経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

家計調査の基調の悪さ

2013年11月30日 | 経済
 昨日、公表された10月の家計調査の基調の悪さには愕然とした。季節調整済実質指数の「除く住居等」は、-3.0の97.5まで落ちていた。これは昨年秋の最悪期を下回るレベルである。既に公表されていた10月の消費者態度指数の急激な低下に沿った結果となった。これで4ヵ月後には消費増税が来ると思うと、気分が暗くなる。世間は、株価の年初来最高値に沸いているだけに、孤独を感じるよ。

 7-9月期の家計消費の低迷は、円安の浸透による物価上昇で名目実収入の伸びが削り取られていることにあったが、この傾向が続いていると考えられる。確かに、所得と雇用は少しずつ良くなってはいるが、その分だけ、円安を転嫁する値上げが可能になっているのだろう。11月の東京都区部のCPIからすると、こうした状況は、まだ続くと思われる。

 今回の家計調査の特徴は、自動車と住居の消費は伸びていて、それらを含む実質指数では、前月比横バイを維持できたことだ。つまり、基調の悪さを、消費増税の駆け込み需要が補っている形である。一般的な消費に使うべきお金がこちらに回っているから、「除く住居」が悪くなっている部分もあろうが、勤労者世帯の消費性向は、前月に続いて高めであり、背伸びした消費となっている。

 むろん、駆け込み需要は、消費増税後には反動減となるもので、頼りにはならない。今後、円安が浸透し切って、雇用と所得の改善がストレートに消費に反映されるようになるのがいつになるかが、今後の基調を判断する上で焦点となろう。加えて、勤労者世帯は半分を占めるに過ぎないから、12月に表れる年金の1%カットの影響も心配である。

 今日の日経を見ると、財政当局は4兆円超も所得を吸い上げることを誇示したいようだ。成長を維持してこそ、年金黒字も、新規上場も可能になるのだが、消費の状況を見て、誰も不安には思わないのかな。そう言えば、第1次の安倍政権の時にも、新規国債を4.5兆円も削減したと自慢していたものだ。歴史は繰り返すだね。

(今日の日経)
 トヨタが期間社員6割増。新規国債を今年度以下に、基礎的財政収支を4兆円超縮める。物価上昇の裾野広がる。消費税の簡易課税見直し。公的年金の黒字3兆円7-9月期。住宅着工7.1%増10月。インド減速鮮明。ユーロ物価0.9%。株価上昇が新規上場に追い風。授業にタブレット革命。

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