経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

1-3月期GDP1次・緊急対策から構造調整

2020年05月24日 | 経済
 1-3月期GDPは実質年率-3.4%と大幅なマイナス成長となったが、事前の予想ほどではなかった。消費総合指数は、1,2月が上方修正されたことで、3月が前月比-3.5と落ち込んだにもかかわらず、1-3月期は-0.8という結果だった。4,5月は、コロナ禍の強い自粛によって、更に落ちることは確実にせよ、その後、消費をどう持ち上げていくかが課題になる。それには、消費を抑圧してきた構造の調整が必要になる。

………
 1-3月期は、コロナ禍によって民間消費が-0.7と大きく下げた。ただ、10-12月期が消費増税で-2.9も下げたことからすると、大したものに見えなくなってしまう。その前の7-9月期に駆け込みによる盛り上がりがさしてないから、なおさらである。むろん、次の4-6月期は、強い自粛によって、一段の下げになるのは必定だが、回復の道が自粛の緩和だけでは済まないことには注意が必要だ。

 つまり、消費を拡大するには、コロナ禍で落ち込んだ水準から、消費税10%というブレーキに逆らいながら、押し上げる必要がある。これは、単に、コロナ禍で失われた所得を一時的に補うだけでなく、財政によるインフレ圧力を長く続けなければならないことを意味する。それには、思いつきのように補正予算を繰り返すのではなく、制度的な裏付けを整えながら進める必要がある。

 例えば、失業の拡大で雇用保険の赤字が続いたとしても、赤字に不安を感じて絞ろうとは考えないものだ。保険という長期的な裏付けがあるから、緊縮をしようとは思わないわけである。今後、コロナ禍からの回復には、低所得層への社会保険料と連動させた給付型税額控除がいる。もっとも、コロナ禍が一服したあとは、いつのまにか緊縮に移り、消費は低い水準で停滞というのが標準シナリオである。

(図)


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 明日にも、全国で緊急事態が解除されるようである。4,5月を底として、6月は回復に向かい、すぐに3月の水準までは戻り、緩やかに1,2月の水準へと至るだろう。問題は、その辺りの停滞をどう跳ね返すかだ。国民一人ひとりへの直接給付の道がないことが、コロナ禍の経済対策のネックになった反省を生かし、社会的インフラを整えたいものである。必要な制度改革は、的外れな9月入学ではない。 


(今日までの日経)
 5都道県解除へ 緊急事態、政府あすにも可否判断。日米欧景況感、じわり改善 5月PMI、好況の目安遠く。
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