経済を良くするって、どうすれば

経済政策と社会保障を考えるコラム


 *人は死せるがゆえに不合理、これを癒すは連帯の志

ポピュリズムと経済政策

2012年09月09日 | 経済
 ポピュリズムだろうが、何だろうが、国民にとって必要なのは、正しい経済政策である。正しいものを引き当てられるかどうかは、トッブダウン型は大当たりはあるが、失敗することが多く、その代償も重い。ボトムアップ型は、わずかずつしか正しい方向へ進めないものの、大きく外すことはない。苦境にあると、ハイリスク・ハイリターンが人気を集めがちだ。

 昔話と言われるかも知れないが、橋下・維新の会を見ていると、中曽根政権を思い出す。三公社五現業の民営化で支持を獲得し、臨教審を使って教育改革をアピールした。大阪には、まだ古い体質が残っていたようで、既存の手法で人気を集めることができた。国には、その手のものは残り少ないので、どうやって持続させるのかが見ものである。

 その点で言えば、維新と名は付いているものの、八策は、従来の政策の方向を大きく変えるものではなく、公約違反に問われそうにないから、守りは堅いように見える。一方で、攻めは、唯一、議員半減で、これでバトルを演じ、耳目を集める算段だろう。筆者としては、単なる半減でなく、衆議院は比例廃止、参議院は選挙区廃止といった。統治構造を変えるような知恵を求めたい。

 経済政策では、今は緩やかな回復局面にあるから、給与カットの地方公務員への拡大といった、余計な改革はしないのが正解である。むしろ、外需の弱まりに対応して景気対策を打ち、成長を持ち上げたいところだ。昨年度の税収上ブレを使う秋の補正予算、今年度のそれによる年初の補正予算で特色を出したらよい。

 お勧めは、維新のカラーにはなじまないかもしれぬが、一体改革で約束した子育て支援の前倒しである。約束済のものだから、バラマキ批判はないだろうし、官民で保育士を増員することは、雇用増と所得増に即効性がある。民主・自民が逃していた若い女性層の支持を得るにも効果があるはずだ。

 ここで、新自由主義を気取り、安倍政権の4兆円国債削減のような緊縮策を打ち出すようだと、来年夏の参院選で、二の舞をすることになる。かつての米国レーガン政権のように、保守主義を標榜しつつ、軍事費を拡大し、事実上のケインズ政策によって景気回復に成功したようなしたたかさが必要だろう。

 消費税については、2013年が2%成長にとどまりそうなら、税率の2%アップに引き下げることだ。低所得者向けに軽減税率をするのなら、税率そのものを下げれば良い。代わりに環境消費税として、個別品目に上乗せすると言って揺さぶってはいかがか。また、消費増税の2014年度には、景気対策として、一体改革のお約束である社会保障の充実を完成させるところまで行きたいものである。財政当局は、5%まで上げてから、ようやく達成を許すつもりらしいのでね。

 さて、中曽根政権は、ブラザ合意後の円高に驚き、間違って、金融緩和と財政出動をやり過ぎ、結果として財政再建路線で喘いでいた日本経済を復活させることに成功した。橋下さんも、天下を取ったら、是非、間違ってほしい。正しい政策を引き当てるには、小さな政府のイデオロギーに頼るのではなく、下々のフトコロ具合を知ることである。大衆的な政治家とは、本来、そうでなければならない。

(今日の日経)
 維新の会が国政進出を決定、維新八策に二つの顔。風見鶏・経済の戦に破れ島々も・伊奈久喜。日韓議連の細るパイプ。太陽光を使い尽くせ・フォトニック結晶、レーザー還元、人工光合成。読書・ポピュリズムはプロを悪玉に。世界の99%を貧困にする経済。ザ・ディマンド・ビクサーは警備部門もデッサン。

※伊奈さんが言うように、米国や世界経済が2倍になっているときにゼロ成長なのだから、日本が落ちぶれるのも分かる。稚拙な経済運営は、ここまで国をダメにするものなんだね。※太陽光技術には萌芽があるのに、核廃棄物の処理は可能性すら薄い。これも原子力に投資できない理由の一つだ。

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