた。

 

 午後2時すぎから古い綱の取り外しと新しい綱の掛け替え作業が始まった。「綱を上げますのでお手伝いをお願いします。(神聖な)綱は跨がないでください」。その呼び掛けに応じて観光客が長蛇の列になって綱を運び上げ、サカキの小枝や白紙のシデを綱に差し込んだ。シンボルが川の真上になるように少しずつ移動し、綱の張り替えが無事完了すると「神所橋(かんじょばし)」の上で神事が行われた。飛鳥坐(あすかにいます)神社の飛鳥弘文宮司(87代目)が祝詞奏上、お祓いに続いて川にお神酒を注いだ。神事が終わると、てっぺんにミカンと「祈願 無病息災・子孫繁栄」のお札が付いた青竹が配られた。

 

 「女綱」が張られた栢森は稲渕から飛鳥川を遡ること約2キロの距離にある。中央には女性のシンボルを表した大きな円形のワラ細工。稲渕の法要は神式で行われるが、こちらは仏式と異なる。川べりの「福石」と呼ばれる大きな岩の上に祭壇を設け、僧侶が法要を営む。綱掛けの神事は他の地域にも多く残っているが、明日香では綱が男女のシンボルをかたどっていることに加え、法要が神式と仏式でそれぞれ行われることも大きな特徴になっているようだ。

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