経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

2012年への胎動と相変わらずさ

2011年12月27日 | 経済
 2009年の元旦に現行プリウスやインサイトの広告を見たとき、新しいステージの到来を感じたものだが、来年は、燃費世界一のアクアが登場し、プラグインハイブリッドの発売も予定される。超低燃費のガソリンエンジンの開発と言い、日本の研究開発力は健在だ。一目均衡で、小平さんが指摘する高水準の研究開発費の成果は、こういうところに現れる。来年もブームが訪れるのではないか。

 今日の日経で興味深かったのは、米製造業が南部への投資を加速しているというもので、その背景には、生産コストが中国を下回ることがあるという。このところ、日本国内を含め、「中国より下」というニュースが散見されるようになった。これも時代の変化を示すものだろう。筆者は、かねて、中国のインドネシア化、つまり、6%台の普通の途上国並みの成長率への低下を唱えているが、輸出主導の高成長は終わりを迎えつつある。

 他方、変化がないのが、日本の経済運営というところか。消費増税の方針提示が一日先送りになったが、言われるような2013年10月に3%アップなんて、常軌を逸している。その頃には、復興予算の執行が大幅に減り、経済の回復期で自然増収も大きい。そこに、経済成長の増分の大半を吹き飛ばす大きさの増税なんて、需要管理も何もあったものではない。

 消費税の低所得者対策も示されたようだが、5%引き上げたときに1兆円の還付のようだから、3%アップなら、6000億円の対策をしてくれるのだろうか。年収550万円以下を対象にするらしいが、それなら、社会保険料と相殺すべきだ。税や保険料の未納者に還付するということも、あり得ないだろう。こうしてみると、一元徴収のための「歳入庁」が欠かせないと思うが、財政当局に都合の悪いことは棚上げのままだ。

 消費税は、2014年4月からの2%アップとし、その半分は、社会保障費への充当、低所得者の社会保険料の軽減、駆け込みの反動対策に使うことにすれば良い。給付控除が必要なのは、社会保険料の免除者のみで十分だろう。そして、更なる引上げは、2年後の2%アップを予定しておく。どうして、こういう常識的なことが提示できないのだろうか。政治力のムダ遣いをしているようにしか見えない。

 技術と内需のある日本の潜在能力は高い。それを引き出すのに必要なのは、安定的な需要管理をする「平凡な経済運営」である。レファレンスを持って眺めれば、日本がいかにムダでバカげたことに血道を上げていることが分かるというものだ。

(今日の日経)
 原発事故調が中間報告。整備新幹線は年度内着工。辺野古アセス発送。郵貯株・自民1/3容認案。アクア燃費世界一で48万円安。消費税の低所得者対策1兆円。協会けんぽの保険料率10.0%に。1人当たりGDP世界14位に。リスクオフで生保が国債増。金融庁に局長ポスト。地震保険の上限上げ。インドに飛行艇。米製造業・南部のコストが中国下回る。一目均衡・日本の研究開発費のGDP比は米独を上回る・小平龍四郎。経済教室・最低賃金・安倍由紀子、玉田桂子。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 日本の秩序感と現実感と | トップ | 消費増税の焦りが招くもの »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

経済」カテゴリの最新記事